7/19、帰国の日。
朝起きて片付け等準備を済ませ、大荷物を抱えてメトロでOpera駅へ。空港に直通するRoissyバスに乗って、シャルル・ド・ゴール国際空港へと向かった。およそ1時間弱で到着。
チェックインカウンターの近くで皆と合流し、最後に少しだけお土産を追加で買って、チェックイン&荷物預け。この荷物預けが曲者で、オール・セルフでやらねばならず、だいぶ苦労した。制限(超えると100ユーロ追加徴収)の24kgぴったりに収まり、出国手続き、手荷物検査と進む。ゲートからはなぜかバスに乗せられて駐機場へ。定刻の午前11:00を少し遅れて出発した。飛行機が飛び立つ瞬間は実にあっけなく、やはり旅の終わりは寂しいものである。
帰りの機内は、写真を眺めたり記事を書いたり。また一眠りすることもできたが、あっという間だった。日本時間、7/20の朝6:00頃に到着。むわっとした空気に、ああ日本に帰ってきたのだなと実感した。
----------
以上、10回に渡って演奏旅行レポートをお送りした。あまりサクソフォンと関係ない部分もあり恐縮だが、自分用のメモも兼ねているのでご容赦いただきたい。
様々な出来事があった充実の演奏旅行。果たして次は何ができるのか(何をしようか)を考えながら、日々の鍛錬に戻ろうと思う。
2015/07/31
TSQヨーロッパ演奏旅行2015(9日目:ポラン氏インタビュー)
7/18、インタビューのためにアンリ=ルネ・ポラン氏を訪問した。
かつてデファイエ・サクソフォン四重奏団のアルト奏者として、また、ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団のバリトン奏者として活躍し、またルーアン音楽院にて教鞭を執り後進の育成にも力を注いだフランスのサクソフォン奏者、アンリ=ルネ・ポラン Henri Rene Pollin氏。まさかこのような機会が巡ってくるとは…本当に夢のような出来事だった。
メトロでサン・ラザール駅へ移動し、通訳をお願いした外山舞さん、小川結子さんと待ち合わせ。サン・ラザール駅から、列車で1時間30分ほどかけてルーアン駅へと向かった。パリからノルマンディーの方面に向かう車窓からは、森や川が多く見える。パリからストラスブールに向かう車窓からは畑ばっかりだったことを思い出したが、なんとも対照的な風景だ。9:00頃にルーアン駅到着。とても涼しい。
ルーアン駅からはメトロで移動。最寄り駅で降りて、徒歩で10分ほどのアパルトマンに向かった。どきどきしながら呼び鈴を押す。ものすごく緊張したのだが、奥様ともどもとても温かく迎えてくださった。また、おふたりとも90歳を超えるご高齢であることを感じさせないタフさがあり、驚いたのだった。
インタビューは、とにかく何か話題を振るとどんどんと喋ってくださるので(しゃべりながらどんどん思い出している感じ)さすがにその場で全部通訳してもらうわけにはいかなかったのだが(後日ディクテーションしていただく予定)、通訳していただいた分だけでも、貴重なお話をたくさん聴けた。例えば、クラリネットからサクソフォンに転向した理由、デファイエ氏との四重奏練習の話、リュエフ・ティスネ・パスカルが入った四重奏の録音の話、ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団来日の話、家族の話など、いずれもまさにサクソフォンの歴史の一端を担った偉大なサクソフォン奏者としての言葉の数々であり、あまりの情報量の多さに頭がぼーっとしてくるほどであった。
お昼ごはんもご馳走になり、その最中にはシャンパンも開けて…もちろん、ポラン氏、奥様と一緒にそのシャンパンを味わい、またさらにその後もお話は続き、さらに貴重な資料は写真の数々も見せていただき(いくつかは借りて日本に持ち帰ってきた)、充実の時間を過ごした。なんと17:00くらいまでほとんど休憩もなく喋ってくださり、「休憩しますか?」と聞くも、「元気だから大丈夫だよ!」という具合。いやはや、驚かされる。
そのうち資料は整理しようと思うので、とりあえずこの記事では1点だけアップしておく。ロジェ・カルメル「サクソフォン四重奏曲」のアルトパート譜である。赤鉛筆、青鉛筆の部分は、デファイエ氏が重要箇所として印をつけたものなのだそうだ。四重奏に関しては、デファイエ氏がかなり音楽作りを細かくやっていたことも伺った。
ということで、7時間近くに及ぶ邂逅となった。今回のインタビュー依頼をしてくださった荒木浩一氏、同行してくださった外山舞氏、小川結子氏に、改めて感謝申し上げる次第。今回の内容は、日本サクソフォーン協会の協会誌に掲載予定。しっかりした記事を書き上げたい。
インタビュー後は、以前ルーアンの語学学校に通っていた外山舞さんの案内で、ルーアンの時計台や、ノートルダム大聖堂、ジャンヌ・ダルク教会等に案内してもらった。特にノートルダム大聖堂は、その規模はもとよりステンドグラスなど圧巻の極みであり、つい長居してしまった。最後に、外山さんお気に入りだというガレット&クレープ屋さんで簡単に夕食を。名産のアップル・シードルも美味しく、もちろんガレットも絶品、楽しい時間だった。
19:30過ぎの列車でパリへ。列車内では、記憶がはっきりしているうちに手書きのメモ書きをPCで書き起こす作業。2時間ほどかけてパリに到着した。
メトロに乗り換え、昨日と同じホテルへ。荷物を整頓して、夢の様な一日を反芻しながら床についたのだった。
かつてデファイエ・サクソフォン四重奏団のアルト奏者として、また、ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団のバリトン奏者として活躍し、またルーアン音楽院にて教鞭を執り後進の育成にも力を注いだフランスのサクソフォン奏者、アンリ=ルネ・ポラン Henri Rene Pollin氏。まさかこのような機会が巡ってくるとは…本当に夢のような出来事だった。
メトロでサン・ラザール駅へ移動し、通訳をお願いした外山舞さん、小川結子さんと待ち合わせ。サン・ラザール駅から、列車で1時間30分ほどかけてルーアン駅へと向かった。パリからノルマンディーの方面に向かう車窓からは、森や川が多く見える。パリからストラスブールに向かう車窓からは畑ばっかりだったことを思い出したが、なんとも対照的な風景だ。9:00頃にルーアン駅到着。とても涼しい。
ルーアン駅からはメトロで移動。最寄り駅で降りて、徒歩で10分ほどのアパルトマンに向かった。どきどきしながら呼び鈴を押す。ものすごく緊張したのだが、奥様ともどもとても温かく迎えてくださった。また、おふたりとも90歳を超えるご高齢であることを感じさせないタフさがあり、驚いたのだった。
インタビューは、とにかく何か話題を振るとどんどんと喋ってくださるので(しゃべりながらどんどん思い出している感じ)さすがにその場で全部通訳してもらうわけにはいかなかったのだが(後日ディクテーションしていただく予定)、通訳していただいた分だけでも、貴重なお話をたくさん聴けた。例えば、クラリネットからサクソフォンに転向した理由、デファイエ氏との四重奏練習の話、リュエフ・ティスネ・パスカルが入った四重奏の録音の話、ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団来日の話、家族の話など、いずれもまさにサクソフォンの歴史の一端を担った偉大なサクソフォン奏者としての言葉の数々であり、あまりの情報量の多さに頭がぼーっとしてくるほどであった。
お昼ごはんもご馳走になり、その最中にはシャンパンも開けて…もちろん、ポラン氏、奥様と一緒にそのシャンパンを味わい、またさらにその後もお話は続き、さらに貴重な資料は写真の数々も見せていただき(いくつかは借りて日本に持ち帰ってきた)、充実の時間を過ごした。なんと17:00くらいまでほとんど休憩もなく喋ってくださり、「休憩しますか?」と聞くも、「元気だから大丈夫だよ!」という具合。いやはや、驚かされる。
そのうち資料は整理しようと思うので、とりあえずこの記事では1点だけアップしておく。ロジェ・カルメル「サクソフォン四重奏曲」のアルトパート譜である。赤鉛筆、青鉛筆の部分は、デファイエ氏が重要箇所として印をつけたものなのだそうだ。四重奏に関しては、デファイエ氏がかなり音楽作りを細かくやっていたことも伺った。
ということで、7時間近くに及ぶ邂逅となった。今回のインタビュー依頼をしてくださった荒木浩一氏、同行してくださった外山舞氏、小川結子氏に、改めて感謝申し上げる次第。今回の内容は、日本サクソフォーン協会の協会誌に掲載予定。しっかりした記事を書き上げたい。
インタビュー後は、以前ルーアンの語学学校に通っていた外山舞さんの案内で、ルーアンの時計台や、ノートルダム大聖堂、ジャンヌ・ダルク教会等に案内してもらった。特にノートルダム大聖堂は、その規模はもとよりステンドグラスなど圧巻の極みであり、つい長居してしまった。最後に、外山さんお気に入りだというガレット&クレープ屋さんで簡単に夕食を。名産のアップル・シードルも美味しく、もちろんガレットも絶品、楽しい時間だった。
19:30過ぎの列車でパリへ。列車内では、記憶がはっきりしているうちに手書きのメモ書きをPCで書き起こす作業。2時間ほどかけてパリに到着した。
メトロに乗り換え、昨日と同じホテルへ。荷物を整頓して、夢の様な一日を反芻しながら床についたのだった。
TSQヨーロッパ演奏旅行2015(8日目:ディナンへ)
7/17、アドルフ・サックスの生まれ故郷として有名なディナンを訪問した。
今日は単独行動。荷物をまとめ、ホテルに預けてから朝8時台の電車に乗り、まずはナミュールを目指す。ベルギーの国鉄は非常に重量感のある走りをするのが面白い。加速も減速もゆっくり、ひとたびスピードに乗るとそこそこ速いのだが、時折なんでもない場所で止まったりする。時間はなかなか正確なのだが、駅間は非常に緩いダイヤが組まれているようにも思え…日本がセカセカしすぎているのかも(笑)。
ナミュールで乗り換え、そこからは30分弱。川に沿って電車が走り、穏やかな風景が広がる。そしていよいよディナンに到着。まずは中心街に向かって歩く。すぐに、写真で何度も見たことのある光景が眼前に広がった。
横に流れる川、その川にかかる橋、巨大な大聖堂、絶壁の上の城砦(シタデル)。サクソフォンの発明者であるアドルフ・サックスは、生まれてからほんの数ヶ月しかこの街には住んでいなかったというのだが、とはいえサクソフォン奏者にとっては"聖地"ともいうべき場所であることに間違いはない。眼前に広がる壮大な光景に圧倒されるとともに、そんな場所を訪れることができたという感慨を感じたのだった。また、サクソフォン奏者としてはアドルフ・サックス国際コンクールの開催地として、という場所の意味も大きいのだと思う。この地で闘った奏者たちが、いったいどんな気持ちでディナン駅に降り立ち、そして去っていったのか、そんなことを考えると、なんだか心が震えるのであった。
