2025/11/24

McAllister & Marsalis plays Kansas City Confidential

マイケル・ドアティの「Kansas City Confidential」を、ティモシー・マカリスター、ブランフォード・マルサリス両氏が演奏するという豪華な映像。初演とのことだが、あまり演奏会的な雰囲気は無く、映像収録が初演だったのだろうか。第5楽章の、バリトンを見事に操るマカリスター氏が果てしなくかっこいい。

以下、作曲家自身によるプログラムノート。「Kansas City Confidential」というと、同名の映画が思い浮かぶが、それとはあまり関係がないようだ。

==========

大恐慌と禁酒法の時代、18番街とヴァイン通りの歴史的なダウンタウン地区にある秘密酒場やナイトクラブ、ダンスホールで演奏するため、全米各地から多くのジャズ・ミュージシャンがカンザスシティに集まってきました。

この時代、カンザスシティは「サックスの本場(The Home of the Sax)」として知られるようになりました。チャーリー・パーカー、コールマン・ホーキンス、レスター・ヤングといった伝説的なサックス奏者たちが、スウィングしつつブルージーなサウンドを生み出し、サックス奏者同士が火花を散らすようなソロバトルを繰り広げました。

また長年にわたり、地方主義(リージョナリズム)画家トーマス・ハート・ベントンもカンザスシティに住んでいました。彼の色彩豊かで挑発的な壁画は、禁酒法時代のアメリカのナイトクラブや秘密酒場で演奏するジャズ・ミュージシャン、ダンサー、ギャンブラーたちを描いたものです。さらにベントンはハーモニカの名手でもあり、自宅で土曜夜にフォーク音楽の集まりをよく主催していました。

私の作品は全5楽章で構成されており、それぞれが1920〜30年代のカンザスシティに実在した音楽会場の名前を冠し、あらゆる階層の音楽家たちが伝説的なジャム・セッションに集った時代の響きを映し出しています。