カリフォルニア・モントレー市を拠点とするMonterey Symphonyに、Timothy McAllister氏が客演、Steven Mackey氏のサクソフォン協奏曲「Anemology」を世界初演した。この週末、幸運にもその演奏会を聴きに行くことができた。
サンノゼからは車で1時間半ほど。州道17号を山越えして州道1号に入り、モスランディングを抜けてモントレーへ。てっきりパシフィック・グローブ側かと思ったのだが、カーメル・バイ・ザ・シーの一角のSunset Centerという会場だった。ここから10分も走ればビッグ・サーに到達するほどの場所である。
もともとは、2022年にマカリスター氏がMonterey Symphonyのコンサートに客演、グラズノフの「サクソフォン協奏曲」を演奏した。その時、Mackey氏の「Turn the Key」が同じコンサートで取り上げられ、その打ち上げの席での盛り上がったことが、新作の委嘱につながったとのこと。作曲者も臨席、演奏会の1時間前からの、レクチャー付きだった。
https://www.montereysymphony.org/events/saxophone-concerto-and-rachmaninoff-symphony-no-2/
作品自体は、現代アメリカ風の、前衛的な響きとネオ・ロマンティックな響きを融合したようなものだった。第1楽章は、非常に複雑な合奏協奏曲風。マカリスター氏のサクソフォンの安定さは抜群で、ともすればとっ散らかりそうな難易度の高いフレーズを、うまく呼び交わしていた。第2楽章から第3楽章は、よりロマンチシズム、リズムが全面に押し出された、快活な内容。第2楽章はソプラノ・サクソフォンで演奏され、オーケストラとの複合効果が見事な盛り上がりを形作り、第3楽章はキーポイントで重音やスラップなども使いながら、少しずつ最終部に向けて盛り上がる様子に興奮させられた。
写真は、Sunset Centerの中の様子。前のサンタクルーズでの演奏会もそうだったが、残響はあまり無い会場。こちらに来てから、3つほど小~中規模の会場で演奏会を聴いているが、どこも残響は少なめ。こうも残響が少ないと、普段の音作りや、録音するときのポリシーも変わってきそうだ。
