2018/07/25

18th World Saxophone Congress@クロアチア 2日目

2日目。朝一でキオスクに行き、トラムのカード(Suica的なもの)を入手。30分までならどこまで乗っても4クーナ(60円強)という安さ。トラムを活用すれば、大体どこにでも行けるため、重宝した。滞在先から音楽院までは、トラムで5分ちょっと。

会期中は様々なプログラムがあるが、どういった演奏を聴くのかは思案のしどころだ。日本の参加者も多く、応援しに行きたい気持ちと、コングレスでしか聴けないような奏者を聴きたい気持ちが交錯した。今回は両者をバランス良く聴いていくことにした。

コングレス初日。まずは日本のJemmy Genic QuartetをAcademy of MusicのVaclav Huml Hallで聴く。Shunsuke Takizawa「Good Summer Picture」と、Takatsugu Muramatsu「Earth」。「日本人の、誰が聴いてもわかりやすい曲を、日本人らしく」というようなコメントを演奏後に伺った。その目的は、とても高いレベルで達成されていたと思う。丁寧で、しかし同時に内に秘めるものをしっかりと感じさせる演奏であった。

続いて隣のホールSvetislav Stancic HallでDuo NoVexを。サクソフォンとパーカッションとエレクトロニクスでAlex Mincek「Nucleus」を演奏していた。本当はPierre Jodlowskiの「Collapsed」も聴きたかったが…。手綱で抑えるがごときパーカッションと、高いテンションのサクソフォン、そしてエレクトロニクスパートの絡みが絶妙であった。

1つフロアを下げて、日本のQuatuor Bを聴く。Jun Nagao「Comets」は聴くことができず、Takashi Niigaki「Ballade」と、Johann Sebastian Bach/Yasuhide Ito「Chaconne」。新垣氏の委嘱作品初演は、非常に高い集中力による演奏で、喝采を浴びていた。伊藤康英先生のバッハの「シャコンヌ」は、これはちょっと個人的に冷静に聴くことができなかった…聴きながら昔を思い出して震えてしまった。Tsukuba Saxophone Quartetのメンバーとして、2012年のスコットランドのコングレスで演奏した曲なのだ!おそらくその時がヨーロッパ初演だったはずだ。ちなみにバリトンの小山さん、楽器を現地を借りたらなんとF#無しだったそうで、すべてフラジオに置き換えて演奏していたそうな。

Academy of MusicのBlagoje Bersa Hallで、Zurich Saxophone Collectiveの演奏を聴いた。指揮はLars Mulekusch氏だった。Alvin Lucierの「The Two Grey Hills」だけ聴くことができたが、さすがに洗練された演奏であり、過去から現代まで続くスイスのサクソフォン界の強さを感じさせるものであった。

ここでトラムに乗って中央バスターミナルへ、さらに空港行きバスに乗って(バスターミナルと空港を30分程度で結んでいる)、後発で到着した山本くんを迎えに行った。ついでに7000円分のクーナを調達。同じ便には偶然松下洋くんも乗っていた。3人でおしゃべりしながら、再び空港バスに乗って中央バスターミナルまで移動した。バスターミナルでは再びトラムに乗ったが、なんと別の日本人がスリ(未遂)に遭っている現場に遭遇。バスターミナルからのトラムは狩り場なんだろうなあ…。

山本くんをアパートメントに案内し、一休み。ちょうどBlagoje Bersa Hallでの須川氏の演奏とかぶっていたので、中継で須川さんの演奏を聴くことができた。後半のJohann Sebastian Bach「Chaconne」、Chick Correa「Florida to Tokyo」、George Gershwin「From the Place Where Knows Everything」だけであったが、須川氏のバランスのとれた解釈、そして、聴き手を熱狂の渦に巻き込む演奏は、世界のどこに行っても通じるものなのだろう。あとから会場にいた方に聞いたところ、その場も大変な盛り上がり&大混雑だったそうだ。

Croatian National Theatreに移動して、ACMH Alicante Saxophone Ensembleを聴いた。このとき初めてこの会場に入ったのだが、とにかく外装・内装が美しい。19世紀末の建築だそうだ。スペインのアンサンブルで、若手・ベテランの混合といった感じ。スラップタンギングを混合したオスティナートが耳に残り、なぜか皆裸足だなあ、と思っていたところ、最後は舞台上を歩き回って幕、という、なかなかおもしろい作品であった。Sixto Herrero「Sureste」。スペインには、面白いグループがたくさんあるな…。

