2024/04/15

ワシントン・ポスト紙上のデファイエ四重奏団記事

ワシントン・ポストの1985年6月25日の記事に、ダニエル・デファイエ四重奏団のアメリカにおける演奏(世界サクソフォン・コングレス開催に伴う)の模様を伝える記事を見つけた(機械翻訳にかけてみた)。

https://www.washingtonpost.com/archive/style/1985/06/26/world-saxophone-congress/1de5ed58-adb7-41a5-904f-0eb57ae2673e/ 

デファイエ四重奏団は、昨夜メリーランド大学で開催された第8回世界サクソフォンコングレスのオープニングコンサートに出演した。ソプラノ・サクソフォン奏者ダニエル・デファイエ率いるフランス人音楽教授のカルテットは、現代の作曲家によるカラフルで特異な3つの作品で、タウズ・シアターの満員の聴衆を喜ばせた。

アルト・サックス奏者のアンリ=ルネ・ポリンは、アレクサンドル・グラズノフの「四重奏曲」(5つの変奏曲が、豪快な冒頭楽章、激的なフィナーレに挟まれている)で、多くのエネルギーとリズミックなドライブを提供した。

今週アメリカで初演された12曲のうちの1曲目、イィンドジフ・フェルドの「四重奏曲」は素晴らしいアンサンブルだった。1982年に作曲されたこの5楽章の作品は、音楽スタイルの並置と音色の探求に成功しており、他のよく練られたアイデアの中でも特に優れている。

この夜の最後の四重奏作品、フローラン・シュミットの「四重奏曲」は、愛らしく官能的な4楽章からなる作品で、演奏家たちが優雅な名人芸を魅せた。


2024/04/12

Moscow Saxophone Quartetの演奏動画

ニキータ・ズィミン氏を筆頭に、ロシアの名手が集結したMoscow Saxophone Quartetの演奏動画。アルトはユーラシア・サクソフォン協会の副会長のタラス・グサロフ氏、テナーはアナスターシャ・コニャエワ氏、バリトンは2023年のディナンコンクール覇者のドミトリ・ピンチュク氏。

現代の美しいサウンドを持つ四重奏団、というだけで片付けられない、強い魅力を持つ団体だ。ミュージックビデオの雰囲気も良い。

とりあえずVKのページはフォローしてみた(内容はインスタグラムと近い)。

2024/04/07

細川俊夫サクソフォン作品集:Light and Darkness

KAIROSレーベルより、大石将紀氏をフィーチャーした、細川俊夫氏のサクソフォン作品集「Light an Darkness」が発売された。演奏者は他に、宮田まゆみ(笙)、イルゼ・イーレンス(ソプラノ)、吉野直子(ハープ)、大宅さおり(ピアノ)、葛西友子(打楽器)。武生国際音楽祭にゆかりの深い奏者による布陣。

私が細川俊夫氏のサクソフォン曲に初めて触れたのはクロード・ドゥラングル氏の演奏による「Vertical Time Study II」であり、その後もヨハネス・エルンスト氏演奏の「サクソフォン協奏曲」、ドゥラングル氏演奏の「3つの愛のうた」などを録音で聴いた。魅惑的な作品が多いが、氏のサクソフォン作品集は初めてだと思われる。

「Vertical Time Study II」など、聴き慣れた曲は、大石氏のしなやかなサクソフォンによって耳を洗い直され、ドゥラングル氏との解釈の差分を面白く聴くことができる。笙とサクソフォンのための「明暗」やハープとサクソフォンのための「弧の歌」など、初めて聴く細川氏の編成の作品では、音色のブレンドや楽器間のインタープレイに、じっと聴いていると「細川氏の独特の節まわし」のようなものが感じられてくるのが面白い。

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以前、「3つの恋のうた」の題材となった短歌について、自分なりに調べて解釈した現代語訳を載せておく。

【暗きより 暗き道にぞ 入りぬべき はるかに照らせ 山の端(は)の月 - 和泉式部】

歩けば歩くほどに、暗い暗い中に迷い込んでしまいそうだ。山の端の月よ、どうか行く先を照らしてくれ。※ここでの「暗き道」とは、「煩悩の道」のことをも言っているそうだ。

