演奏会のお知らせです(ポスターのデザインはアルト&ソプラノのN(ちさ))。Tsukuba Saxophone Quartetのブログに詳細が記してあります。演奏会直前!っていう感じ、久々だなあ。昨日今日と通しの練習を行って、クタクタです。
もし、東京圏内から来られる方がいらっしゃいましたら、つくばエクスプレスの快速を使ってみてください。秋葉原からたったの45分で着いてしまいます。
【Tsukuba Saxophone Quartet - SAXOPHONE CONCERT】
2008年3月1日 19:00開場 19:30開演(21:00終演予定)
つくば市アルスホール(TXつくば駅徒歩5分)
入場無料
出演:
Tsukuba Saxophone Quartet(6名)
客演(*):
田村哲氏(東京藝術大学大学院サックス科修士課程)
佐藤淳一氏(東京藝術大学大学院サックス科博士課程)
プログラム:
モーリス - プロヴァンスの風景より1,4,3(asax, pf)
シューマン - 幻想小曲集作品73より1,3(tsax, pf)
イトゥラルデ - 小さなチャルダッシュ(asax, pf)
バーバー - "思い出"より1,5,6(ssax, asax, tsax, pf)
マスランカ - レシテーション・ブックより2,5(4sax)
*ビゼー - カルメン・ファンタジー(4sax)
*ロバ - アルス(2sax)
*グリーグ - 組曲"ホルベアの時代"より1,2,5(8sax)
問い合わせ:
kuri_saxo@yahoo.co.jp
http://tsukubasaxophone.blog51.fc2.com/
2008/02/28
2008/02/26
「レシテーション・ブック」のレッスンでした
バリトンのH(anzu)から連絡を取ってもらい、佐藤渉さんをお迎えして、「レシテーション・ブック」のレッスンをしていただいた。話を聞くと、雲井雅人サックス四重奏団さんも、ちょうど昨日リハーサルを行っていたようだ。
…しっかしなあ、同日に同曲ってのも、恐れ多いことこの上ないです。
レッスンだが…自分たちでも分からぬうちにどんどんと飲み込まれて、気がついたら凄いことになっていた。という感じ。佐藤さんの音を間近に聴いたのは初めてだったが、呆気にとられるほどの輝かしい鳴り。それに引き込まれるように、アルトのT(つぼ)を始めとして、全員のテンションが花開いていく。いやあ、凄かった!ありがとうございました!
個人的には、最後の通して落ちまくってしまった。これではオチがつかない。本番はキメます。
…しっかしなあ、同日に同曲ってのも、恐れ多いことこの上ないです。
レッスンだが…自分たちでも分からぬうちにどんどんと飲み込まれて、気がついたら凄いことになっていた。という感じ。佐藤さんの音を間近に聴いたのは初めてだったが、呆気にとられるほどの輝かしい鳴り。それに引き込まれるように、アルトのT(つぼ)を始めとして、全員のテンションが花開いていく。いやあ、凄かった!ありがとうございました!
個人的には、最後の通して落ちまくってしまった。これではオチがつかない。本番はキメます。
20年先へ
2回連続でパンフレットネタの記事、というのもあれなので。
縁があって、様々な方より貴重な資料を頂戴することが多くなった。頂く音源や楽譜はどれもが、クラシック・サクソフォーン界になくてはならないものである。私が資料を頂戴しているのは、40代、50代の方々からであるのだが、以前とある方からこんなことを言われたことがある。
「あの頃の空気というか熱気のような者を味わった者として、後に続く方というか、そういったものに関心があり、理解していただける方に託したい。」この文面を読んだ瞬間、妙に頭が熱くなり、同時になぜか今から20年先のことを考えた。そう…時が来たら、私が持っている資料を下の世代へ託すべきなのだ。自意識過剰と言われるかもしれない。しかし、これだけは絶対であろう。クラシック・サクソフォーン界が遺してきた財産を、後世へと伝える義務。
もしかしたら、古臭いと言われるかもしれない。それでも、きっと理解してくれる人がいることを信じている。私の同世代(20代前半)で、ミュールやデファイエ、ラッシャーに理解・関心を示し、ウェブページやブログを編纂するような人はほとんどいないが、とりあえずのところは私一人でも、何とかなっているではないか(…何とかなってはいるが、ものすごーく寂しい。誰かいませんかーー)。
私が待っているのは、そう、20年先の人物。クラシック・サクソフォーン界に理解を示し、膨大な情報を体系的にまとめてくれる、プロもしくはアマチュアのサックス吹き。未だ見ぬその人のために、そして20年先のクラシック・サクソフォーン界のために、今後も資料の整理とバックアップの作成を進めていくつもりである。
