2015/12/31

ラッシャーがラーション「協奏曲」を演奏する映像(一部)

年の瀬に…シガード・ラッシャー Sigurd Rascher氏が、ラーシュ・エリク・ラーション Lars Erik Larssonの「協奏曲」を演奏する動画がYouTubeにアップロードされていた。残念ながらごく一部の抜粋であるが、なんと貴重な動画だろう!

https://www.youtube.com/watch?v=4-qttb2NgQ4

ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団のメンバーから成る、アムステルダム室内管弦楽団(現コンセルトヘボウ室内管弦楽団、1987年に改名)との共演。1960年代前半の記録とのことだ。ソロのラッシャー氏の、演奏と立ち姿の貫禄といったら…髭を蓄えている姿は初めて見たかもしれない。そして、何よりもこの純度の高い音色。オーケストラも、さすがコンセルトヘボウ、激ウマである。

アップロードしたのはAndreas van Zoelen氏。ラッシャー派の奏者の一人で、Bruce Weinberger氏の後任、テナーサクソフォン奏者としてラッシャー・サクソフォン四重奏団に参加したメンバーである。

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いろいろあった2015年でしたが、知人・友人の皆様には大変お世話になりました。良い年をお迎えください。

2015/12/30

上野耕平氏が昭和音楽大非常勤講師に就任

公式ウェブページに掲載されていたのだが、上野耕平氏が、来年4月から昭和音楽大学の非常勤講師に就任することが決まったそうだ。23歳での非常勤講師就任とは…まだまだお若いのに凄いことだなあと思う。どのような生徒を育てていくのか、今後が楽しみだ。

http://uenokohei.club/

2015/12/29

12/18に出演したライヴ

【X'mas Special 3man LIVE!】
出演:岡秀年、氷置晋&角悠介&和波さやか、TsukubaSQ and Friends(ゲスト:松下洋)
日時:2015年12月18日 19:00開場、19:30開演
会場:Cafe Dolce Vita

岡秀年氏の名前は初めて知った…ノボリを背に、ギター一本、軽妙なトークも交えながら、ぐいぐいと客を引き込む。芸人か!と思うほど、トーク内容が面白かった。氷置晋氏は、さすがというか何というか、爽快な曲調と、安定の歌声が心地よい。

Tsukuba Saxophone Quartetは、名義こそTsukubaSQだったが、コングレスに参加したメンバー&ピアニスト。松下洋氏は、なんとバリー・コッククロフト「Rock Me!」を演奏、最後は全員で本多俊之「Galaxite」を演奏した。最後は、全員で「ジングルベル」を演奏して幕となった。新しい音楽の世界にも触れることができ、楽しかったなあ。

2015/12/25

Simon Haram "Mono'dia"

まったくノーマークだったのだが、イギリスのサクソフォン奏者、サイモン・ハラーム Simon Haram氏が、1年以上も前にアルバムをリリースしていた。私は、ジョン・ハール John Harle氏を起源とするイギリスのクラシック・サクソフォンの系譜の延長にある奏者の演奏や、彼らが取り上げる作品が大好きなのだ。

Simon Haram: Soprano, alto and tenor saxophones
Graham Fitkin: Piano, synthesisers
John Alley: Piano
Ruth Wall: Harp
Martin Elliott: Bass Guitar

Graham Fitkin - Gate
Alan Taylor - Four Dances
John Adams - Postmark
Geoff Eales - She Cries She Dances
Graham Fitkin - Spill
Tonu Korvits - Singing Across the Sea
Paul Alan Barker - Two Songs from "Dirty Tricks"
John Woolrich - Fragment
Graham Fitkin - Passing

グラハム・フィトキンの傑作「Gate」から聴き始めたのだが、イギリスのクラシックサクソフォン特有のパリっとした鳴らし方はそのまま、押して引いてを絶妙にコントロールするスタイルにゾクっとしてしまった。「Gate」は、これまでパワー先行型で一気に聴かせる録音が多かっただけに、新しい形の演奏だと感じた。

珍しいアダムスの「ポストマーク」や、ベースとともに演奏される、「Two Songs from "Dirty Tricks"」など、聴きどころは多いが、最後に収録された「Passing」での、激烈な意思すら感じさせるテナーサクソフォンの鳴らしっぷりは一聴の価値ありだろう。1曲まるまるサクソフォン+シンセサイザーというシンプルな編成で、音色もそれほど変化しないのだが、構成感があるため聴き飽きない。

Amazonでも購入可能だ。Simon Haram「Mono'dia」

NHK こどものための音楽会(司会・サクソフォン:須川展也)

2013年に放映された「クラシック倶楽部 こどものための音楽会」が、2015年12月21日に再放送された。須川展也氏の司会・進行のもと、国内著名音楽家たちが、子ども向けにクラシックの有名曲を数多く取り上げる、という内容。室内楽からオーケストラまで、オリジナルあり、アレンジありの充実した内容であった。

須川氏は、最後にモンティ「チャルダーシュ」でサクソフォンの独奏を披露していた。これを子どもやその親が聴いて「サクソフォンってすごい!」と思ってくれると嬉しいなあ。また、今更ながら、須川氏が"クラシック・サクソフォンの裾野を広げる活動"で負っている部分の大きさを再認識した次第。

NMLにUniversal Music(Deutsche Grammophon&Decca)が参加

いろいろとドッタバッタでなかなかブログを書く時間も取れず、また、大変残念なことに、楽しみにしていた水曜日のクローバーSQも伺えず、であった。とはいえ、家で過ごす時間は良いもので、時間を掛けて料理をしたり、音楽を聴いたりすると、心が落ち着くものだ。

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Naxos Music Libraryに、なんとUniversal Musicが参加した。Universal Musicが持つブランド、Deutsche GrammophonやDeccaの盤が、今後順次追加されていく、ということだ。Warner Music(EMIやEratoを持つ)が参加した時にも相当驚いたものだが、まさかあの"黄色い額縁"のドイツ・グラモフォンが、NMLに参加することになるとは思わなかった。

消費者の目線からすると手軽に名盤の数々を聴くことができるのは嬉しい、ということに尽きるが、私自身、愛好家として音楽を奏でる立場であるからか、なんとなく一抹の寂しさのようなものを感じてしまう。様々な人達が協力し、たくさんのお金をかけてレコード1枚/CD1枚を作っているはずだ、その大変さに比肩して、ブラウザのボタンをいくつかポチポチと押すだけでそれがスピーカーから再生されてしまうというギャップがあるなあと思ってしまうのだ。

第7回交流会、アンサンブル団体募集終了

第7回サクソフォン交流会2016の、アンサンブル参加団体の募集が終了した。

https://sites.google.com/site/saxkouryukai/

みなさまのご応募、ありがとうございました。

次は1月の個人参加者募集開始に向けて諸々進んでいく。

2015/12/23

モルゴーアQがクラシック倶楽部に登場

2015/12/22(火曜)のNHKクラシック倶楽部に、モルゴーア・クァルテットが登場、プログレを弾きまくっていた。収録は2013年とのことなので、再放送かな?

King Crimson - 21st Century Schizoid Man
Genesis - Dancing With the Moonlit Knight
Dmitri Shostakovitch - String Quartet #7
ELP - Karn Evil 9: 1st Impression-Part 1
King Crimson - Starless

http://www4.nhk.or.jp/c-club/x/2015-12-22/10/31479/1894090/

モルゴーア・クァルテットの映像できちんとしたものを観たのは初めてかもしれない。カメラワークやスタジオのデザインがとても凝っていて、ついつい引き込まれてしまう。

それにしてもこの選曲!私はプログレについては初心者も同然なのだが、そんな私でも楽しめる名曲の数々が続いた。ショスタコーヴィチが少々不思議だが、生み出されるサウンドはこの流れの中で微塵の違和感も感じさせない。これだけたくさんの曲をやれば、1曲くらいは途中カットがあるかな…などの心配していたのだが、杞憂に終わった。「月影の騎士」「スターレス」を映像で観ることができたのは嬉しかったなあ。

2015/12/16

ドゥラングル&マカリスター揃い踏み!

セルマーの130週年記念イベントにおける、クロード・ドゥラングル氏とティモシー・マカリスター氏のデュオ。おふたりともセルマー・アーティストだが、共演しているのは初めて観たような気がする。なにの曲かわからないのだが、なかなか面白い内容。



こんな動画も。こちらは、ドゥラングル氏とブランフォード・マルサリス氏の揃い踏み。Jordan Gudefinの「Scherzo Furioso」、バックは何とギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団である。作曲者のアカウントにアップロードされていた。



演奏が上手いのは当たり前なのだが、ここまで著名なアーティストの共演であると、動画からオーラのようなものまで感じてしまうな…。

2015/12/13

演奏会ご案内:Cafe Dolce Vitaでの演奏

12/18金曜日に、大久保のCafe Dolce Vitaにてライヴに出演する。ポップスバンドとの合同ライヴで、3団体のうちのトリとして、今年のサクソフォン・コングレス&在ベルギー日本国大使館で演奏したメンバーが再集結する。

本多俊之「Galaxite」や「サンタクロース・メドレー」など、わりとガッツリ系の曲が揃った。ゲストの松下洋くんは「Galaxite」のトップを担当するほか、無伴奏で何か吹いてくれるとのこと。

ぜひお越しくださいませ!

※人数把握のため、事前にkuri_saxo@yahoo.co.jp宛て、もしくはFacebookメッセージ、または本記事コメント覧などに書きこんでいただけると嬉しいです。



2015/12/11

交流会打ち合わせ

今日(もう昨日か)は、第7回サクソフォン交流会に向けての打ち合わせ。

事務局メンバーの7名が集まり、進捗確認とともに、募集の段取り、全体合奏曲目、企画ステージ等に関する議題を話し合った。

今週末、12/13にはアンサンブル団体の募集が始まる。

https://sites.google.com/site/saxkouryukai/

2015/12/10

Tokyo Rock'n Sax 3rd Live

毎回伺っているが、いつも新しい世界を見せてくれるバンドだなあと思う。そのような奏者・団体の演奏会(ライヴ)にこそ、頻繁に伺いたいものだ。

Queen - "Procession" and "Father to Son"
Rush - YYZ
Uriah Heep - Traveler in Time
UK - Time to Kill
Genesis - Dancing with the Moonlit Knight
Deep Purple - Highway Star
ELP - Karn Evil #9 1st Impression Part2
Led Zeppelin - Stairway to Heaven
Yes - Heart of the Sunrise
Queen - Love of My Life (encore)
King Crimson - 21 Century Schizoid Man (encore)

松下洋(satc)、山下友教(sa)、東秀樹(a)、加藤里志(t)、丸場慶人(t)、塩塚純(b)、川地立真(b)、田中拓也(bs)、山本真央樹(drs)

2回のライヴ、そしてレコーディングを経て、かなりサウンド的にこなれ、質も上がる一方、という印象を受ける。しかし、決して予定調和に陥るということにはならない。テンション的にはかなりギリギリのところを攻めつつも、よりスタイリッシュに、より迫力を増しているのだ。(半分くらいは原曲を良く知っているのだが)説得力が増し、原曲に近づく…というより、原曲のテイストを十分に保ちつつ、新しい世界を構築している、とでも評すれば良いのだろうか。ぜひ、ロック好きの方に聴いてほしいなあ(NHK-FMのプログレ三昧に投稿したい)。

圧倒された2時間のライヴ。新曲も大量に詰め込み、短期集中型で一気にリハーサルをこなし、これだけのクオリティを提示してしまうとは、恐れ入るばかりだ。各メンバーの、楽曲中、そしてMCでの"色"のようなものが、わかりやすい形で現れてきたのも面白い。バンドとしての進化って、こういうことなのだろう。

個人的な感慨深さでいうと、やはりレッド・ツェッペリン「天国への階段」かなあ。冒頭のリフを聴いた瞬間にあまり冷静でいられなくなってしまった。ギターソロもぐっと引き込まれ、最終部では感情の洪水が押し寄せてくるようだった。ジェネシス「月影の騎士」、イエス「燃える朝焼け」なども、なんだかそれらの曲を聴いていた時の感情が蘇ってしまうのだった。

CDのリリースも来月頃に控えているそうだ。「有名なロック作品満載」「サクソフォンではないような音がする」…とのこと。楽しみだ!

2015/12/07

保育園で演奏

先週末、土曜日のことになるが、妻の主宰で都内某所の保育園にて演奏をしてきた。クリスマス会での演奏、ということで、クリスマスにまつわる曲を数曲。子どもたちみんな可愛かったなあ。最後に、お礼に、ということで素敵なお花まで頂戴してしまった。

2015/12/06

アーニーズスタジオにて

先週の土日ことになるが、アーニーズスタジオでプロフィール用写真を撮影していただいた。

こんなコンセプト…ということで井村さんに予めお伝えし、そのイメージ通り、いや、それ以上のものを撮影いただいた。井村さんには、これまでにTsukubaSQのプロフィール写真、入籍時の夫婦写真・家族写真なども撮影いただいている。いつも、素晴らしい写真を撮影いただき、感謝!

