2015/11/30

久々にミュールが参加した「ブランデンブルク協奏曲」を聴いて

サクソフォンのマルセル・ミュール氏が、パブロ・カザルス指揮のプラド祝祭管弦楽団のメンバーとしてバッハ「ブランデンブルク協奏曲第2番」演奏に参加していることは有名だが、最近、スコアを見ながらその演奏を改めて聴いて驚いた。

これは同曲の第3楽章の楽譜で、in Fで書かれたトランペットパートである。ミュールはこれをソプラノ・サクソフォンで演奏したとされている。録音から、フラジオ音域の"高いソ"を多分に含むフレーズを快速で、しかも美しいスタッカートで、見事に演奏している様子を聴き取ることができる。こんなに高い音で吹いていたのか、という、今更ながらの大きな驚きがあったのだ。

ミュールがフラジオ音域を吹いた録音は、ほとんど持っておらず(イベールのライヴ録音とクレストンの「ソナタ」くらいだろうか)、「ミュールはフラジオが苦手だったのではないか」という推測を耳にしたこともあるのだが、少なくともこの録音を聴く限り、まったくそんなことはない。フラジオを折り込みつつ、ここまでバッハを音楽的に演奏したミュール…改めて、恐るべし。

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