2005/02/02

フランスでは…

「フランス人は年寄りを大切にしない」というのはよく言われることで、そのおかげで革新的なものが多く生み出されるのだが、日本人の好きな「古き良き時代」のものがフランス国内でどんどん失われていく。音楽に関してもそうで、サックス吹きである私なんかはミュールとかデファイエの演奏がフランス人の記憶から失われつつあることに寂しさを覚える。

言わずと知れた吹奏楽団「ギャルド・レピュブリケーヌ」が来日したとき、団員たちが東芝EMIの復刻版演奏を大量に買い求めたという話。日本では復刻されているのに、お家元のフランスでは復刻されていないのだ!その団員たちで構成されるギャルド自体も、今では昔とは違うギャルドになっていることは皮肉である。昔の音を生で復活させようとする動きはもはやない。

とあるサクソフォンの国際コンクールで「一位なし」が出た。審査委員長はパリ警視庁音楽隊の若きコンサートマスター。たまたまその場に居合わせたミュールが「一位なしはちょっと厳しかったんじゃないか?」とその審査委員長に言ったところ、彼は「あなたは黙っていてください。あなたの時代は終わったのです。」と返したという。

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