訳あって、アルディサクソフォンクヮルテットのアルバム「アメイジング・グレイス(Meister Music MM-1173)」を最近よく聴いている。手持ちの100枚を超えるクラシックサクソフォンのCDの中でも、技術的には相当インパクトの強い一枚。隅々までコントロールしつくされた演奏が、ともすれば気持ち悪いほどだ。大和田さんの跳躍時に起こる独特の発音は少々苦手なのだが、全体的には驚くほどに均一な音色を聴くことができる。
私の周りではこのアルバムに対するそれほど評価が高くないが、実際の譜面を前にしながら聴くとこの演奏の真価というか異常さがよく分かる。リヴィエ「グラーヴェとプレスト」のプレスト部における、極限に精確なまでのフレーズのバトンリレー。リヴィエは確かに容易なモードで書かれているけれど、ここまでの演奏はほかに見当たらない。デザンクロ第一楽章など普通の録音なら第一主題の跳躍に苦労している様子が聴かれるのに、ここでのコントロールはどうだろう!
フレーズの歌い方や強烈な個性があるというわけではないが、忠実な演奏を進めるという点ではこの録音の右に出るものはない。逆にナイマンやサンジュレのような曲だとちょっとつまらないかな、という気はしますが。ナイマンはソロのメッセージ性をもっと聴きたいし、サンジュレは何か煌きがないと…。
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