早速、橋を渡ってアドルフ・サックス通りへ。至る所に、サクソフォンの形をあしらったモニュメントが置かれている。アドルフ・サックスの生家(ごく小さな博物館のようになっている)、そして、サクソフォンのモニュメントとともに写真を撮った。サクソフォンのモニュメントでの写真は、近くにいたスイスから来たという老夫婦に撮っていただいたのだが、ご主人はジャズサクソフォン奏者なんだそうな。やっぱりサクソフォン奏者にとって、この地は一度は訪れてみたい場所なのだろう。
橋の近辺へと戻り、シタデル登り。ロープウェイもあるのだが、登りは階段で。408段の急勾配の階段を登ると汗が吹き出したが、途中の眺望もすばらしく、また至近の大聖堂も圧巻。なんとか登り切ることができた。シタデル上のカフェでビールを注文して喉を潤し、要塞の中を少しだけ見学、また街を見下ろす眺めを楽しんで、ロープウェイで降りた。
シタデルから降りたあとは、川沿いのカフェでビールを飲み、パン屋さんでクック・ド・ディナンを買い、帰路へついた。2時間半ほどの滞在ではあったが、なんだか気持ちが充実したのであった。
ブリュッセルに戻ってきた後は、グランプラス周辺をぶらぶらしていくつかお土産を購入。また、最後のベルギービールを再びリトル・デリリウムで飲み、ホテルで荷物をピックアップしてブリュッセル南駅へ。ブリュッセル南駅からは、Thalysでパリ北駅へと向かった。
パリ北駅からは、メトロ移動。楽器と大きなキャリーケースを抱え、エスカレーターもない場所を大汗をかきながら移動。しかも、治安が悪いと聞いていたので、荷物の防備にかなり神経も使った。サン・ラザール駅の近くのメトロ駅、Malesherbesへ到着し、ホテルまで徒歩で15分(遠かった…が、市内ではなかなかリーズナブルなところを見つけられなかったのだ)。なんとかパリの宿にチェックインすることができた。
荷物を少し整理した後、レストランへと繰り出して、「冷たいステーキ」なる料理を注文。なかなか美味しかった。宿に戻ると、移動の疲れからかすぐに睡魔が襲ってきて、次の日の準備を少しだけやってすぐに眠りについたのだった。
今日は単独行動。荷物をまとめ、ホテルに預けてから朝8時台の電車に乗り、まずはナミュールを目指す。ベルギーの国鉄は非常に重量感のある走りをするのが面白い。加速も減速もゆっくり、ひとたびスピードに乗るとそこそこ速いのだが、時折なんでもない場所で止まったりする。時間はなかなか正確なのだが、駅間は非常に緩いダイヤが組まれているようにも思え…日本がセカセカしすぎているのかも(笑)。
ナミュールで乗り換え、そこからは30分弱。川に沿って電車が走り、穏やかな風景が広がる。そしていよいよディナンに到着。まずは中心街に向かって歩く。すぐに、写真で何度も見たことのある光景が眼前に広がった。
横に流れる川、その川にかかる橋、巨大な大聖堂、絶壁の上の城砦(シタデル)。サクソフォンの発明者であるアドルフ・サックスは、生まれてからほんの数ヶ月しかこの街には住んでいなかったというのだが、とはいえサクソフォン奏者にとっては"聖地"ともいうべき場所であることに間違いはない。眼前に広がる壮大な光景に圧倒されるとともに、そんな場所を訪れることができたという感慨を感じたのだった。また、サクソフォン奏者としてはアドルフ・サックス国際コンクールの開催地として、という場所の意味も大きいのだと思う。この地で闘った奏者たちが、いったいどんな気持ちでディナン駅に降り立ち、そして去っていったのか、そんなことを考えると、なんだか心が震えるのであった。
早速、橋を渡ってアドルフ・サックス通りへ。至る所に、サクソフォンの形をあしらったモニュメントが置かれている。アドルフ・サックスの生家(ごく小さな博物館のようになっている)、そして、サクソフォンのモニュメントとともに写真を撮った。サクソフォンのモニュメントでの写真は、近くにいたスイスから来たという老夫婦に撮っていただいたのだが、ご主人はジャズサクソフォン奏者なんだそうな。やっぱりサクソフォン奏者にとって、この地は一度は訪れてみたい場所なのだろう。
橋の近辺へと戻り、シタデル登り。ロープウェイもあるのだが、登りは階段で。408段の急勾配の階段を登ると汗が吹き出したが、途中の眺望もすばらしく、また至近の大聖堂も圧巻。なんとか登り切ることができた。シタデル上のカフェでビールを注文して喉を潤し、要塞の中を少しだけ見学、また街を見下ろす眺めを楽しんで、ロープウェイで降りた。
シタデルから降りたあとは、川沿いのカフェでビールを飲み、パン屋さんでクック・ド・ディナンを買い、帰路へついた。2時間半ほどの滞在ではあったが、なんだか気持ちが充実したのであった。
ブリュッセルに戻ってきた後は、グランプラス周辺をぶらぶらしていくつかお土産を購入。また、最後のベルギービールを再びリトル・デリリウムで飲み、ホテルで荷物をピックアップしてブリュッセル南駅へ。ブリュッセル南駅からは、Thalysでパリ北駅へと向かった。
パリ北駅からは、メトロ移動。楽器と大きなキャリーケースを抱え、エスカレーターもない場所を大汗をかきながら移動。しかも、治安が悪いと聞いていたので、荷物の防備にかなり神経も使った。サン・ラザール駅の近くのメトロ駅、Malesherbesへ到着し、ホテルまで徒歩で15分(遠かった…が、市内ではなかなかリーズナブルなところを見つけられなかったのだ)。なんとかパリの宿にチェックインすることができた。
荷物を少し整理した後、レストランへと繰り出して、「冷たいステーキ」なる料理を注文。なかなか美味しかった。宿に戻ると、移動の疲れからかすぐに睡魔が襲ってきて、次の日の準備を少しだけやってすぐに眠りについたのだった。
2015/07/30
TSQヨーロッパ演奏旅行2015(7日目:大使館で演奏)
7/16、在ベルギー日本国大使館広報文化センターでの演奏の日。
5月に「The Works for Saxophones by Japanese Composers」というタイトルで在ベルギー日本国大使館広報文化センター宛てに文化事業を申請し、受理。日本とベルギーの芸術交流深化に寄与するべく、日本人作曲家が、ベルギー産の楽器(サクソフォン)のためにどのような作品を書いているかを海外に紹介する…という目的で、共催事業として演奏会を開催した。本コンサートで取り上げた作曲家は5名。日本の若手作曲家から、朝日作曲賞受賞の旭井翔一と、スタジオミュージシャンとして活躍する大嵜慶子、フランスでジャズを学ぶ小倉大志の作品を、それぞれ演奏した。また、ベテラン作曲家として、少々異ジャンルではあるが、久石譲、武満徹の作品も取り上げた。
大使館の、公報文化班の担当のU様は、3年前にもお世話になっており、いろいろとアドバイス等も受けながら準備を進めることができた。また、宣伝に関してはかなり大使館が力になってくださった(なんと満席!60名ものお客様が!)。
ということで、まずは朝、ホテル周辺のパン屋さんで朝食を採る。微妙に風が冷たい。朝食後、諸々準備して、バスで大使館方面へ。途中、バスが向かっている方向が違うなあと思ったら、なんと移転前の大使館方面に向かっていたのだった。とりあえず降りて、歩いて移転後の大使館へ。それほど遠い場所ではなくて良かった。
移転前の公報文化センターの建物は、オフィスビルの一角を間借りしているような雰囲気だったのだが、移転後は立派な高階層のビルに変貌。移転直後ということもあって新しく、内装や、過ごしやすさに感動してしまった。入り口には金属探知機のゲートがあり…これはさすがに驚いたが、大使館なのだから当然といえば当然だろうか。
少し遅れたがリハーサル開始。かなりドタバタしながら、時間も気にしつつ合わせを進め、途中、大宅さんもいらっしゃって、ピアノ合わせも行う。ピアノ合わせ後はお昼ごはんを食べに出て、大使館近くにある「黒板」というラーメン屋さんに入ってみた。店の名前からして、超ゲテモノを想像し、いちばん変な「Karaage Shoyu Ramen」を頼んでみたのだが、意外と普通に美味しく、なんだか逆にがっかりしてしまったのだった。どうやらご主人は日本人のようで、そりゃまともだ。
昼食後も、ひたすらリハーサル。旭井君に頼んでオープニングを急遽書き下ろしてもらい、そんなことをしている間にもどんどん時間が足りなくなってくる。開場30分前にようやくリハーサル終了。
演奏会中は、MCをしたり演奏をしたり忙しかったのだが、たくさんの拍手をもらうことができて、嬉しかった。小倉くんのジャズはやっぱりウケたなあ。さすがです。旭井君の多面性(「南風の忘れ物」→「バラード」→「制御・代用・削除」という順番の演奏)を聴いてもらえたのも良かったし、大嵜慶子氏の曲は万人受けするし、久石譲はもちろんよく知られている曲だし…と、雑多ではあったが、聴き手としては実際どのように感じていただけたのか、気になるところだ。
演奏会が終わって、お見送り。ほとんどは現地の方だったのだが、ベルギーで研修中の大学時代の吹奏楽団の後輩が聴きに来てくれたり、アントワープからなんとHans de Jong氏が聴きに来てくれたり、そんなところも嬉しかった。
片付けてホテルに戻って荷物を置き、大宅さんにグランプラス近くのウサギを食べられるお店に連れて行ってもらった。ラストオーダー間際に大人数で飛び込んでしまったのだが、なんとかありつくことができ…いやはや、やっぱり美味しく、またビールとの相性も抜群。
お腹いっぱい食べた後は、リトル・デリリウムでさらにビールを…このドラフトビールの種類数!銘柄が分からなかったり、種類が分からなかったりいろいろだったが、それでも美味しいのなんの。充実した1日であった。
5月に「The Works for Saxophones by Japanese Composers」というタイトルで在ベルギー日本国大使館広報文化センター宛てに文化事業を申請し、受理。日本とベルギーの芸術交流深化に寄与するべく、日本人作曲家が、ベルギー産の楽器(サクソフォン)のためにどのような作品を書いているかを海外に紹介する…という目的で、共催事業として演奏会を開催した。本コンサートで取り上げた作曲家は5名。日本の若手作曲家から、朝日作曲賞受賞の旭井翔一と、スタジオミュージシャンとして活躍する大嵜慶子、フランスでジャズを学ぶ小倉大志の作品を、それぞれ演奏した。また、ベテラン作曲家として、少々異ジャンルではあるが、久石譲、武満徹の作品も取り上げた。
大使館の、公報文化班の担当のU様は、3年前にもお世話になっており、いろいろとアドバイス等も受けながら準備を進めることができた。また、宣伝に関してはかなり大使館が力になってくださった(なんと満席!60名ものお客様が!)。
ということで、まずは朝、ホテル周辺のパン屋さんで朝食を採る。微妙に風が冷たい。朝食後、諸々準備して、バスで大使館方面へ。途中、バスが向かっている方向が違うなあと思ったら、なんと移転前の大使館方面に向かっていたのだった。とりあえず降りて、歩いて移転後の大使館へ。それほど遠い場所ではなくて良かった。