撮影した写真の一部は、そのうちFacebookにアップロードする予定。

2015/12/05

Paul RombyのソロSP録音

ポール・ロンビー Paul Romby氏は、かつてギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団に在籍したフランスのサクソフォン奏者。1934-36年の間には、ギャルド・レピュブリケーヌ・サクソフォン四重奏団にも参加、サクソフォン四重奏黎明期の一翼を担った。

マルセル・ミュール氏が、ロンビー氏についてほんのすこしだけ語ったインタビュー記事がある。

...Two other elements joined us: one, named Lhomme, was from the Garde. The other was Paul Romby. Romby started at the Garde in 1934 but it did not really suit him. He had a rather bizarre job. He worked very well in the quartet. We were limited in our touring because we belonged to the Garde. In 1936, when for multiple reasons I left the Garde, Romby followed me, Chauvet left because he had reached retirement age and we replaced Lhomme with Charron. We called ourselves the Quatuor de Saxophones de Paris”

…その後、2名が参加しました。1名は、ギャルドに在籍していたロンムという奏者でした。もう1名は、ポール・ロンビーという奏者でした。彼は1934年からギャルドに入隊しましたが、あまり彼にはその職は合っていなかったようです。彼は、いくぶん普通でない仕事をしていました。しかし、四重奏メンバーとしては非常に精力的に活動しました。我々はギャルドの仕事があったため、演奏旅行はかなり制限されていました。1936年、いくつかの理由により私はギャルドを去りました。ロンビーもそれに続きました。ショーヴェは、定年のため退役しました。ロンムはギャルドに残ったため、ロンムの代わりにシャロンが四重奏団に加わり、パリ・サクソフォン四重奏団と改名しました。

"Interview with the Legendary Marcel Mule on the History of Saxophone Vibrato"より

ギャルド・レピュブリケーヌ・サクソフォン四重奏団の、1934年から1936年までの活動メンバーは、次の通りである。

Marcel Mule, Soprano Saxophone
Paul Romby, Alto Saxophone
Fernand L'homme, Tenor Saxophone
Georges Chauvet, Baritone Saxophone

1936年以降の、パリ・サクソフォン四重奏団としての活動メンバーは、上記ミュールのインタビューによれば、次のようなメンバーだったということになる。このメンバーで1945年まで活動した。

Marcel Mule, Soprano Saxophone
Paul Romby, Alto Saxophone
George Charron, Tenor Saxophone
Georges Chauvet, Baritone Saxophone

そのロンビー氏だが、四重奏としての録音はいくつか聴いたことがあるが、ソロの録音があるとは知らなかった。SPのトランス録音がYouTubeにアップされていた。時代は感じるが、ヴィブラートやふくよかな音色など、当時のトレンドをよく表している記録だ。ミュール、というよりも、曲(ライト・ミュージック、という感じ)のせいかヴィードーフに近いような印象も受ける。

Farniente


Saxo-Folie

演奏会情報:木村佳×守沢早也香デュオコンサート

いつもお世話になっているk.saxofocusこと木村佳さんが、同窓の守沢さんとともにデュオ・コンサートを開くそうだ。演奏会開催の、実習?を含む授業の一環とのこと。実習=演奏会とは、いかにも音楽大学の授業らしいなあと思いつつ(シラバス見てみたい)、いろいろと準備には大変な部分もあるのだろうなあと推察。

プログラミングは、2人が対照的となるような形で組んだとのこと。藤倉大の「SAKANA」とはまた…挑戦的なプログラムだ(こちらは木村佳さんが演奏するとか)。月曜日か、、、仕事が片付けば行ける…かなあ(汗)

【木村佳×守沢早也香デュオコンサート】
出演:木村佳、守沢早也香(以上sax)、大堀晴津子(pf)
日時:2015年12月7日19:00開演
会場:昭和音楽大学南校舎5階ユリホール
料金:入場無料
プログラム:
H.Villa-Lobos - Fantasia
Dai Fujikura - SAKANA etc.
問い合わせ:keikimura.05@gmail.com

2015/12/04

グレインジャーのサクソフォン作品集

オーストラリアの作曲家、パーシー・グレインジャーとサクソフォン界の関わりは深い。グレインジャー自身が軍楽隊でサクソフォンを吹いていたこともあってか、サクソフォンのために多くのアレンジ(自作・他作曲家の作品、両方)を残しているのだ。そのあたりの話は、以前ブログの記事とした。

グレインジャーが書いたサクソフォンのためのアレンジ作品を一挙にまとめたアルバム「Percy Grainger Music for Saxophones(Naxos 8.573228)」。サクソフォンとグレインジャーを結びつけて研究しているサクソフォン奏者、Joyce Griggs氏がトップに立って制作されたアルバムだ。Griggs氏は、Cleveland Institute of Musicにおいて副学部長(Associate Dean)の職に就く傍ら、2007年より、グレインジャーの室内楽作品を発掘、Percy Grainger Estateの許可を得てグレインジャー作品の編纂を進めている。その成果は、RBC Publicationsより楽譜として出版されている(リストはこちら)。

それらの楽譜を録音したCDということだろう(実際、ほぼ1対1で、リスト中の作品が取り上げられている)。サクソフォン・アンサンブルのCD、しかも知らない奏者ばかりがクレジットされており、「大概こういうアルバムってコンセプトは良いけど演奏がアレなんだよなあ…」と思って聴き始めたのだが、意外にも(失礼)非常に良く整った演奏に驚かされた。良く良く見てみると、第4回ジャン=マリー・ロンデックス国際コンクール第3位のPhil Pierick氏を始め、コンクール入賞等、かなりしっかりした経歴を持つ奏者が名を連ねている。一通り聴いてみたが、冒頭から一貫したクオリティ。これは演奏の面でも価値あるアルバムだと言えよう。

パーシー・グレインジャー - 固定されたド(あるいは鳴り続けるC)
クロード・ル・ジュヌ - 美しい燕
管楽器のための珠玉選 - マショー:バラード 第17番
パーシー・グレインジャー - 孤独な砂漠の男が陽気な部族のテントを見つける
管楽器のための珠玉選 - J.S. バッハ:平均律クラヴィーア曲集 第2巻 - 前奏曲とフーガ第5番 ニ長調 BWV 874
管楽器のための珠玉選 - フェラボスコ:4つの音符のパヴァーヌ
カール・グスタヴ・スパッレ・オールセン - クリスマスが来ると
管楽器のための珠玉選 - ジョスカン・デ・プレ:ラ・ベルナルディーナ
管楽器のための珠玉選 - J.S. バッハ:平均律クラヴィーア曲集 第1巻 - フーガ第4番 嬰ハ短調 Minor, BWV 849
管楽器のための珠玉選 - ジェンキンス:5声のファンタジー第15番
管楽器のための珠玉選 - J.S. バッハ:行進曲 BWV Anh. 122
パーシー・グレインジャー - リスボン 「ダブリン湾」
カール・グスタヴ・スパッレ・オールセン - クリスマスが来ると
管楽器のための珠玉選 - ロウズ:6声のファンタジーとエアー第1番
管楽器のための珠玉選 - 作曲者不詳:天使は乙女に

2015/12/02

第7回サクソフォン交流会 アンサンブル団体募集要項公開

サクソフォン交流会のウェブページで、第7回サクソフォン交流会のアンサンブル団体募集要項が公開されました。

https://sites.google.com/site/saxkouryukai/

申し込み開始は2015年12月13日(日)22:00。多くの皆様の参加をお待ちしています!

こんなアルバムに平野公崇氏が参加

ちょっとした調べ物をしていたところ、平野公崇が参加した珍しいアルバムを見つけた。

オペラ歌手のアンネット・一恵・ストゥルナート氏が歌い上げた「愛の讃歌」というディスク。「見上げてごらん夜の星を」「いい日旅立ち」といった、誰にとってもお馴染みのメロディが収録されている。クレジットを見ると、「アンネット・一恵・ストゥルナート、Sato Kazuko、藤原清登、平野公崇」と書かれており、平野公崇氏が参加していることがわかる。

http://www.universal-music.co.jp/annet-strnadt/products/uccy-1019/

Google Play Musicで「見上げてごらん夜の星を」を聴くことができた。歌の合間の間奏で、シンプルなメロディを淡々紡ぐサクソフォンの音が聴こえてくる。音数が少なく、ちょっともったいない、と思ったり、いや贅沢かな、と思ってしまう。ちなみに「ラブ・イズ・オーヴァー」ではもっと活躍しているという評もネット上で目にした。また、以下のリンク先の情報によれば、ブルーオーロラSQの面々が参加している曲もあるようだ。

http://recochoku.jp/album/A1003297276/

Claude Delangle plays Ibert with Osaka College of Music Saxophone Orch

クロード・ドゥラングル教授が、大阪音楽大学のサクソフォン・コンサートに客演した際のライヴ録音をYouTubeで聴くことができる。2014年10月29日、ミレニアムホールにおいて、飯守伸二氏の指揮、大阪音楽大学サクソフォン・オーケストラとの共演。

ドゥラングル教授のイベールと言えば、某所で聴けるみなとみらいでのライヴ録音が有名だが、この録音も大変な名演と感じた。誰もが納得するフレージング、テクニック。こういう演奏を聴くと、やはり第2楽章は1オクターブ上げなければ…!と思ってしまうなあ。

また、独奏のみならず、バックのサクソフォン・オーケストラの完成度の高さも見事というほかない。


2015/11/30

久々にミュールが参加した「ブランデンブルク協奏曲」を聴いて

サクソフォンのマルセル・ミュール氏が、パブロ・カザルス指揮のプラド祝祭管弦楽団のメンバーとしてバッハ「ブランデンブルク協奏曲第2番」演奏に参加していることは有名だが、最近、スコアを見ながらその演奏を改めて聴いて驚いた。

これは同曲の第3楽章の楽譜で、in Fで書かれたトランペットパートである。ミュールはこれをソプラノ・サクソフォンで演奏したとされている。録音から、フラジオ音域の"高いソ"を多分に含むフレーズを快速で、しかも美しいスタッカートで、見事に演奏している様子を聴き取ることができる。こんなに高い音で吹いていたのか、という、今更ながらの大きな驚きがあったのだ。

ミュールがフラジオ音域を吹いた録音は、ほとんど持っておらず(イベールのライヴ録音とクレストンの「ソナタ」くらいだろうか)、「ミュールはフラジオが苦手だったのではないか」という推測を耳にしたこともあるのだが、少なくともこの録音を聴く限り、まったくそんなことはない。フラジオを折り込みつつ、ここまでバッハを音楽的に演奏したミュール…改めて、恐るべし。

2015/11/29

プロースト交響楽団 第22回定期演奏会

【プロースト交響楽団 第22回定期演奏会】
指揮:栁澤寿男 ピアノ:梯剛之 チェロ:横山桂
日時:2015年11月29日(日曜)14:00開演
会場:ミューザ川崎シンフォニーホール音楽ホール
プログラム:
J.ブラームス「ピアノ協奏曲第2番」
G.マーラー「交響曲第1番」

お知り合いが何人か乗っており、これまでも何度か聴きに伺っている。前回の演奏会にはエキストラとしても呼んでいただいた(ラプソディ・イン・ブルー)。アマチュアながら非常にレベルの高いオーケストラで、いつも演奏に感銘を受ける。また、脅威の集客力にも驚かされる…2000席近くのホールで、指定券を売り切ってしまうのだ。

今回は、大曲が2つならぶプログラム。ブラームスの、非常に緻密に書かれたピアノ協奏曲(初めて聴いたのだが、途中で構造が追いきれなくなってしまった)、そして数年前にも取り上げていたマーラーの第1番。難易度が高い作品ではあるが、アンサンブルは相当な高いレベルに踏み込んでいるという印象。整った音程、ぴたりと決める連符、シンプルな音ひとつひとつの響きなど、普段から磨きをかける基音からの賜物であろう。また、(おそらくだが)独奏にトライしている方も多いのではないかなあ…ここ一番、という場所での、安定感は、まるでプロオケを聴いているかのようだ。

ゲストの梯氏は、私自身は氏の演奏は初めて聴いたが、俗な言い方をしてしまえば、大変「ソウルフル」な演奏をされる方だな、と感じた。ブラームスの作品は、どちらかと言えばオーケストラとのアンサンブルが重視されるような作品であるから、氏の持つ情感だとか技巧といったところが、そこまで強調される作品ではないのかなと思ったが(とても難しいことを軽々とやってのけていることは判った)、アンコールで演奏されたモーツァルトの「幻想曲ニ短調」は、ソロということもあってかぐっと迫ってきたのだった。

マーラーは、ベースとして持っている技術の高さと、熱気がとても良いバランスで配合され、特に第1楽章、そして第4楽章がとても楽しく聴くことができた。2000人近くの聴衆を引き込む演奏って、よく考えたら凄いことだよなあ。

それにしても、半年に一回のペースでこの規模・クオリティの演奏会を開くことの凄まじさ!ぜひこれからも聴きに伺いたいオーケストラだ。

2015/11/26

デファイエ四重奏団復刻盤:サクソフォーン・アンサンブルの至芸

これまで最もリピートして聴いたサクソフォンのCDは、かつてEMIから出版されていた「サクソフォーンの芸術」3枚組の、2枚目である。デファイエ四重奏団が吹いたピエルネ、デザンクロ、リヴィエ、シュミットの録音が収録されている。当時、アンサンブルコンテスト向けにデザンクロ「四重奏曲」に取り組んでいたこともあり、お気に入りの録音を見定めるべく、同曲が収録されたCDを買ってはふむふむと聴きこんでいたのだ。「サクソフォーンの芸術」は、高校の研修旅行先でふらりと立ち寄った長崎のどこかの商店街のCD屋で見つけた。最初はピンとこなかったのだが、聴きこんでいくうちにその味わい深さに惹かれていった。まるで弦楽器のごとき音色や、絶妙なフレージングなど、もはや耳から離れなくなってしまった。デファイエ四重奏団のEMI盤を聴きこむことで、「往年のフレンチ・スクールの演奏がどういったものであるか」を、曲がりなりにも知ることができたのだと思う。

すっかり惚れ込んでしまった私は、デファイエ四重奏団の録音を集めようと試みたのだが、探せど探せど見つからない。それもそのはず、デファイエ四重奏団の録音で、CDになっているものはこれくらいしか無かったのだ。"伝説"とされていたSony盤を耳にするまでは、「サクソフォーンの芸術」の入手から4年を要した。大学の吹奏楽団にトレーナーとして招いていた松雪先生から、同LPをMDに録音したものをお借りしたのだ。おお、これが伝説のリュエフだな早速聴いてみるかと、再生した瞬間の衝撃といったら!サクソフォンに対する常識が根本から覆った…とは言い過ぎだろうか、いやそんなことはない。あまりの衝撃に、このブログの元となるウェブページ"kuri_saxo"をその日のうちに立ち上げ、感想を書いたのだ。

さらに3年後、木下直人さんとお知り合いになり、様々な録音を送っていただく中に、デファイエ四重奏団のこの録音が含まれていた。復刻の素晴らしさ(当時はシステムが完成形に至っていなかったが、それでも素晴らしい復刻だった)により、本来のLPの音がどのようなものであったのかを聴くこととなり、Sony盤の凄まじさを再認識したのだった。ここまで技術的に/音楽的に完成されていて、多くの人に聴かれ愛される、四重奏の録音があっただろうか。ただの懐古趣味ではないことを、言葉で語るのみならず、多くの方に実感してもらうことができるという点でも、今回の復刻は価値があると言えるだろう。

なんだか長くなった。というか、長くならざるを得なかった。なんせ13年分なもので。このたびの復刻に携わった全ての関係者に御礼申し上げたい。タイトルはオリジナルから引用し、「サクソフォーン・アンサンブルの至芸(SONY SICC 1972~3)」とされた。Amazon等でも取り扱いを開始している。サクソフォーン・アンサンブルの至芸

メンバー編成は以下のとおり。結成から解散まで、不動のメンバーであった。

ダニエル・デファイエ(ソプラノサクソフォン)
アンリ=ルネ・ポラン(アルトサクソフォン)
ジャック・テリー(テナーサクソフォン)
ジャン・ルデュー(バリトンサクソフォン)

「サクソフォーン・アンサンブルの至芸 L'art supreme du quatuor de saxophones(1978年)」「フランス・サクソフォーン四重奏の新たなエスプリ Esprit nouveau de France saxophone quartette(1975年)」の2枚が復刻されている。

1978年の録音は、来日時、石橋メモリアルホールにて録音された。ジャケット写真は、ポラン氏によれば400枚位撮影されたうちの1枚というが、本当だろうか。小品が中心だが、聴きどころは多い。よく取り出して聴くのはスカルラッティ。ぶっ飛んだテンポ設定、火花を撒き散らしながら軽やかに走り抜ける爽快感が心地よい。これぞフランスのエスプリだ。アルベニスの3曲も魅力的だなあ。特にカディスの中間部!