Vaclav Huml Hallで、Adam McCord and Paul Tuckerのリサイタルを拝聴。Marc Satterwhite「Amentecayatl」という曲だが、アルトサクソフォンとテナーサクソフォンのデュオで大変に上手い。このような演奏を突然見つけることがあるのが、コングレスの醍醐味だ。その次に演奏されたDon Freund「Louder than Words」という作品も、とてもクールなものだったようだ。

Svetislav Stancic HallでNicolas Arsenijevic and Ivan Batosを聴いた。すべて新作、という意欲的なプログラム。ディナンでも入賞しているし、それより前から、非常に上手く、豊かな音楽性を持ち合わせていることを存じているが、ライヴで聴いてもその通りだった。作品としての印象で、特に強いものがあるか…と言われると、残念ながらそういったものはないのだが、どれも氏の音楽の一部として昇華されていたのだった。Orlando Bass「Veranderungen I」、Florent Caron-Darras「Projectio」、Riccardo Nillni「Hush」、Jean-Baptiste Doulcet「Nocturne」。

この日は最後に、コングレスの最大規模のコンサートホールであるVatroslav Lisinski Concert Hallでの協奏曲コンサート。およそ1800のキャパシティを持っている会場で、大盛況。ドゥラングル氏、ボーンカンプ氏、マカリスター氏は説明するまでもないが、Antonio Garcia Jorgeは、フランスでも学んだ奏者で、クロアチアの国際コンクールで優勝している。かなり大きな会場であるため、さすがにサクソフォンの演奏という意味ではインパクトが薄まってしまうのは致し方ないかもしれいないが、それにしても名演奏の連続だった。特に初耳だったギョーム・ラゴの「レジェンド」は、構成感や響きから聴き手に対して与えるインパクトが大きく、今後人気が出そうだ。ところで、フィリップ・ルルーの作品は、どこで初演されたのかな…恥ずかしながら作品の存在自体を知らなかった。
Boris Papandopulo「Concerto for Saxophone and Big Orchestra」- soloist Antonio Garcia Jorge*
Philippe Leroux「L'Unique trait de Pinceau」- soloist Claude Delangle*
Guillermo Lago「Legends for alto saxophone and orchestra」 - soloist Arno Bornkamp
John Adams「Saxophone Concerto」 - soloist Timothy McAllister

ところで、この協奏曲コンサートのときに、スペインのDaniel Duranと久々に会うことができた(実は非常に多くの方がお世話になっているXXXの仕掛人)。スコットランド、ストラスブールの各コングレスで会って以来、久々の再会であった。また、前回コングレスで共演した、スコットランド、セント・アンドルーズ大学のRichard Inghamとも会うことができ、再会を喜びあった。今回はLargo MusicのExhibitorとして参加しているそうだが、実はこの日に演奏もあったそうで…そのプログラムに気付かず聴きに行けなかったのだが(>_<)

コンサートのあとは、ロビーでシャンパンが振る舞われ、軽食・ドリンク付きのパーティが催された。皆思い思いに、旧交を深め合い、再会を喜び合い、演奏会の余韻へと浸りながらの充実した時間。多くの日本人奏者に久々に会うことができ、また、アメリカのRichard Dirlamとは、数年前のInternational Saxophone Quartetの打ち上げ以来(驚いたことに、名前を覚えていてくれた!)の再会だった。気がつけば23:30。トラムで宿に戻り、すぐに眠りについた。

写真は、コンチェルトコンサートの様子。

2018/07/15

18th World Saxophone Congress@クロアチア 1日目

クロアチア、ザグレブで開かれた世界サクソフォンコングレスに参加してきた。目的は、上野耕路氏に委嘱したリアレンジ作品の初演と、各国サクソフォン事情の動向の見極めである。日記っぽい文体になってしまうが、1日ずつやったこと、感じたことを綴っていこうと思う。

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成田空港22:00発のエミレーツ航空EK319でドバイへ。手荷物持ち込み制限(1個, 7kg)に驚くが、一緒のメンバーとの荷物の入れ替えで事なきを得る。2階建ての巨大な飛行機、機材はエアバスA380。1階席がエコノミーとなっており、座席の間隔が広くて驚いた!長時間のフライトだが快適に過ごせそうで、テンションが上がる。CAの皆さんの制服も、さすがUAEの航空会社といった感じの、オリエンタルで美しいもの。

