昨日届きました(ありがとうございました)。ハバネラ・サクソフォーン四重奏団のCD「The 5th Osaka International Chamber Music Competition & Festa 2005(Yomiuri Telecast Corporation YC-0515)」。タイトルどおり、昨年5月に行われた第5回大阪国際室内楽コンクールの実況録音盤で、読売放送が限定盤として作成したディスク。一次予選からデザンクロ「四重奏曲」、ドナトーニ「ラッシュ」、二次予選から野平一郎「四重奏曲」、そして本選からグラズノフ「四重奏曲」、クセナキス「XAS」を収録。
何回か聴いてみたが、うーん圧倒的。ハバネラは今までセッションレコーディングのCDでしか音を聴いたことがなくて、丁寧な解釈をして丹念に音楽を運ぶような印象が強かったのだが、この録音では異常なテンションの高さのせいかまるで別の団体のように聴こえる。しかし実際に聴き終えると、これぞハバネラサウンドであるという強いアイデンティティを感じ取ることができた。現代にあって演奏にアイデンティティを感じさせる奏者ってほとんどいないのだから、やっぱりすごい四重奏団なのだなあ。
一次予選のデザンクロからまったく手抜きなしの全力勝負。しかし気負いを感じることはなく、純粋に良い音楽を奏でようとする意思が秘められているようにも感じる。音程が良いとかバランスが良いとかは当たり前で、決められた枠の中で各々が主張をしながらアンサンブルが動的に組み上がっていく。三楽章なんか音を間違えてるしタテだってあまり合ってないのに、ものすごくうまく聴こえる…なんだこりゃ。しかもめちゃくちゃ速い(笑)。
ドナトーニや野平はいわゆる「現代作品」。ドナトーニの冒頭、四本のサックスが極小音量でそれぞれのモチーフを奏でるところなんかも、ありえないほどの安定性。対して野平作品ではCDの音が割れるほど鳴らす、異常なまでのダイナミクス。一本一本の音色はぜんぜん違うのに、ユニゾンではオルガンでも聴いているようなパワーだ、うーむ…。
最後に向かって華麗なaccel.を魅せるグラズノフの終楽章、今まで聴いたどんな演奏よりもカッコイイし、加えて品格を湛えている。爆速のエンディングを聴き終えたあとに残る高揚感が心地よい。ロマン派にありがちなトリルや装飾音を多用したフレーズも、ここまで自然に…まるで四人の他愛のないおしゃべりを聞いているようだ。グラズノフに続いて最後を飾るクセナキス「XAS」はもう凄すぎて何がなにやら。現代作品ではあるものの、音楽は常に淀みなく流れていく。
大阪国際室内楽コンクールといったら言わずと知れた著名なコンクールの一つで、昨年は第一部門として弦楽四重奏曲、第二部門として木管アンサンブルの審査が行われたのだ。その第二部門で一位を得たのがハバネラ四重奏団だったというわけ。去年の今頃は大阪にハバネラとアルカンヌとスピリタスが一堂に会するということで、相当話題になっていたっけな。サクソフォーン奏者井上麻子さんのブログに、コンクールの様子が書いてあった(→http://asako-inoue.blogzine.jp/saxophonique/2005/05/post_d2e6.html)。井上さんは通訳としてハバネラ四重奏団に同行していたようである。ブログに貼り付けてある写真が楽しい。
今年の11/4に室内楽コンクール入賞者記念ツアーとして、東京文化会館小ホールにてリサイタル。絶対行こうと思います。
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