ノルディックサウンド広島で買ったCD、その3とその4。
スウェーデンのサクソフォン奏者、ヨリエン・ペッテション Jörgen Pettersson氏の名前は、Phono Sueciaから出ている「コン・フォルツァ」シリーズの一枚、「Saxophone Con Forza」で知った。とにかくテクニックが物凄いプレイヤーだということを大前提として、さらにキャッチーな音楽性と美しい音色を持ち合わせている。スタンダードのみならず、難解な現代音楽を「解りやすくスタイリッシュに聴かせる」という、類い稀な才能を持ち合わせており、北欧のサクソフォン奏者のなかでは、クリステル・ヨンソン Christer Johnsson氏とともに、非常に注目している。
ノルディックサウンド広島で紹介していただいたCD「Stockholm Symphonic Wind Orchestra(Caprice CAP 21414)」は、そのペッテションがなんとインゴルフ・ダールの協奏曲を吹いている、というもの。これは!と思い、すぐさま購入した。というか、こんなダールのCDがあるのですね…という感じ。共演は、H. Robert Reymolds指揮のStockholm Symphonic Wind Orchestra。曲目は以下の通り。
Jan W. Morthenson - Paraphonia
Ingolf Dahl - Concerto
Edward Gregson - Tuba Concerto
Tristan Keuris - Catena: Refrains and Variations
ダールにおけるペッテション氏の演奏は、技術的には相当完成されたもので、隙のないテクニック、歌い回し。音色はやや細目で、第二楽章のクライマックスでは吹奏楽団の爆音に打ち消されているような部分もあるが、これは録音ディレクターの趣味なのかもしれない。ダールがどんな演奏を意図していたかなど、今となっては知る由もないが、すっきりした演奏はこの曲のひとつの完成形だ。
最大の聴き所は、第三楽章!複雑なスコアを、ソロ・バックそれぞれかなりの高精度で演奏しており、無数のギアが絡み合って精確に動いているような、そんな印象を受けた。特に、最後の高速部分など今まで聴いたことない速さで、これは驚きだ。
ということで、ペッテション氏が参加したダールはかなり聴きものだが、他の曲はちょっと印象に残りづらいというところ。グレグソンの「テューバ協奏曲」は、いかにも、という感じで、好きな人は好きかも(笑)。トリスタン・クラウスの名前をご存知の方はいるかなあ。私はこういう現代風の変奏曲も好きだが、アルバム全体としてはいわゆる吹奏楽のCDを期待すると、やや肩透かしをくらうかも。
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もう一枚は、シュトックハウゼン作品集。何が良いって、「コンタクテ」が入ってるのだ!しかも、パーカッションを担当するのがMA Ensembleのユニー・アクセルソン Jonny Axelsson氏!うおー!
MA Ensemble、またCD出してくれないかなー。もし新譜が出たら、箱買い、じゃなかった即買いしちゃうくらい、このアンサンブルの演奏は素晴らしいと思う。Nytorpレーベルから出ていた、シェーンベルク「月に憑かれたピエロ」やヴェーベルン「四重奏曲」が入ったアルバムが入手困難であるのが悔やまれる!…と、話が逸れたが。曲目は次のような感じ。全てシュトックハウゼン作品。
Karlheintz Stockhausen
- Zyklus
- Klavierstücke V
- Klavierstücke IX
- Kontakte
パーカッションはアクセルソン氏だが、ピアノを弾いているのはフレデリック・ウッレーン Frederik Ullénというお方。アクセルソン、ウッレーン両氏、スウェーデンの音楽界を代表する素晴らしい奏者だそうで、その評に違わぬ素晴らしい演奏を聴かせてくれる。録音が素晴らしいことも付け加えねばなるまいが、どちらかというと個人的にはピアノの音の捉え方が好きかなー。
そして「コンタクテ」。この曲って、こんなに涼しげで見通しの良い作品だったのか!と、感じること請け合い。汗が飛び散るような暑苦しいサウンドとはかなり正反対に位置するものなので、好みは別れるところかもしれない。私はどちらも好きだけれど。このディスクについては、ノルディックサウンド広島のウェブページに、とびきりのレビューが掲載されていることも、合わせてお教えしておこう(→こちら)。解説はぜんぶそちらに譲ってしまいたいくらい(笑)。
どちらのCDも、お求めはノルディックサウンド広島までどうぞ。
2 件のコメント:
おつかれさまでした(謎
このダールのCD、後輩に貸したまま返ってこないんですよぉぉぉ。
今度こっそり貸してください。
> mckenさん
どうもお疲れ様でした(笑)。
そうなんですか。ページで紹介されていなかったので、不思議に思っていました。ダールは録音が少ないのですが、もっともっと増えてほしいですね。あわよくば、誰か原典版を演奏してくれないものか…。
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