機内食(少し濃い目の、甘辛い醤油味の牛肉焼きそば)はとても美味しい。調子に乗ってビールを2缶ほどあおってしまったのだが、口にのものを入れる前にビールを流し込んだせいか、少し飛行機酔い&冷や汗ダラダラ。しばらくしたら収まったのだが、その反動で、1時間半ほど?寝付くことができた。怪我の功名だ…。

ドバイには、定刻より早く、現地時刻朝の3:20に到着。出発の8:30までゲートでひとやすみ。だが何もやることはなく、暇を持て余し空港内部を散歩…車が当たる宝くじにはびっくりさせられた。途中、あまりにお腹が空きすぎて、ドバイ価格のマクドナルドを購入(かなり高かった)。徐々に夜が明けてくると、羽田から来たサクソフォン奏者の皆さんと合流。30人以上だったか、多くの方がこの便を使っていたようだ。

ドバイからは、エミレーツ航空EK129でザグレブへ。日本→ドバイに比べれば、かなり短く感じる。トルコ~黒海~ルーマニアでの外の景色は美しく、下界を見入ってしまった。機内の映画や音楽など楽しんでいると、あっという間にクロアチアの景色。オレンジ色の屋根、広がる畑、美しい森と湖。そうこうしているうちに、機内食がサーブされ、ザグレブ国際空港に着陸した。

大混雑の入国審査、そして無事荷物をピックアップして、宿経由で用意してもらったシャトルタクシーで移動。バス+メトロに比べれば少し高い(3名で25ユーロ)が、疲れているし、宿まで連れて行ってくれてチェックインできるしで、とても助かった。車窓からは、空からも見えたオレンジ色の屋根の家、そして広がる畑が目に飛び込んでくる。中心街に近づくと近代的な建物が増え、さらに進むと昔ながらの街が広がった。

滞在するのは、街の中心の広場からほど近い3つの寝室があるアパートメント。6人部屋だが、少し贅沢に4人で利用することにした(それでもかなり安め)。広く明るいリビング、キッチン、ダイニングがついており、バスルームも2つあって、かなり快適に過ごすことができた。リビングの窓からは大聖堂が至近距離に見え、買い出しのためのスーパーマーケットも徒歩2分の場所にある。会場までは、トラムで2駅と、なかなかアクセスも良かった。驚いたのは、エレベーター。手動で2つの扉を閉めるタイプの、古めかしい2名乗りエレベーターで、なかなかテンションが上がった。

チェックインし、荷物を整えて、まずは街歩き。そこで問題に気付く…うっかりクレジットカードのキャッシングを無効にしていたため、街ナカのキャッシャーで現地通貨のクーナを下ろそうとしても、キャッシャーが使えないのだ。とりあえず初日は、シャトルタクシーに乗る際にユーロのお釣りとしてもらったクーナと、クレジットカードで乗り切ることにした。

気を取り直して街歩き。イェラチッチ広場から目抜き通りを歩いていくと、ヨーロッパらしく、古い街並みにブティック(といってもおそらくローカルブランド)が目立つ。チーズ、ポテトフライや、アイスクリームなど買い食いするが、とても美味しい!食べ物が美味しいとテンションが上がるなあ。日差しは強いが、やはりヨーロッパ、かなり乾燥しており、あまり不快に感じない。とりあえず音楽院(Academy of Music)まで歩き、ちょうどコングレスの受付をやっていたので済ませてしまった。パスの他に、コングレスグッズとして、トートバッグとTシャツ(嬉しい!)をゲット。音楽院の外には、豪華絢爛なクロアチア国立劇場が存在感を放っていた。

そこから再び、歩いてアパートメント近くまで戻り、スーパーマーケットで朝ごはんの買い出し。野菜とフルーツ、そして肉がとても安い(日本の感覚の1/3~1/2)。大量に買い出ししたが3000円を下回って驚く。食事は、有名なBatakというグリル専門店で、牛肉のひき肉のグリルにチーズソースを合わせたもの、そしてシーズナルサラダとビールをいただく。驚くほど美味しくて、睡魔が吹っ飛んだ。