1975年の録音は、録音技師アンドレ・シャルラン率いるシャンゼリゼ録音センターへの外部委託。1975年の2月3日~5日とされているが、同じくポラン氏によれば「実質1日で録り終わってしまった」とのこと。リュエフはほぼ1発録りだったとのことだが、実際はどのくらい編集されているのかな。ソニーのエンジニアはシャルランの録音を気に入らなかったというが。ヘヴィな選曲だが、改めて聴くとティスネに惹かれる。現代音楽ではあっても、やはり根底に流れるのは「音楽」なのだ。

収録曲は以下のとおり。Sony Music Shopのサイトからのコピペ。

[DISC:1]
1. G線上のアリア・・・管弦楽組曲第3番ニ長調より (J.バッハ作曲/M.ミュール編曲) 試聴
2. 3つの小品 I. プレスト・ジョコーソ 試聴
3. 3つの小品 II.アンダンテ・カンタービレ 試聴
4. 3つの小品 III.スケルツォ 試聴
5. メヌエット (ボッケリーニ作曲/M.ミュール編曲) 試聴
6. アヴェ・ヴェルム・コルプス Kv.618 (モーツアルト作曲/M.ミュール編曲) 試聴
7. スケルツォ・・・弦楽四重奏曲第2番より 作品41 (シューマン作曲/M.ミュール編曲) 試聴
8. アンダンテ・カンタービレ・・・弦楽四重奏曲第1番より 作品11 (チャイコフスキー作曲/M.ミュール編曲) 試聴
9. カディス・・・スペイン組曲第4番より 作品47 (アルベニス作曲/M.ミュール編曲) 試聴
10. コルドバ・・・スペインの歌より 作品232 (アルベニス作曲/M.ミュール編曲) 試聴
11. セヴィーリヤ・・・スペイン組曲第3番より (アルベニス作曲/M.ミュール編曲) 試聴
12. 小さな黒ん坊 (ドビュッシー作曲/M.ミュール編曲) 試聴
13. 小さい羊飼い・・・「子供の領分」より (ドビュッシー作曲/M.ミュール編曲) 試聴
14. ゴリウォークのケークウォーク・・・「子供の領分」より (ドビュッシー作曲/M.ミュール編曲) 試聴
[DISC:2]
1. サクソフォーン四重奏のためのコンセール(演奏会用四重奏曲) I.序奏 試聴
2. サクソフォーン四重奏のためのコンセール(演奏会用四重奏曲) II.フーガ 試聴
3. サクソフォーン四重奏のためのコンセール(演奏会用四重奏曲) III.メヌエット 試聴
4. サクソフォーン四重奏のためのコンセール(演奏会用四重奏曲) IV. パスピエ 試聴
5. サクソフォーン四重奏のためのコンセール(演奏会用四重奏曲) V.アリア 試聴
6. サクソフォーン四重奏のためのコンセール(演奏会用四重奏曲) VI. ロンド形式のフィナーレ 試聴
7. アリアージュ 第1部 (ティスネ作曲) 試聴
8. アリアージュ 第2部 (ティスネ作曲) 試聴
9. サクソフォーン四重奏曲 I.動きを持って 試聴
10. サクソフォーン四重奏曲 II.コラール 試聴
11. サクソフォーン四重奏曲 III.ワルツの動きで 試聴
12. サクソフォーン四重奏曲 IV.生き生きと 試聴

2015/11/25

S夫妻コンサート(しまこん)

11/23のことだが、日頃よりお世話になっているS夫妻が主催するコンサート"Shimacon"に出演した。夫妻が結婚15周年を迎えるにあたり、音楽で繋がった知人を招いて演奏会を行うというもの。ご主人はサクソフォン、奥様はクラリネットなのだが、管楽器のみならず、歌やピアノも登場して、様々なジャンルの演奏が繰り広げられるコンサートとなった。

【Shimacon】
出演:S夫妻、大嶋千暁(ゲスト)、他
日時:2015年11月23日(月曜・祝日)13:00開演
会場:カーサクラシカ
プログラム:
J.ブラームス - クラリネットソナタ第2番より第1楽章(奥様の演奏)
A.K.グラズノフ - 協奏曲(ご主人の演奏)
C.ドビュッシー/宇田川不二夫 - 月の光(ご夫妻デュオの演奏)
他(プログラム冊子紛失…)

様々な編成の演奏が続いたのだが、やはりS夫妻の演奏が印象深かったなあ。ブラームスも、グラズノフも、それぞれの作曲家が燃やした"最後の創作意欲"による産物であり、人生の酸いも甘いも知り尽くした彼らの経験が込められた内容の作品だ。今回の演奏会は、S夫妻の結婚15周年ということもあり、その作品の内容にご夫妻の人生を重ね、なかなか尋常な気持ちでは聴くことができなかったのだった。特にサクソフォン吹きならば良く知っているグラズノフ!美音が冴え渡り、規範とすべきようなフレージングも各所に垣間見え、感動的な演奏となった。

その他にも、ちさカル、あやねぇ氏ピアノ、歌、サクソフォンデュオ、さらに千暁さんのソロまで!最後は全員合奏で〆、気がつけば2時間を超えるコンサートとなった。

ちなみに、私は妻(フルート)と、びる氏(ピアノ)とともに、ラッセル・ピーターソン編の「All I See is You」「Spain」を演奏した。いろいろとやらかしてしまったが、なんとか上手いことまとまった…のかな?いちおう日本初演だったはず(笑)。

演奏会の後は打ち上げ会場に移動して、観客として来場された方も含めて楽しいひとときを過ごしたのだった。1次会、さらに2次会まで参加し、だいぶ深酒してしまったのだが、久々に宴席を同じくする方もおり、各方面の話題に花が咲いた。

打ち上げの写真(だいぶ縮小しています)

ケネス・チェ氏のコンサート

いろいろと書くことが溜まっているのだが、日付順に。

マスタークラスの記事の続き。

【ケネス・チェ スペシャルコンサート】
出演:ケネス・チェ(sax)、羽石道代(pf)
日時:2015年11月20日(金)18:00開演
会場:東京藝術大学第二ホール
プログラム:
David Froom - Before the Dawn
Luis Serrano Alarcon - Tres Preludios Mestizos
Piet Swerts - Paganini Capriccio

David Froomの「Before the Dawn」は、ゆったりとしたテンポ、美しい響きが印象的な作品。チェ氏はMCで、「ドビュッシーのようだ」と言っていたが、そのコメントはぴったりのような気がする。AlarconとSwertsの作品は、先のコングレスのチェ氏のステージで聴いた(その時のピアノはPiet Swerts氏だった)。目の回るような、圧倒される作品。

いずれの作品においても、無理のない鳴らし方と美しい音色で魅了する。やっていることは凄いのに、とてもスラスラと吹くものだから、とても心地よく聴くことができる。これは、録音等を聴いても同じ印象だ。類まれな奏者であるなあと、再認識したのだった。

2015/11/23

キャトル・ロゾー「25年の軌跡」が再発売

大変嬉しいニュース。日本のサクソフォン黎明期を代表するサクソフォン四重奏団のひとつ、キャトル・ロゾー(冨岡和男、池上政人、仲田守、服部吉之)の最後のアルバム「25年の軌跡」が、版元より再発売となった。1枚目が過去の演奏会のライヴ録音、2枚目が25周年記念コンサートのライヴ録音、という構成である。

このCD、私も持っているが、内容の素晴らしさは筆舌に尽くしがたいものである。過去のライヴ録音は、適切なバランスや上品な音楽作りが印象的で、往年のキャトル・ロゾーの活躍を現代に正しく伝えるものである。25周年記念コンサートは、まずサクソフォン四重奏+オーケストラという編成の特殊さが魅力であり、特にカルメルやマルティノンの入れ込みようは相当なもの。また、最後のグラズノフは、まさに25年を総括するような、音楽を演奏する喜びに満ち溢れた内容だ。

もしお持ちでない方、ご存知ない方は、ぜひ購入されることをおすすめする。

ピエール=マックス・デュボワ - 変奏曲(1977年9月15日 東京文化会館小ホール)
ジャン=ピエール・リヴィエール - 変奏曲(1987年4月24日 東京文化会館小ホール)
フローラン・シュミット - 四重奏曲 作品102(1988年10月13日 東京文化会館小ホール)
アラン・ベルノー - 四重奏曲(1992年10月27日 石橋メモリアルホール)
ピエール=マックス・デュボア - 4本のサクソフォンと室内オーケストラ、打楽器のための小協奏曲(2000年10月4日 東京芸術劇場大ホール)
ロジェ・カルメル - サクソフォン四重奏と弦楽オーケストラ、打楽器のためのコンチェルト・グロッソ(2000年10月4日 東京芸術劇場大ホール)
ジャン・マルティノン - サクソフォン四重奏とオーケストラのための協奏曲(2000年10月4日 東京芸術劇場大ホール)
アレクサンドル・グラズノフ - 四重奏曲 作品109(2000年10月31日 札幌コンサートホールkitara 小ホール)

購入は、以下のブレーン公式サイト他からどうぞ。

http://www.brain-shop.net/shop/g/gOSBR-17060/

2015/11/22

テレビのBGMに「本当の恋人をどうして見分けましょう」が…

今朝、NHKの「サキどり」というドキュメンタリーを何気なく観ていたら、突然ジョン・ハール作曲「本当の恋人をどうして見分けましょう?」がBGMとして流れて驚いた。

「恐怖と壮麗」に収録された、「三羽の鴉」という組曲の最終曲。キャッチーなメロディ、サラ・レオナルドの蠱惑的な歌声など、かなり一般受けする曲であり、かつては車(クラウンか何かだった)のCMに使われているのを聴いたこともある。

流れ始めた途端、曲に注目してしまい、テレビの内容が頭に入らなくなってしまったのだった。

ケネス・チェ氏のマスタークラス

11/20の金曜日、東京藝術大学内で開かれたケネス・チェ Kenneth Tse氏のマスタークラス&ミニコンサートを急遽聴いてきた。

本記事では、まずマスタークラスの様子を書く。

【ケネス・チェ Saxophone マスタークラス】
出演:住谷美帆(受講)、都築惇(受講)、ケネス・チェ(指導)、羽石道代(pf)
日時:2015年11月20日(金)18:00開演
会場:東京藝術大学第二ホール

さすがに18:00開演には間に合わず、30分ほど遅れて到着。住谷氏の第2楽章の受講あたりで会場に飛び込んだ。

おふたりとも非常に上手く…いやはや、今の音大生ってこんなに上手いのかという驚きを持ってマスタークラスを聴いた。チェ氏は、なんと通訳は最低限で、日本語でレッスンを進めるという…これもまた驚き。

手元のメモを転記しておく(あくまで自分用のメモで、内容については間違っている可能性や、チェ氏の意図と違っている箇所がある可能性があるため、引用はご遠慮ください)。

William Albright - Sonata(住谷美帆)

第2楽章
・友人の死を悼む曲
・永遠な感じを出すためにノンヴィブラートでやったらどうか。イントネーションは難しくなるため、表現が欲しければ少し膨らめる等。
・ためらいがちな感じを出す
・フレージングに対する抵抗感(引っ張る感じ)
・小さい音のフラジオ演奏は、下の位置が合っているかどうかの良いテスト。フラジオは、舌のポジションが重要。力を入れるとかそういうことはなく、リラックスする。フラジオのダブルタンギングの練習
・[J]からはピアノの先端側でやったらどうか。まるで動じないような姿勢も重要。
・息だけ(喉でプレッシャーを作るだけ)のダブルタンギングも重要

第4楽章
・サイドキーを使ったフレージング
・Quasi Toungingは、スラップタンギングとは違う。舌は45度で接するのを意識。
・最後の黒い音符は、スラップ、ないし、オープンスラップが良いかもしれない

Paul Creston - Concerto(都築惇)

第1楽章
・20の前はバンドとやるならもう少しゆっくりなほうが良い
・全体的に速すぎる
・ピアノとサックスの細かいフレーズの掛け合いが見えるように
・60の後、ヴィブラートの意図的な変化をつける。続く部分は、1拍子で感じること。Lightな感じ
・間奏のあと、In Timeでは、特に下に向けた3連符のフレーズに抵抗感を持つ感じで。彼女に向けた愛の歌のような。
・ファ(1,2,3,G#,C5)→ファ#(1,p,C5)→ソ(1,C5)
・最後のEbは伸ばしたまま少しp keyを押して音程を下げるのもテクニック
・チェ氏がリュエフの「ソナタ」をレコーディングしたとき、リュエフに録音を送った。全体的にとても良いが、第3楽章は速いというコメントをもらった。なぜなら、速すぎると聴衆がすべての音を聴くことができないから。チェ氏は、普通の曲ではあまりダブルタンギングを使わない。

第3楽章
・リズムを楽しめるテンポで。
・最後の〆の音符、最後から3つ目まででいったん時間をとり、最後の2つの音を連続で。

2015/11/21

BASUYA LIVE at 目黒ブルースアレイジャパン

月曜日のこととなるが、感想を書き残しておきたい。

【Bass Flute Crossover Unit "BASUYA LIVE"】
出演:渡瀬英彦(bf)、榎田雅祥(bf)、斎藤和志(cbf)、寺田正彦(pf)、荒川洋(bf)、大西圭子(bf)、中島愛(bf)、SAKUKO(bf)、福田亜由美(bf)、堀琴雅(bf)、渡辺旭(bf)、三上麻結(bf)、小林真奈(bf)、山田くに子(cbf)、古田戸勝市(cbf)
日時:2015年11月16日(月曜)19:30-20:30, 21:15-22:35
会場:
プログラム:
岸の柳
新作(寺田正彦・新作)
蘇州夜曲
チャッコーナ(メルーラ)
象(ドビュッシー「子供の領分」より)
うさぎのダンス
BASUYAダヨ!全員集合!(斎藤和志・新作)
越天楽
(?)
リンゴ追分
上を向いて歩こう
ちょうちょう
イストラーダ
いつか見た青い空(荒川洋・作)
火星(ホルスト「惑星」より)
(?)
タイスの瞑想曲

渡瀬先生に誘われて伺ったバスフルートを中心とするユニット。昨年の12月に聴いて以来、まるで音楽の始原を垣間見るような独特の響きに囚われてしまった。もともとバスフルートの響きは知っていたが(まあそれも渡瀬センセのライヴで知ったのだが)それが幾重にも重なり、さらに低音方向へと増強されることで、未曾有の響きが生み出される。

多彩なプログラムが並んだが、さり気ない始まりから怒涛の音圧へと变化してゆく「蘇州夜曲」や、あまりに特徴的なバロック作品「チャッコーナ」など、圧倒されるものも多い。寺田氏を中心としたアレンジ陣営のしごとも素晴らしい。メンバーのオリジナル作品では、斎藤和志氏の「BASUYAダヨ!全員集合!」が、楽しさの中にヒネリが加わったような、なんとも言えず惹かれる内容であった。

何曲かは、フルメンバーでの演奏となり、それがまた見た目にもサウンド的にも凄まじい。いやはや、バスフルートが12本、コントラバスフルートが2本、さらに大きな名称不明の大きなフルートが1本と、ピアノ。和声を楽しむ、という感じではないが身体の芯にダイレクトに響いてくるようなサウンドにしびれたのだった。

2015/11/17

Russell Peterson plays "Cyber-bird Concerto"

アメリカのサクソフォン奏者、ラッセル・ピーターソン Russell Peterson氏が、吉松隆「サイバーバード協奏曲」を取り上げた動画を見つけた。ピーターソン氏は、作曲家としても活躍しており「サクソフォン協奏曲」「アルトサクソフォンとフルート、ピアノのためのトリオ」などの作品で知られる。