移転前の公報文化センターの建物は、オフィスビルの一角を間借りしているような雰囲気だったのだが、移転後は立派な高階層のビルに変貌。移転直後ということもあって新しく、内装や、過ごしやすさに感動してしまった。入り口には金属探知機のゲートがあり…これはさすがに驚いたが、大使館なのだから当然といえば当然だろうか。
少し遅れたがリハーサル開始。かなりドタバタしながら、時間も気にしつつ合わせを進め、途中、大宅さんもいらっしゃって、ピアノ合わせも行う。ピアノ合わせ後はお昼ごはんを食べに出て、大使館近くにある「黒板」というラーメン屋さんに入ってみた。店の名前からして、超ゲテモノを想像し、いちばん変な「Karaage Shoyu Ramen」を頼んでみたのだが、意外と普通に美味しく、なんだか逆にがっかりしてしまったのだった。どうやらご主人は日本人のようで、そりゃまともだ。
昼食後も、ひたすらリハーサル。旭井君に頼んでオープニングを急遽書き下ろしてもらい、そんなことをしている間にもどんどん時間が足りなくなってくる。開場30分前にようやくリハーサル終了。
演奏会中は、MCをしたり演奏をしたり忙しかったのだが、たくさんの拍手をもらうことができて、嬉しかった。小倉くんのジャズはやっぱりウケたなあ。さすがです。旭井君の多面性(「南風の忘れ物」→「バラード」→「制御・代用・削除」という順番の演奏)を聴いてもらえたのも良かったし、大嵜慶子氏の曲は万人受けするし、久石譲はもちろんよく知られている曲だし…と、雑多ではあったが、聴き手としては実際どのように感じていただけたのか、気になるところだ。
演奏会が終わって、お見送り。ほとんどは現地の方だったのだが、ベルギーで研修中の大学時代の吹奏楽団の後輩が聴きに来てくれたり、アントワープからなんとHans de Jong氏が聴きに来てくれたり、そんなところも嬉しかった。
片付けてホテルに戻って荷物を置き、大宅さんにグランプラス近くのウサギを食べられるお店に連れて行ってもらった。ラストオーダー間際に大人数で飛び込んでしまったのだが、なんとかありつくことができ…いやはや、やっぱり美味しく、またビールとの相性も抜群。
お腹いっぱい食べた後は、リトル・デリリウムでさらにビールを…このドラフトビールの種類数!銘柄が分からなかったり、種類が分からなかったりいろいろだったが、それでも美味しいのなんの。充実した1日であった。
2015/07/29
TSQヨーロッパ演奏旅行2015(6日目:ブリュッセルへ)
7/15、ストラスブールに別れを告げ、ブリュッセルへ。
楽しかったストラスブールの日々も終わり。様々な思い出が残り、ぜひまた来てみたい都市となった。朝8時台のTGV(大城先生や、宗貞先生や、ドゥラングル教授も乗っていた)に乗って、まずはパリ東駅へ。おしゃべりしながら過ごし、一眠りするとあっという間。
歩きでパリ北駅へと移動し、軽く買い食いして乗車。Thalysという、TGVとは違う車両…ちょっと古めかしく、速度もTGVほどではないが、快適さは変わらず。鉄道の旅は楽しいなあ。1時間少しかけてブリュッセル南駅に到着すると、なんと雨が!カラッとしたストラスブールが恋しくなった。気を取り直して国鉄で中央駅まで移動し(ゆっくり進む超重量級の車両で、3年前を思い出して懐かしかった)、中央駅から少し歩いてグランプラス周辺のホテルへ。とりあえず荷物を預けて、昼食へと繰り出した。
なんとなく適当に入ったレストランで、ビールとムール貝を。ムール貝は前回ベルギー訪問時には食べられなかったので、ここで食べられて嬉しかった。続いて名店ゴーフル・ド・ブリュッセルにてワッフルとフルーツ・ビールを。ここは3年前に朝ごはんを食べるために入ったなあ。ふわっふわのブリュッセル風ワッフルとトッピングの組み合わせは、本当に美味しい。
ここで別行動となり、妻の友人がデンマークから出てきてくれたとのことで、そのご友人と、そのまたご友人とともにカフェへ。どこに行こうかあちこち探し歩いていたのだが、見つけてくれたのがA la Becasseというカフェ。どうやらランビックをドラフトで出してくれるカフェのようで、焼き物のピッチャーに入った2種類のビール…酸味が強く、泡が少ない、まさにランビックそのものだ!…と、幾種類かのビールを楽しんだ。いろいろとしゃべったのだが、どうもこの日は疲れと飲み過ぎのせいか記憶が曖昧…。
お2人と別れて、ちょっと歩いて観光しホテルに戻り、シャワーを浴びて速攻で寝落ちてしまったのだった。途中1回起きたのだが、結局すぐに寝落ちて次の日の朝まで起きず。おかげでだいぶ体力は回復したのだが。
楽しかったストラスブールの日々も終わり。様々な思い出が残り、ぜひまた来てみたい都市となった。朝8時台のTGV(大城先生や、宗貞先生や、ドゥラングル教授も乗っていた)に乗って、まずはパリ東駅へ。おしゃべりしながら過ごし、一眠りするとあっという間。
歩きでパリ北駅へと移動し、軽く買い食いして乗車。Thalysという、TGVとは違う車両…ちょっと古めかしく、速度もTGVほどではないが、快適さは変わらず。鉄道の旅は楽しいなあ。1時間少しかけてブリュッセル南駅に到着すると、なんと雨が!カラッとしたストラスブールが恋しくなった。気を取り直して国鉄で中央駅まで移動し(ゆっくり進む超重量級の車両で、3年前を思い出して懐かしかった)、中央駅から少し歩いてグランプラス周辺のホテルへ。とりあえず荷物を預けて、昼食へと繰り出した。
なんとなく適当に入ったレストランで、ビールとムール貝を。ムール貝は前回ベルギー訪問時には食べられなかったので、ここで食べられて嬉しかった。続いて名店ゴーフル・ド・ブリュッセルにてワッフルとフルーツ・ビールを。ここは3年前に朝ごはんを食べるために入ったなあ。ふわっふわのブリュッセル風ワッフルとトッピングの組み合わせは、本当に美味しい。
ここで別行動となり、妻の友人がデンマークから出てきてくれたとのことで、そのご友人と、そのまたご友人とともにカフェへ。どこに行こうかあちこち探し歩いていたのだが、見つけてくれたのがA la Becasseというカフェ。どうやらランビックをドラフトで出してくれるカフェのようで、焼き物のピッチャーに入った2種類のビール…酸味が強く、泡が少ない、まさにランビックそのものだ!…と、幾種類かのビールを楽しんだ。いろいろとしゃべったのだが、どうもこの日は疲れと飲み過ぎのせいか記憶が曖昧…。
お2人と別れて、ちょっと歩いて観光しホテルに戻り、シャワーを浴びて速攻で寝落ちてしまったのだった。途中1回起きたのだが、結局すぐに寝落ちて次の日の朝まで起きず。おかげでだいぶ体力は回復したのだが。
2015/07/28
TSQヨーロッパ演奏旅行2015(5日目:コングレス最終日)
7/14、コングレス最終日。
前日にリチャード氏から「最終日に一緒に吹かない?」というお誘いメールが来て、楽器を持ってトラムに乗り、Parc de l'Orangerieへ。
…と、演奏の前に、同公園内のPavillon Josephineにて「国際サクソフォン評議会メンバーの選出」「World Saxophone Association設立の是非」「次回世界サクソフォンコングレス開催地選定」を議題とする会議が開かれた。議長は、世界サクソフォン評議会のクロード・ドゥラングル Claude Delangle氏、その他評議会のメンバーが壇上に上がり、議題が進行した。出席者はおよそ300名といったところか(15分前に着いたところ、20人位しかおらず、こんなんで始まるのか…と思ったのだが笑)
まずは今回コングレスの総まとめということで、各種データの発表とスタッフの紹介。過去最大規模となる2700名以上の参加、来場者数30000人という記録は、しばらく破られないのではないか、というほどのものである。フィリップ・ガイス Philippe Geiss氏を始めとするスタッフ陣に拍手が送られた。「国際サクソフォン評議会メンバーの選出」「World Saxophone Association設立の是非」について、説明があったのち、投票。国際サクソフォン評議会のメンバーについては、こちらのサイトからご覧いたlたい(→http://www.saxophonecommittee.com/)また、「World Saxophone Association設立の是非」については賛成多数により可決された。
続いて、「次回サクソフォンコングレス開催地選定」。クロアチアのザグレブ市が唯一名乗りを挙げ、Dragan Sremec氏(ザグレブサクソフォン四重奏団のソプラノ奏者)がクロアチアやザグレブの概要、会場、バックボーン等についてプレゼンを行った。20分ほどのプレゼンののち投票が行われ、賛成多数で可決された。ということで、次回はクロアチア!!なかなか意外というか、なるほどというか、果たしてどんなコングレスになるのか、そして参加できるか…。
会議のあとは、Parc de l'Orangerieの公園内で、ピクニック。露店やら、移動式窯焼きピザ屋さんやらが来て、晴天の中(ちょっと暑いくらい)、あちこちで参加者が休日を楽しむ姿が見られた。私達もさっそくタルトフランベを買い、頬張った。ただし、暑いので屋内で(^^;
ということで、屋外ステージにて演奏!ガイス氏からリチャード氏に、「何か吹かない?」とお誘いが行ったらしく、それならばということでリチャード氏が私達を共演に誘ってくれたのだ。ソプラノにシャルロット・ハーディング Charlotte Hardingさんを、テナーにアリスター・パーネル Alistair Parnell氏を加え、「Mrs Malcolm, Her Reel」を再び演奏!いやはや、最終日にまた素敵な思い出が出来たなあ。とても楽しく、嬉しかった。
他の演奏を少し楽しんだのち、いったんアパルトマンへと戻り、小休憩。楽器を置いて、Place Kleberへと繰り出す。18:00からイギリスのフュージョンバンド、Sax Assaultの演奏を聴くためだ。ずっと聴きたいバンドだったのだが、まさかここで聴けるとは思わなかった。入場無料のオープンコンサートということもあり、Place Kleberは大盛況。少し日差しも強かったが、ジャズとポップスを混ぜてロックを掛けあわせようなノリの良い楽曲の数々に、広場全体が盛り上がった。Simon Willescroftのソロは問答無用でカッコいいし、John Helliwellのソロも大御所ならではの緊張感あるもので、いやはや1時間ちょっとにわたってとても楽しかった。アレンジもの「Sex Bomb」で〆ると思いきや、最後にはなんと大好きな「Lip Service」まで演奏され、大満足。
