しばらく聴いていなかったイベール「コンチェルティーノ・ダ・カメラ」を聴くために引っ張り出してきたジョン・ハール演奏の「Saxophone Concertos(EMI 7243 5 72109 2 8)」(いつもはミュールの演奏を聴くのが好きだ)。
とにかく巧い。どんな難所もスラスラと演奏し、あまりに巧すぎてキメや盛り上がりがどこかわからなくなるほど。最終部付近のカデンツァなど、アルトサックスでDouble High-Eをぴたりと当てる凄まじいヴィルトゥオジテ。この技術力をもってすれば伝統的なスタイルの流麗な演奏も可能なのだろうが、あえてそこに新しい(難しい)解釈を持ち込み、さらにそれを難なく吹きこなしてしまうジョン・ハールの一連のアプローチは、曲によっては大変効果的なものだ(確かにドビュッシーではあまり成功しているようには聴こえない)。バックのマリナー管弦楽団も抜群のサポート体制。ホールの響きのせいか、細部が見えない録音が少し残念。
しかし、併録されたデイヴ・ヒースの「Out of the Cool」での、CD中最も説得力ある演奏を聴くに、ハールのスタイルは90年代のイギリスの土壌で変革されつつあったフランスのクラシカルサクソフォンとイギリスのライト・ミュージックの混血児であるのだろうな…。彼のネオ・クラシカル的な作品を演奏するときの存在感の大きさは、世界随一といっても過言ではないだろう。
ジョン・ハールに関しては、語りつくせないほどに思い入れが大きい。またつらつらと書くかも。が、住まいのネットワーク異常で自宅から更新できなくなってしまった…。
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