彼が「サイバーバード協奏曲」を取り上げるとは意外だった。自作を演奏しているイメージが強いのだが、これもなかなかカッコいい演奏だ。即興部分はやはり奏者の個性が出るなあとか(第3楽章の無伴奏即興はちょっとさすがに原曲コンセプトと違うのでは、と思ったが…)、繰り返し出現する音形の処理はさすがに隙が出るなあとか、オケが意外とノリノリだなあとか、テンポ設定や拍子の捉え方がちょっと違うイメージのところがあるとか、聴いているといろいろ思う部分もあるのだが、覇気というか熱気というか、ライヴならではの凄まじさがあり、引きこまれてしまった。



演奏記録は以下の通り。

Russell Peterson, Alto Saxophone
Jay Hershberger, Piano
Kenyon Williams, Percussion

The Fargo-Moorhead Symphony
Chris Zimmerman, Director

Recorded Live Sept. 27, 2015
At North Dakota State University

2015/11/15

Quatuor Adolphe SaxのWikipedia記事

かつて、クロード・ドゥラングル Claude Delangle教授が参加し、活動していた四重奏団Quatuor Adolphe Saxについて書かれた以下のページをざっくりと訳してみる。出典不明の記事ということで、内容の検証・修正等がなされるべきだと思うのだが、どなたかやりませんかね。

https://fr.wikipedia.org/wiki/Quatuor_Adolphe_Sax

Le Quatuor Adolphe Sax de Paris (1981-1986)は、Jacques Baguet、Claude Delangle、Jean-Paul Fouchécourt、Bruno Totaroによって結成された。ガブリエル・ピエルネの「民謡風ロンドの主題による序奏と変奏」、フローラン・シュミット「四重奏曲」の録音が存在する。アルジェリアへの演奏旅行を敢行し、デザンクロの歴史的名演を打ち立てた(要出典)。1986年、野平一郎の「四重奏曲」をワシントンで初演。パリにおいてエディソン・デニゾフ「五重奏曲(サクソフォン四重奏+ピアノ)」を初演。若い世代の演奏家たちに大きな影響を与えた。Le Chant du Mondeより録音がリリースされている。

デザンクロの名演の話は興味深い。本当かどうかも気になるが、いったい誰がそんなエピソードを書き込んだのだろう。

ピエルネとシュミットの録音については、こちらの記事を参照いただきたい。

演奏会情報:クローバーSQ結成10週年

クローバー・サクソフォン・クヮルテットの結成10週年記念リサイタルが開かれる。国内サクソフォン界の中を見渡してもかなり若いカルテットだと思っていたのだが、気がつけば結成からなんと10週年を迎えたとのこと。もはや名実ともに"中堅"と呼んで差し支えないだろう。実演や録音に何度も接したことがあるが、いずれも素晴らしいものだ。2007年5月のデビューリサイタルも聴きに伺った(そうか、"デビュー"ではなく、"結成"から10年経ったということか)が、当時と同じ会場、またプログラムもいくつか当時を再現しての、リサイタル開催となる。

プログラムは大曲揃いだが、個人的に嬉しいのは、J.S.バッハ/伊藤康英「シャコンヌ」が演奏されること。私感だが、バッハ作品の中でサクソフォンのためにアレンジされたもののなかで、最も優れたアレンジの一つと考えている。雲井雅人サックス四重奏団のために書かれ、初演以降なかなかメジャーなカルテットが取り上げる機会は少なかったが、最近ようやく認知され始めているようだ。クローバーSQの演奏でこの演奏を聴くことができることが嬉しい。アルトの田村氏が今年頭の東北サクソフォンフェスで演奏したとのことなので、それが今回の演奏のきっかけにつながっているのだと思う。

【クローバー・サクソフォン・クヮルテット 結成10周年記念リサイタル】
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■東京公演
日時:2015年12月23日(祝・水) 18:30開場 19:00開演
会場:東京文化会館・小ホール
チケット料金 前売:一般3500円/学生2000円(当日500円増し)
お問い合わせ・チケット取扱い:
 チケットぴあ:0570‐02‐9999(Pコード272‐696)
 インターミューズ・トーキョウ:03‐3475‐6870
 東京文化会館チケットサービス:03‐5685‐0650
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■岡山公演
日時:2015年12月21日(月) 18:30開場 19:00開演
会場:倉敷市芸文館アイシアター
チケット料金 前売:一般3000円/学生2000円(当日500円増し)
お問い合わせ・チケット取扱い:
 岡山サクソフォンクラブ事務局・井上 090‐8577‐2644 http://www.o-sc.jp/
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プログラム:
E.ボザ - アンダンテとスケルツォ
F.シュミット - サクソフォン四重奏曲
J.S.バッハ/伊藤康英 - シャコンヌ
A.グラズノフ - サクソフォン四重奏曲
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アドルフ・サックス制作の"トロンボーン"

少し前、2015年11月6日は、アドルフ・サックス(1814.11.6-1894.2.4)の生誕201周年の日であった。GoogleのDoodleにアドルフ・サックスが登場!Googleの粋な計らいに興奮した方も多いことだろう。

そのDoodleの画像の中のひとつに、アドルフ・サックス制作の"トロンボーン"が表示されていた方をご存知だろうか。6バルブのトロンボーンの発明も有名だが、やはり見た目のインパクトではこちらだろう。発明は1867年と言われているが、発明当初、熱狂を持って迎えられ、なんとパリ・コンセルヴァトワールにこの楽器の教育クラスができたというから驚きだ。だが、非常に重く、また見た目通り構造が複雑であること、またフィンガリングの難しさにより、廃れていったという。バルブは6つで、ベルは7つ。7つ目のベルは、バルブをひとつも押していないときに機能する。

ベルギーの楽器博物館(MIM)のページでは、音を聴くこともできる(→こちら)。

2015/11/13

演奏会情報:ファブリス・モレティ2015

今年もファブリス・モレティ氏が来日した。11月7日には名古屋公演が行われ、好評を得たようだ。

大曲が並ぶプログラム。とても面白そうだ。モレティ氏によるデュクリュックの「ソナタ」など、想像しただけでわくわくしてしまう。このような、フレンチ・アカデミズムの流れをくむプログラム(ジョン・ウィリアムズは違うが)をまとめて楽しめるのは、モレティ氏のリサイタルの醍醐味だろう。

この日は他にも注目公演があるのだが、それはまたの機会にご紹介したい。

【ファブリス・モレティ サクソフォン リサイタルツアー 東京公演】
出演:ファブリス・モレティ(sax)服部真理子(pf)野原孝(sax: guest)
日時:2015年11月19日(木曜)19:00開演
会場:ルーテル市ヶ谷・ホール
料金:一般3,500円/高校生以下2,500円 ※当日券共に500円増
プログラム:
F.デュクリュック:ソナタ
P.M.デュボア:コンチェルト
G.ラクール:デュオ組曲
J.ウィリアムズ:エスカペイズ、他
主催:デュオ服部
協賛:ビュッフェ・グループ・ジャパン
後援:日本サクソフォーン協会
問い合わせ:鈴研音楽会
suzuken_concert「@」yahoo.co.jp

(チラシ・クリックして拡大)

2015/11/11

原先生と交流会打ち合わせ

川崎にて、原博巳先生を交えた第7回サクソフォン交流会の打ち合わせ。企画内容や、全員参加合奏の大まかな方向性も決まり、これからは詳細化・確定のフェーズとなる。

2015/11/08

東名高速サクソフォンクインテット2015

先週金曜の事となるが、東名高速クインテットの演奏会。確かな技術に裏打ちされた、底抜けに楽しい演奏会。東京と名古屋の俊英が結集した、個性のぶつかり合い!

【The 3rd 東名高速サクソフォンクインテット】
出演:瀧彬友、川地立真、松下洋、上野耕平(以上sax)、黒岩航紀(pf)
日時:2015年11月6日 金曜 18:30開演
会場:アクタス ノナカ・アンナホール
プログラム:
L.v.ベートーヴェン - ヴァイオリン・ソナタ「春」より第1楽章
R.R.ベネット - スタン・ゲッツのための協奏曲より第1楽章
J.M.ルクレール - アダージォ、アルマンド、ジーグ
A.K.グラズノフ - サクソフォン協奏曲
C.フランク - 天使の糧
新実徳英 - サクソフォン・スパイラルより第2楽章
G.ガーシュウィン - ラプソディ・イン・ブルー
→Pia-no-jaC← - 組曲『 』
G.ガーシュウィン/中村節 - ソング・ブック
A.I.ハチャトゥリアン/前田恵美 - 組曲「仮面舞踏会」
旭井翔一 - 女なんて星の数ほどいるさ、星に手は届かないけどね(アンコール)

第一部はソロステージ。四者四様の選曲、そして演奏へのこだわり。共演の黒岩氏(祝・日本音楽コンクールピアノ部門第1位!)の確かなサポートも素晴らしい。松下氏は、サクソフォンの表現を越えようとしたアプローチ。円錐管が持ちえない、全音域にわたる繊細さを表現しようとする選曲とチャレンジが素晴らしい。川地氏は、なんとあの「スタン・ゲッツのための協奏曲」を披露。選曲の妙と、ご自身が持つジャズの素養がマッチし、迫力の演奏だった。瀧氏は、ルクレールのソナタ形式の作品を。丁寧さとともに、バロック作品が持つある種の"狂気"をもはらんだ演奏に引き込まれる。上野氏は、昨年の専攻演奏会でも取り組んだグラズノフ。アンサンブルの面でも、独奏の面でも、絶品といえる演奏を繰り広げた。

第二部は小編成アンサンブルのステージ。フランクの「天使の糧」で、どこまでも美しい響きを追求したかと思えば、新実徳英「サクソフォン・スパイラル」では、アルトサクソフォン2本による未知のサウンドが響き渡った(その昔、サクソフォン・フェスティバルのプログラム冊子に寄せたコメントで、新実氏が「サクソフォンとピアノのソノリテが私の頭の中で溶け合わないので、まずはサクソフォン・デュオの作曲に取り組んでみようと思っている(※正確な文ではなく、大意)」というようなことを書いていたことを思い出した)。続いては黒岩氏ソロのピアノ独奏。まさかのピアノ独奏で「ラプソディ・イン・ブルー」!半端ない超絶技巧、眼前にオケが広がるかのような音の厚みと数だが、ぐいぐいと弾きこなしていく演奏に惹き込まれる。最後は、→Pia-no-jaC←の「組曲『』」を、黒岩氏のピアノと、まさかの川地氏のカホンで、という…黒岩氏のピアノは当たり前のように上手いのだが、川地氏のパーカッションも"サクソフォン奏者の余技"というレベルを遥かに超えたプロフェッショナルの演奏で、驚かされた。

第三部はカルテットとクインテット。ガーシュウィンとハチャトゥリアンと、比較的オーソドックスなプログラムが並ぶと思いきや、ずいぶんと手の込んだアレンジで驚かされる。ガーシュウィンも凄かったが、特にハチャトゥリアンは、冒頭から度肝を抜かれ、終結部まで驚きの連続。原曲の装いはもちろん多く残るが、全く違うエンターテイメント作品に生まれ変わっており、興奮させられた。アンコールは、旭井翔一氏の手によるきらきら星変奏曲こと「女なんて星の数ほどいるさ、星に手は届かないけどね」を、サクソフォン3本、パーカッション、ピアノという編成で演奏して〆となった。

演奏会としては少し長かったが、ヴァリエーション豊かで楽しい演奏会だ。これからもぜひ毎年伺いたい。

終演後は、気心知れた皆様と串八珍にて飲み会。ワインをボトルで3本も空けたような…楽しかった。演奏会打ち上げの座敷にも少し顔を出せて良かった。

先輩・後輩ご夫婦のお宅訪問

茨城県にお住まいの、大学の吹奏楽団時代の先輩・後輩ご夫婦のお宅に、夫婦で遊びに伺った。お昼から夕刻まで、いろいろと美味しい手料理を振る舞ってくださり、またおしゃべりが弾んだ。なんだかんだお会いするのも久々だったのだが、楽しい時間を過ごしたのだった。そういえば、家に人を招くことは多いが、夫婦で訪問は初めてだったかも…。

11/23向けの練習

11/23向けの練習進行中。アメリカのサクソフォン奏者、ラッセル・ピーターソン Russell Peterson氏が、自身が所属するサクソフォン、フルート、ピアノのバンドである"Trio Excelsior"のためにアレンジした「All I See is You」「Spain」を演奏予定。なかなか技術的に難儀で、苦労している。

ちなみにその演奏機会だが、比較的クローズドな会なので、ここに宣伝を載せていいのか良く分からないのだが、もし大丈夫そうだったらここでもお知らせする。

2015/11/05

ヤマハ目黒吹奏楽団 Autumn Concert 2015

文化の日、ヤマハ目黒吹奏楽団のお手伝いに伺った。2011年、なめら~か等でご活躍のサクソフォン仲間のHさんに誘っていただいて以来、ステージマネージャーとして携わるようになった。なんだかんだで、もう9回目となる。

【ヤマハ目黒吹奏楽団 Autumn Concert 2015】
出演:ヤマハ目黒吹奏楽団、鳥谷部武夫(指揮)、大田昌穂(司会)
日時:2015年11月3日(火・祝)14:00開演
会場:めぐろパーシモンホール・大ホール
プログラム:
J.フチーク - 剣士の入場
佐藤博昭 - 天国の島
樽屋雅徳 - マゼランの未知なる大陸への挑戦
L.アンダーソン - 舞踏会の美女
A.ドヴォルザーク - 交響曲第9番 第4楽章
すぎやまこういち - ロトのテーマ
宇野誠一郎 - ひょっこりひょうたん島
オムニバス - 和田アキ子コレクション
服部良一 - 蘇州夜曲
オムニバス - ジャパニーズ・グラフィティX
大野雄二 - ルパン三世のテーマ
いずみたく - 見上げてごらん夜の星を(アンコール)
J.H.ビリク - ブロックM(アンコール)

演奏会進行中は、例によって気が抜けないのだが、さすがにこれだけ回数を重ねると少しずつ余裕も出てきて、聴く楽しさも生まれてくる。前半は少しマニアックな吹奏楽曲の数々、後半は「日本再発見」と題して日本ならではの曲を、それぞれ取り上げていた。

入場無料とはいえ、客席の1階席がほぼ埋まってしまうその集客力には毎度驚かされるし、演奏クオリティも大変高い。個人的には、やはり後半の曲の数々が楽しかったなあ。「ひょっこりひょうたん島」はアレンジがなかなか手が込んだものでリズムチェンジがとても楽しかったし、和田アキ子コレクションでは「古い日記」が面白い。ジャパグラは「時代劇絵巻」というサブタイトルで、「大江戸捜査網」のカッコ良さにしびれた。ルパンのカッコ良さは言わずもがな。

いやはや、スタッフとしての関わりながら、楽しい演奏会だった。打ち上げもしっかり参加(だいぶ酔っ払ってしまった)。

2015/11/01

「音楽コンクールってなんだろう?」(子ども音楽新聞より)

公益財団法人ソニー音楽財団が発行する「子ども音楽新聞」の2015年8月第23刊に、「音楽コンクール」の特集が掲載されていた。「子ども音楽新聞」は、同財団法人が発刊する子供向けに音楽知識を易しく解説するフリーペーパーで、「国際オーボエコンクール・軽井沢」が10月に開かれていたこともあり、それに合わせて音楽コンクールの特集が組まれていたようだ。