ライヴのあとは、広場のカフェでオーストラリアのマイケルと合流し、飲み。彼は本当に愉快でネタ豊富なのだが、2時間ほどひたすら呑んだりおしゃべりしていたら、徐々にいろいろな人が集まってきて、楽しかったなあ。Erin RoyerからCDを買ったり、クリス・カルドウェル Chris Caldwell氏(その昔、London SaxophonicのCDを送ってもらったことがある)やアンディ・スコット Andy Scott氏を捕まえて話したり、ビールを呑んだり、ビールを呑んだり、ビールを呑んだり…。
暗くなってきたので、革命記念日の花火を眺めるべくマイケルとともに音楽院方面に移動。途中皆と合流し、Salle de la Bourseの近辺から花火を眺めた。侘び寂びなど一切感じられない、容赦の無い打ち上げの連続に驚く。まるで爆竹だ(笑)。とにかく凄かった。ちなみに、人出は多いが、さすがに日本ほどではないかな。
音楽院からアパルトマンへのバスは、花火大会のため止まってしまっていたので、仕方なく40分ほどかけて歩き、アパルトマンへと帰着した。
前日にリチャード氏から「最終日に一緒に吹かない?」というお誘いメールが来て、楽器を持ってトラムに乗り、Parc de l'Orangerieへ。
…と、演奏の前に、同公園内のPavillon Josephineにて「国際サクソフォン評議会メンバーの選出」「World Saxophone Association設立の是非」「次回世界サクソフォンコングレス開催地選定」を議題とする会議が開かれた。議長は、世界サクソフォン評議会のクロード・ドゥラングル Claude Delangle氏、その他評議会のメンバーが壇上に上がり、議題が進行した。出席者はおよそ300名といったところか(15分前に着いたところ、20人位しかおらず、こんなんで始まるのか…と思ったのだが笑)
まずは今回コングレスの総まとめということで、各種データの発表とスタッフの紹介。過去最大規模となる2700名以上の参加、来場者数30000人という記録は、しばらく破られないのではないか、というほどのものである。フィリップ・ガイス Philippe Geiss氏を始めとするスタッフ陣に拍手が送られた。「国際サクソフォン評議会メンバーの選出」「World Saxophone Association設立の是非」について、説明があったのち、投票。国際サクソフォン評議会のメンバーについては、こちらのサイトからご覧いたlたい(→http://www.saxophonecommittee.com/)また、「World Saxophone Association設立の是非」については賛成多数により可決された。
続いて、「次回サクソフォンコングレス開催地選定」。クロアチアのザグレブ市が唯一名乗りを挙げ、Dragan Sremec氏(ザグレブサクソフォン四重奏団のソプラノ奏者)がクロアチアやザグレブの概要、会場、バックボーン等についてプレゼンを行った。20分ほどのプレゼンののち投票が行われ、賛成多数で可決された。ということで、次回はクロアチア!!なかなか意外というか、なるほどというか、果たしてどんなコングレスになるのか、そして参加できるか…。
会議のあとは、Parc de l'Orangerieの公園内で、ピクニック。露店やら、移動式窯焼きピザ屋さんやらが来て、晴天の中(ちょっと暑いくらい)、あちこちで参加者が休日を楽しむ姿が見られた。私達もさっそくタルトフランベを買い、頬張った。ただし、暑いので屋内で(^^;
ということで、屋外ステージにて演奏!ガイス氏からリチャード氏に、「何か吹かない?」とお誘いが行ったらしく、それならばということでリチャード氏が私達を共演に誘ってくれたのだ。ソプラノにシャルロット・ハーディング Charlotte Hardingさんを、テナーにアリスター・パーネル Alistair Parnell氏を加え、「Mrs Malcolm, Her Reel」を再び演奏!いやはや、最終日にまた素敵な思い出が出来たなあ。とても楽しく、嬉しかった。
他の演奏を少し楽しんだのち、いったんアパルトマンへと戻り、小休憩。楽器を置いて、Place Kleberへと繰り出す。18:00からイギリスのフュージョンバンド、Sax Assaultの演奏を聴くためだ。ずっと聴きたいバンドだったのだが、まさかここで聴けるとは思わなかった。入場無料のオープンコンサートということもあり、Place Kleberは大盛況。少し日差しも強かったが、ジャズとポップスを混ぜてロックを掛けあわせようなノリの良い楽曲の数々に、広場全体が盛り上がった。Simon Willescroftのソロは問答無用でカッコいいし、John Helliwellのソロも大御所ならではの緊張感あるもので、いやはや1時間ちょっとにわたってとても楽しかった。アレンジもの「Sex Bomb」で〆ると思いきや、最後にはなんと大好きな「Lip Service」まで演奏され、大満足。
ライヴのあとは、広場のカフェでオーストラリアのマイケルと合流し、飲み。彼は本当に愉快でネタ豊富なのだが、2時間ほどひたすら呑んだりおしゃべりしていたら、徐々にいろいろな人が集まってきて、楽しかったなあ。Erin RoyerからCDを買ったり、クリス・カルドウェル Chris Caldwell氏(その昔、London SaxophonicのCDを送ってもらったことがある)やアンディ・スコット Andy Scott氏を捕まえて話したり、ビールを呑んだり、ビールを呑んだり、ビールを呑んだり…。
暗くなってきたので、革命記念日の花火を眺めるべくマイケルとともに音楽院方面に移動。途中皆と合流し、Salle de la Bourseの近辺から花火を眺めた。侘び寂びなど一切感じられない、容赦の無い打ち上げの連続に驚く。まるで爆竹だ(笑)。とにかく凄かった。ちなみに、人出は多いが、さすがに日本ほどではないかな。
音楽院からアパルトマンへのバスは、花火大会のため止まってしまっていたので、仕方なく40分ほどかけて歩き、アパルトマンへと帰着した。
2015/07/27
TSQヨーロッパ演奏旅行2015(4日目:TSQ演奏の日)
7/13、この日はコングレスでのTsukubaSQ演奏の日である。
Tsukuba Saxophone Quartetが今回のコングレス参加した目的は2点、作曲家・旭井翔一による初のサクソフォン・カルテット作品を海外へ紹介すること(イコール、旭井翔一氏の海外への紹介)と、日本国外の奏者であるリチャード・インガム氏(当初はScottish Saxophone Ensembleだったが…いろいろとあって作曲家ご本人との共演になった)との共演を通じて文化国際交流を図ること、である。コングレス事務局に提出したプロジェクト企画書にもそういう文面を書き(英語の文面修正は、これもだいぶ妻にお世話になった)、それが受理されて演奏できることになったわけであり、もし今後なにかこういう機会があれば、こういったコングレスならではの企画を考えていきたいと考えている。
10:30からのステージに備え、9:00からリハーサル室を1時間利用し、10:00には会場のSalle 20入り。慌ただしくリハーサルを終えた。お客様もたくさん(普通の室内楽向け会場よりも大きかったが、ほぼ満席)、日本の方もいらっしゃったが、日本以外の方もかなり多い!1曲目はリチャードことRichard Ingham氏作曲の、「Mrs Malcolm, Her Reel (Funky Freuchie)」を8重奏で。これまで、TsukubaSQとしてこの曲を何度も演奏した…日本初演もやったし、その後の演奏会のアンコールでも演奏し、小品としてあちらこちらの演奏会で吹き…作曲家と演奏できるとは、なんとも得難い経験だ。ソロはリチャード氏ご本人と、フランスのブーローニュ音楽院でジャズを学んでいる小倉君がとった。小さい事故はあったのだが、1曲終わって盛り上がる!この曲はやっぱり本当にウケるんだなあ。
2曲目は、旭井翔一「Ctrl+Alt+Delete(制御・代用・削除)」。最初楽譜を見た時は、特殊奏法が多くとにかくびっくりしたのだが、奏法の調査・試行錯誤をしたり、松下洋くん(今回、バリトンを吹いてもらった)のアドバイス等もあり、なんとか演奏にこぎつけることができた。本番も、もちろん細かいミスはあるものの集中力の高い演奏ができたと思う。こちらの作品も、大盛り上がりで、大きな拍手を頂いた。
なんとか本番を終えて、記念撮影。このような場で演奏することができ、とても嬉しかったのと同時に、ここにたどり着くまでの様々な出来事をも思い出し、記憶に残る本番となった。
どたばたと片付け、聴くモードへ。音楽院のAuditoriumで開かれたストラスブールセルマー130周年記念のレクチャー・コンサートへと伺った。ジェローム・セルマー社長とセクション・マネージャーによる、セルマー製品の歴史紹介と、合間にセルマー・アーティストによる演奏が挟まれるという催し。貴重な写真とともに様々な歴史が紹介され、また、合間にはヴァンソン・ダヴィッド Vincent David氏とジャン=シャルル・リhサール Jean Charles Richard氏の即興デュオ、クロード・ドゥラングル Claude Delangle教授とティモシー・マカリスター Timothy McAllister氏のデュオ、ジュリアン・プティ Julien Petit氏と弦楽トリオのアンサンブル(大盛り上がりのクレツマー音楽!)など、セルマー・アーティストの総力を結集したとも言えるすさまじい布陣が演奏を披露した。最後は、新製品の紹介(楽器&リード)ののち、前述のアーティストに加え、ハバネラ四重奏団や、モーフィン四重奏団、フィリップ・ガイス氏、バリー・コッククロフト氏、ジョン・ヘリウェル氏、日本からも原博巳氏、宗貞啓二氏などが乗る、超豪華ラージアンサンブルが演奏を披露。なんと指揮はヴァンサン・ダヴィッド氏で、ダヴィッド氏が作曲したナントカという曲(頭文字を取ると、"S""E""L""M""E""R"になる)を演奏して、幕となった。いやはや、サクソフォン界の王者たる、セルマーのすさまじい意地を感じた演奏だったなあ。
お昼ごはんは、皆で街中に出てパン屋さんで買い、広場で食べた。サンドウィッチと、りんごのミニッツメイド。美味しい。
再び音楽院に戻り、The ensemble.konsax.wienを聴く。ウィーン音楽院のラーシュ・ムレクシュ Lars Mleksch教授門下のラージアンサンブル。非常に珍しい、カールハインツ・シュトックハウゼン Karlheintz Stockhausenの大作オペラ「光 Licht」の"土曜日"の第3幕より、「左目の踊り Linker Augentanz」は、とにかくグロテスクだが、同時に神秘的、まさにシュトックハウゼンしか成し得ない音響で、とても興味深く聴いた。「左目の踊り」をライヴで聴くことができるなんて…しかも、シュトックハウゼンの片腕として永らく共同作業を行ってきたフルーティスト、カティンカ・パスフェーア女史からのレッスンを受けた演奏ということで、その貴重な機会を目の当たりにできたことが嬉しかった。続くArturo Fuentesの「Heavy」は、ラーシュ氏をバリトンソロに迎えて、バス・オスティナートが特徴的なおどろおどろしいロックな作品、最後のJorge Sanchez Chiong「Salt Water」は、もともとオーケストラとターンテーブルとビデオのための作品なのだそうで、響きはとてもクール、しかしビデオに使われた映像ともどもなかなかショックを受けたのだった。だが、実に面白い!ビデオはYouTube等にも上がっているので、気になる方はぜひ。
