2016/04/25

ミーハ・ロギーナ&李早恵さんのコンサート2016

【ミーハ・ロギーナ サクソフォンコンサート】
出演:ミーハ・ロギーナ(sax)、李早恵(pf)
日時:2016年4月25日 19:00開演
会場:アクタス ノナカ・アンナホール
プログラム:
ヤネス・マティチッチ - レプリック
フローラン・シュミット - 伝説
ニーナ・シェンク - インペトゥス
リヒャルト・シュトラウス - ヴァイオリン・ソナタ作品18
アレクサンダー・ローゼンブラット - カルメン・ファンタジー

演奏会に出かけて行くと、毎回新しい世界を見せてくれる、そんなデュオだと思う。

非常にヴァリエーション豊かな発音種類と、安定した(聴くたびにどんどん上手くなっている気がする)技術を武器に、コンテンポラリーからクラシックまで幅広く手中に収めるミーハ・ロギーナ氏と、ダイナミクスや音色の幅を追求し続けている(ように私には感じる)李早恵さんのデュオ。2007年のサクソフォーン・フェスティバル出演以来、日本ではお馴染みの存在だ。「有機的」という表現がぴったり、コンクール入賞歴も華々しい、素晴らしいデュオで、私も来日のたびに予定が合えば聴きに行っている。

今回は、スロヴェニアの作曲家の作品が2つ取り上げられた。マティチッチは、「古典的な歌」「狂乱」と名付けられた2曲からなる作品。2005年にスロヴェニアのサクソフォン奏者の委嘱で制作された。御年90歳、パリでナディア・ブーランジェに師事したこともあるとのこと。フランスとスロヴェニアを往復しながら作曲活動に勤しみ、ピアノ曲「12のエチュード」がフランスの音楽院の試験曲によく使われている。ニーナ・シェンクは、1982年生まれの女流作曲家。スロヴェニア国内外からの委嘱も多い、若手作曲家の一人とのことだ。

その2作品、特殊奏法を抑制した「レプリック」と、お構いなしに特殊奏法を使いまくる「インペトゥス」という、非常に対照的な風景が見えて、聴いていてとても楽しかった。特に「インペトゥス」の構成感や、リズムにはとても興奮させられた。その難易度の高い作品を、見事にアンサンブルするお2人の凄さ。"現代作品"ながら、会場がとても沸いたのだった。もちろん、その間に演奏されたシュミット「伝説」の、まるで草書体を描くような佇まいにも感心させられた。

後半は、更にパワーアップして、なんと暗譜で演奏されたシュトラウス「ソナタ」と、ローゼンブラットの「カルメン・ファンタジー」。こんな演奏ができるのか!と感じる瞬間が幾度も巡ってきて、サクソフォンの前提を覆そうとするかのような演奏内容だった。また、早恵さんのピアノのダイナミックさもますます冴え渡る。圧倒されたまま後半も終わってしまった。

アンコールはモーリス・ホイットニー「ルンバ」。この選曲は嬉しかった!1949年にシガード・ラッシャーに捧げられた作品で、ラッシャー自身による演奏映像も残っている。
https://www.youtube.com/watch?v=npH-DULg5lI

ちなみにミーハ氏、昨シーズンにウィーン国立音楽大学の指揮科を最優秀の成績で卒業し、この4月にはスロヴェニア放送交響楽団との共演で指揮者デビューを飾ったとのこと。今後、もしかしたら指揮を振るミーハ氏を見る機会もある…かもしれない(個人的にはどんどんサックスを吹いてほしいところだ笑)。

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