同財団が主催するコンサートにチラシとともに挟まれているようだが、以下のリンクから閲覧できる(第22刊から第23刊になったとたんにデザインが突然変わっているのが面白い。閑話休題)。

http://www.smf.or.jp/kodomo/


音楽ライターの片桐卓也氏による文章で、「音楽コンクールとは何か?」を一般的に、平易に解説した内容。コンクールの歴史、現在の音楽コンクール、コンクールの目的について、短いながらもわかりやすく丁寧に書かれている。例えば、コンクールの目的については次のように記されている(本文を引用)。

コンクールの大きな目的は、優れた才能の演奏家を発掘することですが、それだけではありません。コンクールによって、その楽器の演奏のレベルを高くすること、コンクールの名前に付けられた作曲家や楽器の作品を世の中に広めること、などがコンクールの目的です。

コンクールの目的ってなんですか?と聞かれたとき、これまでは、私はこうもシンプルにすぐ答えられることはできなかったなあ。目的の項目他、歴史、現在の実情についても、子供向けの内容とはいえ、大変勉強になったのだった。

James Stephenson "Mahogany Moods"

ティモシー・マカリスター氏が参加したYouTubeの動画をご紹介。

サクソフォン、バス・トロンボーン、ピアノのための、James Stephenson「Mahogany Moods」という作品で、2015年9月22日の初演の模様とのこと。バス・トロンボーンは、デトロイト交響楽団の奏者で、Randall Hawes氏、ピアノはマカリスター氏との共演でおなじみのKathryn Goodson氏だ。

どのような響きがするのかなと聴いてみたのだが、なかなか面白い。ソノリティとしてはほとんど融け合う部分はないため、明確に役割が分担され、お互い決して真似のできないようなサウンドを紡ぎ出している。まるでジャズのコンボバンドのような雰囲気もある。緩徐部分のつかず離れずといったテンションも良いが、高速部分の楽しくスリリングな装いも魅力的だ。



それにしても、マカリスター氏の圧倒的な上手さよ。またライヴで聴きたいなあ。

2015/10/29

パイパーズ2015年11月号にコングレス・レポート掲載

杉原書店が出版する管楽器専門誌「パイパーズ」の2015年11月号(411号)に、サクソフォン・コングレス"SaxOpen"のレポート記事を掲載いただいた。巻頭から2番目にぶち抜きで6ページという好スポット・大ボリューム。私は本当に駄文と写真をごそっと提供しただけなのだが、素敵なレイアウトにしてくださり、感謝感激だ。見出しは「アルザスの古都で繰り広げられた過去最大規模のサックスの祭典」という、これまた目を引くテロップ(これも考えていただいたのだ)。

ブログのレポートとはまた違った構成・雰囲気で書いたので、興味ある方はぜひ手に取っていただけると嬉しい。昔から目にしていた雑誌に自分の記事が載るというのは、不思議だがとてもうれしくありがたいことだ。

詳細はこちらのサイトから。https://www.pipers.co.jp/

サクソフォン交流会打ち合わせ

水曜日の夜は、サクソフォン交流会の打ち合わせ。企画ステージの内容のアイディア出しと、進捗確認だった。企画ステージは毎度毎度頭を捻る部分で、関わる人全員が100%で納得するものはないため、その間を取って良い着地点を見つけていく作業が難しい。

なんとか内容の方向性も決まり、あとは事務局内部の共有や先生との調整、内容の詳細化が始まる。

2015/10/28

日本サクソフォーン協会のウェブページ

すでに多くの方はご存知のことと思うが、日本サクソフォーン協会のページがリニューアルした。

これまでのHTMLタグ直打ちページから一転、佐藤淳一さんがデザインの大枠を作り、大幅にリニューアルされた。

http://japan-saxophonists.com/

どのような運用形態になっているのかは知らないのだが、かなり頻繁に更新されている。もしご存じない方がおられれば、一度ご覧になってみては。

MVNOで運用2ヶ月

スマートフォンをMVNOのmineoで運用し始めてから2ヶ月と少し。現在のところ、メリットしか感じない状態だ。"通信速度が遅くなることがある"というのはよく聴く悪評だが、少なくとも私の使い方ではそれを感じたことはこれまでない。料金が安くなり、他が何も変わらない…というのは有り難いことだ。もっと早く変えれば良かったなあ。

2015/10/25

Green Ray Saxophone Quartet 4th Concert

【Green Ray Saxophone Quartet 4th Concert】
出演:Green Ray Saxophone Quartet
日時:2015年10月25日 19:00開演
会場:めぐろパーシモンホール・小ホール
プログラム:
小西遼「まだ見ぬ色へ」
A.コープランド/P.コーエン「4つのピアノ・ブルース」
R.ペック「ドラスティック・メジャー」
北方寛丈「2 Dances」
D.マスランカ「マウンテン・ロード」

グリーンレイSQの、4回目のコンサート。卒業の年…内田さんは他の三人と比べて一つ下の学年なので、ちょっと違うが…から毎年コンスタントに演奏会を続けていることに驚かされる。毎度(良い意味で)聴衆に媚びないプログラミングと、何かしらのこだわりが魅力と感じて、頻繁に演奏会に伺っている。

会場の残響が、広さに対してかなりデッドであったため、少々もったいないなと思う箇所もあった。それでもカルテットとして狙おうとしているであろう響きがあちこちから聴こえてきて、聴いていてとても楽しい。個々の点でも、皆さんそれぞれ素敵な演奏を繰り広げるのだが、今回は明日美さんのソプラノがまた良かったなあ。何気ない伸ばしの一音を、美しく響かせようという意志を感じた。

小西氏や北方氏の新作は、もっとゴリゴリにジャズorフュージョンした作品を想像していたのだが、意外にも規模や他ジャンルの影響は抑制されており、ちょっと肩透かしだったかな。代わりに、ペック「ドラスティック・メジャー」や、マスランカ「マウンテン・ロード」のようなウルトラ大曲の気合の入れようといったら!特に「ドラスティック・メジャー」は、曲の持つパワー、テンションをしっかりと表現しており、かなり聴き応えがあった。

アンコールは、山本哲也「グリーン・バラード」。第一回の演奏会のアンコール曲だ。曲も演奏も、肩肘張らない、さり気ない美しさを湛えていた。

ハバネラ・サクソフォン・カルテットの新CD情報

昨日の演奏会、CD売り場にハバネラ・サクソフォン・カルテットの新CDプロモーションフライヤー置かれていた。2015年秋(そろそろかな?)に、新しいCDのリリースが予定されているそうだ。

収録曲目は、ドビュッシー「スティリー風タランテラ」「サラバンド」「トッカータ」、ショーソン「幾つかの舞曲作品26」、ラヴェル「弦楽四重奏曲」とのこと。金曜日のコンサートでも演奏された作品、また9年前の来日で演奏された作品が収録されている。きっと素晴らしい内容になることだろう。特にラヴェルが個人的に楽しみだ。

ハバネラSQ&ブルーオーロラSQ八重奏コンサート

"祝祭"というキーワードが頭に思い浮かんだ。

ハバネラ・サクソフォン・カルテットの面々は、平野公崇氏のパリ国立高等音楽院時代の同窓生にあたる。平野氏とハバネラSQとの関係はその後もハバネラ・アカデミー等で続いており、そのような経緯から今回の共演が実現したとのこと。平野氏のMCからは、「念願の」といった雰囲気が伝わってきたのだが、演奏もまさにそのような感じだった。

【ハバネラ・サクソフォン・カルテット リサイタル】
出演:ハバネラ・サクソフォン・カルテット、ブルーオーロラ・サクソフォン・カルテット
日時:2015年10月24日(土曜)19:00開演
会場:青葉区民文化センター フィリアホール
プログラム:
J.リュエフ - 「四重奏のためのコンセール」よりアントレ
J.S.バッハ - 主に向かって新しき歌をうたえ
J.S.バッハ - 「ブランデンブルク協奏曲第3番」よりアレグロ
F.メンデルスゾーン - 弦楽四重奏曲変ホ長調より第1楽章
M.ラヴェル - 「クープランの墓」よりプレリュード、トッカータ
山田耕筰/平野公崇 - 「エスプリ・ドュ・ジャポン」より赤とんぼ
真島俊夫 - ラ・セーヌ
A.ボロディン - だったん人の踊り
山田耕筰/平野公崇 - 「エスプリ・ドュ・ジャポン」より江戸の子守唄(アンコール)
A.ピアソラ - ブエノスアイレスの春(アンコール)

自発性に満ちた音楽が聴衆の眼前に広がる。2つのカルテットは、サウンドの方向性も音色も音楽性も全く違うのだが、なぜこのように魅力的なのだろうか。普通に聴いていたら「ここの音色が完全には合っていません」という感想が出てしまうはずなのに、それ以上の何か…強烈な説得力があるものだから、もはや何も言えなくなってしまうのだ。圧倒的なスピード感、多彩なサウンド…。次から次へと繰り出される響きは、底抜けに楽しく、昨日とは違う意味での「言葉では説明できない」演奏なのであった。

フランス風序曲を模したリュエフの「コンセール」のアントレ(演奏会の開始に、なんと相応しいことか)は、なんとダブルパート、8重奏での演奏。バッハでは、ポリフォニックな響きが会場をいっぱいに埋め尽くす。アンサンブルとして(個人的な感想だが)最も素晴らしい演奏を展開したメンデルスゾーンの緻密な連携プレーには、大変興奮させられた。ラヴェルでは、サクソフォンならではの機動性が光り、和声のスピーディな進行の連続を見事に表現してみせ、「赤とんぼ」ではあの冒頭のクリスチャン・ヴィルトゥ氏の超々極小の音!にやられてしまった…この2日で最も驚かされた音だったかもしれない。真島俊夫の「ラ・セーヌ」やボロディンは、演奏会のフィナーレへと向かって楽しさ、嬉しさが爆発し、その興奮の渦に会場全体が巻き込まれていくような、そのような稀有な時間を過ごしたのだった。

実に楽しい演奏会だった。文化人類学における"祝祭"とは、人々が日々の営み(所謂「仕事」)の中で少しずつ生産し続けた剰余を、ある瞬間に一気に使い果たす行為であるとされる。今宵の演奏会で、「蕩尽」とも形容されるような、たった2時間弱における圧倒的消化を目の当たりにしたのだった。非日常的な空間の共有を、演奏者と、聴衆、双方が期待し、その化学反応が期待を大幅に超えて進んでしまった…まさに、未曾有の体験であった。

2015/10/24

ハバネラ・サクソフォン・カルテット リサイタル2015

サクソフォン四重奏を聴きにいったはずなのだが、あまりに別次元の響きが続くものだから、途中から何を聴いているのか分からなくなってきてしまった。

【ハバネラ・サクソフォン・カルテット リサイタル】
出演:ハバネラ・サクソフォン四重奏団(クリスチャン・ヴィルトゥ、シルヴァン・マレズュー、ファブリツィオ・マンクーゾ、ジル・トレソス)
日時:2015年10月23日(金曜)19:00開演
会場:青葉区民文化センター フィリアホール
プログラム:
G. テレマン「水上の音楽」より序曲
R.シューマン「弦楽四重奏曲第2番 ヘ長調 Op.41-2」より第1楽章
E.ショーソン「舞曲 op.26」より
C.ドビュッシー「スティリー風タランテラ」「トッカータ」
P.エトヴェシュ「様々な解釈」
B.バルトーク「ブルガリアのリズムによるダンス」
P.グラス「サクソフォン四重奏曲」より第4楽章
A.ピアソラ「ミケランジェロ'70」(アンコール)
J.S.バッハ「?」(アンコール)

私は、演奏会に出かける時には、自分の中に"基準"のようなものを持っていく。あらかじめ、それまで録音や実演で接した経験をベースとして「凡そこのくらいの驚きがあるだろう」という見込みを自分の中に作りこむのだ。実演に接した時、その基準を超えると感動するのだが、ハバネラ・カルテットについては、それが全く通用しないと感じた。これまでにCDを何枚も聴いたし、映像も観たし、9年前とはいえ実演に接したこともある…しかし、そういった私の中の(大きな)期待を易々と飛び越えて、別次元の世界へと連れて行くような、そんな演奏だった。もはや書くことができる言葉は推測をベースにしたものでしかない。

技術的な面は世界最高水準だろう。消え入るような、しかし安定したピアニシモ、フラジオも難なく吹きこなし、音色はただひたすらに美しい。だがしかし、技術で説明しきれない部分だらけだ。

シューマンの辺りから、聴いたことのない響きが連続して、サクソフォン四重奏という編成をベースに演奏を語ることができない。サクソフォンが複数本折り重なっている箇所では、瞬間瞬間に、響きが変化していく。聴いたことのない響きだから、言葉を使って「弦のような」「肉声のような」と表現することもできない。だがしかし、1本に着目して聴いてみると、意外と普通のサクソフォンの音である。その、普通(と思われる)サクソフォンの音が2本、3本、4本と重なっていくに連れて、色彩が無限に拡がっていく。

エトヴェシュの新作のような、一聴すると良く分からない作品でも、なんと見通しの良い演奏であることか!だが、見通しが良いと言っても、「楽譜が見えるような正確な演奏がすごかった」ではなく「音楽を聴きました」という感想に落ち着いてしまうことが不思議だ。正確無比、ということではきっとないのだが、なぜあんなに説得力があるのだろうか。

休憩なし、アンコールまで含めておよそ1時間30分弱の一本勝負。短いMCを挟むのみで、極彩色の響きを、次へ次へと楽々紡ぎだす。きっと何か特別な凄いことをやっているのだろう…と、同じサクソフォン吹き(と言うのも憚られるほどだが)の端くれとしてそのヒントを少しでも得ようとするのだが、無駄骨に終わったのだった。

いやはや、明日(もう今日か)の8重奏コンサートも楽しみだ。

2015/10/23

サイバーバードのピアノリダクション版が販売開始

吉松隆「サイバーバード協奏曲」のピアノリダクション版が販売開始となった。須川展也氏監修とのこと。

演奏用スコア+パート譜(電子版)
http://asks-orch.com/shop/products/detail.php?product_id=294

演奏用スコア+パート譜
http://asks-orch.com/shop/products/detail.php?product_id=293

スタディスコア(電子版)
http://asks-orch.com/shop/products/detail.php?product_id=292

スタディスコア
http://asks-orch.com/shop/products/detail.php?product_id=291

初演前に楽譜が一般販売開始されたことは意外だった。誰が初演することになるのかなあ。

2015/10/21

SaxOpenの動画が大量に公開中

7月に行われたサクソフォン・コングレス"SaxOpen"の演奏動画だが、今になって公開が一気に進んでいる。Vimeo上の、Boulevard des productionsのアカウントから辿ることができる。カメラワークや音質にかなりこだわっている動画もあり、見応え充分。

https://vimeo.com/user13732438

いろいろ公開されていて目移りしてしまう。…おお、行列で入れなかったマカリスター氏のリサイタルもアップされている。

22 CONCERT - TIMOTHY MCALLISTER RECITAL - THIMOTHY MCALLISTER & LIZ AMES from boulevard des productions on Vimeo.


最終日のSaxAssault。いやあ、楽しかったなあ。思い出が蘇りますなあ。

CONCERT - POP SAX - SAX ASSAULT from boulevard des productions on Vimeo.

