2009年7月16日

NSF Vol.28

最新号がいつの間にかアップされていた。以下のリンクからどうぞ。

http://www.nonaka-boeki.com/nsf/magazine.html

今回の記事は、「池上政人インタビュー」「管打楽器コンクール入賞者インタビュー」「大石将紀:留学を考えている人へ」「第28回サクソフォーン・フェスティバル」「リエゾンSE演奏会レポート」「クローバーSQ演奏会レポート」「矢野沙織インタビュー」というところ。

池上氏へのインタビューは面白いなあ!生い立ちとか、音楽の道へ進む頃のこととか、キャトル・ロゾーのこととか、NSFだけしかこういうインタビューはできないだろう。管打楽器コンクール入賞者へのインタビューは、あれ?細川さんがいない…と思ったら、そうか、確か細川さんはYAMAHAユーザーだったのでした。そう考えると、コンクールで上位に入賞する方々は、まだまだセルマーのサクソフォンを使う比率が高いということなのかな?鶏と卵の関係みたいで、良く分からないな。

ノナカサクソフォンフレンズ、2010年3月をもって終了してしまうようで、残念なことである。セルマー関連の記事ばかりとはいえ、すでに大御所と呼ばれる演奏家の方々へのインタビューなど、なかなか貴重な記事が多いだけに…。

2009年7月15日

Trio Saxiana日本公演のプログラム

2009年7月6日、名古屋のザ・コンサートホールにてトリオ・サクシアーナ Trio Saxianaのリサイタルが開かれた。トリオ・サクシアーナは、2sax+pf.という編成で活動するフランスの団体で、サクソフォンがニコラ・プロスト Nicolas Prostとアンヌ・ルカプラン Anne Lecapelain、そしてピアノがローラン・ワグシャル Laurent Wagschalであり、2000年より活動している。CDもいくつかリリースされており、私も「Nachtgesang」というアルバムを所持している。このCDについては、以前レビューした

そのリサイタルを聴きに行くことはできなかったのだが、おなじみ京青さんよりプログラム冊子のカラーコピーを送っていただいたのだ。貴重なものであり、京青さんには感謝申し上げる次第。

サクソフォン2本とピアノ、という編成は、ここ最近隆盛の傾向がある。須川さんとケネス・チェ氏のデュオ、原博巳氏とジェローム・ララン氏のデュオ、塩安さんと平賀さんのデュオ、TrioYaS-375、阿吽等々。さらにアマチュアでも、Duo Green Greenという団体が活躍しているし、そういえば私も昨年くらいにこの編成で演奏したことがあったのだった(曲は、F.フェランの「パールサックス」)。こういう中で感じるのは、レパートリーが欠如していることである。そのため、プロフェッショナルの団体は、オリジナル作品を委嘱したり、アレンジを行ったりして、レパートリーの拡充に務めている。だって、いつまでもプーランクじゃあねえ…。

そんな経緯もあり、今回送っていただいたプログラム冊子で私が最も注目したのは、トリオ・サクシアーナのレパートリーである。これがまた驚くべきもので、さすが定常的に活動するアンサンブルは違うなー、というものである。プログラムのリストは、以下。

ティエリー・ペクー Thierry Pécou - 三重奏曲"ナヌーク" Nanook Trio
ティエリー・エスケシュ Thierry Escaish - 古風な幻想曲 Fantasia antiqua
フランシス・プーランク Francis Poulenc - 三重奏曲 Trio
クリスチャン・ロバ Christian Lauba - ポーギー・ストライド Porgy Stride
アーノルド・バックス Arnold Bax - 悲歌的三重奏曲 Elegiac Trio
アレックス・コッチ Alex Kotch - リデュース・リユース・リサイクル Reduce, Reuse, Recycle
アレッサンドロ・アニュンツィアータ Alessandro Annunziata - 大衆の2つの情景 Deux Scéne populaire
ニーノ・ロータ Nino Rota - 三重奏曲 Trio

