2009/08/08

Musik'it Saxophone Vol.1

セルマーのウェブページで見つけて、なんなんだろうなーと思い、試しに買ってみたもの。到着し、しっかりと中身を確認してようやく判ったのだが、Musik'it Œuvres Pédagogiques - Saxophone alto et piano "Teaching aids for Alto Saxophone works and piano"という、サクソフォン初学者(1年目~4/5年目)のための、参考演奏とプレイアロングトラックを収めたものだ。演奏は、サクソフォンがヴァンサン・ダヴィッド Vincent David氏で、ピアノがAline Bartissolという方なのだそうだ。ピアノの方の名前は良く知らないが、とりあえずサックスに関してはなんと豪華な…。

基本的にデータDVDであり、パソコンにDVDを投入すると専用のソフトウェア(CristalBox Player)が立ち上がって、収録されたトラックを再生できるという感じ。一つのトラックにつき、参考演奏、サクソフォンの音量を小さくした演奏、ピアノのみの演奏の、3種類が収められている。もちろん、ピアノのチューニング音(A, Bb, F)も…。収録されている演奏は実に精緻なもので、ただしこういった小品を完全にノン・ヴィブラートで演奏されると、ちょっと違和感もあるな、という感じ。ただ、ヴィブラートに頼らないフレーズの作り方は、大いに学ぶべきものかもしれない。

こんなの、どっかで見たことあるなあと思ったら、クロード・ドゥラングル教授が吹き込んだ「Jardin Secret(Vandoren V002)」も同じような感じの教育目的のCDなのだった。この「musik'it」はDVDとなることで、収録時間をかなり増やすことができているのだろう。なんと、7時間分(!)のトラックが収められているとのこと。

収録曲は、次の通り。

Jean Absil - Cinq pièces
Christophe Alary - Au cinéma muet
André Ameller - Baie Comeau
Félix Antonini - Divertissement tzigane
Jean Avignon - Danse exotique
Jean Avignon - Spiritual
René Berthelot - En berçant l'ourson
Marc Berthomieu - Suite brève
Marc Berthomieu - Volubilis
Lucien Blin - Gentiment
Jean Bouvard - Bagatelle
Jean Bouvard - Chant élégiaque et final
Eugène Bozza - Le campanile
Eugène Bozza - Rèves d'enfant
Eugène Bozza - Menuet des pages
Eugène Bozza - Parade des petits soldats
Eugène Bozza - Chanson à berser
Eugène Bozza - Gavotte des damoiselles
Alain Crepin - Céline Mandarine
Jean Michel Damase - Vacances
Jean Michel Damase - Azur
Francis Paul Demillac - Sicilienne et Tarentelle
Andé Jean Dervaux - Petite suite en saxe
Pierre Max Dubois - Olga valse
Pierre Max Dubois - Mini Romances
Jacques Ibert - Histoires
Jacques Ibert - L'âge d'or
Charles Jay - Aria
Charles Jay - Scherzetto
Claude Henry Joubert - Chanson de Thibault
Gilles Martin - La danse du sax
Michel Meriot - Grisaille
Michel Meriot - Comme un dimanche
Michel Meriot - Solitude
Michel Meriot - A l'ombre du micocoulier
Michel Meriot - Campanule
Jérôme Naulais - Coconotes
Jérôme Naulais - Petit suite latine
Jérôme Naulais - Kansax City
Robert Planel - Suite romantique
Henri Tomasi - Chant corse

おお、書きならべてみるとけっこう多いな。よく聴いたことのあるダマーズの「ヴァカンス」や、プラネルの「ロマンティック組曲」などのおなじみのものに加え、名前すら聞いたことのない作曲家も名を連ねる。これらの作曲家は、サクソフォン初学の段階において、フランスではおなじみなのだろうか。そもそも日本で知られていないだけかもしれない。あちらでは、サクソフォンの専門教育がかなり早い段階から始まるというし…。それにしても、Gilles Martinが曲を書いているとは知らなかった!

さて、このDVDにはおまけムービーの特典があって、これが実に面白いのだ!なんと、セルマー・サックスの出来上がる工程を、4分半ほどの短いムービーで見せるというもの。バリトンサックス・ソロのかっこいいジャズBGMに乗って、あれよあれよという間にサクソフォンが組み立てられていく。そういえば、サックスの製造工程なんて、いままできちんと観たことないぞ…!うおおお、セルマー・サックスに特徴的なネックの青字のSマークって、、こうやってつけているのか!みたいな。はっきり言って、こっちのほうがメインのほうより面白かったような…笑。このムービーだけで、DVDを買う価値はあるかもしれない。