千畳敷カールへ

17日の諏訪での演奏ののち、実家で一泊。その次の日は、千畳敷カールへと散策に出かけた。ふもとのバス停に車を停め、バスに揺られて30分、さらに駒ヶ岳ロープウェイで8分。日本最高地点の駅、標高2612mへ一気に駆け上がる。森林限界はとっくに超えているような場所まで、気軽に行くことができるのは実に楽しいことだ。

千畳敷カールの紅葉は終わってしまっていて、うっすらと雪が積もっているほど。しかし、むき出しの岩肌の光景は圧巻だ。宝剣岳を背にすると、南アルプスの山々が連なるダイナミックな光景が目に飛び込み、さらにその奥には富士山まで!抜けるような青空とともに、絶景を堪能した。

今度は宝剣岳や木曽駒ヶ岳まで行ってみたいなあ。

2015/10/18

諏訪の四賀公民館で演奏

昨日、10/17は諏訪の四賀公民館の文化祭で演奏だった。一昨年、昨年に引き続き3回目であり、毎回暖かく迎えてくださり、嬉しいことだ。

5重奏で本多俊之「陽だまり」と鈴木英史「フォスター・ラプソディ」を、4重奏でフラッケンポール編「ラグタイム組曲」、唱歌メドレー(日本サクソフォーン協会の楽譜)他、数曲を、1時間ほどにわたって演奏した。吹きっぱなし&(ほぼ)しゃべりっぱなしでだいぶ疲弊したが、とても楽しかった。関係者の皆様、ありがとうございました。

この日は、このあと実家へ移動した。

5重奏の演奏写真。

2015/10/16

明日は諏訪で演奏

明日は長野県諏訪の四賀公民館で演奏。ここ最近毎年続いて、3年目となる。少々ヘビーだが、楽しみだ。

朝早いので簡素な記事にて。早く寝ないと…。

2015/10/15

デファイエ四重奏団の伝説の名盤が復刻

かつてCBSソニーが出版していたダニエル・デファイエ・サクソフォン四重奏団の伝説の名盤2枚が「タワーレコード "Sony Classical" スペシャル・セレクション第9集」のひとつとしてソニーレコーズインターナショナルより復刻される。

http://www.sonymusicshop.jp/m/item/itemShw.php?site=S&ima=0940&cd=SICC000001972

誰が企画し、どのような経緯を経て発売までこぎ着けたのかは分からないが、なんとも嬉しい復刻だ。また、木下直人さんに教えていただいたのだが、LP時代に何度か再発売されたことから、おそらくソニーが保管していたマスターテープからの復刻であろう、とのことだ。

ある世代以上のサクソフォン吹きにとっては「衝撃の盤」であり、「標準の盤」であるとも聞く。「衝撃」とは、その圧倒的な技術と音楽性、得も言われぬその音色という点において。「標準」とは、今では一般的とも言える、収録されたレパートリーの唯一の参考盤であったという点において。これらの盤が、日本のサクソフォン界に与えた影響は計り知れない。また、実はこのブログを立ち上げるきっかけとなったのはこの2枚のLPなのだ(詳細はこの記事の最後に)。

リュエフ、冒頭にジャン・ルデュー氏がバリトンサクソフォンで出している"シ"の音に驚くべし!こんなに裕な響きがバリトンで、しかもブリルハートで出せることに驚かされる。もちろん、その他の曲の演奏も最高である。録音は、アンドレ・シャルラン率いるCECE(Centre d'Enregistrement Champs-Elysee)への外部委託。1975年、サル・アディヤールにおいて録音され、4日間の予定のところ、1日で録りきってしまった(ポラン氏談)というから驚きだ。このシャルランの録音を、発売元のソニーのエンジニアは気に入らなかったというが、おそらく録音に対する考え方の違いだろう。

J.リュエフ - 四重奏のためのコンセール
A.ティスネ - アリアージュ
C.パスカル - 四重奏曲

まるでフルートのように聞こえ、最後がffで終わる「G線上のアリア」、ものすごいドライブ感を湛えた「3つの小品(編集ミスあり)」、ミュールの録音を思い起こさせる「メヌエット」…等々、一つ一つは小品ながら話題に事欠かないアルバム。松雪先生にMDをコピーしてもらい、その後木下直人さんに復刻してもらい、何度聴いたことだろうか。録音はこまばエミナース。

J.S.バッハ - G線上のアリア
D.スカルラッティ - 3つの小品
L.ボッケリーニ - メヌエット
W.A.モーツァルト - アヴェ・ヴェルム・コルプス
R.シューマン - スケルツォ
P.I.チャイコフスキー - アンダンテ・カンタービレ
I.アルベニス - カディス
I.アルベニス - コルドバ
I.アルベニス - セヴィリャ
C.ドビュッシー - 小さなネグロ
C.ドビュッシー - 小さい羊飼い
C.ドビュッシー - ゴリウォーグのケークウォーク

Amazon等で予約も開始しているようだ。私も早速予約した。サクソフォーン・アンサンブルの至芸


このブログを(正確に言うと、当時はジオシティーズでdiary.kuri_saxoを書いていたので、そのウェブページを)立ち上げるきっかけとなったのはこの2枚のLPの録音だった。当時の記事内容を下に転記しておく。10年以上前…2005年1月21日の記事だ。

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デファイエ四重奏団のリュエフ、ティスネ、パスカルの録音。リュエフの冒頭、一発目のバリトンの音を聴くことは長年の夢だったけれど、ああ、こんなにも豊潤な音色だとは…。まさに世界最高のバリトンの音と呼ぶにふさわしい。デファイエ四重奏団の録音を初めて聴いたときから、一番好きなバリトンサクソフォン奏者はジャン・ルデュー。OpusやPolymnieから出ているルデュー四重奏団のCDでも驚異的な音楽を聴かせてくれる(Opusへの吹き込みはルデュー氏が64歳の時、Polymnieに至ってはなんと73歳のときの録音!)。

よく取り出して聴くのはパスカル。フランスのエスプリがしっかり効いた素敵な演奏。1797年版のアントワーヌ・リヴァロル著「新フランス語辞典趣意書」において、「エスプリ」とは「速やかに見てとり、キラリと光ってみせ、打ち勝っていく能力」と説明されているが、まさにそんな感じであります。個人的に好きな第4楽章、随所に散る火花は私を魅了してやまない。

そしてこちらも感激!!ずっと聴きたかった、デファイエ四重奏団の小品集。録音は来日時にこまばエミナースにて。一曲目は「G線上のアリア」。個人的に知ってるプロのトランペット奏者の方が、エアチェックしながら最初の音色を聴いて「フルートの音色みたい」と思ったらしいが、あながち言っていることが分からないでもない気がする。曲の最後がffで終わるのは今となっては伝説であるらしいですな。フルモーサクソフォン四重奏団が2002年の来日の際に同じアレンジと解釈で演奏をし、話題になったとかならないとか。

この小品集の録音のキモはスカルラッティの「3つの小品」だろう。EMI Franceに遺された録音(ピエルネ、デザンクロ、リヴィエ、シュミット)を聴く限り、もっと(いい意味で)じゃじゃ馬な演奏を期待していたのだが、意外と統制感が漂い、さらに強烈な個々のテクニックと美しい音色が音楽としての価値を高ている。個人的には第1楽章「プレスト・ジョコーソ」のドライヴ感が大好き。

ハバネラ・サクソフォン四重奏団特集(その6):講習会のこと

ハバネラ特集第6弾。

ハバネラ・サクソフォン四重奏団特集(その1):どんな団体?
ハバネラ・サクソフォン四重奏団特集(その2):おすすめのCDは?
ハバネラ・サクソフォン四重奏団特集(その3):他に面白いCDは?
ハバネラ・サクソフォン四重奏団特集(その4):演奏動画を観たいのだけど…
ハバネラ・サクソフォン四重奏団特集(その5):来日演奏会の詳細!

ハバネラ・サクソフォン・カルテットの面々は、教育者としても優れている方ばかりだ。

クリスチャン・ヴィルトゥ(ソプラノ)は、現在パリ市立13区音楽院教授。多くの生徒をパリ国立高等音楽院に送り込んでいることは周知の通り。スィルヴァン・マレズュー(アルト)は、現在、エヴルー音楽院教授。20歳の時、すでにサクソフォンの教員免許を取得している。ファブリツィオ・マンクーゾ(テナー)は、現在、アヌシー国立音楽院助教授。ジル・トレソス( バリトン)は、ポワチェ国立音楽院教授。なんと20歳の時に教授に任命されている。教育学の分野においても、的確な指導を行うと聞く。また、毎年カルテット全員が関わる講習会、ハバネラ・サクソフォン・アカデミーを主催しており、多くの受講生が世界中から集まって研鑽を積んでいるという。

そんなハバネラ・サクソフォン・カルテットの面々の指導を、今回日本で受けられるように、野中貿易が講習会をアレンジしたとのこと。ハバネラQならびに、ブルーオーロラQが指導陣として参加し、発表会やパート別レッスンも付いた、なかなか充実した内容だ。コンサート鑑賞もセットでついている、ということで、お得な雰囲気。私も、すぐ出せるレパートリーがあればぜひ参加したかったのだが、カルテットは最近ご無沙汰のため断念…興味あるかた、ぜひいかがでしょうか(チラシはクリックして拡大)。

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カルテット講習会詳細(10/23-25)受講者募集中!:
http://www.blueaurora.org/blueaurora/habanera.html

カルテットコンサート詳細、ブルーオーロラSQとのジョイント演奏会も!(10/23-24):
https://spike.cc/shop/masanoriois

2015/10/12

第11回国際オーボエコンクール・軽井沢 入賞者&審査委員コンサート

10/10に本選結果が出たばかりの、第11回国際オーボエコンクール。その入賞者と、審査委員が出演するコンサートを東京文化会館に聴きに伺った。妹がアマチュアのオーボエ吹きで、これを聴くために上京しており、同行させてもらった。

本選結果:
第1位:荒木奏美
第2位:ユーリ・シュマール
第3位:フィリベール・ペリーヌ

審査委員:ハンスイェルク・シェレンベルガー、モーリス・ブルグ、古部賢一、ゴードン・ハント、小畑善昭、アラン・フォーゲル、吉田将

【第11回国際オーボエコンクール・軽井沢 入賞者&審査委員コンサート】
出演:後述
日時:2015年10月12日(月・祝)15:30開演
会場:東京文化会館・小ホール
プログラム:
F.クープラン - 「趣味の融合または新しいコンセール集」よりコンセール第7番(ユーリ・シュマール,ob)
H.デュティユー - オーボエ・ソナタ(フィリベール・ペリーヌ,ob)
J.S.バッハ - 「音楽の捧げもの」より「6声のリチェルカーレ」(アラン・フォーゲル&ゴードン・ハント,ob ハンスイェルク・シェレンベルガー&古部賢一,cor anglais 小畑善昭,bass ob 吉田将,fgt)
細川俊夫 - スペル・ソング -呪文のうた-(フィリベール・ペリーヌ,ob)
J.S.バッハ - オーボエ・ダモーレ協奏曲(モーリス・ブルグ,ob d'amore)
W.A.モーツァルト - オーボエ協奏曲(荒木奏美,ob)

なんと豪華な出演者!サクソフォンの私でも、モーリス・ブルグ氏やハンスイェルク・シェレンベルガー氏、ゴードン・ハント氏の名前を存じており、そういった名オーボエ奏者が一同に会する、というのはコンクール付随のコンサートならではの醍醐味だ。

前半はユーリ・シュマール氏のバロック作品の演奏(2次予選の課題曲)、そして、フィリベール・ペリーヌ氏の近現代作品の演奏(1次予選の課題曲)を立て続けに聴く。普段サクソフォンを聴いて吹いている以上、どうしても比較のような聴き方をしてしまうのだが、数倍も繊細なコントロールと、音色やヴィブラートやさりげないフレージングへの徹底したこだわり…適当に吹き飛ばしてしまう箇所など皆無、という、こだわり磨きぬかれた演奏に魅了された。

第1部最後、審査員が集結して演奏されたダブルリード6重奏は圧巻。最初は"ダブルリード6重奏"という編成名を聴くだけで身構えてしったのだが、出てくる音楽の、なんと優しく美しいこと!和声の美しさ、各声部の絡み合いは、楽器を超えた音楽そのものの魅力だ。いやはや、鮮烈な体験だった。

第2部は、コンクール用に委嘱された無伴奏作品の演奏から。ポルタメントや重音等の特殊奏法を交えた作品で、これは自由度が小さいオーボエならではのコンパクトな響き。"自由度"というのは諸刃の剣なのだなあという思いを強くした。

ブルグ氏は、なんと吹き振り!指揮、舞台上の所作、オーボエ・ダモーレから生み出される音、全てが自然体そのものであった。ブルグ氏といえば、私にとっては本当にCD(LP)の中の人、というイメージしかなかったのだが、そんな名匠が間近で楽器を演奏している姿を観ることができたことに震えてしまったのだった。

最後は、第1位受賞の荒木奏美氏の演奏。シェレンベルガー氏が指揮する群馬交響楽団の演奏も万全のサポート、その上で闊達に(そしてまた楽しそうに)演奏する姿が印象深い。巨匠の演奏が連続する中、堂々たる演奏だった。また、以前、銀座のヤマハホールで聴いた時よりも、格段に表現に自由度が出ている雰囲気。今年、東京交響楽団への入団も決まったとのことで、今後ますます活躍する姿を観る機会が増えることだろう。

ということで、私自身の、オーボエに対する印象をがらりと変えるようなコンサートだった。たまには他の楽器も聴かないとなあ。

第7回サクソフォン交流会・速報

公式サイトにて情報が公開されたので、こちらでもご紹介。6回の開催(関東圏以外の2回開催を含む)を経ての7回目は、関東圏での開催となる。ラージアンサンブル指揮・アドバイザーに、原博巳先生を迎えることとなった。とても楽しみだ。

多くの方のご参加をお待ちしています。

【第7回サクソフォン交流会】
日時:2016年5月14日(土)
会場:高津市民館(神奈川県川崎市溝の口駅付近)
アドバイザー・指揮:原博巳
※参加団体の募集は2015年12月頃を予定しています。

https://sites.google.com/site/saxkouryukai/

ハバネラ・サクソフォン四重奏団特集(その5):来日演奏会の詳細!