そのためにも、書き込み可能なBlu-Rayのプラットフォームが、早く民生用に出回らないかなあ。もしくは、オンライン上のできるだけ巨大なストレージ!Googleあたりが作ってくれないですかね。
縁があって、様々な方より貴重な資料を頂戴することが多くなった。頂く音源や楽譜はどれもが、クラシック・サクソフォーン界になくてはならないものである。私が資料を頂戴しているのは、40代、50代の方々からであるのだが、以前とある方からこんなことを言われたことがある。
「あの頃の空気というか熱気のような者を味わった者として、後に続く方というか、そういったものに関心があり、理解していただける方に託したい。」この文面を読んだ瞬間、妙に頭が熱くなり、同時になぜか今から20年先のことを考えた。そう…時が来たら、私が持っている資料を下の世代へ託すべきなのだ。自意識過剰と言われるかもしれない。しかし、これだけは絶対であろう。クラシック・サクソフォーン界が遺してきた財産を、後世へと伝える義務。
もしかしたら、古臭いと言われるかもしれない。それでも、きっと理解してくれる人がいることを信じている。私の同世代(20代前半)で、ミュールやデファイエ、ラッシャーに理解・関心を示し、ウェブページやブログを編纂するような人はほとんどいないが、とりあえずのところは私一人でも、何とかなっているではないか(…何とかなってはいるが、ものすごーく寂しい。誰かいませんかーー)。
私が待っているのは、そう、20年先の人物。クラシック・サクソフォーン界に理解を示し、膨大な情報を体系的にまとめてくれる、プロもしくはアマチュアのサックス吹き。未だ見ぬその人のために、そして20年先のクラシック・サクソフォーン界のために、今後も資料の整理とバックアップの作成を進めていくつもりである。
そのためにも、書き込み可能なBlu-Rayのプラットフォームが、早く民生用に出回らないかなあ。もしくは、オンライン上のできるだけ巨大なストレージ!Googleあたりが作ってくれないですかね。
2008/02/25
2008/02/24
Antonio Felipe Belijar plays Larsson on YouTube
2006年に行われたアドルフ・サックス国際コンクール(ディナン)での、アントニオ・フェリペ=ベリジャル氏の本選での演奏がYouYubeにアップされていた。このコンクールではAdolphesax.comのチームが会場のオンライン中継をしており、当時もリアルタイムで観ていた覚えがある。今回のものは、オンライン中継されていたもと比較して、画質と音質が少しずつ向上しているような気がする…。
ラーシュ=エリク・ラーション Lars-Erik Larssonの「協奏曲 Konsert」はその曲の素晴らしさの割に、曲の長尺と高音域によって、最近までほとんど無視されていた作品であるとも言える。そのため、なかなか決定的な演奏記録が存在しないのだが、フェリペ氏のこの演奏は、聴いた当時からなかなかの名演だと感じていた(同コンクールで一位を獲ったセルゲイ・コレゾフ氏のラーションの演奏よりは、こちらのほうが好きだったなあ)。ワロニー管弦楽団が、時々ズッこけているのが、気になるが(^^;
・第1楽章
・第2楽章
・第3楽章
ラーシュ=エリク・ラーション Lars-Erik Larssonの「協奏曲 Konsert」はその曲の素晴らしさの割に、曲の長尺と高音域によって、最近までほとんど無視されていた作品であるとも言える。そのため、なかなか決定的な演奏記録が存在しないのだが、フェリペ氏のこの演奏は、聴いた当時からなかなかの名演だと感じていた(同コンクールで一位を獲ったセルゲイ・コレゾフ氏のラーションの演奏よりは、こちらのほうが好きだったなあ)。ワロニー管弦楽団が、時々ズッこけているのが、気になるが(^^;
・第1楽章
・第2楽章
・第3楽章
2008/02/23
須川さんの演奏ではない「サイバー・バード」
吉松隆「サイバー・バード協奏曲」と言ったら、須川展也さんとは切っても切り離せない関係にある作品だが、最近須川展也さんの演奏以外のCD録音があることを知った。イタリアのサクソフォン奏者、フェデリコ・モンデルチ Federico Mondelci氏がBBCフィルハーモニックと2003年に共演した録音。こちらで、第1楽章がまるまる試聴できる。意外にもツボにはまっていて、なかなか上手い。
「サイバー・バード」、今は録音ではほとんど聴かなくなってしまったけれど、高校生のころ一時期ハマっていたなあ。でもやっぱり、この曲は実演を聴いてこそ!だと思う。録音だと、聴き返すうちに妙に冷静になってしまうのだが、実演は興奮するよなー。なんだかんだ言って、名曲だと思うのである。