2009/08/06

Nikita Zimin plays Denisov on YouTube

第4回アドルフ・サックス国際コンクールで第1位を獲得したセルゲイ・コレゾフ Sergey Kolesovさんと同門の、ニキータ・ツィミン Nikita Ziminさんが、エディソン・デニゾフ「ソナタ」を演奏している動画。こういった「現代的な」作品で、大きなスケールを表現できる奏者というのは、実に珍しいと思う。

ツィミン氏の師匠である、マルガリータ・シャポシュニコワ Margarita Shaposhnikovaによるロシアのサクソフォン教育、気になるなあ。

・第1楽章、第2楽章


・第3楽章

2009/08/04

J.Petit plays on Trio Klezele

フランス留学中のモンマミチコさんに、フランスのサクソフォン奏者であるジュリアン・プティ Julien Petit氏がクレツマー音楽のトリオ"Trio Klezele"で吹いているYouTube上の動画を教えていただいた。ソプラノ・サクソフォン、アコーディオン、バスというトリオで、もう目も回るような超絶技巧の嵐。やっぱプティ氏はうまい…!



ジュリアン・プティ氏は、フランスのサクソフォン奏者の中でも、際立って面白い活動を展開しているとプレイヤーだと思う。シュトックハウゼンとのコラボレーション、Quatuor Carre meleでの活動、ピアノとのデュオによる活動…等々。

CDがいくつかリリースされているのだが、シュトックハウゼン作品集を除く他のソロCDや四重奏CDは、入手困難であるために未だ聴く機会は訪れない。以前プティ氏に「CDを探しています」というような内容でメールしたとき、送ってあげるよと言われたきり、忘れられているようだ(苦笑)。

2009/08/03

Kees van Unen "JOUNK"

2006年だったか2007年だったか、オランダのサクソフォン奏者、ハンス・ド・ヨング Hans de Jong氏が来日した際に世界初演を行った曲。キース・ファン・ウネン Kees van Unen氏が作曲した、アルト・サクソフォンとテープのための作品である。昨年度の末にウネン氏からデモCDを送ってもらって以来、ときどき聴いている。

ジャズ風の独奏プレリュードから始まり、様々な技巧を披露するサクソフォンと、華やかなエレクトロニクスサウンドの絡みが面白く聴ける。テープのパートは、キラキラしたシンセサイザーのサウンドと、群衆のざわめきのようなミュージック・コンクレートが融合されたもので、こういう作品にしては珍しく(?)グロテスクな部分がまったくない。最終部分も、とても美しいまま終わるし…。

美しいことは美しいのだが、そのかわりに、様々な音世界を駆け巡るようなスリルや、エレクトロニクスならではのダイナミックさに欠ける部分があり、全体的にもうちょっと幅の広いサウンドを聴きたかったかな、と思う部分もある。

2009/08/02

Styliani "Remembering Sigurd Rascher"

スティリアニ Styliani氏はギリシャに生まれ、アメリカでサクソフォンを学んだラッシャー派に属する女性奏者。必要があって一年ほど前に「Remembering Sigurd Rascher(Wisteria Records WP-77957)」というCDを買い、その名前を知った。ラッシャー派のなかではかなり高名なプレイヤーのはずで、プレイヤーとしての活躍のみならず、教育者としても活躍しているようだ。

2001年にレコーディングされた「Remembering Sigurd Rascher」のプログラムは、以下。そう、笹森建英先生の、「"荒城の月"変奏曲」がレコーディングされたアルバムなのだ!去年、サクソフォーン協会誌に投稿した記事「サクソフォン奏者:シガード・ラッシャーとその周辺の作品」を書くに先立って、どうしても聴いておきたくて買ったというわけ。

Darius Milhaud - Scaramouche
Warren Benson - Aeolian Song
Alois Haba - Suite, op.99
Henry Cowell - Air and Scherzo
Erwin Dressel - Partita
笹森建英 - 「"荒城の月"の主題による変奏曲」
William Grant Still - Romance
Francois Schubert - L'abeille
arr. Glaser&Rascher - Carnival of Venice

ラッシャー派にとって重要なレパートリーが演奏されており、たとえばベンソン、ハーバー、カウエルなどは、シガード・ラッシャー自身による録音も残されている。ミヨー(フランス風の解釈とは一線を画すスタイルで、面白い)から始まり、無伴奏の後に響くカウエル作品の響き、そして驚異的なアルティシモに驚かされる。マルタンの冒頭部分を聴いた時にも思うのだが、まるで暗闇に射す一筋の光のようだ。続くスケルツォも、遊び心があって楽しい。