この後、Salle 20でちょっとだけDonald Sinta Quartetの演奏を聴くことができた。Roger Zare「Z4430」という、実質的なアンコールピースだけではあったが、近年のアメリカの四重奏団の驚異的な発展は、目覚ましいものがある。そして、Salle 30で、バリー・コッククロフト Barry Cockcroft氏の自作コンサートを聴いた。Nagila Variationsというポスト・ミニマル風の独奏作品をバババっと吹きこなしたかと思えば、続いてジェローム・ララン Jerome Laran氏とともに、やはり音符だらけの鮮烈なE2udesなる作品を演奏。「ジェローム氏いわく、音符がたくさんで難しかった」とのこと…笑。
Salle 21へと移動し、ケネス・チェ Kenneth Tse氏の演奏によるピート・スウェルツ Piet Swerts氏の新作他の演奏会を、スウェルツ氏のピアノとともに聴く。チェ氏の作品を聴くのは2回目だが、相変わらずの美音で聴衆を魅了する。スウェルツ氏の新作は、「パガニーニ・ヴァリエーション Paganini Variations」というタイトルで、もちろんあの有名な旋律を使った作品。これはとても人気が出そうだ。そういった、魅力的な出来たての作品をたくさん聴くことができるのは、コングレスの大きな魅力であろう。
この頃になると、楽器・出版社ブースも片付けに入っており、その片付け直前のブースをうろうろして「A History of the Saxophone - Through the Methods Published in France: 1846-1942」なる、新発売の書籍を発見。気になるなーどうしようかなーでも25ユーロかー、などと迷っていると、もうブースも片付けるし、展示品ならばということで、なんと15ユーロで売ってくれたのだった。ラッキー!これは嬉しいな。
ブースを離れてAuditoriumに向かい、Orchestre Symphonique de Mulhouseという地方オーケストラと、サクソフォン独奏の演奏会を聴いた。近くに陣取っていた、オーストラリアのパース出身、マイケル(前回のコングレスで仲良くなったのだ)とその友達と並んで聴く。裏番組でアウレリア四重奏団が演奏していたのだが、迷った末にこちらを選択。さすがにストラスブール管弦楽団ほどの演奏精度や迫力はないものの、なかなかノリの良いオーケストラで、また、聴きやすい作品が多く、楽しく聴いた。前半、Christoph Wunschの協奏曲を吹いたドイツのLutz Koppetsch氏の集中力は、かなりのもの。後半には、ウェイン・ショーター「Teru」を編曲したジャズ奏者の Gary Keller氏が登場、他と一線を画した響きには会場が沸いた。トリは、日本からなんと須川展也氏が登場。ピアソラ「エスクヮロ」「オブリビオン」、そしてジミー・ドーシー「ウードルズ・オブ・ヌードルズ」を演奏した。須川氏の人気、そして、ぐっと聴衆をつかむセンス、テクニック、音色は、世界共通のものなんだなあと感じ入った。隣で聴いていた、おそらくサクソフォンを知らない地元の一般のお客さんと話した所、「曲やサックスのことはよくわからないが、最後の演奏が一番楽しかった」と言っていたので、それは間違いないことなのだと思う。
トラムに乗って移動し、3回目となるPalais de la Musique et des CongresのSalle Erasmeへ。Spok Frevo Orchestra & International GuestsによるCrossover Jazz Special Concertを聴いた。会場はスモークが焚かれ、照明も派手な色が付き、いかにもという雰囲気。ヴァンサン・ダヴィッド Vincent David氏とピアノのJean Francois Zygel氏の完全即興、Jerry Bergonzi氏(だったかな?)とミヤザキ・ミエコ氏の、テナーと琴のデュオ、カルテットで、トップをヴァンサン・ダヴィッド氏、バリトンをジャン=シャルル・リシャール Jean Charles Richard氏が吹くという、超豪華なQuatuor Callistoが演奏するいくつかの作品(ヴァンサン・ダヴィッド氏の、ジャズ方面の即興も、クラシック奏者の余興を超えた、専門的なもので、氏の守備範囲の広さを思い知った)は、いずれもブラヴォーものだ!後半は、ブラジルから来仏したSpok Frevoというビッグバンドと独奏者の共演。なんだかものすごくコンテンポラリーなビッグバンドで、テクニック的にすごいのだが、ダンサブルか…?と言われるとそうでもなく、ちょっと自分には難しかったかなあ(苦笑)ということで、ソロはすごいのだが、さすがに後半(というか、終演予定時刻を1時間回っていた…)には、聴き疲れしてしまったのだった(^^;いろいろな意味ですごいコンサートだった。
終演後は、やはりバスでアパルトマンへと戻った。いやはや、ストラスブールの交通、そして宿泊先の交通事情の便利なこと。
Tsukuba Saxophone Quartetが今回のコングレス参加した目的は2点、作曲家・旭井翔一による初のサクソフォン・カルテット作品を海外へ紹介すること(イコール、旭井翔一氏の海外への紹介)と、日本国外の奏者であるリチャード・インガム氏(当初はScottish Saxophone Ensembleだったが…いろいろとあって作曲家ご本人との共演になった)との共演を通じて文化国際交流を図ること、である。コングレス事務局に提出したプロジェクト企画書にもそういう文面を書き(英語の文面修正は、これもだいぶ妻にお世話になった)、それが受理されて演奏できることになったわけであり、もし今後なにかこういう機会があれば、こういったコングレスならではの企画を考えていきたいと考えている。
10:30からのステージに備え、9:00からリハーサル室を1時間利用し、10:00には会場のSalle 20入り。慌ただしくリハーサルを終えた。お客様もたくさん(普通の室内楽向け会場よりも大きかったが、ほぼ満席)、日本の方もいらっしゃったが、日本以外の方もかなり多い!1曲目はリチャードことRichard Ingham氏作曲の、「Mrs Malcolm, Her Reel (Funky Freuchie)」を8重奏で。これまで、TsukubaSQとしてこの曲を何度も演奏した…日本初演もやったし、その後の演奏会のアンコールでも演奏し、小品としてあちらこちらの演奏会で吹き…作曲家と演奏できるとは、なんとも得難い経験だ。ソロはリチャード氏ご本人と、フランスのブーローニュ音楽院でジャズを学んでいる小倉君がとった。小さい事故はあったのだが、1曲終わって盛り上がる!この曲はやっぱり本当にウケるんだなあ。
2曲目は、旭井翔一「Ctrl+Alt+Delete(制御・代用・削除)」。最初楽譜を見た時は、特殊奏法が多くとにかくびっくりしたのだが、奏法の調査・試行錯誤をしたり、松下洋くん(今回、バリトンを吹いてもらった)のアドバイス等もあり、なんとか演奏にこぎつけることができた。本番も、もちろん細かいミスはあるものの集中力の高い演奏ができたと思う。こちらの作品も、大盛り上がりで、大きな拍手を頂いた。
なんとか本番を終えて、記念撮影。このような場で演奏することができ、とても嬉しかったのと同時に、ここにたどり着くまでの様々な出来事をも思い出し、記憶に残る本番となった。
どたばたと片付け、聴くモードへ。音楽院のAuditoriumで開かれたストラスブールセルマー130周年記念のレクチャー・コンサートへと伺った。ジェローム・セルマー社長とセクション・マネージャーによる、セルマー製品の歴史紹介と、合間にセルマー・アーティストによる演奏が挟まれるという催し。貴重な写真とともに様々な歴史が紹介され、また、合間にはヴァンソン・ダヴィッド Vincent David氏とジャン=シャルル・リhサール Jean Charles Richard氏の即興デュオ、クロード・ドゥラングル Claude Delangle教授とティモシー・マカリスター Timothy McAllister氏のデュオ、ジュリアン・プティ Julien Petit氏と弦楽トリオのアンサンブル(大盛り上がりのクレツマー音楽!)など、セルマー・アーティストの総力を結集したとも言えるすさまじい布陣が演奏を披露した。最後は、新製品の紹介(楽器&リード)ののち、前述のアーティストに加え、ハバネラ四重奏団や、モーフィン四重奏団、フィリップ・ガイス氏、バリー・コッククロフト氏、ジョン・ヘリウェル氏、日本からも原博巳氏、宗貞啓二氏などが乗る、超豪華ラージアンサンブルが演奏を披露。なんと指揮はヴァンサン・ダヴィッド氏で、ダヴィッド氏が作曲したナントカという曲(頭文字を取ると、"S""E""L""M""E""R"になる)を演奏して、幕となった。いやはや、サクソフォン界の王者たる、セルマーのすさまじい意地を感じた演奏だったなあ。
お昼ごはんは、皆で街中に出てパン屋さんで買い、広場で食べた。サンドウィッチと、りんごのミニッツメイド。美味しい。
再び音楽院に戻り、The ensemble.konsax.wienを聴く。ウィーン音楽院のラーシュ・ムレクシュ Lars Mleksch教授門下のラージアンサンブル。非常に珍しい、カールハインツ・シュトックハウゼン Karlheintz Stockhausenの大作オペラ「光 Licht」の"土曜日"の第3幕より、「左目の踊り Linker Augentanz」は、とにかくグロテスクだが、同時に神秘的、まさにシュトックハウゼンしか成し得ない音響で、とても興味深く聴いた。「左目の踊り」をライヴで聴くことができるなんて…しかも、シュトックハウゼンの片腕として永らく共同作業を行ってきたフルーティスト、カティンカ・パスフェーア女史からのレッスンを受けた演奏ということで、その貴重な機会を目の当たりにできたことが嬉しかった。続くArturo Fuentesの「Heavy」は、ラーシュ氏をバリトンソロに迎えて、バス・オスティナートが特徴的なおどろおどろしいロックな作品、最後のJorge Sanchez Chiong「Salt Water」は、もともとオーケストラとターンテーブルとビデオのための作品なのだそうで、響きはとてもクール、しかしビデオに使われた映像ともどもなかなかショックを受けたのだった。だが、実に面白い!ビデオはYouTube等にも上がっているので、気になる方はぜひ。