「サイバー・バード」、今は録音ではほとんど聴かなくなってしまったけれど、高校生のころ一時期ハマっていたなあ。でもやっぱり、この曲は実演を聴いてこそ!だと思う。録音だと、聴き返すうちに妙に冷静になってしまうのだが、実演は興奮するよなー。なんだかんだ言って、名曲だと思うのである。
2008/02/22
Jodlowski「Mixtion」演奏方法概観
ピエール・ジョドロフスキ Pierre Jodlowski「Mixtion(混合)」は、パリ国立高等音楽院(パリ・コンセルヴァトワール)の2003年度卒業試験のために書かれた、テナーサクソフォンとライヴ・エレクトロニクスのための作品。2006年7月に世界初演を手がけたジェローム・ララン氏が日本初演、その後、2007年11月にクロード・ドゥラングル教授がAOIにて演奏した。ごく最近では、2007年12月には井上麻子氏がパルテノン多摩で素晴らしい演奏を聴かせてくれたことは、記憶に新しい。
この作品では、テープとアコースティック楽器をアンサンブルしていくような、広義のライヴ・エレクトロニクスではなく、リアルタイムの音響合成や奏者の任意のタイミングでのプログレッションなど、「新しい」形態での演奏が求められている。具体的には、もともと用意されたテープの断片を、MIDIキーボード制御用のペダルを使用し、練習番号ごとに進めながらアンサンブルをしていくという風である。また最終部近くには、マイクから取得したサクソフォンの音にエフェクトをかけて、スピーカーからミキシングして出力する、といった部分もある。
楽譜はEditions JobertもしくはUnited Music Publishingから出版されており、楽譜に付随して「Patcher」と呼ばれるMAX上で動作するライブラリが付属してくる(このライブラリが付属していない版もあるので、要注意のこと!)。「Mixtion」のPatcherは、プログラミング~サウンドデバイスコントロールをサポートしたMAX/MSP上で作成され、同ソフトウェアを使用しての動作が可能なほか、フリーのMAX/MSP Runtimeを使うことによる動作も可能だ。
演奏時には、MAX/MSPもしくはMAX/MSP Runtimeを起動し、File→Openをクリックし、Mixtion-Max-4.1を選択してオープン。DAC ON/OFFとMIDI ON/OFFのスイッチをクリックして準備完了。ここでTEST NOISEのスライダーを上下させれば、最大音量のチェックを行うことができる。ペダルを接続してある場合はペダルを踏めば、もしくはスペースバーを押すことでテープパートがスタートする。さらに練習番号ごとに、ペダルを踏む or スペースバーを押すことで、自動的にテープパートが進行するが、これは楽譜上の演奏長が奏者の裁量に任されている部分がいくつかあるためだ。
練習番号[26][27]ではそれぞれ、「Temps-reel: phaser: 0 OFF/sine: 1 doubler」「Temps-reel: phaser: 4 random high/sine: 3 high freqs」というエフェクタのアサートが自動的に行われる。[28]に突入すると同時に、エフェクタが自動的にネゲートされる。
ちなみにPatcherが収録されたディスクの中には、「Mixtion-Light」というのもあったが、これはエフェクタなしのバージョンなのだろうか。そのほか三種あるテストプログラム「Test1>AUDIO-OUT」「Test2>MIDI-PEDAL」「Test3>FOLLOWING」は、ファイル名のパスが通らず(何だってファイル名に">"が入っているんじゃー)開くことができなかった。もしかしたらMacOSでは大丈夫なのかもしれない。
…えっと、自分で演奏する、ってことではないですよ(^^;しかし、このくらい軽々と演奏できたら楽しいだろうなあ。ララン氏のCD「Paysages lointains(CREC)」に収録されている演奏は、お見事!のひとこと。
この作品では、テープとアコースティック楽器をアンサンブルしていくような、広義のライヴ・エレクトロニクスではなく、リアルタイムの音響合成や奏者の任意のタイミングでのプログレッションなど、「新しい」形態での演奏が求められている。具体的には、もともと用意されたテープの断片を、MIDIキーボード制御用のペダルを使用し、練習番号ごとに進めながらアンサンブルをしていくという風である。また最終部近くには、マイクから取得したサクソフォンの音にエフェクトをかけて、スピーカーからミキシングして出力する、といった部分もある。