ペクー、コッチ、アニュンツィアータという名前は、初めて聞いた!こんな曲があるのか!という感じである。しかも、いちいち解説文が興味をそそる。コッチの「リデュース、リユース、リサイクル」なんて、すごく刺激的なタイトル!一部は作曲者のサイトでも聴けるが、全体を通して聴くとどんな曲なのだろう。

クリスチャン・ロバの曲も、有名な2本のサクソフォンのための「アドリア Adria」ではなく、「ポーギー・ストライド」という、アート・テイタムの弾いたジャズのフレーズを基にした楽曲。もともとは2台ピアノのために書いた曲を、この編成へとアレンジしたもののようだ(もとの曲については、ここから一部を聴ける)。

どの作品も面白そうで、録音でも良いからぜひ聴いてみたいなあ。いつかCDがリリースされることを心待ちにしたい。

2009年7月14日

セルマーのサックス本

「saxophones - the essentials」という、2008年にéditions selmerから出版されたサックス写真本がある。10ユーロ、30ページ程度の小規模なオールカラー本。内容としては、セルマーのサクソフォンを中心にしたサクソフォンの歴史を辿るもので、絵や写真が多く、見ていてとても楽しいものである。

この本のメインであるセルマー製サクソフォンの歴史は、今までなんとなく知ってはいたものの、この本を通じて再確認することができた。掲載されているサクソフォンの写真は実に美しいもので、たとえばModèle 22のこんな良い状態の楽器があるのか!というような驚きがある。

1922-1926: Série 1922, Modèle 22
1926-1935: Modèle 26
1936-1947: Balanced Action
1948-1953: Super Action
1954-1973: Mark VI
1974-1980: Mark VII
1981-1985: Super Action 80
1986-: Super Action 80 Série II
1995-: Série III
2000-: Référence

それから、何が良いってフランス語ではなく、英語で書かれているのだ!(フランス語版もある)これならば、なんとか読めなくもない。フランス発のこういった本て、大抵フランス語版しかなくて、読みづらいことが多いのだが、これは嬉しいポイントだ。購入は、セルマーの出版物販売のページ(→http://www.selmer.fr/editions.php)からどうぞ。

2009年7月13日

Duo Kalypso on YouTube

いつの間にか、Duo Kalypso(ミーハ・ロギーナ Miha Rogina氏と李早恵さんのデュオ)の動画がYouTubeに追加されていた!びっくり!それぞれの演奏者がとんでもない技術と音楽性の持ち主である…ということに留まらず、Duo Kalypso最大の特色は、なんといってもその有機的なアンサンブルである。各国の室内楽コンクールで賞を総なめにしているそうだが、その片鱗を観ることができる。

・ミーハ・ロギーナ氏と李早恵さんの演奏で、D.ミヨー「スカラムーシュ」。この実に見事なアンサンブル!ダイナミクス、テンポ、音色の融合度合がものすごいと思う。両者が対等な、まさに「室内楽」そのものだ。また日本でも聴きたいなあ。






・李早恵さんの演奏で、O.メシアン「鳥のカタログ」より"ニシコウライウグイス"。他にアップロードされているショパンやドビュッシーももちろん素敵だが、私はこの演奏が一番好きだ。そういえば、8月にクラシック倶楽部の再放送があるとのこと。詳細はこちら


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「また日本でも聴きたいなあ」と思っていたら、おお!来年に関西で演奏予定があるそうだ。

【パリからの便りVol.4~クラシックは面白い!~】
出演:Miha Rogina, Sae Lee(Duo Kalypso)
日時:2010年2月3日(水)
会場:ザ・フェニックス・ホール
プログラム:
P.ヒンデミット「ヴィオラ・ソナタ」
M.ムソルグスキー/李早恵「展覧会の絵」より“古城”
M.ラヴェル/ワルター「ソナチネ」
G.ロッシーニ/テデスコ「フィガロ・パラフレーズ」
B.バルトーク/Duo Kalypso「組曲作品14」
P.スヴェルツ「クロノス 」
G.ガーシュイン/Duo Kalypso「ラプソディー・イン・ブルー」

