2013/05/30

Luis Naon "Senderos...que bifurcan"

2003年にクロード・ドゥラングル教授のクラスの卒業試験課題曲となった、ルイ・ナオンの「Senderos...que bifurcan(分岐する小径)」の演奏。ソプラノサクソフォンとエレクトロニクス(テープ)のための作品。この年は、井上麻子さん、Grégory Demarsy、Géraud Etrillardの3人が卒業した年だ。いずれの方ももトレ・ビアンを受賞している。ドゥラングル教授による実演を静岡で聴いたことがあり、その時のことを思い出す。エレクトロニクスパートがなかなか面白いのだ。最後はなんとなくシュトックハウゼンの「誘拐」を思い出してしまう(笑)

演奏はVincend Daoud氏。第2回JML国際コンクールで、第5位に入賞した奏者だ。スタジオ録音だろうか?演奏レベルは驚異的である。

2013/05/29

「春の祭典」初演100周年

今日2013年4月29日は、ストラヴィンスキーの「春の祭典」がパリで初演されてからちょうど100年にあたる日だそうだ。普段はサクソフォン関連の調査にばかり精を出している私でも、さすがに「春の祭典」くらいはきちんとおさえている。私の愛聴盤(というか刷り込み)はブーレーズ×クリーヴランド管弦楽団の新録音(DG)である。SONYから出版されている旧録音のほうが有名だが、なぜかこちらなのだ。特に第1楽章が好きで、何度も聴いた。

Naxosが、様々な演奏家による「春の祭典」を全曲聴くことができる特設ページを開設しているので、気になる方はチェックしてみては。6/5までの限定とのことなので、お早めに。非ロスレス符号化されているが、まあ試しに聴くには十分なレベルの音質だ。
http://ml.naxos.jp/k/harusai/

サクソフォンと「春の祭典」の関係性は希薄だが、いくつかサクソフォンを含んだアレンジを知っている。ヒューストン大学が取り組んだ吹奏楽版には、編曲・演奏ともに衝撃を受けたなあ。つい先日、Eastman Saxophone Project(イーストマン音楽院の学生によるサクソフォンのラージアンサンブル)の全曲演奏がYouTubeにアップロードされていたが、Boosey & Hawkesの申し立てにより削除されてしまったようだ。

ということで、余り知られていないであろう「RE-(W)RITE OF SPRING(Innova 824)」をご紹介。なんとビッグバンド版の「春の祭典」である。サクソフォンはDarryl Brenzel以下6本が含まれており、冒頭のソロを始め随所で活躍しまくっている。もちろん初めて聴いたときは衝撃を受けたが、内容(編曲・演奏)としてはネタとしてしかご紹介することができないかなあというレベルなのが残念。

ビッグバンドサウンドが好きな方、もしくは好事家向け。上記Naxosのページにも掲載されている。

ユージン・ルソー氏のCoronet盤(その3)

島根県のF様より頂戴した、ユージン・ルソー氏のLP録音をCD-Rに復刻してもらったもの(3枚のうちの3枚目)。ここまでご紹介した2枚はピアニストがMarion Hallだったが、この盤ではJoseph Rezitsが弾いている。表面にアレンジ作品、裏面にオリジナル作品が収録されている。アレンジ物はそれほど珍しくないが、ユージン・ルソー氏が吹くジョリヴェの「ファンテジー・アンプロンプテュ」なんて、けっこう興味を持つ方が多いのではないかな。

「Duo for Saxophone and Piano(Coronet 1703)」
Eugene Rousseu, saxophone
Josephh Rezits, piano
George Frideric Handel - Sonata in C Major for Viola da gamba
Francesco Cilea - Sonata in D Major, Op.38 for Cello
Andre Jolivet - Fantaisie-Impromptu
Juan Orrego-Salas - Quattro Liriche Brevi

表面のヘンデルでの、まるで隙だらけのようでいてきちんと吹いている様がなんとも面白い。アルトサクソフォンにしては妙に低い音が連発となる編曲であり、なんだか不思議な体温で演奏されている。抑揚が出てくるのはフランチェスコ・チレアの作品からで、スタイルとしては古典的だが、ヘンデルの作品・演奏のあとに聴くと妙にダイナミックに聴こえてくる。

