2009/08/20

Fabrice Moretti「Sonata!」

買ったのはもう5年以上前のことだ。大好きなCDで、今まで何度聴き返したことかわからない。おなじみファブリス・モレティ Fabrice Moretti氏の「SONATA!(Momonga Records MRCP 1005)」である。モレティ氏は現役バリバリのプレーヤーの中では珍しく、パリ国立高等音楽院でダニエル・デファイエに師事したというサクソフォン奏者。数多くの国際コンクールで優秀な成績を収めており、たとえばあのディナンの第1回アドルフ・サックス国際コンクールで第3位という成績を残した…と言えば、その凄さがわかるだろう(第1位がV.ダヴィッド、第2位がF.マンクーゾ)。

P.サンカン - ラメントとロンド
P.モーリス - プロヴァンスの風景
A.デザンクロ - PCF
J.リュエフ - ソナタ
A.ベルノー - デュオ・ソナタ

このような充実したプログラムなのだが、たとえば「プロヴァンスの風景」を聴こう!と思った時に手が伸びるというように、あまり作品それぞれとして聴くことは少ない。モーリスはミュールが、デザンクロはロンデックスが、リュエフはデファイエが、それぞれ素晴らしい録音を残しており、作品を聴こうとするときにはどうしてもそちらに手が伸びてしまう。しかし、このCDの演奏が彼らと比較して劣るとか、そういったことは全くなく、むしろ技術的にも音楽的にも(そしてもちろん録音の面でも)、大御所たちの演奏を凌駕しているのではないかと思われるほどの演奏だ。それではなぜ私の場合は、ミュールやロンデックスやデファイエを聴くかと問われれば、そういった有名曲に関しては「刷り込み」が起こってしまっているからだ。

と、前置きが長くなったが、とにかく良いCDなのだ。フランスの「伝統」と「革新」を、最良のバランスで融合させると、こういう演奏になるのだろう。本来音が持つ美しさに、ぐっと抑制されたヴィブラートが重なり、さらに隅から隅までみずみずしいフレージングを加えて出来上がる音楽は、現代におけるサクソフォン音楽の指標となるべきものだ。

たとえば「プロヴァンスの風景」の演奏なんて、実に美しい音で、様々な表現が使い分けられていて、ピアノ(服部真理子氏)とのアンサンブルも絶妙。数ある録音の中でも、これがベストだと言いきってしまいたいくらいだ。第5楽章が特に好きで、黒々としたあの楽譜の中をを軽々と進んでいくサクソフォンは、本当にアブが飛び回るような様子であり、実に聴いていて楽しい。

あとは、やはりベルノーかな。服部吉之先生とのデュオなのだが、類まれな美音を持つお二人のアンサンブル、さらに超難曲&大曲の「デュオ・ソナタ」ということで、聴きごたえは抜群。驚異的な集中力で奏でられるベルノーは、まさに圧巻である。あの楽譜を、ここまで吹いてしまうのか…という、ある意味では恐ろしさすら感じてしまう。モレティ氏&服部吉之先生というのは日本ではおなじみだが、の服部先生は、モレティ氏が10代前半のころから知りあいなのだそうだ。当時から、ソプラノサックスを軽々と操り、こいつは天才だ!と思ったとか。

録音も素晴らしい。ワンポイントなのかな?音の芯を捉えつつも、残響を最適なバランスで含めており、演奏会場で聴くようなリアルさを感じる。さらにさらに、上田卓氏による解説も、大変な読み物である。

居酒屋でセッション?

デ・ラ・カンダのにこらすぅさんと、それから最近にこらすぅさんがお知り合いになったという方と、沖縄料理屋さん「とんとんみー」で飲み。なんだか妙に盛り上がってしまって、二次会へ。「とん平」というお店で、なんと店主がギター好きで、個室の中にギターが何本も掛けてあるという場所。

「タイコはだめだけど、サックスくらいなら吹けるよ」と言われたので、それならばということで、家にサックスを取りに帰り(←この時点でなにかがおかしい)、テナーサックスとアルトサックスを担いでお店に戻り、お酒を飲みながらセッション。楽譜も何もあったもんではないのだが、なんだか楽しかったなあ。

今度行く時までに、「ホテル・カリフォルニア」「天国への階段」「スペイン」ほか数曲を練習していくことになった。40代の方に、音楽の趣味が渋いねと言われるのは、今に始まったことではない(笑)。

