2016/12/09

ジーンダイバー

「ジーンダイバー」をご存知だろうか。1994年から1995年にかけ、NHK教育(そう、EテレではなくNHK教育)の「天才てれびくん」内の枠を使って放映されていたアニメ。最近そのDVD全巻(7巻セット)を中古で購入したのだ。

現実世界のナビゲーション・センターと、コンピュータ・シミュレーションによって構築された仮想世界の間で交信を行いながら、物語が進んでいく。その設定が、子供心に向けて妙なリアル感を醸し出すのに一役買っている。内容は、その仮想世界における、生物進化の謎を解く大冒険。げっ歯類が進化した生物(プグラシュティク)と人類の優位性との進化優位性を巡る攻防が繰り広げられる前半、そして、生物の全進化に介入しようとする存在(スネーカー)とそれを阻止する存在(エウロパ人)の戦いに巻き込まれる後半。

当時の最新の生物学的考証をふんだんに散りばめ、さらに計算機科学や物理学、天文学といったエッセンスを加えた、凡そ子供向けアニメとは思えない内容。特に後半はスケールの大きさに驚かされっぱなし。私はリアルタイムで観ていたが、当時はここまで深い内容とは思わなかった。

ちなみにオープニング・テーマには、ソプラノサクソフォンが使われており、短いながらも耳に残る作品だ。その他のBGMも抑制が効きつつも素敵なもの。

キャラクターも非常に魅力的。仮想世界を旅するのは、現実世界から仮想世界へ飛び込んだ唯という女の子、そして、仮想世界を構成するコンピュータが生み出した特殊生物のパック(少しキタキツネに似ている)。途中からはプグラシュティクのティル・ニーが加わる。また、それを現実世界からナビゲートする虎哲&セラフィー(感情を持つ計算機端末)、そしてアキラ。それぞれの役回りや性格が丁寧に描き出されている。唯やティルの可愛さや、仲間を思う性格・立ち振舞いに惹かれた方も多いことだろう。最後の最後には、唯の思いやりの心が物語の鍵になってきたり…。

作画はお世辞にも良いとはいえない。あくまで天才てれびくんの中のいちコーナーということで、おそらく予算が限られていたのだろう、同じカットの繰り返しや、平行移動/パラパラ漫画風カットなど、さすがに最新のアニメーションと比べると見劣り感が否めない。また、現実世界での子役の演技もイマイチ。第一話(アキラと唯以外に3人登場)などはちょっと観るに耐えないし、初期のアキラもたどたどしい(アキラは後半に向けて良くなっていく)。

といったことを差し引いても、シナリオ、音楽、そしてキャラクターの魅力の高さには抗えない。様々な楽しさが詰まった本作品、広く知られてほしいものだ。

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