全体的な演奏の傾向として、ラッシャーの演奏に比べてフラジオ音域のコントロールを始めとしてテクニック的には劣る部分があるものの表現のアグレッシヴさが目立つ。音色の変化も大きく、演奏を聴いただけではものすごくガタイの良い男性がバリバリ吹いているイメージ(なんじゃそりゃ)が想起されるのだが、ちょっと意外という感じか。

「"荒城の月"変奏曲」については、笹森先生はLawrence Gwozdzという奏者のCDを聴いたことがあるそうで、このCDを送ったところ「スティリアニ氏の演奏のほうが、Gwozdz氏の演奏よりも表情が豊かについており、良いと感じた」と感想をおっしゃっていた。

それから、やはりシューベルトにおけるブレスコントロールはものすごいですな。そもそも息を使う量が、「普通の」サクソフォン吹きとはまったく違うのだ。

2009/08/01

最近の演奏活動とか

最近は演奏の話もあまり書かないので、このブログをご覧になっている方は、kuriはもう時々しかサックスを吹いていないのか?と思うかもしれないが、ちゃんと(?)吹いています。

とりあえずいくつかさらってはいるのだが、確定している本番としては、11月にベルノーの「四重奏曲」から第1楽章と第4楽章を演奏する。また、他のアンサンブルや、サクソフォンのラージアンサンブルについても、いくつか参加している。運営でもいくつか、新しいイベントを興すことに携わっている。

また近付いたら、いろいろとお知らせします。

武生国際音楽祭2009の情報

京青さんから教えていただいた情報。武生国際音楽祭は高名な作曲家である細川俊夫氏プロデュースの音楽祭で、テーマは「ロシアの音楽」。ロシア、というわりには、実際の内容はかなり雑多なものであるが、以下のリンクから辿ることのできるページを見ていただきたい。非常に興味深いプログラムが並んでいる。

http://takefu.typepad.jp/web/

で、今年の武生国際音楽祭、サクソフォン的興味で重要な出来事が。なんと、クロード・ドゥラングル教授が来日&出演するそうだ!!驚き!!確かに細川俊夫氏とドゥラングル教授は親交が深いと聞くが、こういった形での来日があるとは思わなかった。そういえば、最近の来日はドゥラングル教授と日本の音楽家の友情によるものが多いですね。2007年の「Quest」は野平一郎氏の招聘だし、2009年初頭の昭和音楽大学招聘は武藤賢一郎氏によるものだし。

オマケに、オディール・ドゥラングル女史とともに来日するそうだ!おおお!とりあえず、サックス関連のプログラムだけ抜き出して掲載しておく。

【クロード・ドゥラングル サクソフォン・リサイタル】
出演:クロード・ドゥラングル(sax)、オディール=カトラン・ドゥラングル(pf)、葛西友子(perc)
日時:8月19日(水)19:30
曲目:
C.ドビュッシー「ラプソディー」
E.デニソフ「ソナタ」
L.ベリオ「セクエンツァVIIb」
夏田昌和「西、あるいは秋の夕暮れの歌」
M.ラヴェル「亡き王女のためのパヴァ―ヌ」
A.ピアソラ「タンゴ・エチュード」

【細川俊夫と仲間たち】
出演:青木涼子(能謡・能舞)、田部井辰雄(guit)、クロード・ドゥラングル(sax)、平松英子(sop)、リューディガー・ボーン(指揮)、ネクスト・マッシュルーム・プロモーション
日時:8月22日(土)17:30
曲目:
細川俊夫「日本民謡集 より 黒田節、五木の子守唄 (2003) (voice & guit)」
細川俊夫「3つの愛の歌 (2005) (voice & sax)」
伊藤弘之「新作(武生国際音楽祭委嘱作品) (2009) (fl, ob, cl, perc, vn, vla, vc, pf)」
イザベル・ムンドリー「Balancen (2006) (vn solo)、Liaison (2008)(cl, vn, vc, pf)、Sandschleifen (2003/2006) (vn, vla, vc, pf, perc)」

【「新しい地平IV」作曲賞入選作と名作】
出演:ネクスト・マッシュルーム・プロモーション(ensemble)、リューディガー・ボーン(cond)、夏田昌和(cond)、クラウス・シェップ(fl)、クロード・ドゥラングル(sax)、宮田まゆみ(笙)、山本純子(pf)、塚越慎子(marimba)、青木涼子(謡)、石川星太郎(cond/pf)、ほか
日時:8月25日(火) 17:00
曲目:
作曲賞入選作3曲(ソロまたはデュオ)
夏田昌和「Layerd Song from Long Ago (cl, sax, vla, vc, vib) (2008) 」
西村朗「無伴奏のヴィオラソナタ第2番「C線のマントラ」(2007) 」
ジェラール・グリゼイ「Talea (fl, cl, vn, vc, pf) (1986)」