伝承歌(謡)のルーツをたどれば謡を作った本人が演奏し、それを聴いた子孫が伝えたわけで…つまりその頃の作曲と演奏は共存せねば存在できないものだったと。文字の文化を持っていなくても親から子、そして孫へと伝承されることにより生き残ってきたトラディショナルなメロディが世界各地に溢れている。
すると「作曲」と「演奏」が完全に分離したのはいつからだろう…という疑問がふと起こり、一晩考えてはみたものの中々思いつかず、朝から講義を聞きながら考え続けているうちに、ふと思いつく:楽譜(記号)の登場とその意味の固定によって初めて作品は作曲者の元を離れて一人歩きを始めたということか。ありきたりな結論に達するまでに異常なほどの時間を費やしてしまったことに悔やみつつも、まあ善しということにした。
が、その次の瞬間、作曲者と演奏者を結びつけるものは今や記号が書かれている紙切れのみということか…ということに考えが至り、我々演奏者がする行為のあまりの危険さに身が震えた。
余談ではあるが、現在参加しているサクソフォーン四重奏団(MSQ)は、作曲家のディヴィッド・マズランカ、小倉昌浩、伊藤康英各氏に(かなり直接的に)お世話になっている。辺鄙な田舎の一大学生の相手をしていただける先生方に絶大なる感謝を。あと、メールという文明の利器にもね。
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