ハバネラ特集第5弾。

ハバネラ・サクソフォン四重奏団特集(その1):どんな団体?
ハバネラ・サクソフォン四重奏団特集(その2):おすすめのCDは?
ハバネラ・サクソフォン四重奏団特集(その3):他に面白いCDは?
ハバネラ・サクソフォン四重奏団特集(その4):演奏動画を観たいのだけど…

来日演奏会では、ちょっと特殊でありながら、おそらくハバネラ・カルテットの"らしさ"を存分に堪能できるプログラムが組まれている。特に、個人的にはエトヴェシュの新作四重奏曲は興味深く、どのような響きが構築されていくのか今からとても楽しみである。グラスの四重奏曲は、いわゆるミニマル・ミュージック。きっとスマートな演奏を繰り広げることだろう。弦楽作品のアレンジものについては、すでにCDでもライヴでも素晴らしい演奏をすることを体感している。ロマン派のシューマンが、どのように料理されるのか…。

【ハバネラ・サクソフォン・カルテット リサイタル】
出演:ハバネラ・サクソフォン四重奏団
日時:2015年10月23日(金曜)19:00開演
会場:青葉区民文化センター フィリアホール
料金:https://spike.cc/shop/masanorioisを参照のこと
プログラム:
G. テレマン「Wasser Music」より序曲
R.シューマン「弦楽四重奏曲第2番 ヘ長調 Op.41-2」より第1楽章
P.エトヴェシュ「様々な解釈」
E. ショーソン「幾つかの舞曲 op.26」より
C.ドビュッシー「スティリー風タランテラ」「トッカータ」
B.バルトーク「ブルガリアのリズムによるダンス」
P.グラス「サクソフォン四重奏曲」より第4楽章

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カルテット講習会詳細(10/23-25)まだまだ受講者募集中!:
http://www.blueaurora.org/blueaurora/habanera.html

カルテットコンサート詳細、ブルーオーロラSQとのジョイント演奏会も!(10/23-24):
https://spike.cc/shop/masanoriois

2015/10/11

ハバネラ・サクソフォン四重奏団特集(その4):演奏動画を観たいのだけど…

ハバネラ特集第4弾。

ハバネラ・サクソフォン四重奏団特集(その1):どんな団体?
ハバネラ・サクソフォン四重奏団特集(その2):おすすめのCDは?
ハバネラ・サクソフォン四重奏団特集(その3):他に面白いCDは?

ハバネラ四重奏団の動画は、公式サイト(http://www.quatuorhabanera.com/)にアップされているものが、質・量とも大変オススメできる。公式サイトにアクセスし、右上のmediathequeというリンクをクリックすると、視聴動画を選ぶことが可能。以前、大きな話題となったティエリー・エスケシュ「タンゴ・ヴィルトゥオーゾ」他、注目すべき動画が多い。これらの動画のうちいくつかは、YouTubeにも転載されており、YouTubeで「Quatuor Habanera」と検索すれば多くの動画を見つけることができると思う。

演奏動画といえば、DVDも存在する。自主制作DVD-Rで、ボルドー市の「Base」と呼ばれる潜水艦ドック内でのライヴを収録したもの。カメラワークやライティングがなかなかカッコよく構成されていて、観応え十分。バッハ「平均律クラーヴィア曲集よりBMV847, BMV863, BMV857, BMV873」、リゲティ「バガテルより1, 4, 5, 6, 7, 8」、棚田文則「ミステリアス・モーニングII」、マルケアス「コンポジション・ヴァーティカル」、ピアソラ「肉屋の死」「フガータ」「ミケランジェロ70」。

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2015/10/09

ハバネラ・サクソフォン四重奏団特集(その3):他に面白いCDは?

ハバネラ特集第3弾。

ハバネラ・サクソフォン四重奏団特集(その1):どんな団体?
ハバネラ・サクソフォン四重奏団特集(その2):おすすめのCDは?

手に入りづらいが、ぜひ多くの人に聴かれてほしいCDを2枚(+おまけで1枚)取り上げる。

ハバネラ・サクソフォン四重奏団のCD「The 5th Osaka International Chamber Music Competition & Festa 2005(Yomiuri Telecast Corporation YC-0515)」。第5回大阪国際室内楽コンクールの実況録音盤で、読売放送が限定盤として制作したディスク。コンクールの一次予選で演奏されたデザンクロ「四重奏曲」とドナトーニ「ラッシュ」、二次予選での野平一郎「四重奏曲」、そして本選でのグラズノフ「四重奏曲」とクセナキス「XAS」を収録している。

一次予選のデザンクロからまったく手抜きなしの全力勝負。しかし気負いを感じることはなく、純粋に良い音楽を奏でようとする意思が秘められているようにも感じる。音程が良いとかバランスが良いとかは当たり前で、決められた枠の中で各々が主張をしながらアンサンブルが動的に組み上がっていく。三楽章なんか音を間違えてるしタテだってあまり合ってないのに、ものすごくうまく聴こえる…なんだこりゃ。しかもめちゃくちゃ速いのだ!ドナトーニや野平はいわゆる「現代作品」。ドナトーニの冒頭、四本のサックスが極小音量でそれぞれのモチーフを奏でるところなんかも、ありえないほどの安定性。対して野平作品ではCDの音が割れるほど鳴らす、異常なまでのダイナミクス。一本一本の音色はぜんぜん違うのに、ユニゾンではオルガンでも聴いているようなパワーだ。

最後に向かって華麗なaccel.を魅せるグラズノフの終楽章、今まで聴いたどんな演奏よりもカッコイイよく、興奮させられる。しかし、ゲテモノではなく、正しく格のある演奏だ。爆速のエンディングを聴き終えたあとに残る高揚感が心地よい。ロマン派にありがちなトリルや装飾音を多用したフレーズも、ここまで自然に…まるで四人の他愛のないおしゃべりを聞いているようだ。グラズノフに続いて最後を飾るクセナキス「XAS」はもう凄すぎて何がなにやら。現代作品ではあるものの、音楽は常に淀みなく流れていく。


第1回ジャン=マリー・ロンデックス国際コンクールの開催後、1996年9月16日にフランス・ボルドー市のCentre Andre Malrauxで開かれた、入賞者記念演奏会の模様を録音したディスクである。このコンクールでは、平野公崇氏が日本人として初めてサクソフォンの国際コンクール優勝を果たした。また、第2位にヴァンサン・ダヴィッド Vincent David氏、第3位にオーティス・マーフィ Otis Murphy氏が、それぞれ入賞している。四重奏部門の優勝は、ハバネラ・サクソフォン四重奏団 Quatuor de saxophones Habaneraであった。…なんだか凄い名前ばかりで、それぞれの演奏者の現在の活躍を見るにつけ、当時のロンデックス氏を始めとした審査員の面々は見る目があったのだなあ、という思いを強くする。

プログラムは次の通り。面白そうでしょう?
Heitor Villa Lobos - Fantasia (Masataka Hirano)
Christian Lauba - Jungle (Masataka Hirano)
Edison Denisov - Sonata (Vincent David)
Luciano Berio - Sequenza VIIb (Vincent David)
Alfred Desenclos - PCF (Otis Murphy)
Luciano Berio - Balafon (Otis Murphy)
Alfred Desenclos - Quatuor (Quatuor Habanera)

演奏内容もかなり良い。疵も散見されるが、それよりも、これらの独奏者たちが若手のホープとして活躍していた頃の空気感をダイレクトに感じられるという点で、大変貴重な録音だ。

ハバネラ四重奏団のデザンクロ。このCDの中で私的に一番の驚き。なんと丁寧で完成度が高い演奏であることか。楽譜に非常に忠実なのだが、そのように演奏されることで、ここまで魅力的な演奏に仕上がるのか…。さらに、聴こえてくる和音やリズムが、いちいち心地良すぎる。絶妙なアゴーギクや音色の変化、楽器ごとのバランス…ハバネラ四重奏団の"アンサンブル力"の源泉を垣間見る思いだ。特に第3楽章は絶品で、数多ある録音の中で、最も好きな演奏かもしれない。全体を通して聴いても、"現代のデザンクロ「四重奏曲」の演奏"として屈指のものであり、トルヴェールQ(旧録音)、アレクサンドルQあたりと比べても遜色ない。おそらく、今後デザンクロでおすすめの演奏は、と問われれば、デファイエQに次ぐものとしてこれを提示することになるだろう。それほどの魅力を感じている。まだ聴き込んでいる段階だが、20回聴いても飽きないってなかなかのものだ。


最後に…好事家向きだが、こんなCDもある。クリスチャン・ヴィルトゥ氏のかわりにヴァンソン・ダヴィッド氏が参加した、いわゆる「ハバネラB」の実況録音。







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ハバネラ・サクソフォン四重奏団特集(その2):おすすめのCDは?

昨日の記事に続き、今日はハバネラ・カルテットのCDをご紹介。手に入りやすくおすすめできる2枚を取り上げる。

「Grieg, Glazounov, Dvorak(Alpha 041)」
エドワルド・グリーグ - 組曲「ホルベアの時代から」
アレクサンドル・グラズノフ - サクソフォーン四重奏曲作品109
アントニン・ドヴォルザーク - 弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」

曲目は、純粋に奏者の技量が試されるであろう古典作品。何気なくCDを聴き始めると、派手な経歴からは想像できない意外なほどの「普通の」演奏に驚くことだろう。一見するとテクニックばかりをさらけ出しているとか超絶技巧だとかいう印象はなく、上質のサウンドが小川のようによどみなく流れてゆく。続くグラズノフやドヴォルザークでも下手な小細工をせずに丹念に組み上げられたアンサンブルが心地よい。

この一見「普通の」演奏を実現する難しさ!超絶技巧を超絶技巧と思わせず、アルティシモ音域までを均一なサウンドで作り上げ、どこまでも自然なフレージングを徹底して追求した結果、「サックスのCD」というより「クラシック音楽のCD」として高いレベルで結実してしまった…とでも言えばいいだろうか。お堅い「普通の」クラシックファンの耳をも納得させる屈指の四重奏アルバム。

紙ジャケット仕様。表紙にはアルファレーベルの特徴である絵画(Georg Nikolaj Achen "Interior", 1901 オルセー美術館蔵)が使用され、アルバムに花を添えている。国内では、輸入盤のみならず、代理店経由で流通している版も存在し、日本語解説が添付されている。

「L'engrenage(Alpha 518)」
アレクサンドロス・マルケアス - 歯車のように
ルイ・スクラヴィス - 期待とダンス
ジョエル・メラ - 出会い
アラン・ベルロー - ちいさな炎いくつも
リオネル・ボール - あいまいな女たち
ファビアン・レヴィ - ドゥルフ
ルイ・スクラヴィス - 分離
ヤセン・ヴォデニチャロフ/ルイ・スクラヴィス - 黄金のしずく
ジェルジ・リゲティ - 東風(「バガテル 第3番」を固執旋律に据えた即興演奏)
ルイ・スクラヴィス - 水の花
ルイ・スクラヴィス - その民なりの幼き日
ルイ・スクラヴィス - 後日談

スクラヴィス氏はヨーロッパジャズ界屈指の演奏家&作曲家。特に即興演奏のスペシャリストとして定評のある奏者。バスクラリネットやサクソフォーンを操りながらそのスーパー・テクニックでコード上のアドリブから完全即興までをこなすが、このアルバムもその能力が遺憾なく発揮された録音だ。

記譜を受け持つハバネラ四重奏団/即興を受け持つスクラヴィス氏という、相反するサウンドが不思議なグルーヴ感を作り出している、という印象を受ける。ショックの大きさで言えばスクラヴィス氏の独特な即興演奏が上だろうが、そういった場所にあってもスクラヴィス氏を立てながら自己主張を怠らないハバネラ四重奏団。強烈な奏者同士のぶつかりが大きな実を結んだということかな。

聴きづらい曲もあるけれど、ジャズのイディオムをベースとした曲もあったりしてなかなか楽しい。リゲティの「6つのバガテル」第三楽章の伴奏を下敷きに、スクラヴィス氏が延々と即興演奏を続けていく「東風」というトラックは、アルバムのコンセプトを示唆しているようで興味深く聴いた。これ、サクソフォン奏者だけじゃなくてクラリネットの人にも聴いてもらいたいなあ。

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2015/10/08

ハバネラ・サクソフォン四重奏団特集(その1):どんな団体?

これから連続記事の形で、ハバネラ・サクソフォン四重奏団について特集を組む。団体や録音、そして今回の来日における講習会やコンサートについて、何度かにわけてご紹介していく。

1991年に、パリ国立高等音楽院のドゥラングル・クラスの奏者たちによって結成されたフランスの団体。名実ともに現代最高のカルテットの一つと言えるだろう。J.M.ロンデックス国際コンクール第1位、大阪室内楽コンクール第1位他、数々の国際コンクールで入賞しまくっている。日本にも何度か来日し、多くの聴衆を魅了し続けている。あのThunderさんをして、「ハバネラの来日は、というか存在自体が、ひとつの「事件」だ。(2002年来日時のコンサート評より)」と言わしめるほどのものだ。

ハバネラ・カルテットの凄さは、なんといっても全てにおいて「次元がひとつ違う」音世界を構築したことだと思う。これまで「サクソフォン四重奏というのはこのくらいの響き」とされていたものを、ハバネラ・カルテットは一気に拡張してしまった。それは、楽器のダイナミクスのコントロールであり、フレージングの美しさであり、アンサンブルの精度であり…。ハバネラ・カルテットの来日以降、日本のサクソフォン・カルテットが目指すひとつの方向性が築かれたと考えている。それは、まるで1961年のギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団のようなものである。

実際、それは確かに近年の日本のサクソフォン・カルテットのサウンドとして現れつつあると思う。超個人的な印象では、クローバーSQや、The Rev SQなどが、ハバネラ・カルテットの影響を少なからず受けていると考えているのだが…実際のところはわからないが。おそらくハバネラ・カルテットの影響がなければ、少なからず違うサウンドになっていたのではないだろうか。

2002年、2006年の後、ピタッと来日の機会が無くなってしまっていたのだが、満を持しての3度目(コンクールを入れると5度目か?)の来日。2006年の演奏は聴きに行けた。その時のレビュー、今読み返すと変なフレーズばかりが並んでいるのだが、よほど興奮していたのだろうなあ、と。あれから9年が経ち、さすがに私自身も耳が少しずつ肥えてきているが、きっとまた大きな衝撃を受けるのだろう。今回の来日で再び聴けるのが楽しみだ。

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カルテット講習会詳細(10/23-25):
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2015/10/06

第7回交流会キックオフ間近

昨日(もう一昨日か)、第7回サクソフォン交流会のキックオフ・プレ・ミーティングを実施。3時間ほどにわたって、諸々を検討した。今回は関東圏開催、実はすでにアドバイザーの先生も決定して、あとは会場探しと日程決めの段階に進んでいる。

マネージャーは、今回U氏がやってくださる、ということで、実働に徹する予定。

2015/10/04

新鎌ヶ谷でOut of the Standard with Strings

出演者の啼鵬さんに誘われて伺った。啼鵬さんと会うのは、ミュンヘン・フィルハーモックの木管アンサンブルとの窓口を担当した時以来。会場の新鎌ヶ谷は自宅からのアクセスが良く、意外にもすんなり到着。とても新しい建物、綺麗な会場。

【Out of the Standard with Strings】
出演:Out of the standard:大和田雅洋(sax)、牛渡克之(euph)、啼鵬(pf, bandoneon)、弦楽合奏弓組
日時:2015年10月3日(土曜)14:00開演
会場:MT Milly's(新鎌ヶ谷)
プログラム:
?「エル・チョクロ」
A.ピアソラ編「エル・ジョロン」
A.ピアソラ「(曲名失念)」
C.ガルデル「首の差で」
C.ガルデル「想いの届く日」
H.パスコアル「ショリーニョ・プラ・エル」
D.ミヨー「スカラムーシュよりブラジレイラ」
啼鵬「Along with You...」
A.K.グラズノフ「サクソフォン協奏曲」
A.ピアソラ「オブリビオン」
啼鵬「ユーフォニアム協奏曲」

サクソフォン、ユーフォニアム、バンドネオンという、クラシック音楽の世界では使われることが珍しい楽器によるトリオ…ということで結成され、すでに活動を継続して16年(だったかな?)になるそうだ。前半は南米の作品群をトリオで、後半は弦楽合奏とともに協奏曲を演奏する、という構成だった。