この後、Salle 20でちょっとだけDonald Sinta Quartetの演奏を聴くことができた。Roger Zare「Z4430」という、実質的なアンコールピースだけではあったが、近年のアメリカの四重奏団の驚異的な発展は、目覚ましいものがある。そして、Salle 30で、バリー・コッククロフト Barry Cockcroft氏の自作コンサートを聴いた。Nagila Variationsというポスト・ミニマル風の独奏作品をバババっと吹きこなしたかと思えば、続いてジェローム・ララン Jerome Laran氏とともに、やはり音符だらけの鮮烈なE2udesなる作品を演奏。「ジェローム氏いわく、音符がたくさんで難しかった」とのこと…笑。
Salle 21へと移動し、ケネス・チェ Kenneth Tse氏の演奏によるピート・スウェルツ Piet Swerts氏の新作他の演奏会を、スウェルツ氏のピアノとともに聴く。チェ氏の作品を聴くのは2回目だが、相変わらずの美音で聴衆を魅了する。スウェルツ氏の新作は、「パガニーニ・ヴァリエーション Paganini Variations」というタイトルで、もちろんあの有名な旋律を使った作品。これはとても人気が出そうだ。そういった、魅力的な出来たての作品をたくさん聴くことができるのは、コングレスの大きな魅力であろう。
この頃になると、楽器・出版社ブースも片付けに入っており、その片付け直前のブースをうろうろして「A History of the Saxophone - Through the Methods Published in France: 1846-1942」なる、新発売の書籍を発見。気になるなーどうしようかなーでも25ユーロかー、などと迷っていると、もうブースも片付けるし、展示品ならばということで、なんと15ユーロで売ってくれたのだった。ラッキー!これは嬉しいな。
ブースを離れてAuditoriumに向かい、Orchestre Symphonique de Mulhouseという地方オーケストラと、サクソフォン独奏の演奏会を聴いた。近くに陣取っていた、オーストラリアのパース出身、マイケル(前回のコングレスで仲良くなったのだ)とその友達と並んで聴く。裏番組でアウレリア四重奏団が演奏していたのだが、迷った末にこちらを選択。さすがにストラスブール管弦楽団ほどの演奏精度や迫力はないものの、なかなかノリの良いオーケストラで、また、聴きやすい作品が多く、楽しく聴いた。前半、Christoph Wunschの協奏曲を吹いたドイツのLutz Koppetsch氏の集中力は、かなりのもの。後半には、ウェイン・ショーター「Teru」を編曲したジャズ奏者の Gary Keller氏が登場、他と一線を画した響きには会場が沸いた。トリは、日本からなんと須川展也氏が登場。ピアソラ「エスクヮロ」「オブリビオン」、そしてジミー・ドーシー「ウードルズ・オブ・ヌードルズ」を演奏した。須川氏の人気、そして、ぐっと聴衆をつかむセンス、テクニック、音色は、世界共通のものなんだなあと感じ入った。隣で聴いていた、おそらくサクソフォンを知らない地元の一般のお客さんと話した所、「曲やサックスのことはよくわからないが、最後の演奏が一番楽しかった」と言っていたので、それは間違いないことなのだと思う。
トラムに乗って移動し、3回目となるPalais de la Musique et des CongresのSalle Erasmeへ。Spok Frevo Orchestra & International GuestsによるCrossover Jazz Special Concertを聴いた。会場はスモークが焚かれ、照明も派手な色が付き、いかにもという雰囲気。ヴァンサン・ダヴィッド Vincent David氏とピアノのJean Francois Zygel氏の完全即興、Jerry Bergonzi氏(だったかな?)とミヤザキ・ミエコ氏の、テナーと琴のデュオ、カルテットで、トップをヴァンサン・ダヴィッド氏、バリトンをジャン=シャルル・リシャール Jean Charles Richard氏が吹くという、超豪華なQuatuor Callistoが演奏するいくつかの作品(ヴァンサン・ダヴィッド氏の、ジャズ方面の即興も、クラシック奏者の余興を超えた、専門的なもので、氏の守備範囲の広さを思い知った)は、いずれもブラヴォーものだ!後半は、ブラジルから来仏したSpok Frevoというビッグバンドと独奏者の共演。なんだかものすごくコンテンポラリーなビッグバンドで、テクニック的にすごいのだが、ダンサブルか…?と言われるとそうでもなく、ちょっと自分には難しかったかなあ(苦笑)ということで、ソロはすごいのだが、さすがに後半(というか、終演予定時刻を1時間回っていた…)には、聴き疲れしてしまったのだった(^^;いろいろな意味ですごいコンサートだった。
終演後は、やはりバスでアパルトマンへと戻った。いやはや、ストラスブールの交通、そして宿泊先の交通事情の便利なこと。
2015/07/26
TSQヨーロッパ演奏旅行2015(3日目:JacobTV新作初演の日)
7/12、この日はJacobTV「Ticking Time」の初演の日である。
朝ごはんを食べて、少し遅めに出発。湿度は低いものの少し暑く、とにかく歩いていると体力を消耗するため、興味深いコンサートはいろいろとあったものの体力温存を優先した。コングレス期間中、平日前の日曜日ということもあって、演奏会場は人だらけ。
まずブレステイキングのブースに伺った。伊藤あさぎさん(ブースの通訳として働いていたが、なぜか商売根性が出てしまうとおっしゃっていた)や、代表の小村さんなどともお話することができた。とりあえず佐藤淳一さんとともに、演奏会場となるLe Shadokを探した。
Le Shadokは、地図上で位置を把握しており、ストラスブール音楽院の近くを流れる川の、中洲的な場所にあり、徒歩で向かうことができる、ということをわかっていた。地図をひらきつつ場所を探したのだが、どうも場所がわからない。あちらこちらと日差しが照りつける中を探しまわって、ようやく見つけたLe Shadok、音楽院から見える中洲の建物の奥の奥の建物、1階のレストランが並ぶ通りの中の、1角に位置していた。こりゃわかりづらいと途方にくれ、同時に集客が不安になってきた。
会場は50席ほどのコンクリート打ちっぱなしのスペース。音響や映像は、かなり充実していそうだ。ちょうど演奏中だったので、終わったと直後に現地のエンジニアと少しだけ自分たちのステージに関して話をし、いったん退出。佐藤さんと昼食をともにして(割高ではあったが、テイクアウトできるヴィシソワーズスープなど、なかなか美味しかった)、ストラスブール音楽院へと戻った。
何か聴こうかなと思ったのだが、お目当てのコンサートは満席で入れず、他に探してはみたものの満席、満席、キャンセル、といった具合で、仕方なく再度Le Shadokへ。最後の最後に、会場に向かう前に名刺サイズのフライヤー(とにかくJacobTVの文字が目立つように制作、デザイン時間1時間、1枚4円で300部刷った)をばら撒いた。
会場に到着し、準備とリハーサル開始。エンジニアのジュリアンとマーティン、お2人に手伝ってもらいながら進めた。揃っている機材は豊富で、音響は全く問題なく調整完了。プロジェクターは、全画面表示にすると枠がだいぶ見切れてしまい、ウィンドウ表示で縮小して再生することで対応することにした。そして、私が行うプレゼンテーションの準備。スライドを表示させて唖然。コントラストが低いせいか、濃い緑の地に白い文字、という全体のテーマが、すべて文字がうっすらとしか見えなくなってしまっていた。慌てて、すべてのスライドの文字の色を見直し・修正。そしてマイク調整も実施。そんなことをやっていると、あっという間に本番の時間が迫ってきた。
そして慌てて控室で着替えて本番。嬉しい事に満席!日本の方も、客席の1/3くらいいらしてくださったかな?そういえば、実際会場の場所がわからず辿りつけなかった方もいたようで、ちょっとその点は残念であった。まずは私のプレゼンテーション。自己紹介、JacobTVという作曲家についての紹介、委嘱作品「Ticking Time」の作品テーマ、制作過程において困難だった点について、10分弱で発表した。英語のプレゼンテーションは2007年の学会以来で、なかなか慣れなかった。またプレゼンテーション全体については妻にかなり修正を入れてもらい、とても助かったのだった。
なんとかプレゼンテーションを終えて拍手をいただき、続いて佐藤淳一さんよる「Ticking Time」の世界初演。ステージ横で、感慨深く聴いていた。ライヴで演奏されることによる作品の聴こえ方の違いも面白く、「Grab It!」ほどではないにしろ、パワーのある作品なのだなあと感じ入ったのだった。こうしてJacobTVの新作の世界初演を無事終えることができた。
佐藤さんとこの委嘱について初めて話をしたのが、2012年10月13日、静岡のAOIにおいて、であった。また、JacobTVに初めて委嘱作品についてメールを送ったのが2014年の1月2日だった。構想3年、実働1年半と、長かったが、なんとか実現できて良かった。日本初演は私が担当するのだが、今年か来年の頭くらいには実施したいと思っている。
さて、ステージを終えて、音楽院に戻る途中で皆と合流し、ビールを一杯。その後、皆といったん別れてThe Tenor Saxophone Collectiveの演奏を聴きに、Salle de la Bourseへと赴いた。The Tenor Saxophone Collectiveは、Andy Scott氏がディレクターを務めるイギリス発のテナーサクソフォンのレパートリーを研究・体系化するプロジェクト、Tenor Saxophone Index(→http://www.tenorsaxindex.info/)を母体とする団体で、テナーサクソフォン12人からなるアンサンブルである。トップはアルノ・ボーンカンプ Arno Bornkamp氏が務め、Niel Bijl氏や、Erin Royer氏といった、クラシック分野における世界中の著名なテナーサクソフォン奏者が参加している。私もテナーサクソフォンをメインで吹く身であるので、このようなテナーサクソフォンの多重奏はとても興奮した。また、新作とはいえ作品としてもとても楽しいものばかりで(ジャズやロックに影響を受けた作品も多かった)、演奏してみたい!と思うものも多かったのだった。アンコールは、ロバ「ハード」の抜粋を演奏しながら12人でソロ回しする、というもの…いやー、意表を突かれた!
