2025/10/20

Monterey Symphony & Timothy McAllister plays S.Mackey

カリフォルニア・モントレー市を拠点とするMonterey Symphonyに、Timothy McAllister氏が客演、Steven Mackey氏のサクソフォン協奏曲「Anemology」を世界初演した。この週末、幸運にもその演奏会を聴きに行くことができた。

サンノゼからは車で1時間半ほど。州道17号を山越えして州道1号に入り、モスランディングを抜けてモントレーへ。てっきりパシフィック・グローブ側かと思ったのだが、カーメル・バイ・ザ・シーの一角のSunset Centerという会場だった。ここから10分も走ればビッグ・サーに到達するほどの場所である。

もともとは、2022年にマカリスター氏がMonterey Symphonyのコンサートに客演、グラズノフの「サクソフォン協奏曲」を演奏した。その時、Mackey氏の「Turn the Key」が同じコンサートで取り上げられ、その打ち上げの席での盛り上がったことが、新作の委嘱につながったとのこと。作曲者も臨席、演奏会の1時間前からの、レクチャー付きだった。

https://www.montereysymphony.org/events/saxophone-concerto-and-rachmaninoff-symphony-no-2/

作品自体は、現代アメリカ風の、前衛的な響きとネオ・ロマンティックな響きを融合したようなものだった。第1楽章は、非常に複雑な合奏協奏曲風。マカリスター氏のサクソフォンの安定さは抜群で、ともすればとっ散らかりそうな難易度の高いフレーズを、うまく呼び交わしていた。第2楽章から第3楽章は、よりロマンチシズム、リズムが全面に押し出された、快活な内容。第2楽章はソプラノ・サクソフォンで演奏され、オーケストラとの複合効果が見事な盛り上がりを形作り、第3楽章はキーポイントで重音やスラップなども使いながら、少しずつ最終部に向けて盛り上がる様子に興奮させられた。

写真は、Sunset Centerの中の様子。前のサンタクルーズでの演奏会もそうだったが、残響はあまり無い会場。こちらに来てから、3つほど小~中規模の会場で演奏会を聴いているが、どこも残響は少なめ。こうも残響が少ないと、普段の音作りや、録音するときのポリシーも変わってきそうだ。

2025/10/04

Ictusの「浜辺のアインシュタイン」録音

ベルギー・ブリュッセル市を拠点とする音楽団体"Ictus"の演奏する、フィリップ・グラス「浜辺のアインシュタイン」の録音。2018年11月2日のライヴ収録で、団体としての初演の模様。

フィリップ・グラス・アンサンブルの演奏とは違ったアプローチであるが、ライヴ全曲ならではの、有無を言わさず突き進むパワー、初演ならではの勢いがとても面白い。楽器編成や繰り返し、テンポもかなり違うので、(良く知られているように、自由度がかなり高い。グラス本人が参加した録音ですら、楽譜通りではない)その違いを楽しむのも面白い。

Act4からKnee Play5に向けての盛り上がり(時々破綻しそうになるほど)、そして最後の天上の音楽のような美しさは凄いですよ。奏者はとんでもないことになっていると思うが。

この録音では、現在ベルギーで活躍する日本人奏者である伊藤あさぎさんがサクソフォンを担当しており、いろいろと教えていただいた。ソロ・サクソフォン(ソプラノ&アルト)が伊藤あさぎさん、それ以外を同団体のクラリネット奏者の方が担当しているとのこと。なんと、冒頭の数を発言しているのもあさぎさんとのことで、驚き。

団体の公式ページにあるように、2026年にも再び同作品を携えてヨーロッパツアーを敢行するとのことだが、その時にはNele Tiebout氏も参加するそうだ。