2015/12/04

グレインジャーのサクソフォン作品集

オーストラリアの作曲家、パーシー・グレインジャーとサクソフォン界の関わりは深い。グレインジャー自身が軍楽隊でサクソフォンを吹いていたこともあってか、サクソフォンのために多くのアレンジ(自作・他作曲家の作品、両方)を残しているのだ。そのあたりの話は、以前ブログの記事とした。

グレインジャーが書いたサクソフォンのためのアレンジ作品を一挙にまとめたアルバム「Percy Grainger Music for Saxophones(Naxos 8.573228)」。サクソフォンとグレインジャーを結びつけて研究しているサクソフォン奏者、Joyce Griggs氏がトップに立って制作されたアルバムだ。Griggs氏は、Cleveland Institute of Musicにおいて副学部長(Associate Dean)の職に就く傍ら、2007年より、グレインジャーの室内楽作品を発掘、Percy Grainger Estateの許可を得てグレインジャー作品の編纂を進めている。その成果は、RBC Publicationsより楽譜として出版されている(リストはこちら)。

それらの楽譜を録音したCDということだろう(実際、ほぼ1対1で、リスト中の作品が取り上げられている)。サクソフォン・アンサンブルのCD、しかも知らない奏者ばかりがクレジットされており、「大概こういうアルバムってコンセプトは良いけど演奏がアレなんだよなあ…」と思って聴き始めたのだが、意外にも(失礼)非常に良く整った演奏に驚かされた。良く良く見てみると、第4回ジャン=マリー・ロンデックス国際コンクール第3位のPhil Pierick氏を始め、コンクール入賞等、かなりしっかりした経歴を持つ奏者が名を連ねている。一通り聴いてみたが、冒頭から一貫したクオリティ。これは演奏の面でも価値あるアルバムだと言えよう。

パーシー・グレインジャー - 固定されたド(あるいは鳴り続けるC)
クロード・ル・ジュヌ - 美しい燕
管楽器のための珠玉選 - マショー:バラード 第17番
パーシー・グレインジャー - 孤独な砂漠の男が陽気な部族のテントを見つける
管楽器のための珠玉選 - J.S. バッハ:平均律クラヴィーア曲集 第2巻 - 前奏曲とフーガ第5番 ニ長調 BWV 874
管楽器のための珠玉選 - フェラボスコ:4つの音符のパヴァーヌ
カール・グスタヴ・スパッレ・オールセン - クリスマスが来ると
管楽器のための珠玉選 - ジョスカン・デ・プレ:ラ・ベルナルディーナ
管楽器のための珠玉選 - J.S. バッハ:平均律クラヴィーア曲集 第1巻 - フーガ第4番 嬰ハ短調 Minor, BWV 849
管楽器のための珠玉選 - ジェンキンス:5声のファンタジー第15番
管楽器のための珠玉選 - J.S. バッハ:行進曲 BWV Anh. 122
パーシー・グレインジャー - リスボン 「ダブリン湾」
カール・グスタヴ・スパッレ・オールセン - クリスマスが来ると
管楽器のための珠玉選 - ロウズ:6声のファンタジーとエアー第1番
管楽器のための珠玉選 - 作曲者不詳:天使は乙女に

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