皆と合流し、World Streaming Showのいち会場であるPlace Kleberへと徒歩移動した。この途中、広場での人だかりを目にし、覗いてみると、怪しい服を着た怪しいアンサンブルが、クラシックのロックアレンジのような曲を演奏中。プログラム冊子を手繰ってみると、Opus-Bandというイタリアのバンド。そのライヴ感がとにかくかっこ良く、つい釘付けになってしまった。今後、注目していこう。そして、ノートルダム=ド=ストラスブールを初めて見たのだが…その圧倒的なスケールに、上を向いたまま固まってしまった。
この頃からあいにく雨が降り出したのだが、とりあえずPlace Kleberの近くのレストランに陣取り、お酒とタルトフランベ(アルザス地方のピザ)を食べつつ、ステージの前に行ったり戻ったりしながら、World Streaming Showを見た。各会場を中継でつなぎ、Place KleberでのSaxOpenオーケストラや、ミ・ベモルの一般公募のアンサンブルや、カテドラル内の演奏あちらこちらでの演奏を順に繋ぐほか、遠隔地(ストラスブールの別会場のみならず、時にはニューヨークからLou Mariniがソロを取ったり…)からソロを取ったりと、なんて豪華絢爛なショーだ、と驚いた。遠隔地でソロを取るときも、音声の相互遅延は感じられない。いったいどうやっているのだろうかと、そんなことも考えつつライヴを楽しんだ。演奏される曲も、ガイス氏の自作(「SaxOpenのテーマ」や「Funky Sax」)等、とてもノリが良く楽しいものばかり。Place Kleberの盛り上がりも凄まじく、これまで聴いたサクソフォンのコンサートの中でも、間違いなく最も楽しいものであった。雨が降ったりやんだりと条件はいまいちだったが、夢のような時間を楽しみ、はしゃいでしまった。
その余韻に浸りながら、ノートルダム=ド=ストラスブール大聖堂のプロジェクションマッピングを鑑賞しに移動。東側のライトアップの荘厳さにも驚き、南側に移動すると現代的なプロジェクションマッピングが上映中。途中からではあったが、こちらも見事だった。
実に充実した気持ちで一日を終え、音楽院の方面からバスでアパルトマンへと戻った。
朝ごはんを食べて、少し遅めに出発。湿度は低いものの少し暑く、とにかく歩いていると体力を消耗するため、興味深いコンサートはいろいろとあったものの体力温存を優先した。コングレス期間中、平日前の日曜日ということもあって、演奏会場は人だらけ。
まずブレステイキングのブースに伺った。伊藤あさぎさん(ブースの通訳として働いていたが、なぜか商売根性が出てしまうとおっしゃっていた)や、代表の小村さんなどともお話することができた。とりあえず佐藤淳一さんとともに、演奏会場となるLe Shadokを探した。
Le Shadokは、地図上で位置を把握しており、ストラスブール音楽院の近くを流れる川の、中洲的な場所にあり、徒歩で向かうことができる、ということをわかっていた。地図をひらきつつ場所を探したのだが、どうも場所がわからない。あちらこちらと日差しが照りつける中を探しまわって、ようやく見つけたLe Shadok、音楽院から見える中洲の建物の奥の奥の建物、1階のレストランが並ぶ通りの中の、1角に位置していた。こりゃわかりづらいと途方にくれ、同時に集客が不安になってきた。
会場は50席ほどのコンクリート打ちっぱなしのスペース。音響や映像は、かなり充実していそうだ。ちょうど演奏中だったので、終わったと直後に現地のエンジニアと少しだけ自分たちのステージに関して話をし、いったん退出。佐藤さんと昼食をともにして(割高ではあったが、テイクアウトできるヴィシソワーズスープなど、なかなか美味しかった)、ストラスブール音楽院へと戻った。
何か聴こうかなと思ったのだが、お目当てのコンサートは満席で入れず、他に探してはみたものの満席、満席、キャンセル、といった具合で、仕方なく再度Le Shadokへ。最後の最後に、会場に向かう前に名刺サイズのフライヤー(とにかくJacobTVの文字が目立つように制作、デザイン時間1時間、1枚4円で300部刷った)をばら撒いた。
会場に到着し、準備とリハーサル開始。エンジニアのジュリアンとマーティン、お2人に手伝ってもらいながら進めた。揃っている機材は豊富で、音響は全く問題なく調整完了。プロジェクターは、全画面表示にすると枠がだいぶ見切れてしまい、ウィンドウ表示で縮小して再生することで対応することにした。そして、私が行うプレゼンテーションの準備。スライドを表示させて唖然。コントラストが低いせいか、濃い緑の地に白い文字、という全体のテーマが、すべて文字がうっすらとしか見えなくなってしまっていた。慌てて、すべてのスライドの文字の色を見直し・修正。そしてマイク調整も実施。そんなことをやっていると、あっという間に本番の時間が迫ってきた。
そして慌てて控室で着替えて本番。嬉しい事に満席!日本の方も、客席の1/3くらいいらしてくださったかな?そういえば、実際会場の場所がわからず辿りつけなかった方もいたようで、ちょっとその点は残念であった。まずは私のプレゼンテーション。自己紹介、JacobTVという作曲家についての紹介、委嘱作品「Ticking Time」の作品テーマ、制作過程において困難だった点について、10分弱で発表した。英語のプレゼンテーションは2007年の学会以来で、なかなか慣れなかった。またプレゼンテーション全体については妻にかなり修正を入れてもらい、とても助かったのだった。
なんとかプレゼンテーションを終えて拍手をいただき、続いて佐藤淳一さんよる「Ticking Time」の世界初演。ステージ横で、感慨深く聴いていた。ライヴで演奏されることによる作品の聴こえ方の違いも面白く、「Grab It!」ほどではないにしろ、パワーのある作品なのだなあと感じ入ったのだった。こうしてJacobTVの新作の世界初演を無事終えることができた。
佐藤さんとこの委嘱について初めて話をしたのが、2012年10月13日、静岡のAOIにおいて、であった。また、JacobTVに初めて委嘱作品についてメールを送ったのが2014年の1月2日だった。構想3年、実働1年半と、長かったが、なんとか実現できて良かった。日本初演は私が担当するのだが、今年か来年の頭くらいには実施したいと思っている。
さて、ステージを終えて、音楽院に戻る途中で皆と合流し、ビールを一杯。その後、皆といったん別れてThe Tenor Saxophone Collectiveの演奏を聴きに、Salle de la Bourseへと赴いた。The Tenor Saxophone Collectiveは、Andy Scott氏がディレクターを務めるイギリス発のテナーサクソフォンのレパートリーを研究・体系化するプロジェクト、Tenor Saxophone Index(→http://www.tenorsaxindex.info/)を母体とする団体で、テナーサクソフォン12人からなるアンサンブルである。トップはアルノ・ボーンカンプ Arno Bornkamp氏が務め、Niel Bijl氏や、Erin Royer氏といった、クラシック分野における世界中の著名なテナーサクソフォン奏者が参加している。私もテナーサクソフォンをメインで吹く身であるので、このようなテナーサクソフォンの多重奏はとても興奮した。また、新作とはいえ作品としてもとても楽しいものばかりで(ジャズやロックに影響を受けた作品も多かった)、演奏してみたい!と思うものも多かったのだった。アンコールは、ロバ「ハード」の抜粋を演奏しながら12人でソロ回しする、というもの…いやー、意表を突かれた!
皆と合流し、World Streaming Showのいち会場であるPlace Kleberへと徒歩移動した。この途中、広場での人だかりを目にし、覗いてみると、怪しい服を着た怪しいアンサンブルが、クラシックのロックアレンジのような曲を演奏中。プログラム冊子を手繰ってみると、Opus-Bandというイタリアのバンド。そのライヴ感がとにかくかっこ良く、つい釘付けになってしまった。今後、注目していこう。そして、ノートルダム=ド=ストラスブールを初めて見たのだが…その圧倒的なスケールに、上を向いたまま固まってしまった。
この頃からあいにく雨が降り出したのだが、とりあえずPlace Kleberの近くのレストランに陣取り、お酒とタルトフランベ(アルザス地方のピザ)を食べつつ、ステージの前に行ったり戻ったりしながら、World Streaming Showを見た。各会場を中継でつなぎ、Place KleberでのSaxOpenオーケストラや、ミ・ベモルの一般公募のアンサンブルや、カテドラル内の演奏あちらこちらでの演奏を順に繋ぐほか、遠隔地(ストラスブールの別会場のみならず、時にはニューヨークからLou Mariniがソロを取ったり…)からソロを取ったりと、なんて豪華絢爛なショーだ、と驚いた。遠隔地でソロを取るときも、音声の相互遅延は感じられない。いったいどうやっているのだろうかと、そんなことも考えつつライヴを楽しんだ。演奏される曲も、ガイス氏の自作(「SaxOpenのテーマ」や「Funky Sax」)等、とてもノリが良く楽しいものばかり。Place Kleberの盛り上がりも凄まじく、これまで聴いたサクソフォンのコンサートの中でも、間違いなく最も楽しいものであった。雨が降ったりやんだりと条件はいまいちだったが、夢のような時間を楽しみ、はしゃいでしまった。
その余韻に浸りながら、ノートルダム=ド=ストラスブール大聖堂のプロジェクションマッピングを鑑賞しに移動。東側のライトアップの荘厳さにも驚き、南側に移動すると現代的なプロジェクションマッピングが上映中。途中からではあったが、こちらも見事だった。
実に充実した気持ちで一日を終え、音楽院の方面からバスでアパルトマンへと戻った。
2015/07/25
TSQヨーロッパ演奏旅行2015(2日目:コングレス見学等)
7/11は、朝からコングレスの様々なリサイタルを見学した。
この日の朝一発目、日本から参加のQuatuor Bは、高橋宏樹氏の作品を紹介する目的で参加。「アルルのサックス展覧会」のような作品が、コングレスの会場でどのように受け止められたのかは興味あるところだ。
後半が始まる前に退出して、ジャン=イヴ・フルモー Jean Yves Fourmeau氏や、ジャン=シャルル・リシャール Jean Charles Richard氏が講演する、サクソフォン初学者~初級者のためのレパートリーの講演へ。デモンストレーション演奏では、なんと12歳くらいの初級者と思われる子供が、サクソフォンとテープの作品を演奏していて驚かされた。
続いて、Salle24でUzume Saxophone Quarte(安井・スーヤ・寛絵、外山舞、井上ハルカ、本堂誠)の演奏を聴いた。パリ国立高等音楽院のサクソフォン・クラスに在籍している4名によって結成された団体だ。藤倉大「Reach Out」と、「じょんがら節」を演奏していたが、日本人的な綿密なアンサンブルと、最新のエコール・フランセーズともいうべき繊細な音楽表現が融合した、このカルテットならではの表現が素晴らしかった。本堂君が冒頭部の作曲を手がけた「じょんがら節」コンテンポラリーバージョンも、さらに盛り上がった。
10:30からリハーサル室を借り、1時間ほどTsukubaSQの合わせ。11:00から、共演するリチャード・インガム Richard Ingham氏にも来てもらい、7/13に演奏予定の「Mrs Malcolm, Her Reel」を合わせた。この曲を知ったのは前回のコングレスの直後で、それ以来幾度と無く演奏してきたが、まさかこのように作曲家と演奏できる機会が巡ってくるとは、その時は想像もできなかった。リチャード氏の素敵な人柄(とてもフレンドリー!)にも助けられ、楽しくリハーサルを終えた。
お昼ごはんはケバブやさん。大量の肉が挟まった大きなケバブでお腹がいっぱいになった。飲み物はオランジーナ。
午後は、ブラジルから来たBrasilia Sax Quartetを少しだけ聴いた。作曲者のDouglas Braga隣席のもと「Quarteto n.1 em tres pecas」と「Gare Saint-Lazare(パリの大きな駅の名前)」を演奏。ガリガリした演奏を期待していたのだが、それに反して柔らかく繊細な表現が全面に押し出されたものだった。作品自体も、ネオ・クラシックといった風の、きちんとした作品だった。
そして、ストラスブール音楽院のAuditorium(600席ほどあるシューボック型の大きな会場)において、「Concert de creation I」と題された、サクソフォン独奏と室内アンサンブルのための新作発表会を聴いた。ボルドーの著名な室内アンサンブルであるProxima Centauriと、ストラスブールのLineaという室内オーケストラの混合編成、指揮はGuillaume Bourgogne、そしてサクソフォン独奏、という布陣。鈴木純明「WolfieEdo(独奏:原博巳氏)」は、日本的な素材を混ぜ込みつつ、各パートが草書体のような音を奏でており、その各パートがポリフォニックに織りなされ、とても「柔らかい」サウンドが印象的であった。このような作曲の仕方は、やはり日本人作曲家ならではであろうか。Rodrigo Lima「Antiphonas」やKevin Juillerat「Monk 2: Plouk」なども、とても現代的な響きで、また作品の面白さとしてもかなり良いものだと感じたが、こういった作品の響きとしては、少々行き詰まっているような印象を受けたのも事実。そういった中で、Bernhard Lang「DW 24(独奏:Lars Mlekusch)」のテンションの高さは、観客を巻き込んだ集中力と、曲自体のテンションの高さ、またサクソフォンとしても非常に高いテクニックを要求するものとして、特筆すべきものであったのではないだろうか。ラース氏のソロはもちろん、室内オーケストラの中でソプラノ、テナー、バリトンを繰ってほぼ同じくらいの音符をガンガン並べていたマリー=ベルナデット・シャリエ Barie Bernadette Charrier氏も鬼気迫るといった感じですごかった。14:30までと予定されていた演奏会は、15分ほどおして終了。
Mobilis Saxophone Quartetの演奏を聴いた。オーストリアのウィーン音楽院、ラース氏門下発のアンサンブルで、テナーにYukiko Krennさんが参加されている。エルッキ=スヴェン・トゥール Erkki Sven Tuurの「哀歌 Lamentatio」は、とても高い集中力での演奏が印象的。私が聴いていた席の近くで4,5人の10才前くらいの子供たちが聴いていたのだが、彼らもぐっと聴き入っていたのがなんだか面白かった。最後のデクレッシェンドに重なって、屋外を走る救急車のサイレンの音が重なったのも、偶然ながら不思議な効果をもたらしたと思う。Thomas Doss「Spotlight」は、本来はサクソフォン四重奏と吹奏楽のために書かれた協奏曲であるが、今回はウィーン音楽院のアンサンブル(Mobilis SQの後輩にあたる)と共演であった。熱い曲・演奏で、日本でもっと人気が出てもおかしくない。
再び、Auditoriumで「Concert de creation II」。一曲目は酒井健治氏の「Photon」。大石将紀氏のソロはさすがで、大きな存在感を放っていた。音の密度としてはそれほど高くないが、丁寧な音選び・構成感を感じる。Jose Manuel Lopez Lopez「Sonidoz Azules」と、Alex Mincek「Pneuma」は、ちょっと曲の印象があまり残っておらず…もう一度聞く機会を楽しみにしておこう。照明を赤く光らせたNicolas Tzortzis「My condition exempts me」は、ロックやノイズミュージックにも影響を受けたような作品で、またソロがVincent Daoudということもあって面白く聴いた。このときも、30分ほどおして終了。いやはや、サクソフォンの分野の新作、しかも室内オーケストラとの演奏を、高レベルでまとめて聴くことができるとは、なんと良い企画だろう!