アパートメントに戻って、皆リビングで少し休んでいたところ、気づくとうたた寝しており、この日はここまで。適温適湿で、快適に寝入ることができた。

写真は、アパートメントからの眺め。ザグレブ大聖堂は一部工事中だったようだ。

2018/02/24

カルッツかわさき×ぱんだのシンフォニー

【カルッツかわさき×ぱんだのシンフォニー】
日時:2018年02月24日(土)開場/13:30 開演/14:00
会場:カルッツかわさき ホール
料金:S席/4,000円 A席/3,000円 U-25/2,000円
プログラム:
前久保諒:Welcome to PANDA!
P.スパーク:オリエント急行(お客様からのリクエスト曲※)
A.リード:アルト・サクソフォンのためのバラード(アルト・サクソフォン ソロ:上野耕平)
V.ネリベル:トリティコ
R.シュトラウス(A.O.デイヴィス編曲):万霊節
J.バーンズ:交響曲第3番「悲劇的」

テレビや録音で観た/聴いたことはあったが、ライヴで聴くのは初めて。しかもこだわり抜いたと思われるこのプログラム。

細かい部分での個々が持つレベルの高さ(たまーに一部アレッとなるが)や、ユニゾンでの密度の高い響き。ネリベル「トリティコ」のエッジの効いた響き、そして緩徐楽章における集中力は、聴き手にも多大な緊張感を強い、非日常の空間を作り出していた。リードの「バラッド」、上野耕平氏のソロは、徹頭徹尾美しい音色、そして、楽譜上は比較的平易な作品から、きちんと泣き所を引き出す"魅せ様"がさすがである。バーンズ「交響曲第3番」では、悲劇〜皮肉〜幻想〜希望、という各楽章のキャラクターの描き分けや終盤に向けての構成、そして随所に現れる渾身のソロが、それぞれ高い次元でまとまっており(指揮者の手腕もあるだろう)、長時間も相まって聴き応えのある内容だった。

今後さらに活動を続けていくことで、それ以上の、バンドとしてのサウンドの個性、という境地に達してゆくのだろう。すでに、奏者単位では、そういった場所に到達している方もおられるし、活動内容としても独自のものを展開していて興味深いが、やはりバンドの音楽としての次のステージを見てみたいものだ。

休憩中に、吹奏楽ってどうやって聴くんだっけ、という疑問がふと頭をかすめる。そんなに多くのコンサートを聴いたことがあるわけではないが、全体の響きに身を任せることもあったし、個々のテクニックを楽しんでいたこともあったし、曲にばかり着目していたこともあった。せっかくだからとぜんぶの要素に注目しようとしたとき、アタフタと気持ちを切り替えなければならず、ちょっと頭が疲れてしまったのだった。

と、何だかいろいろと書いてしまったが、いや上手いっす。技術面も芸術面もレベルが高い。東京芸術大学の同期を中心に…とプロフィールに書くだけのことはある。吹奏楽界の新勢力として、ますますの活躍を期待する次第。今日聴くことができて良かった。

最後、アンコールは「パンダスティック!」と、まさかのグレインジャー「シェイファーズ・ヘイ!」。特にグレインジャーは嬉しかったなあ。ちなみにアンコールは携帯カメラで撮影OKとのアナウンスがあった。時代ですなあ。

それにしてもカルッツかわさきのホール、良いですね。少々客席数は多めで編成は選ぶかもしれないのだが、ハマったときの端正な響きは素晴らしい。変な残響が無いことは、個人的なホールの好みを左右する上での重要な要素の一つだ。

2018/02/23

明日はぱんだWO

昨年オープンした川崎市の複合文化施設、"カルッツかわさき"に、ぱんだWO初見参。もう明日だが、聴きに行く予定。レベルが高く、メディアへの露出も多く、非常に勢いのあるバンドだが、実はフル編成をライヴで聴ける機会はなかなか貴重だ。しかも、かなりこだわり抜いたと思われる、玄人もニヤリとするようなプログラムで、いっそう楽しみ。

サクソフォン的興味としても、アルフレッド・リードの「バラッド(ソロは上野耕平氏)」、ジェームズ・バーンズ「交響曲第3番(第2楽章に長大なバリトンサクソフォンのソロがある、吹くのは松下氏かな?)」など、注目できる内容だ。

