2018/02/24

カルッツかわさき×ぱんだのシンフォニー

【カルッツかわさき×ぱんだのシンフォニー】
日時:2018年02月24日(土)開場/13:30 開演/14:00
会場:カルッツかわさき ホール
料金:S席/4,000円 A席/3,000円 U-25/2,000円
プログラム:
前久保諒:Welcome to PANDA!
P.スパーク:オリエント急行(お客様からのリクエスト曲※)
A.リード:アルト・サクソフォンのためのバラード(アルト・サクソフォン ソロ:上野耕平)
V.ネリベル:トリティコ
R.シュトラウス(A.O.デイヴィス編曲):万霊節
J.バーンズ:交響曲第3番「悲劇的」

テレビや録音で観た/聴いたことはあったが、ライヴで聴くのは初めて。しかもこだわり抜いたと思われるこのプログラム。

細かい部分での個々が持つレベルの高さ(たまーに一部アレッとなるが)や、ユニゾンでの密度の高い響き。ネリベル「トリティコ」のエッジの効いた響き、そして緩徐楽章における集中力は、聴き手にも多大な緊張感を強い、非日常の空間を作り出していた。リードの「バラッド」、上野耕平氏のソロは、徹頭徹尾美しい音色、そして、楽譜上は比較的平易な作品から、きちんと泣き所を引き出す"魅せ様"がさすがである。バーンズ「交響曲第3番」では、悲劇〜皮肉〜幻想〜希望、という各楽章のキャラクターの描き分けや終盤に向けての構成、そして随所に現れる渾身のソロが、それぞれ高い次元でまとまっており(指揮者の手腕もあるだろう)、長時間も相まって聴き応えのある内容だった。

今後さらに活動を続けていくことで、それ以上の、バンドとしてのサウンドの個性、という境地に達してゆくのだろう。すでに、奏者単位では、そういった場所に到達している方もおられるし、活動内容としても独自のものを展開していて興味深いが、やはりバンドの音楽としての次のステージを見てみたいものだ。

休憩中に、吹奏楽ってどうやって聴くんだっけ、という疑問がふと頭をかすめる。そんなに多くのコンサートを聴いたことがあるわけではないが、全体の響きに身を任せることもあったし、個々のテクニックを楽しんでいたこともあったし、曲にばかり着目していたこともあった。せっかくだからとぜんぶの要素に注目しようとしたとき、アタフタと気持ちを切り替えなければならず、ちょっと頭が疲れてしまったのだった。

と、何だかいろいろと書いてしまったが、いや上手いっす。技術面も芸術面もレベルが高い。東京芸術大学の同期を中心に…とプロフィールに書くだけのことはある。吹奏楽界の新勢力として、ますますの活躍を期待する次第。今日聴くことができて良かった。

最後、アンコールは「パンダスティック!」と、まさかのグレインジャー「シェイファーズ・ヘイ!」。特にグレインジャーは嬉しかったなあ。ちなみにアンコールは携帯カメラで撮影OKとのアナウンスがあった。時代ですなあ。

それにしてもカルッツかわさきのホール、良いですね。少々客席数は多めで編成は選ぶかもしれないのだが、ハマったときの端正な響きは素晴らしい。変な残響が無いことは、個人的なホールの好みを左右する上での重要な要素の一つだ。

2018/02/23

明日はぱんだWO

昨年オープンした川崎市の複合文化施設、"カルッツかわさき"に、ぱんだWO初見参。もう明日だが、聴きに行く予定。レベルが高く、メディアへの露出も多く、非常に勢いのあるバンドだが、実はフル編成をライヴで聴ける機会はなかなか貴重だ。しかも、かなりこだわり抜いたと思われる、玄人もニヤリとするようなプログラムで、いっそう楽しみ。

サクソフォン的興味としても、アルフレッド・リードの「バラッド(ソロは上野耕平氏)」、ジェームズ・バーンズ「交響曲第3番(第2楽章に長大なバリトンサクソフォンのソロがある、吹くのは松下氏かな?)」など、注目できる内容だ。

(これぐらいは書いても良いと思うのだが)プログラム冊子の曲目解説を担当した。レイアウトのデータを拝見したが、素敵なレイアウトに仕上げてくださって、感謝。

http://culttz.city.kawasaki.jp/performance/2317/

【カルッツかわさき×ぱんだのシンフォニー】
日時:2018年02月24日(土)開場/13:30 開演/14:00
会場:カルッツかわさき ホール
料金:S席/4,000円 A席/3,000円 U-25/2,000円
プログラム:
前久保諒:Welcome to PANDA!
P.スパーク:オリエント急行(お客様からのリクエスト曲※)
A.リード:アルト・サクソフォンのためのバラード(アルト・サクソフォン ソロ:上野耕平)
V.ネリベル:トリティコ
R.シュトラウス(A.O.デイヴィス編曲):万霊節
J.バーンズ:交響曲第3番「悲劇的」

2018/02/13

相次ぐ訃報

今年の1月後半から2月前半にかけて、偉大なサクソフォン奏者の訃報が続いている。フランス・サクソフォンの黄金期を築いた以下の奏者たちが、相次いで亡くなったとの報せを受け取った。

アンリ=ルネ・ポラン氏
ローランド・オードフロイ氏
ミシェル・ヌオー氏
ジャン・ルデュー氏

ポラン氏とルデュー氏は、言わずと知れたデファイエ・サクソフォン四重奏団のメンバーだ。直接演奏を聴いたことはないものの、特にポラン氏は、2015年にお会いしたこともあり(ルーアン郊外のご自宅に伺ってインタビューを敢行した)、事更に悲しい。お会いしたときはたしか94歳。その時はお元気だったのだが…。ルデュー氏は、私自身がバリトン・サクソフォンで四重奏の世界に入っていったこともあり、憧れのような存在だった。豊潤な響きのリュエフ、デザンクロ…。デファイエQのメンバーの中では最も若く、70歳を超えてなお演奏を続けていたことは驚嘆に値する(私は聴けなかったが、2003年のルデュー・カルテット来日公演は当時大変話題になった)。

ミシェル・ヌオー氏は、ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団の黄金期を支えた奏者として有名だ。ギャルドのメンバーと組んだカルテットの録音も非常に有名だが、ある時木下直人さんから教えていただいた、ジュネーヴ国際で一位を獲ったときのイベールの本選ライヴ演奏(アンセルメ指揮スイス・ロマンド管との共演)の印象が殊更に強い。ミュールのイベールを初めて聴いたときのようなショックを受けたものだ。

ローランド・オードフロイ氏はあまり知られていないが、フランスでは重要な位置を占めた奏者の一人。ジャック・メルツァー氏、ジャン=マリー・ロンデックス氏、ギィ・ラクール氏らとともにフランス・サクソフォン四重奏団なる団体を結成し、いくつかの録音の吹込みを行っている。

今朝、ルデュー氏の訃報を知ったのだが、三連休の頭だというのにすっかり気落ちしてしまった。名手たちを偲んで、ご冥福をお祈りします。