【第23回東京藝術大学サクソフォーン専攻生による演奏会】
出演:太田弦(指揮)、東京藝術大学サクソフォーン専攻生
日時:2016年2月16日(火曜)19:00開演
会場:東京文化会館小ホール
プログラム:
※後で書く
やはり、とういか、さすが、というか、素敵な演奏会であった。簡単にそれぞれの感想を。
Absil:
いわゆる「一年生カルテット」だが、技術的に高度に完成されており、さらに音楽表現に突っ込んだ部分が多く垣間見え、聴き応えがある。この年代にしてこの演奏を展開するとは、末恐ろしい…(と思ったのは私だけではないだろう)。これだけ上手いのだから、願わくば、更に斜め上のレパートリーにも取り組んでいただきたいなあ、とも思うのだった。クラシック・サクソフォンを語るのに、1930~1970年代周辺のフランスの作品だけでは(21世紀のこの時代にあっては)不足していると思うのだ。
Saint-Saens:
非常に繊細な境界をたどり続ける曲、そして演奏だった。一聴したインパクトは他の曲に比べれば希薄だが、変な固執に走らず、原曲が持つ"良さ"を丁寧に紡ぎ出す姿勢に感銘を受ける。これって、簡単なようでいて難しいことだと思う。
Brahms:
選曲と演奏のバランス、本日の白眉であった。後期ロマン派かくあるべき、という的(まと)に、超高確率でビシバシと当ててくる、非常に安定した技術と音楽性は特筆すべきであろう。いつも気になるのだが、彼らはこの演奏クオリティを提示するために、どれだけのリハーサルをこなしているのだろうか。いやはや、想像がつかない。
Villa-Lobos:
私にとってはHenk van Twillert氏の演奏でおなじみな作品である。トッカータ冒頭のパワーは、Twillert氏のほうが私の趣味に合ってはいるのだが、途中の細かい音符が連続するフレージングを、音楽的に吹きこなす辺りは、さすが現代のサクソフォン奏者達だ、とでも評すべきだろうか。バリトン八重奏という、端的でありながら面白みのある響きだったのだった。
Khachaturian:
中島くんの演奏の強烈さを久々に思い出した。彼の個性として、瞬間瞬間に内面を恐ろしいほどにガツガツと掘り下げていき、受け手のキャパシティに関係なく「エイヤッ」と超豪勢な演奏を提示する、というところがあるのだが、その真骨頂であった。この難曲を、全編に渡り非常に濃い密度で吹ききる…ある意味、(遊びの部分も含めて)規範となるような演奏であった。日本で、この年齢でここまでの演奏をする人は他にいるかなあ。
Strauss:
交響詩というジャンルを見事に体現し、まるで何かの映像作品を目の当たりにしているかのような、錯覚を覚えた。それは、やはり指揮を担当した太田弦氏の手腕によるところも大きかったのだろう。とても小気味よく、テンションが高い、指揮っぷり。すでに東京国際音楽コンクールの入賞歴もあるとのことだ。あまりに指揮者の要求が高いものだから「サクソフォンがついていけなくな…り…そんなことな…いや…?」という瞬間が、あったようななかったような。
楽しかったなあ。さらに期待するならば、彼ら彼女らが持つ技術力音楽性を、もう少し尖ったレパートリーや編成に向けてほしいなと…そんなことも思うのだった(サクソフォン吹きの末席ながらこんな図々しい感想持って良いのかしらん)。
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