(これぐらいは書いても良いと思うのだが)プログラム冊子の曲目解説を担当した。レイアウトのデータを拝見したが、素敵なレイアウトに仕上げてくださって、感謝。

http://culttz.city.kawasaki.jp/performance/2317/

【カルッツかわさき×ぱんだのシンフォニー】
日時:2018年02月24日(土)開場/13:30 開演/14:00
会場:カルッツかわさき ホール
料金:S席/4,000円 A席/3,000円 U-25/2,000円
プログラム:
前久保諒:Welcome to PANDA!
P.スパーク:オリエント急行(お客様からのリクエスト曲※)
A.リード:アルト・サクソフォンのためのバラード(アルト・サクソフォン ソロ:上野耕平)
V.ネリベル:トリティコ
R.シュトラウス(A.O.デイヴィス編曲):万霊節
J.バーンズ:交響曲第3番「悲劇的」

2018/02/13

相次ぐ訃報

今年の1月後半から2月前半にかけて、偉大なサクソフォン奏者の訃報が続いている。フランス・サクソフォンの黄金期を築いた以下の奏者たちが、相次いで亡くなったとの報せを受け取った。

アンリ=ルネ・ポラン氏
ローランド・オードフロイ氏
ミシェル・ヌオー氏
ジャン・ルデュー氏

ポラン氏とルデュー氏は、言わずと知れたデファイエ・サクソフォン四重奏団のメンバーだ。直接演奏を聴いたことはないものの、特にポラン氏は、2015年にお会いしたこともあり(ルーアン郊外のご自宅に伺ってインタビューを敢行した)、事更に悲しい。お会いしたときはたしか94歳。その時はお元気だったのだが…。ルデュー氏は、私自身がバリトン・サクソフォンで四重奏の世界に入っていったこともあり、憧れのような存在だった。豊潤な響きのリュエフ、デザンクロ…。デファイエQのメンバーの中では最も若く、70歳を超えてなお演奏を続けていたことは驚嘆に値する(私は聴けなかったが、2003年のルデュー・カルテット来日公演は当時大変話題になった)。

ミシェル・ヌオー氏は、ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団の黄金期を支えた奏者として有名だ。ギャルドのメンバーと組んだカルテットの録音も非常に有名だが、ある時木下直人さんから教えていただいた、ジュネーヴ国際で一位を獲ったときのイベールの本選ライヴ演奏(アンセルメ指揮スイス・ロマンド管との共演)の印象が殊更に強い。ミュールのイベールを初めて聴いたときのようなショックを受けたものだ。

ローランド・オードフロイ氏はあまり知られていないが、フランスでは重要な位置を占めた奏者の一人。ジャック・メルツァー氏、ジャン=マリー・ロンデックス氏、ギィ・ラクール氏らとともにフランス・サクソフォン四重奏団なる団体を結成し、いくつかの録音の吹込みを行っている。

今朝、ルデュー氏の訃報を知ったのだが、三連休の頭だというのにすっかり気落ちしてしまった。名手たちを偲んで、ご冥福をお祈りします。

2018/01/11

Argos Soditicがセルマー社の所有権を獲得へ

中小企業向け投資ファンドのArgos Soditic(以下A社)が仏セルマー社の株式の所有権を獲得するための独占交渉権を得たとのニュースが入ってきた。

この所有権移管により、今すぐに何かが変わるとは思えないが、A社が経営陣に参加することで(セルマー家のメンバーも一部所有権は保持し、経営には参加し続けるそうだ)、やがて方向性が定まってくるのだろう。強大な資本を持つファンドが後ろ盾となることは、その会社にとって、成長のため機動的に資本を投入することができるというメリットを持つ一方で、利益が出なければ容赦なく縮小させられる、といった正負の2つの側面を持つ。A社の投資先ポートフォリオを見たが、多岐にわたりすぎていて(交通、食品、情報工学、軍事etc)、「セルマー」という会社やブランド、製品の真の価値をわかっているマネージャーがいるかどうかは、不安要素となる。

気になるのは、なぜA社が買収に興味を示したのか、そして、なぜセルマー家がそれを呑んだのか、だ。A社側の立場でいうと、プレスリリース文にいちおう記載があるが、ユニーク・マニュファクチャリングとか、ワールドワイド・フットプリントとか、"らしい"言葉が並ぶのみである。そんな言葉上のことはどうでも良く、キャッシュを生み出す対象として、そこまで魅力的に映ったのはなぜか、というところだ。セルマー社側の立場についてはFacebook上にジェローム・セルマー氏のコメントがあるが、やはりリソースの増強による拡大…的なコメントがあるのみだ。実際のポイント(両者の思惑)がどこにあったのか、が気になっている。

2017/12/20

転職

月初より別会社に転職。平日、都内の演奏会に伺うのはかなり難しくなってしまった。