2010/05/27

中華的薩克斯風響

ティモシー・マカリスター特集第4弾。

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良い機会なので、プリズム四重奏団 Prism Saxophone Quartetの「Antiphony(Innova 767)」を紹介する。サブタイトルはMusic from China…そう、なんと、全曲中国産のサクソフォン作品を集めたディスク。マカリスター氏云々というよりも、単純にアルバムとしての面白さから取り上げた。

サクソフォンのことは、中国語で「薩克斯風」とか「萨克斯风」とか書いたりするそうな。中国はかなり人口も多く、サクソフォンの浸透もそれなりにあると聞くが(あのパリ音楽院のサクソフォンアンサンブルだって、中国公演をしているのだ)、中国の曲や中国作品がCDになっているという話はあまり知らない。韓国ならあるんですが。そういった意味で、面白いコンセプトのCDだと思う。

王国維 - Songs
周龍 - Antiphony
雷身 - Yuan
陳怡 - Septet
タン・ドゥン - Shuang Que(二胡と揚琴)
イェン・ミンシュウ - Chinatown

二胡を担当する王国維の自作である「Songs」は、これはサクソフォン四重奏が参加しているとはいっても、ほぼ完全に中国の伝統音楽の様相を呈している。まあさすがにこの曲はアレだが、続く「Antiphony」も、明らかに中国音楽の延長線上にあるものだ。現代にあって、ここまで愚直に自国の音楽を作品へと取り込むのは、さすが中国クラシック音楽界の特徴だろう。日本も、そういう曲があって良いと思うのだが。

タン・ドゥンの作品が目を引くが、残念ながらサクソフォンは参加しておらず、二胡と揚琴のための作品。他の曲はほとんどが二胡とサクソフォン四重奏、そしてパーカッションを加えたものとなっている。プリズム四重奏団は、ある時は表に出て音楽を主導し、またある時は後手に回り、独奏を引き立たせる役割を神妙に担っている。面白いな。

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