【あらざらむ この世のほかの 思ひ出に 今ひとたびの 逢ふこともがな - 和泉式部】

私は間もなく死ぬだろうが、せめてものこの世の最後の思い出に、あなたにもう一度だけ会っておきたい。

【物おもへば 沢の蛍も 我が身より あくがれいづる 魂(たま)かとぞみる - 和泉式部】

恋に悩めば、沢に飛び回るほたるも、私の身体から抜け出していくたましいではないかと思えてしまう。

石渡悠史氏の演奏:浦田健次郎「ソナタ」

最近Facebookにて雲井雅人氏が紹介し、ちょっと話題になっている録音。浦田健次郎氏の「アルトサクソフォンとピアノのためのソナタ」を、石渡悠史氏が演奏した録音。


もの凄い集中力というか、鬼気迫るものがあり、かなり驚かされた。吉岡氏がアップしていたジャケ写真によれば、1980年の録音、つまり、石渡氏が40代の頃の録音ということになる。

作曲者の浦田氏は、もともとトロンボーン専攻だったが、のちに作曲を専門とし、東京藝術大学の作曲家教授をも務めた重鎮。この「アルトサクソフォンとピアノのためのソナタ」は、作曲家集団である「環」から1967年に発表された、浦田氏の作曲家としてのデビュー作品である。1974年にフランス・ブルドーで開かれた第4回世界サクソフォンコングレスでは、佐々木雄二氏により演奏された記録が残っている。


浦田氏の、サクソフォンの作品としては、他に、「サクソフォン四重奏のための3つの小品」がある。

2024/03/30

Quatuor Habanera plays Glass

最近アップロードされた動画で、ハバネラ四重奏団がフィリップ・グラス「サクソフォン四重奏のための協奏曲」をアメリカ海軍バンドとともに演奏している映像。


これは、アメリカのInternational Saxophone Symposiumという海軍バンド主催の年一のイベントでの演奏の様子。同曲の吹奏楽版は初めて聴いた(アレンジャーは不明)。第2楽章や第4楽章など、エッジが効いて斬新な響きだが、例えば第1楽章など、やはりオーケストラ版に感じられる浮遊感が無くなってしまっている。

ハバネラ四重奏団の演奏はさすがで、特に緩徐楽章にて微妙な陰影の遷ろいを音色で表現する様が見事。

2024/03/25

パドワのコンチェルティーノ

ウラジミール・パドワ Vladimir Padwaは、1900年ロシア帝国に生まれ、エストニアとドイツで学んだ後、アメリカで活躍した作曲家。エストニアで音楽キャリアをスタートさせ、ベルリンでは、フェルッチョ・ブゾーニの最後の弟子として学び、1932年頃からアメリカで活動し始めた。1948年には永住権を獲得し、同年ニューヨーク音楽大学の教授に就任している。1981年没。

この「サクソフォン、ピアノ、ギターのためのコンチェルティーノ」の録音では、パドワがピアノを弾き、ヴィンセント・アバトがサクソフォンを担当している。パドワとアバトの繋がりを示す直接的な情報は見つけられなかったが、パドワがニューヨークを活動の中心地に据えていた、ということで、ヴィンセント・アバトと交流があったことに違和感はない。

下記からその録音を聴くことができる。アバト氏のアメリカン・スタイルの力みの無い音色は魅力的だ。ギターはピアノの補助的に使われており、あまり目立つ箇所が無い。

https://archive.org/details/cd_thomson-schmidt-desenclos-tansman-lees-pad_virgil-thomson-gustavo-becerra-schmidt-al/disc1/

写真は、パドワの近影。


オーケストラ版のPCF、バリトン独奏(R.ピーターソン編)

ラッセル・ピーターソン氏の編曲によるアルフレッド・デザンクロ「PCF」の映像。スペインで行われた第11回世界サクソフォンコングレスで初演された編曲。初演の録音を聴いたことはあるが、なかなかオーケストラには酷な内容で、効果的かといわれると必ずしもそうではない。ちなみに、編曲として公式の許可を得ているものかどうかは不明。好事家(物好きな方)向け。

…どころか、なんとバリトンサクソフォンでの演奏。ワシントン大学の学生オーケストラとの共演で、サクソフォンを演奏しているのはKatie Zundel氏という方だが、この方も学生かな?なかなか濃厚で良い音をしているのだが、高音部や急速部では技術的に少々難あり。