聴けたのは休憩の後からだったが、とても楽しい演奏会だった。
テアトルサックスは、東京ミュージック&メディアアーツ尚美の卒業生により結成された団体。これまでのコンサートでは、テーマを設定し、演奏のみならず朗読や照明を交えながら、サクソフォン発明者の生涯を描いた「アドルフ・サックス物語」、松尾芭蕉の旅を描いた「てあとる版おくのほそ道」といった内容を上演している。準備段階にはきっとかなりの苦労があるだろうな、でもきっと面白い内容なんだろうな…ということで、今回初めて伺うことができた。
【テアトルサックス第3回公演"エジソン☆レボリューション"】
出演:テアトルサックス
日時:2016年4月2日(土曜)18:00開演
会場:台東区ミレニアムホール
プログラム:
S.フォスター/鈴木英史 - フォスター・ラプソディ
A.ドヴォルザーク - 弦楽四重奏曲"アメリカ"より第1楽章
J.ブラームス/松岡一樹 - ハンガリー舞曲第1番、第6番
M.トーク - July
JacobTV - Pitch Black
JacobTV - Grab It! x12
前半の3曲は、エジソンが活躍したアメリカ繋がり…と思いきや、「ハンガリー舞曲」は、何だろう。エジソンの蓄音機でジプシー音楽が録音されたことからの選曲かな?
後半は、"フェイズ"シリーズのスティーヴ・ライヒ繋がりでミニマル・ミュージックの「July」、さらに、録音再生技術と演奏の融合という意味での「Pitch Black」「Grab It! x12」が演奏された。「July」は私も実際に演奏したことがあるのだが、これ、超難しい、というかとにかく大変ですよね。そんなことを微塵も感じさせない、スタイリッシュな演奏だった。「Pitch Black」は、もっと積極的な(時にクラシックの奏法を崩すようなまでの)表現を聴きたかったが、高レベルであることは間違いない。「Grab It! x12」の日本初演は、素晴らしい内容で、この多人数が見事にサウンドトラックとともにグルーヴしており、感動的だった。
アンコールは、なんと「千本桜」。確かに、音声技術の進歩の歴史でいえば、"初音ミク"はここ最近、商用的に最もヒットしたソフトウェアの一つであろう。しかもミレニアムホールホールは上野から至近、ちょうど桜の満開の季節。これ以上ない、ベストな選曲で、唸らされてしまった。演奏は暗譜、ピンクの法被を着て、舞台上を所狭しと動きまわる、見た目にも楽しい内容で幕となった。
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