ジョリヴェに続いて演奏されるオレゴ=サラスのシリアスな響きは、一聴の価値ありだ。それまでがどこか浮遊感のある印象であったのが、突然地に足がついたように奏でられる。緩徐楽章ではさらにルソー氏の美音が冴え渡り、"耽美"とでも表現できるような音楽が展開される。ルソー氏は、後年Delosレーベルに同曲を録音しているが、聴き比べるのも一興である(音色の違いに驚かされるはず)。

2013/05/27

村田淳一さんの作品

長野県出身のサクソフォン奏者、作編曲家である、村田淳一さんの作品をご紹介。かなっくホールで演奏された「El cuento... ~Hommage A Piazzolla~」の新作初演の際にちょっとだけお話して以来なかなかお会いする機会もないのだが、最近もいくつか魅力的な作品を書いているようである。YouTubeにその一部がアップロードされていた。

独奏サクソフォンのための「Impromptu」。スラップとフラジオのためのインヴェンションといった趣だが、現代風のクールな響きを存分に取り込んでおりとても面白い。この調子でさらに尺が長くなれば、一つの作品として完結して人気が出るのではないかな…?


2本のサクソフォンのための「DUO "Rotte"」。これも短い作品で、テクニカルなフレーズで一気に聴かせるのが爽快である。


アルト・サクソフォンとピアノのための「Sturm」。ドラマティックな展開はなかなかのもので、終盤に向けての畳み掛けるような展開は一聴の価値ありと思う。そういえば、「El cuento...」もとんでもなく大規模な作品だったなあ。あれはもう一度聴いてみたい…。

2013/05/26

ユージン・ルソー氏のCoronet盤(その2)

島根県のF様より頂戴した、ユージン・ルソー氏のLP録音をCD-Rに復刻してもらったもの(3枚のうちの2枚目)。この一連のシリーズ、日本には輸入レコードとして入ってきたようなのだが、Facebookで所持している方からの反応があり、嬉しくなってしまった。F様はどこでこのレコードを入手されたのだろうか…。

Eugene Rousseau "The Virtuoso Saxophone"(Coronet 1601)
Eugene Rousseau, saxophone
Marion Hall, piano
Paul Bonneau - Caprice en forme de valse
Frederic Chopin - Largo (from Sonata - Piano & Chello, Op.65)
Giovanni Platti - Sonata in G Major
Pierre Max Dubois - Pieces Characteristiques Mov.1
Giuseppe Ruggiero - Trois Pieces pour deux saxophones Mov.1
Paul Hindemith - Sonata

美しくニュートラルな音色はそのままに、ボノーやデュボワの難曲をさらりとこなしている。ボノーなどは、あまりにあっさりすぎて「あれ?もう終わっちゃった?」というほどなのだが、デュボワは熱い演奏で、お気に入りとなった。ピアノとの絡みも絶妙である。ルジェロの作品では2本のサクソフォンが…ジャケットにはクレジットが無いのだが、もう一人の演奏者は誰なのだろう?まさか多重録音ということはないだろうが。

今回はプラッティのバロック作品でソプラノサクソフォンで演奏しているのがちょっとしたアクセントになっている。後年、ルソー氏は「The Undowithoutable Saxophone(RIAX)」という、ソプラノサクソフォンで他楽器の協奏曲を取り上げたアルバムを制作しているが、この頃からすでにその傾向が垣間見えるようだ。最後に置かれたヒンデミットの演奏もなかなか。当時の年齢(30代前後のはず)に似合わぬほどの貫録というかオーラのようなものが感じられる。第3楽章から第4楽章の間には英語で詩「ポスト・ホルン」が読まれているのが珍しい。

ユージン・ルソー氏のCoronet盤(その1)

島根県のF様より頂戴した、ユージン・ルソー氏のLP録音をCD-Rに復刻してもらったもの(3枚のうちの1枚)。実は5月の頭には受け取っていたのだが、休みの日は演奏会の準備、そして平日は仕事が忙しく、まとまって聴く時間を取れないでいた。今週末、ようやく時間が取れたので3枚それぞれを順にご紹介していきたい。

