2015/09/29

平野公崇「ミレニアム」

ということで、改めてレビューを。

このアルバムの発売は2000年…15年前である。仮に今、こういったアルバムを留学帰りの若手サクソフォン奏者が発表したら、きっと驚かされるに違いない。15年前にこのアルバムが発売されたときの衝撃は、それはそれは大きいものであったのだろう。デビューアルバムにして、伝統的なフランス音楽には見向きもせず、現代作品("現代モノ"と一括りしてしまうことすらも意味を成さないが)を集めるという異色さ。選曲だけで奇をてらうだけではなく、演奏そのものも技術的な裏付け、そして覇気に満ちている。

磯田健一郎「Millennium」
Christian Lauba「Balafon」
Steve Reich「Reed Phase」
Christian Lauba「Tãji」
磯田健一郎「Another Millennium」
Duncan Youngerman「Ice Man」
Christian Lauba「Jungle」
Duncan Youngerman「Dragon Man」
Christian Lauba「Vir」
Terry Riley「Tread on the Trail」
磯田健一郎「Millennium(reprise)」

ロバ作品が日本で広く知られるようになったきっかけはこのCDではないだろうか。同時に、この頃平野氏が日本で同作品群を頻繁に演奏した時の衝撃は相当なものだったと伝え聞く。私も2003年にサクソフォーン・フェスティバルで「バラフォン」「ジャングル」を平野氏の演奏で聴き、あまりのショックで思わず楽譜を買ったことが懐かしく思い出される。今聴くと、若干吹き飛ばし気味の箇所も散見されるのだが、まるで作曲されたばかりの作品を初演するかのような強烈な気合が感じられ、耳が引き寄せられてしまう。

平野公崇氏以外の演奏者も素晴らしい。デュオ作品(Youngerman「Ice Man/Dragon Man」他)では、アルテ・クァルテットにも参加するサッシャー・アームブリュスター氏が、そしてRiley「Tread on the Trail」では、大石将紀氏、大城正司氏、大和田雅洋氏が参加している。

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