外に出て、皆と合流し、レストランで夕食をとった。まだまだ外は明るく、ビールや肉盛り、アルザス地方風のサラダ、ニース風サラダなどつまみながら、休日を楽しんだ。途中、迷子のわんこが来たり、怪しい人形を売りつけるまじない師みたいな人が来たり、イケてるおじいさんが近くの席に座ったり、虫が来たり…いろいろとカオス。
ゆっくりと2時間ほどかけて夕食をとったあとは、トラムに乗ってPalais de la Musique et des Congrèsに移動。Salle Erasmeにおいて、ストラスブール管弦楽団 Orhestre Philharmonique de Strasbourgと、サクソフォン独奏陣による、「Sax Premieres」と題された、協奏曲初演祭りのようなコンサートを聴いた。指揮はBaldur Bronniman。とにかくしっかりと弾くオーケストラで、素晴らしいオーケストラの演奏とともにサクソフォンの演奏を楽しんだ。そして、サクソフォン陣が豪華!ヴァンソン・ダヴィッド、ハバネラ四重奏団、Iain Ballamy(この方はジャズ奏者)、ティモシー・マカリスター、てなもんで。その奏者ならでは、という演奏・作品は問答無用で面白い。イギリスの作曲家、ゲイリー・カーペンター Gary Carpenter「Set」は、ジャズ・テナーサクソフォンとオーケストラのための作品で、ハイ・テンションなサクソフォンと、イギリスらしい、もっといえばゲイリー・カーペンターらしい、硬質さとロックっぽさが混じった作品が楽しい。また、フィリップ・ガイス Philippe Geiss氏の「Sparkling Fantasy」は、弾ける幻想曲、というタイトルそのままの作品で、マカリスターの面目躍如!であった。前半は、作品としての印象はやや薄いが、ヴァンソン・ダヴィッド氏やハバネラ四重奏団が吹くと、もうそれだけでも楽しく、いやはや充実した時間を過ごしたのだった。
前日につづいてPalais de la Musique et des Congrèsの近くのバス停から、滞在先近くのアパルトマン近くまで通じる系列バスに乗車して帰投した。
この日の朝一発目、日本から参加のQuatuor Bは、高橋宏樹氏の作品を紹介する目的で参加。「アルルのサックス展覧会」のような作品が、コングレスの会場でどのように受け止められたのかは興味あるところだ。
後半が始まる前に退出して、ジャン=イヴ・フルモー Jean Yves Fourmeau氏や、ジャン=シャルル・リシャール Jean Charles Richard氏が講演する、サクソフォン初学者~初級者のためのレパートリーの講演へ。デモンストレーション演奏では、なんと12歳くらいの初級者と思われる子供が、サクソフォンとテープの作品を演奏していて驚かされた。
続いて、Salle24でUzume Saxophone Quarte(安井・スーヤ・寛絵、外山舞、井上ハルカ、本堂誠)の演奏を聴いた。パリ国立高等音楽院のサクソフォン・クラスに在籍している4名によって結成された団体だ。藤倉大「Reach Out」と、「じょんがら節」を演奏していたが、日本人的な綿密なアンサンブルと、最新のエコール・フランセーズともいうべき繊細な音楽表現が融合した、このカルテットならではの表現が素晴らしかった。本堂君が冒頭部の作曲を手がけた「じょんがら節」コンテンポラリーバージョンも、さらに盛り上がった。
10:30からリハーサル室を借り、1時間ほどTsukubaSQの合わせ。11:00から、共演するリチャード・インガム Richard Ingham氏にも来てもらい、7/13に演奏予定の「Mrs Malcolm, Her Reel」を合わせた。この曲を知ったのは前回のコングレスの直後で、それ以来幾度と無く演奏してきたが、まさかこのように作曲家と演奏できる機会が巡ってくるとは、その時は想像もできなかった。リチャード氏の素敵な人柄(とてもフレンドリー!)にも助けられ、楽しくリハーサルを終えた。
お昼ごはんはケバブやさん。大量の肉が挟まった大きなケバブでお腹がいっぱいになった。飲み物はオランジーナ。
午後は、ブラジルから来たBrasilia Sax Quartetを少しだけ聴いた。作曲者のDouglas Braga隣席のもと「Quarteto n.1 em tres pecas」と「Gare Saint-Lazare(パリの大きな駅の名前)」を演奏。ガリガリした演奏を期待していたのだが、それに反して柔らかく繊細な表現が全面に押し出されたものだった。作品自体も、ネオ・クラシックといった風の、きちんとした作品だった。
そして、ストラスブール音楽院のAuditorium(600席ほどあるシューボック型の大きな会場)において、「Concert de creation I」と題された、サクソフォン独奏と室内アンサンブルのための新作発表会を聴いた。ボルドーの著名な室内アンサンブルであるProxima Centauriと、ストラスブールのLineaという室内オーケストラの混合編成、指揮はGuillaume Bourgogne、そしてサクソフォン独奏、という布陣。鈴木純明「WolfieEdo(独奏:原博巳氏)」は、日本的な素材を混ぜ込みつつ、各パートが草書体のような音を奏でており、その各パートがポリフォニックに織りなされ、とても「柔らかい」サウンドが印象的であった。このような作曲の仕方は、やはり日本人作曲家ならではであろうか。Rodrigo Lima「Antiphonas」やKevin Juillerat「Monk 2: Plouk」なども、とても現代的な響きで、また作品の面白さとしてもかなり良いものだと感じたが、こういった作品の響きとしては、少々行き詰まっているような印象を受けたのも事実。そういった中で、Bernhard Lang「DW 24(独奏:Lars Mlekusch)」のテンションの高さは、観客を巻き込んだ集中力と、曲自体のテンションの高さ、またサクソフォンとしても非常に高いテクニックを要求するものとして、特筆すべきものであったのではないだろうか。ラース氏のソロはもちろん、室内オーケストラの中でソプラノ、テナー、バリトンを繰ってほぼ同じくらいの音符をガンガン並べていたマリー=ベルナデット・シャリエ Barie Bernadette Charrier氏も鬼気迫るといった感じですごかった。14:30までと予定されていた演奏会は、15分ほどおして終了。
Mobilis Saxophone Quartetの演奏を聴いた。オーストリアのウィーン音楽院、ラース氏門下発のアンサンブルで、テナーにYukiko Krennさんが参加されている。エルッキ=スヴェン・トゥール Erkki Sven Tuurの「哀歌 Lamentatio」は、とても高い集中力での演奏が印象的。私が聴いていた席の近くで4,5人の10才前くらいの子供たちが聴いていたのだが、彼らもぐっと聴き入っていたのがなんだか面白かった。最後のデクレッシェンドに重なって、屋外を走る救急車のサイレンの音が重なったのも、偶然ながら不思議な効果をもたらしたと思う。Thomas Doss「Spotlight」は、本来はサクソフォン四重奏と吹奏楽のために書かれた協奏曲であるが、今回はウィーン音楽院のアンサンブル(Mobilis SQの後輩にあたる)と共演であった。熱い曲・演奏で、日本でもっと人気が出てもおかしくない。
再び、Auditoriumで「Concert de creation II」。一曲目は酒井健治氏の「Photon」。大石将紀氏のソロはさすがで、大きな存在感を放っていた。音の密度としてはそれほど高くないが、丁寧な音選び・構成感を感じる。Jose Manuel Lopez Lopez「Sonidoz Azules」と、Alex Mincek「Pneuma」は、ちょっと曲の印象があまり残っておらず…もう一度聞く機会を楽しみにしておこう。照明を赤く光らせたNicolas Tzortzis「My condition exempts me」は、ロックやノイズミュージックにも影響を受けたような作品で、またソロがVincent Daoudということもあって面白く聴いた。このときも、30分ほどおして終了。いやはや、サクソフォンの分野の新作、しかも室内オーケストラとの演奏を、高レベルでまとめて聴くことができるとは、なんと良い企画だろう!
外に出て、皆と合流し、レストランで夕食をとった。まだまだ外は明るく、ビールや肉盛り、アルザス地方風のサラダ、ニース風サラダなどつまみながら、休日を楽しんだ。途中、迷子のわんこが来たり、怪しい人形を売りつけるまじない師みたいな人が来たり、イケてるおじいさんが近くの席に座ったり、虫が来たり…いろいろとカオス。
ゆっくりと2時間ほどかけて夕食をとったあとは、トラムに乗ってPalais de la Musique et des Congrèsに移動。Salle Erasmeにおいて、ストラスブール管弦楽団 Orhestre Philharmonique de Strasbourgと、サクソフォン独奏陣による、「Sax Premieres」と題された、協奏曲初演祭りのようなコンサートを聴いた。指揮はBaldur Bronniman。とにかくしっかりと弾くオーケストラで、素晴らしいオーケストラの演奏とともにサクソフォンの演奏を楽しんだ。そして、サクソフォン陣が豪華!ヴァンソン・ダヴィッド、ハバネラ四重奏団、Iain Ballamy(この方はジャズ奏者)、ティモシー・マカリスター、てなもんで。その奏者ならでは、という演奏・作品は問答無用で面白い。イギリスの作曲家、ゲイリー・カーペンター Gary Carpenter「Set」は、ジャズ・テナーサクソフォンとオーケストラのための作品で、ハイ・テンションなサクソフォンと、イギリスらしい、もっといえばゲイリー・カーペンターらしい、硬質さとロックっぽさが混じった作品が楽しい。また、フィリップ・ガイス Philippe Geiss氏の「Sparkling Fantasy」は、弾ける幻想曲、というタイトルそのままの作品で、マカリスターの面目躍如!であった。前半は、作品としての印象はやや薄いが、ヴァンソン・ダヴィッド氏やハバネラ四重奏団が吹くと、もうそれだけでも楽しく、いやはや充実した時間を過ごしたのだった。
前日につづいてPalais de la Musique et des Congrèsの近くのバス停から、滞在先近くのアパルトマン近くまで通じる系列バスに乗車して帰投した。