グスターボ・ドゥダメル指揮ロサンゼルス・フィルハーモニックのライヴ録音(2009年)。ジョン・アダムズ「シティ・ノワール」初演にして最高傑作と断言する。
人気指揮者の大舞台ということで、日本国内でもNHKで映像が放映され、その熱い演奏が当時話題となった。事前の下馬評では、メイン曲であるマーラー「交響曲第一番」への期待が高く、「世界初演」は、ほぼ世間の眼中に無かったようだが、演奏会後の話題をかっさらったのはこの「シティ・ノワール」であった。
モダンなジャズの影響を色濃く受けた作品で、これがドゥダメルのキャラクターにどハマり。シモン・ボリバル・ユース・オーケストラを率い、「マンボ!」で一世を風靡した"若き"指揮者が、LAフィルという、技術的にもエンタメ的にも充実した手兵を得て、未知の作品に体当たりしたのだ。面白くないはずがない。映像はDVD化/配信などもされているが、とにかく激しく、熱く、アダムズの分厚い響きをホール一杯に昇華させている。
サクソフォンは、ティモシー・マカリスター。巧さが際立つ。巧いとはいっても、サラサラっと行くわけではない。スコアを見ていただければわかるが、とにかく「どう吹くべきか」というのが想像がつかない音運びだが、この初演一発目にして、極めて説得力ある、完成された解釈を提示してしまう驚き。
スコア参考(アカウント作成で無料で参照可能):https://www.boosey.com/cr/perusals/score?id=982
現代サクソフォンの完成形が聴ける場として、ぜひ多くの方に聴いていただきたい録音/映像だ。
0 件のコメント:
コメントを投稿