2016/07/15

Trio "Airs"の演奏会

国外で学んだ奏者や、国外生まれの奏者の演奏を聴くのは面白い。今日の演奏会中のトークでも少し話題に上っていたが、普段我々が触れている、日本の文化や言語とは、全く違ったバックグラウンドは、演奏に如実に表出するものだと思うのだ。今年に入ってからヴァンサン・ダヴィッド氏、ミーハ・ロギーナ氏、ジュリアン・プティ氏、ニキータ・ズィミン氏など、国外奏者を聴く機会に幸運にも多く恵まれているが、そういった中で耳を柔軟にしていくことも、聴き手としては必要なことだろう。

【音のパレット番外編:若手音楽家シリーズVol.1 フランスの風に吹かれて Trio "Airs"】
出演:小澤瑠衣、ロマン・フルニエ(以上sax)、宮野志織(pf)
日時:2016年7月15日(金曜)19:00開演
会場:横浜市磯子区民文化センター杉田劇場 コスモス
プログラム:
D.ミヨー - スカラムーシュ(小澤、宮野)
C.フランク - ヴァイオリン・ソナタより第1,2楽章(フルニエ、宮野)
P.ヒンデミット - コンチェルトシュトゥック(小澤、フルニエ)
オムニバス - 日本の歌メドレー(小澤、フルニエ)
C.ドビュッシー - 喜びの島(宮野)
J.イベール - 2つの間奏曲(小澤、フルニエ、宮野)
J.ドゥメルスマン - ファンタジー・コンチェルタント(小澤、フルニエ、宮野)
C.ケックラン - ジーン・ハーロウの墓碑銘(小澤、フルニエ、宮野)(アンコール)

独奏で演奏されたミヨー、フランクは、上述したような特徴が特に表れていた。会場がそこまで大きくないせいか、奏者の息遣いや繊細なコントロールが良く聴こえてくる。なかでも、聴いて(観て)面白かったのは、サクソフォンのみで演奏されたヒンデミットと日本の童謡メドレー。 ここまで濃密なアンサンブルはちょっと久々に聴いたかもしれないな(笑)。取り巻きがいない(ピアノがいない)、いち奏者といち奏者の純粋な組み合わせは、その人間関係が演奏にもやはりにじみ出るようだ、と感じ入ったのだった。

また、フルート、オーボエ、ピアノのために書かれたというドゥメルスマンの作品が、いかにもヴィルトゥオーゾ・スタイル、という趣で聴き応えがあった。瑠衣さんもロマン氏もすらすらとフラジオまで駆け上り、難度の高いフレーズを連発していた。アンコールは、フルートパートをソプラノサクソフォンに置き換えた「ジーン・ハーロウの墓碑銘」。

客層は、サクソフォン関係者はあまりおらず、地元の方が多かったかな。こういうときの客席の反応って、普段自分自身が面白いと思う箇所から少し外れたところにあるのだから、興味深い。そこにツボがあるのか!と驚くことしばしば。休憩なし留学エピソードに関するトークをは挟みながらのコンサートだったが、こういったスタイルもまた良さがあるものだ。

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