前半は、これはぜひもっと南米の作品を勉強してから再び聴いてみたいものだが、もちろんピアソラの名前は知っているし、ガルデルの「想いの届く日」は聴いたこともある。最後のほうでは(フランスの作品だが)南米繋がりでミヨーが取り上げられたり、また前半最後には東日本大震災に際して作曲された「Along with You...」も演奏されるなど、バラエティ豊かなものだ。演奏者の技術は3人が3人とも非常に高く、発音機構の違う3種類の楽器ながらアンサンブルとしてキマっていたのは、さすがだ。サクソフォン的興味から言うと、もしかしたら大和田氏の演奏をソロで聴いたのは初めてか…?アルディSQのCDで聴いた時は、ちょっとクセのある発音や音色が先に耳に入ってきてしまい、「?」という感じではあったのだが、こうしてライヴで聴くとまた違った点…ブレない演奏スタイル等…が聴こえてきて、もしCDだけ聴いて敬遠しちゃっている方がいるとすれば、もったいないなと思ったのだった。テンポやフレージングの感覚が、ちょっと日本的でないのが面白い。

後半も楽しかった。グラズノフの緩徐楽章ではさすがに弦楽合奏パートが苦労している様子が伺えたが(中音域の伴奏を吹いたことがあるが、和声と音運びがウルトラ難しいのだ!)、後半に向けて盛り上がっていく様が窺えた。また、ピアソラの「オブリビオン」での啼鵬氏のソロは凄かったなあ。最初の1フレーズで鳥肌が立ってしまった。啼鵬氏のユーフォニアム協奏曲も非常に楽しく、特にシャコンヌ、オスティナートと名付けられた第2楽章と第3楽章が素晴らしかった。いずれ、ピアノ版での演奏も予定されているそうな。

2015/10/03

今週のクラシック倶楽部にサクソフォンが4回登場

今週、9/28-10/2のクラシック倶楽部(NHK BSプレミアム)に、サクソフォンが頻繁に登場していた。5回の放送中、なんと4回!再放送も含まれていたが、クラシック・サクソフォン・ファンには嬉しいプログラムであった。

9/28 オーケストラの夜明け~山田耕筰 管弦楽曲選~
→「曼荼羅の華」、1913年の作品だが、テナーサクソフォンが1本含まれている。留学先のベルリンで作曲された(サクソフォンを使ったのは、リヒャルト・シュトラウスの影響ではないかと睨んでいるが、果たして)。サクソフォン奏者は遠目でぱっとわからなかったが、誰かな?

9/29 池辺晋一郎 音の地平(フィールド)
→「軌道エレベーター」須川展也氏と猫殿(カウンターテナー)。独自のサウンド、歌詞の不気味なオチ。ご存じない方はぜひご一聴を。

9/30 吉松隆 還暦コンサート~鳥の響展~
→「サイバーバード協奏曲」。いやはや、須川氏、さすがです(としか言いようがないほどの鮮烈さ)。

10/2 藤倉大 作品展~世界を席巻する藤倉大パラダイス~
→「SAKANA」を、委嘱者である大石将紀氏が演奏。この繊細な音響世界を体現できる奏者は稀であろう。

2015/10/02

パイパーズのゲラ修正

引続き仕事が多忙。なかなかブログを書いている時間も取れない。

パイパーズに、サクソフォン・コングレスのレポートを寄稿したのだが、先日ゲラが送られてきた。平日の帰宅後の時間を2日間ほど使い、ゲラの修正作業を実施していた。8000字ほど書いて、写真も含めると6ページぶち抜きという、なかなかのボリューム。

それにしても、毎度のことながら素敵なレイアウトにしてくださって感激である。私なんかは、正直なところ駄文と写真をごそっと提供しているだけで、レイアウトにはまったく関わっていないのだが、レイアウトがきちんとするだけで、なんだか記事に貫禄が出てくるような気がするのだから、ありがたいことである。

発売は来月くらいかなあ。ぜひ手にとってお読みいただければ幸い。

2015/09/29

平野公崇「ミレニアム」

ということで、改めてレビューを。

このアルバムの発売は2000年…15年前である。仮に今、こういったアルバムを留学帰りの若手サクソフォン奏者が発表したら、きっと驚かされるに違いない。15年前にこのアルバムが発売されたときの衝撃は、それはそれは大きいものであったのだろう。デビューアルバムにして、伝統的なフランス音楽には見向きもせず、現代作品("現代モノ"と一括りしてしまうことすらも意味を成さないが)を集めるという異色さ。選曲だけで奇をてらうだけではなく、演奏そのものも技術的な裏付け、そして覇気に満ちている。

磯田健一郎「Millennium」
Christian Lauba「Balafon」
Steve Reich「Reed Phase」
Christian Lauba「Tãji」
磯田健一郎「Another Millennium」
Duncan Youngerman「Ice Man」
Christian Lauba「Jungle」
Duncan Youngerman「Dragon Man」
Christian Lauba「Vir」
Terry Riley「Tread on the Trail」
磯田健一郎「Millennium(reprise)」

ロバ作品が日本で広く知られるようになったきっかけはこのCDではないだろうか。同時に、この頃平野氏が日本で同作品群を頻繁に演奏した時の衝撃は相当なものだったと伝え聞く。私も2003年にサクソフォーン・フェスティバルで「バラフォン」「ジャングル」を平野氏の演奏で聴き、あまりのショックで思わず楽譜を買ったことが懐かしく思い出される。今聴くと、若干吹き飛ばし気味の箇所も散見されるのだが、まるで作曲されたばかりの作品を初演するかのような強烈な気合が感じられ、耳が引き寄せられてしまう。

平野公崇氏以外の演奏者も素晴らしい。デュオ作品(Youngerman「Ice Man/Dragon Man」他)では、アルテ・クァルテットにも参加するサッシャー・アームブリュスター氏が、そしてRiley「Tread on the Trail」では、大石将紀氏、大城正司氏、大和田雅洋氏が参加している。

2015/09/27

アンサンブルの練習

10月の本番向けの練習@小岩。練習場所の小岩図書館はとても新しい施設で、充実した設備に驚いた。

演奏曲目は、5重奏が鈴木英史編「フォスター・メドレー」、本多俊之「ひだまり」他、4重奏がフラッケンポール「ラグタイム組曲」など。私自身の指回しや跳躍コントロールの錆び付き具合がひどいが、しかしこれはリハビリしていくしかない。

本番は10/17、長野県・諏訪の四賀公民館。

2015/09/26

平野公崇「ミレニアム」を購入

昨日は蒲田で餃子会。美味しかったー。

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餃子会のあと、ふらっと立ち寄ったブックオフで、平野公崇「ミレニアム」の中古盤を発見、950円で購入した。MDか何かで音を全編聴いたことはあったのだが、こうして盤そのものを入手するのは初めて。内容そのものの素晴らしさ、面白さについてはいまさら改めて語る必要はないだろう。ブックレットに載った磯田健一郎氏、前島秀国氏の名調子が読める、というのもありがたい。

2015/09/24

ドメイン異常から復活

ドメイン異常復活。

その昔、ブログに導入した3rdベンダ製のスクリプトがあり、そのスクリプトはオンライン上のURL上のコードを参照していた。そのスクリプトの置き場が、どうやらサービス終了し、さらにドメイン消滅してしまったようなのだ。そのスクリプトを導入したこともすっかり忘れていたため、なぜそんなドメインに飛ばされるのかわからず、kurisaxo.blogspot.comがなくなったかと超焦ったのだった。

結局、本ブログのレイアウトHTMLコードを眺めてタグに囲まれた当該コードのリファレンスを発見、削除して事なきを得た。

ドメイン異常?

ブログの調子がおかしい。

投稿はでき、またアクセスするとブログの内容も一瞬表示されるのだが、知らないサイトに飛ばされて"This domain is expired. If you're the owner, you can renew it." というメッセージが表示されてしまう。これまであまり当たったことのない状況のため、困惑中。

どうすれば復旧できるのだろうか…いろいろ試してみないと。

2015/09/23

Classical & Pop Music x Saxophone Quartet

連休の最終日、小林さん、赤木さんらが参加する四重奏の演奏会に伺った。そういえば、小林さんがカルテットの中でソプラノを吹いているのを見るのって初めてだな。

【Classical & Pop Music x Saxophone Quartet】
出演:小林正憲、赤木俊祐、藤井洋一、納富麦
日時:2015年9月23日(水曜・祝)14:00開演
会場:名曲喫茶カデンツァ
プログラム(うろ覚え):
L.ハーライン - 星に願いを
J.S.バッハ - イタリア協奏曲より第1,3楽章
久石譲 - ジブリ・メドレー
J.B.サンジュレ - 四重奏曲第一番より第1,4楽章
樽屋雅徳 - マゼランの未知なる大陸への挑戦
M.ジャクソン - Bad
M.ディヴィス - So What
黒人霊歌 - 聖者の行進
高橋宏樹 - アルルのサックス展覧会
菅野よう子 - 花は咲く
C.コリア - ラ・フィエスタ
アンコール1曲目なんだっけ?
M.ジャクソン - Man in the Mirror(アンコール)

※プログラム冊子等がなかっため、プログラムや順番はうろ覚えにて失礼。

サロンコンサートくらいの気合いで伺った所、まさからの2時間構成のフル・リサイタル並の内容、演奏も一切手抜きなしだった。アレンジ作品のほとんどを、オリジナルのアレンジで固めるあたりにもこだわりを感じる。MCを聞く限り、これはどうやらバリトンを演奏されていた納富麦さんの手によるものが大半(全部?)を占めていたようで…また、そのアレンジも、かなり手の込んだ内容で、お馴染みの曲であっても、どのような響きが飛び出すのだろう?というワクワク感の中で聴き進めていくこととなった。アレンジの対象は「星に願いを」や「ジブリ・メドレー」くらいならわかるが、まさかのマイルスやチック・コリア作品、果てはマイケル・ジャクソン、どころか、最後には樽屋氏の吹奏楽作品までと、恐れ入る。

演奏は、アンサンブルとしても、各奏者のプレイも、どれも見事だったが、赤木さんのアルトの音やフレージング、凄かったなあ。少し深めで細かいヴィブラートを伴った演奏スタイルで、サクソフォンという楽器なのになぜこんなに純粋に美しいと思えて、嫌味に聴こえないんだろう(他の方の演奏が嫌味だった、ということではないよ)。いやはや、聴き入ってしまった。

クラシックのレパートリーが、いかにも一番有名なの持ってきました、という感じだったのが(演奏が良かっただけに)ちょっと残念だったので、もうちょっと玄人受けするやつもぜひ1曲くらいお願いしますm(_ _)m

プログラム冊子の整理

社会人になってから聴いたコンサートのプログラム冊子は極力保管してある。保管してある…とは言っても、雑多な感じでどさどさっとダンボール箱に放り込んであるような形であったため、引っ越しを機に日付順にクリアファイルへと入れていくことにした。

順番がバラバラ、ということで丸一日作業ではあったが、なんとか完了(作業は先々月完了していたのだが、ブログネタにし忘れていた)。最初1冊辺り40ポケットのクリアファイルを6部用意したのだが足らず、さらに1冊足してようやく収まった。2009年4月5日のSaxofono Rossoの演奏会を先頭に、250以上の演奏会のプログラム冊子が整列。いくつかの演奏会については、チケットやチラシも出てきたので、同じポケットに入れてある。今後は、チケットやチラシも極力保管しよう。

こうして眺めると圧巻。20年位継続して集めたら、面白い資料になりそうだ。

2015/09/22

好きなプログレアルバム三選

私はそれほどプログレッシヴ・ロックの世界を深く知っているわけではないのだが、浅い知識なりに好きなアルバムは存在する。そのトップ3をご紹介。おそらく、誰にでも聴きやすいアルバムではないかと思う。

King Crimson「Red」
「キング・クリムゾンなら『In The Court Of The Crimson King』じゃないの!?」という声が聞こえてきそうで、実際私自身もそちらのアルバムも大好きなのだが…初期のアルバムにあった荒削り感が姿を潜め、代わりに精神性がプラスされたようなアルバムだ。このアルバムのわずか5年前には所謂「ロックンロール」が音楽界を席巻していたということを考えると、わずか5年だが音楽の変化というものは恐ろしいものだなと感じる。聴き終えて印象に残るのは叙情性だが、その叙情性とともに相反して異常なほどにテクニカルな即興パートが共存する、そんなギャップにグッと来るものだ。冒頭インスト曲の「Red」の分厚くヘヴィなサウンドに驚いていると、とたんに「Fallen Angel」のメロウな旋律線に驚かされる…のだがサビではフリップのギターによって印象がぶっ壊される。最終曲の「Starless」は、じっと耐えるような静謐な繰り返しから、突然の爆発にオーボエ、サックス(ファースト・アルバムで活躍したイアン・マクドナルドが再参戦している)も加わり未知の爆走サウンド。そのまま壮大な大団円を迎える。King Crimson - Red

Yes「Close to the Edge」
邦題は「危機」。超大曲のタイトル曲「Close to the Edge」では、もはや何をやっているのかわけがわからない冒頭部から、テーマの出現、そして荘厳なオルガンサウンドからの爆速テクニカルソロなど、もはやこの曲だけでお腹いっぱいというか「プログレってこんな感じ」感を万人に伝えられるのだから凄まじい。また、牧歌的なメロディのはずなのに妙にヘヴィ&グルーヴィな「Siberian Khatru」も、変則的な拍の中に耳に残るリフが幾度と無く織り込まれる面白さがある。最終部の怒涛の繰り返しはいつ聴いても興奮させられるものだ…フェードアウトしつつ演奏される、クリス・スクワイアのベースの面白さ!スティーヴ・ハウのギターの鮮烈なソロ!同じくらいのボリュームの曲に「Fragile」収録の「Roundabout」があるが、「Siberian Khatru」とどちらが好きかと言われるとちょっと迷うが、今ならこちらを選ぶかも。Yes - Close to the Edge

Emerson, Lake & Palmer「Tarkus」
キーボード、ヴォーカル&ベース、ドラムス(パーカッション)という3人組で、編成としてかなり特殊ではあるのだが、初めて聴いた時はキース・エマーソンのキーボード(ムーグ・システム)の多種多様な音色、そしてタイトル曲の圧倒的構成感にやられてしまったものだ。実は私のプログレの入り口はこの「Tarkus」であり…そんなこともあり、思い入れが強いアルバム(その辺の経緯は以前ブログに書いた)。静謐で神聖な序奏部分からなだれ込む「Eruption」のグルーヴ、「Manticore」のスピード感、「Aquatarkus」のどこか人を喰った感じなど、ジャケット内部のストーリー絵柄と相まって、病みつきになった。アルマジロ戦車かわいいよアルマジロ。あまりに病みつきになりすぎて、演奏したこともある。ちなみに、タイトル曲以外はなんだか軽くてあまり聴く気にならない。Emerson, Lake & Palmer - Tarkus

三選と言いながら、セレクションがベタすぎてちょっと恥ずかしい。ぜんぶブリティッシュだし。まあ所詮「ニワカ」なので…ということでお許し願いたい。あまりクラシック・サクソフォン以外にかけられるお金や時間や精神的余裕もないもので。「Fallen Angel」「Starless」「Siberian Khatru」あたりは、ぜひいつか演奏もしてみたいくらいだ。