2009/08/18

初学者のためのレパートリー

野菜をしっかり食べなきゃなー。

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フランスでは、サクソフォン初学者のためのレパートリーが豊富であるそうだ。先日紹介した「musik'it」の内容を見ても明らかなように、クラシックの管楽器…という小さな括りから見てもマイナーな、このサクソフォンという楽器のために、同時代の作曲家が数多くの作品を提供しているのだ。

そのレパートリーは、どうやらフランス国内でのみ多く流通し、たとえば日本ではあまり知られてはいないようだ。フランスでは、小学校くらいの年ごろから音楽院に通い、専門の先生に楽器を習う、というシステムがあるため、こういった初学者のレパートリーの消費が多く、広く伝搬しやすいのだと思う。

日本だと、やはりサクソフォン・キャリアの最初に学ぶべきレパートリーは少ないよな。ラクールやフェルリングを学んでいって、次にやるのって何だろう。ミュール編曲の小品?それともプラネルの「ロマンティック組曲」とか?…という風に、かなり限られているのが現状。積極的にフランスのレパートリーを開拓していく必要があるのではないだろうか。

まあ一番良いのは、国内の作曲家がそういった易しい作品を書くことなのだが…例えば、児童合唱などに対して作品を書いている、大御所と呼ばれる作曲家の先生方が書いてくれませんかねえ(^^;さすがに無理かなあ。

2009/08/17

2009年のフェス情報

今年のサクソフォンフェスティバルについて。メイン企画であるフェスティバルコンサートは、「伊藤康英個展」と「現代の音楽展」だそうだ。

「伊藤康英個展」は、ツヴァイザムカイト(への補足的一章?)、幻想的協奏曲、四重奏曲第二番、第七の封印、シャコンヌ、琉球幻想曲、23時45分のMr.シンデレラ、木星のファンタジーという豪華仕立てで、これは聴きがいがありそうだ。大学時代に、伊藤康英先生の音楽に少なからず触れた私としては、やはり逃さずに聴きたいところだ。「Mr.シンデレラ」は、かつて吹奏楽ダイジェスト版の初演に参加したが、やはりあの小オペラ形式で演奏されるのだろうか。「シャコンヌ」というのは、伊藤康英先生が編曲したバッハの「シャコンヌ」かな?(追記→)と思ったらそうではなくて、無伴奏アルトサクソフォンのための「シャコンヌ」だそうだ。伊藤康英先生のサクソフォンのオリジナル作品の中でも、最初期(1980年)に作曲されたもの。

「現代の音楽展」は、松尾大祐「トリツカレ男」、伊藤高明「山女魚」、松尾祐孝「Distraction IX」、生野裕久「四つの葦のための四つの章」、可知奈尾子「サルルンカム」というプログラム。三月にも聴きに行ったが、どの作品も興味深いものであり、再び聴くことができるのが楽しみだ。演奏者は、同じなのか or 変わるのか。その辺りにも注目して聴きにいっていみたい。

フェスティバルコンサート以外では、いつもとほぼ同じ企画群。フェスティバルオーケストラ、A会員による演奏、音大のラージアンサンブル、アマチュアステージ、等々。

今年もパルテノン多摩でのフェスティバル開催ということなのだが、茨城県つくば市にいたころと比べたら、格段にアクセスが良くなったな(苦笑)。さくっと行って、さくっと帰ってこれそうだ。

サクソフォニー初参加

昨日、サクソフォニー関東の練習と交流飲み会に参加してきた。25人以上もサックスが集まって、いったいどんなサウンドになるのかなあとも思ったのだが、これがまた意外にも(?)とてもまとまったサウンドで、吹いていてとても楽しかった。agitato!さんとたくとんさんの指揮で吹けるというのも、いいなあ。そのあとの飲み会も、いろいろな方と話すことができて良かった~。

サクソフォニー関東は、来年の6月に演奏会を予定している。

2009/08/15

ゴトコフスキーのサックス協奏曲集

必要があって、イダ・ゴトコフスキー Ida Gotkovskyのサクソフォン協奏曲集を(安物のLPプレーヤーを使って)トランスファーした。ずっと昔にLPで入手して、こちらのページにも掲載しているが、聴いたことは聴いたのだがデジタル化はまだ行っていなかったのだった。

