グルダのチェロ協奏曲について。アルゲリッチとグルダの息子たちの来日公演プログラム「グルダを楽しく想い出す会」の一曲としてゴーティエ・カプソンのソロで演奏され、さらにNHK教育の芸術劇場でその模様が録画放送され一躍有名になった(?)曲。友人からこの曲の存在を知らされ、いろいろ調べているうちに音源も入手することができたのでこの曲についてちょっと書いてみたいと思う。
作曲者のフリードリヒ・グルダ(1930 - 2000)は16歳にしてジュネーヴ国際コンクールに優勝し「ウィーン三羽鴉」と呼ばれたピアノの名手でもあるらしく、ベートーヴェンのソナタ全曲録音やモーツァルトのソナタ集録音は特に評価が高いようである。クラシックピアノの演奏だけではなく、ハービー・ハンコック等ジャズ奏者との共演や作曲にも傾倒し様々な活動を展開した。このチェロ協奏曲はそんな彼のクロスオーバーっぷりが遺憾なく発揮されたまさに「楽しい」作品である。伴奏は、木管セクションがフルート、クラリネット、オーボエ、ファゴット、金管セクションがトランペット、ホルン、トロンボーン、テューバ、それにドラムス、ウッドベース、パーカッションのリズムセクションという異常な編成。といってもポップス風の吹奏楽セクションの伴奏によるチェロ協奏曲と言ってしまえばそれまでか。ん、サクソフォンが無いな…。
第一楽章のチェロとブラスセクションがジャズ風に呼応する様、第三楽章の無伴奏超級カデンツァ、第五楽章は…なんか能天気さが潔い。音楽的に素晴らしいかと言えば必ずしもそうではないのがなんとも苦しい(笑:実際グルダもあまり気に入っていなかったようだ…)が、様々なジャンルを縦横無尽に駆け巡るチェロの独奏はとても楽しいものだ。肝心の音源が手に入りづらいが、現在最も手に入れやすいのはチェリストであるUwe Hirth-Schmidtの公式ページ(ただしドイツ語→http://www.jtt.info/)にある全曲のMP3ファイル。左のメニューBibliothekからmp3 Audio→Gulda-1991とたどっていくことでファイルの置いてあるページにたどり着ける。他の音源としてPhilipsから出ているグルダ指揮、シフ(チェリスト、委嘱者)演奏のものも聴いてみたい気がするが…?
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