まず、この録音の録音年について。F様からご教示いただいたのだがグラモフォンの協奏曲集(1971年)よりも古いものとなるようだ。協奏曲集に藁科雅美氏が寄せた文章に次のような記述があることで判明したとのこと。"名手ユジェーヌ・ルソーは以前ヒンデミットの「ソナタ」やこのレコードにも含まれているイベールの「コンチェルティーノ・ダ・カメラ」などを他社にも録音しているが、この新盤では…"。ということで、なかなか貴重な録音。私もこの機会に初めて知ることとなった。収録曲は下記の通り。

Eugene Rousseau Plays Saxophone(Coronet 1292)

Jacques Ibert - Concertino da camera
Paule Maurice - Tableaux de Provence Mov.2,3
Enrique Granados - Intermezzo
Lex van Delden - Sonatina
Alfred Desenclos - PCF
G.F.Handel - Adagio & Allegro

ピアノはMarion Hallだ!マルセル・ミュール氏が1958年にシャルル・ミュンシュ指揮ボストン交響楽団とともにアメリカツアーを行った際に立ち寄ったエルカート(アメリカンセルマーの工場がある)で開いたリサイタルの、ピアニストである。ライヴ録音が残っており、おそらく急な依頼だったのだろうか、イベールなどかなり苦労している様子だったのだが、さすがこの録音ではきっちり弾いている。演奏者紹介にミュール氏の伴奏をした旨が書かれているので、そこからも録音年を絞ることができる。

ふくよかな音色や緩徐楽章での歌い方など、若さを残しつつもルソー氏ならではの良さが出ており、大変に聴く価値のある録音だ。テクニカルな部分で、キラリと光る部分がたくさんありつつも、ごく時々に「あれっ?」と思う部分があるのは意外だったのだが、一発録りだったのだろうか(ちょっと不思議)。しかし、こういった時代にサクソフォンのためのオリジナル作品を集めたアルバムを出すなど、きっと数々の苦労があったのだろう。もし今度ルソー氏に会えたら、この録音についていろいろと伺ってみたい。

聞きなれないデルデンの作品は3つの楽章「アレグロ」「アリア」「ロンド・ア・ラ・ポルカ」から成る小品。1952年の所産で、J. de Vriesに献呈されている。ちょっとシリアス風味だが、最終楽章なんてなかなか面白い。

2013/05/25

四重奏レッスン

Tsukuba Saxophone Quartet演奏会の東京公演から一週間、今日はラヴェル「クープランの墓」の松雪先生レッスンだった。

午前中、レンタルスタジオに篭って二時間ほど個人練習。帰りがけに食べたさしみや五坪の"鯛ラーメン"と"カレーライス"のセットが美味。午後は交流会の諸々をやったり、いろんな連絡をしていたらあっという間にレッスンの時間になってしまった。慌てて移動。場所は新大久保のウィンドクルー(伺うのは初めて)。

およそ一時間半ほどのレッスンで、プレリュードからリゴードンを順々に。いろいろと修正してもらったのだが、やはり一番は(もちろん奏法や譜読みに問題がないという前提で)その曲の各フレーズの背景をきちんと理解して、演奏に反映させるということであった。例えばプレリュードの主題(装飾音付きの符点四分音符)は、バロック様式を知っていれば、かなり劇的に吹いてしまったほうが効果的に聴こえるのだ。これには結構衝撃を受けた。また、どう吹けば効果的であるか、という点で、リゴードンの吹き方を修正することでラヴェルの和音がとても良く見えてきたことにも驚いた。

同時代の作品ではなく、「クラシック」を吹くときは特に、慎重に演奏の様式を学ばなければならないのだと思い知らされる。同時代の作品の何倍も勉強し、練習をこなさなければならないのだ…。やはり時々レッスンで修正してもらうことは必要だなあ。

あとはこの内容を、どのように自分たちの演奏に活かしていくかというところ。実は6/16の本番まで合わせの時間は限られているのだが、なんとか上手くこなしていきたい。いやはや、充実したレッスンだった!ラヴェル、面白い演奏になりそうだ~。