2009年7月12日

pって難しいよね

難しい。特に、記譜のド#から下でppなどと言われた日には、指揮者に向かって土下座して、次の瞬間踵を返し、しっぽをまいて逃げだすしかない。だが、ごくたまに実演で聴くことのできるサックスの素晴らしい演奏の数々は「ここのpやppにゾクゾクした!」とか思うのも事実なわけで、最近ではサックスの最も美しい響きって、pやppにあるのではないかと思っているほどだ。pであなたの心を奪い去ることができれば、それすなわちプロの中のプロなり。わからんけど。

CDなどで「ここのppが!」というのは少ないけれど、やっぱりそれはレコーディングプロデューサーの趣味によるだろう。CDに吹き込まれたところで、それ相応のオーディオ環境を整えなければ、その音も聴こえないだけ、になってしまうから…。

最近は、pでレより下の音が出てきた時には、サブトーンと通常音を使いわけて演奏するようにしている。完全に実用化するには、もう少しサブトーン時のアンブシュアを固定し、さらに音程にアタリをつけることが必要だ。また、通常音とサブトーンの間に、無限の階層を設けて、場合に応じてそれらを使い分けられなければいけないと思う。

心を奪い去るp、pp、出してみたいねえ。ただし、p、ppは表現手段の一であって、それが目的となってはいけないなあ、とも思う。

バラフォン

クリスチャン・ロバ Christian Laubaの「9 Études」のうち、アルトサクソフォンのための「Balafon」は、アフリカの同名の民族楽器にインスピレーションを得て作曲されたものである。アフリカのチュニジア生まれであるロバにとって、生まれ故郷の民族楽器を題材に作曲を行うのは、ごく自然なことだったのだろう。

Richard DucrosによるChristian Lauba - Balafonの演奏。


バラフォンと呼ばれるこの民族楽器(左の写真参照:画像はhttp://item.rakuten.co.jp/af-sq/ab9003-901/より)は、シロフォンなどと同じように音階順に木片を並べ、共鳴管として木片の下にヒョウタンを取り付け、マレットで木片を叩いて音を出す仕組み。ふと、そういえばバラフォン、バラフォンとは言うけれど、実際にバラフォンの音って聴いたことないぞと思い、YouTubeで適当に動画を探してきた。



いやあ、良い音がしますね。いかにも「大地のリズム!」という感じか。ロバの「バラフォン」から想像されるのとは、ちょっと違う響きで驚いた。ロバの「バラフォン」は、前半から中盤にかけての極小リズムの部分が印象深いが、実際のバラフォンは小さい音で(まるでマリンバのように)音を出すイメージはないのだなあ。ときどき混じるノイジーな音は、なんとなくだが重音とややリンクする気がする。楽器の音階はペンタトニックで、たとえば上に張り付けた動画の楽器は、実音でレファソラドの音階を持っている(たぶん)。ロバの「バラフォン」でも、同様のペンタトニックが使われてますね。

2009年7月11日

ダールのオリジナル版、蘇演

インゴルフ・ダール Ingolf Dahlの「サクソフォン協奏曲」について、現行のバージョンが改訂版である、ということはこれまでも何度かブログで取り上げてきた(→この記事など)。現在は、オリジナル版は全く演奏されていないどころか出版もされていないような状況なのだが、来年アメリカで蘇演の予定があるようだ。

1949 version of the Dahl concerto is taking place at Montclair State University, Montclair NJ on April 24th.

とのことで、どうやらダール「協奏曲」研究の第一人者、ポール・コーエン Paul Cohen氏が独奏を務め、オリジナル版の演奏をおこなうようだ。さすがに聴きにはいくことは難しそうだが、録音だけでもなんとか聴くことができたらな…と思う。献呈先であるシガード・ラッシャーの演奏を所持しているが(しかも初演の録音)、非常にスケールの大きな音楽であり、誰か演奏してくれないかなと思っていた矢先のことであった。

こうなってくると、次は出版してくれないかな…などと期待してしまうが、果たして。