2日連続で黛敏郎氏のこと。
アルト・サクソフォンを含む「スフェノグラム」は、5つの曲からなる室内アンサンブルのための作品。1951年フランクフルトにて開かれた第25回国際現代音楽祭(ISCM)に入選、「Toshiro Mayuzumi」の名が世界に広まってゆくきっかけとなった。第1楽章「序奏」、第2楽章「ジャワの唄」、第3楽章「スレンドロ」、第4楽章「魔法にかかったコブラのビバップ」、第5楽章「インドの典礼音楽」という、アジアの音楽やジャズを引用しながら、西洋楽器を使い、現代音楽の形式へと実に上手くまとめ上げた、傑作だ。
以前は楽譜の入手は非常に難しかったが、最近はデジタル版含め入手が容易になった(買ってみた)。その解説によると、この作品は、田辺尚雄が編纂したSP「東亜の音楽」をベースにしている箇所が多く散見される。「スレンドロ」は影絵芝居「スレンドロ」からきているし、「インドの典礼音楽」は宗教歌「バイラービン」の引用であろう。
ミーハ・ロギーナ氏らのCD「Sphenogrammes(CREC)」が唯一の商用録音であるが、YouTubeに黛敏郎氏自身が指揮した録音がアップされていた。1987年、「春の現代の音楽展」という催しでの演奏とのこと。サクソフォンは野田燎氏。ラジオ放送時の片山杜秀氏のコメントを文字起こししたものが、YouTubeの解説欄に掲載されている。

0 件のコメント:
コメントを投稿