珍しや、「悲愴的変奏曲(1980)」のオーケストラ版と、「サクソフォン協奏曲(1966)」が収録されているレコード。BVHAASTという、現代音楽に強いことで有名なレーベルから出版されており(今も存在する出版社)、BVHAAST 066という品番が付与されている。「悲愴的変奏曲」のほうはライヴ録音。

サクソフォン独奏は、エド・ボガード Ed Bogaard氏。あまり有名な名前ではないが、あのアルノ・ボーンカンプ氏の師匠といえば驚かれる方もいるのではないだろうか。ライナーに書いてあった経歴をざっと訳してみたところ、以下のようになった。オランダ・サクソフォン界のパイオニア的存在と言えるだろう。

エド・ボガードは、1943年5月11日にオランダのWeespに生まれた。アムステルダム音楽院とユトレヒト音楽院に学び、彼はその2つの音楽院で一等賞を得て卒業した、初めてのサクソフォン奏者となった。ボガードは現在、アムステルダムのスヴェーリンク音楽院の教授であり、ベルギーのWalloon夏季アカデミーの講師も務めている。ボガードは、教育者としてのキャリアに加えて、国際的なソリストとしても活躍している。これまでに、イスラエル室内アンサンブル、フィルハーモニア・フンガリカ、コンセルトヘボウ管弦楽団、アルスター管弦楽団、ケルン放送交響楽団、オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団、オランダ放送室内管弦楽団、ユトレヒト交響楽団、ロッテルダムフィル、デン・ハーグ交響楽団他、多数のオーケストラと共演している。同時代の作曲家とのコラボレーションも多く、作曲家のOtto Ketting、Tristan Keuris、Misha Mengelberg、Hans Kox、Leo Samama、Joep Straesser Walter Hekster、Willem Breuker他から、作品を献呈されている。1968年、ボガードはオランダサクソフォン四重奏団 Netherlands Saxophone Quartetを結成し、アルトサクソフォンを担当している。また、室内楽ではピアノのRonald Brautigamとデュオを結成し、演奏活動を行っている。ボガードはこれまでに、200を超える放送録音に参加しており、その中でGaudeamus弦楽四重奏団とも共演している。

実際の演奏内容だが、今日久しぶりにこのLPを聴き返してみて、初めて聴いた時と同じような感想を持った。「悲愴的変奏曲」のほうは、(技術的な部分はほとんどをクリアしているが)ライヴ録音ということもあって演奏上の傷は若干散見される。しかし、6楽章を順に進むうちにそんなことは全く気にならなくなってしまって、むしろ演奏に内在する気迫のほうが勝ってくるような熱い演奏だ。ゴトコフスキーの音楽って、作曲家、演奏者、聴衆を全て巻き込んで疾走するような演奏になってしまえば、ほぼ100%勝ちであるわけで、まさにそんな演奏。

「サクソフォン協奏曲」…これも久しぶりに聴いたな。パーカッションも入って、トマジあたりの協奏曲にも匹敵する、3楽章構成の壮大な音楽。第2楽章での、冗長かとも思われるほどのドラマ性は、いかにもゴトコフスキー節という印象。1966年に作曲されて、1966年のパリ国立高等音楽院のサクソフォン科卒業試験課題曲となっている。マルセル・ミュールに献呈されたということなのだが、ミュール自身がこの曲を公式に演奏した可能性は低い。独奏のキャリアは、1958年に終えてしまっていたからだ。

聴いたのは本当に何年ぶりというくらいだが、似たような感想を持ってしまうということは、それだけ普遍的な力を持つ演奏なのではないだろうか…というのはこじつけ過ぎかな。

2009/08/14

スカラムーシュのフルートオケ版 on YouTube

Orquestra de Flautas Francesa(フランス語で言うと、Orchestre de flutes françaiseとかになるのかな?)の伴奏で、スカラムーシュを演奏しているという動画を発見してしまった。しかも、それだけでない…独奏が、クロード・ドゥラングル Claude Delangle教授ではないですかー!驚き。

なんだかホームビデオで素人が撮ったような怪しい雰囲気で、正直メディアとして鑑賞に耐えるものかどうかと言われれば、ちょっと怪しいが、なかなか興味をそそられる動画ではある。まあでも、この曲の持つ雰囲気は、やはりサックス+ピアノ版でこそ最大限に表出するのかもなあと思っている。

ちょっと合わせづらそう…。外国で、フルートのオーケストラって珍しいですね。ん?そんなこともないか。演奏のデータとしては、2008年3月23日、パリのサル・コルトーでのライヴという但し書きがあった。