2010/06/23

マカリスター氏のマスタークラスレポート

【Timothy McAllister Master Class in DolceTokyo】
日時:2010年6月16日 18:30
会場:アーティストサロンDolce

一曲目の受講者は、山崎憂佳さん(東京芸術大学の2年生)。ピアノは沼田良子さんで、クレストンの「ソナタ」で受講していた。山崎さんの演奏は、これまでにジュニアコンクール入賞者披露演奏の、ブートリー「ディヴェルティメント」を聴いたことがあった。音符が細かいところで微妙なミスがあったものの、小柄な身体からは想像もつかないほどのパワーと、美しい音色を堪能した。

マカリスター氏は、山崎さんの演奏を非常に素晴らしいと賞賛した上で、いくつかのサジェスチョンを話した。第1楽章第2主題の話の時、サックスのみならず、ピアノにも影響を与えて音色が変わっていったのは面白かった!
・クレストンの生い立ち(イタリア系の移民)と、時代背景を元に、「ソナタ」が1930年代の音楽の影響を受けている。
・「ジョージ・ガーシュウィン」のような、ある種ポピュラーミュージック的なアプローチを。
・第1楽章に出てくる第2主題(これは第2楽章にも引用されている)の出現時に、急に曲のテイストを変えることで第1主題との対比をつけること。
・ヴィブラート(全ての国籍に訴えるヴィブラート)や音量、音色。装飾音もロマンチックに、ビートへ当てて吹く。素敵な部分を探していこう、Think, George Gershwin!!
・第2楽章は、フィンガリングの選択肢を多く持ち、必要に応じて(ピアノの和声に応じて)切り替えを。例えば、最後のシbは、1+4で吹くのもひとつの手だ。
・第3楽章は、サーカス音楽。ボードビル、キャバレー。

二曲目の受講者は、小川卓朗さん(洗足学園音楽大学の4年生)。ピアノは松浦真沙さんで、ピート・スウェルツの「クロノス」を演奏。以前リサイタルを拝聴したが、その時と変わらずものすごいパワーとテクニックで、、、おそらくアドルフ・サックス国際コンクールに持っていくのだろう。

マカリスター氏、小川さんの演奏も大絶賛。ポイントを絞ったいくつかの提案を行っていた。
・ピアニストとのコミュニケーションを行うには、譜面台とピアノの位置を考えたほうが良い。
・タイに長く捕まってはいけない。良い拍節感で、ビートを感じて。この指摘の直後、第1楽章の吹き方が魔法のように変化した。
・フラジオのTriangle System(4+Ta+Tc)。これはミュールの時代の指使い。右手を固定し、左手だけで上に登っていける指使いを使ってみてはどうか。
・フロントFキー(ヘムケやデファイエ)のフラジオの指使いも使えるように。ドローンの上でフラジオの練習を行ないなさい。
・フラジオは、基音が高い位置にあればあるほど安定して当たりやすい。いくつかのパターンを持っておくことが良い。

ミニコンサートの様子については、別記事に書く予定。

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