楽譜はEditions JobertもしくはUnited Music Publishingから出版されており、楽譜に付随して「Patcher」と呼ばれるMAX上で動作するライブラリが付属してくる(このライブラリが付属していない版もあるので、要注意のこと!)。「Mixtion」のPatcherは、プログラミング~サウンドデバイスコントロールをサポートしたMAX/MSP上で作成され、同ソフトウェアを使用しての動作が可能なほか、フリーのMAX/MSP Runtimeを使うことによる動作も可能だ。
演奏時には、MAX/MSPもしくはMAX/MSP Runtimeを起動し、File→Openをクリックし、Mixtion-Max-4.1を選択してオープン。DAC ON/OFFとMIDI ON/OFFのスイッチをクリックして準備完了。ここでTEST NOISEのスライダーを上下させれば、最大音量のチェックを行うことができる。ペダルを接続してある場合はペダルを踏めば、もしくはスペースバーを押すことでテープパートがスタートする。さらに練習番号ごとに、ペダルを踏む or スペースバーを押すことで、自動的にテープパートが進行するが、これは楽譜上の演奏長が奏者の裁量に任されている部分がいくつかあるためだ。
練習番号[26][27]ではそれぞれ、「Temps-reel: phaser: 0 OFF/sine: 1 doubler」「Temps-reel: phaser: 4 random high/sine: 3 high freqs」というエフェクタのアサートが自動的に行われる。[28]に突入すると同時に、エフェクタが自動的にネゲートされる。
ちなみにPatcherが収録されたディスクの中には、「Mixtion-Light」というのもあったが、これはエフェクタなしのバージョンなのだろうか。そのほか三種あるテストプログラム「Test1>AUDIO-OUT」「Test2>MIDI-PEDAL」「Test3>FOLLOWING」は、ファイル名のパスが通らず(何だってファイル名に">"が入っているんじゃー)開くことができなかった。もしかしたらMacOSでは大丈夫なのかもしれない。
…えっと、自分で演奏する、ってことではないですよ(^^;しかし、このくらい軽々と演奏できたら楽しいだろうなあ。ララン氏のCD「Paysages lointains(CREC)」に収録されている演奏は、お見事!のひとこと。
Mats/Morganがすごい
最近、Yahoo!のアカウントに来る迷惑メールが多いこと多いこと。それだけなら良いのだが、一日に受信する200~300件近くの迷惑メールのうち、5%程度がフィルタを通過してしまう。「おっ、新着メッセージだ!」と思って開いてみたときに、ただの迷惑メールであったりすると、ちょっと凹みます。
YouTube上にあったMats/Morganというジャズ? or プログレ?バンドの演奏映像が面白かったので、貼り付けておく。キーボーディストのMatsと、ドラムスのMorganを中心とした超絶バンド。Mats(盲目だそうだ)の、にわかには信じがたい音運び、Morganの超々高速テクニックが、爽快そのもの。とりあえず観てみてくださいな…。サックス的興味としては、2つ目の動画「The Chicken」での目の覚めるようなスーパープレイに注目。「The Chicken」は、今まで聴いた演奏の中で一番好きかも。
・食器とテルミンといろいろ。テルミンは、やっぱりこういう音でなくては!
・The Chicken
YouTube上にあったMats/Morganというジャズ? or プログレ?バンドの演奏映像が面白かったので、貼り付けておく。キーボーディストのMatsと、ドラムスのMorganを中心とした超絶バンド。Mats(盲目だそうだ)の、にわかには信じがたい音運び、Morganの超々高速テクニックが、爽快そのもの。とりあえず観てみてくださいな…。サックス的興味としては、2つ目の動画「The Chicken」での目の覚めるようなスーパープレイに注目。「The Chicken」は、今まで聴いた演奏の中で一番好きかも。
・食器とテルミンといろいろ。テルミンは、やっぱりこういう音でなくては!
・The Chicken
2008/02/21
木下直人さんから(ギャルド関連)
「こんな風になるまで」は、結局「その2」の末尾に追加して完結させました。興味ある方(なんているのか?)はご覧いただければと思います。
さて今日ご紹介するのも、以前木下直人さんより頂戴したもの。相変わらずの貴重な音源群であり、大変嬉しい。ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団の来日公演から、1961年のライヴ、1984年のライヴ、2007年のライヴをそれぞれデジタルデータ化し、CD-Rに収録していただいたものである。
・1961年11月11日(指揮:H.J.ブラン、須摩洋朔)
H.ベルリオーズ - 序曲「ローマの謝肉祭」
F.リスト - ハンガリー狂詩曲第2番
須摩洋朔 - 行進曲「大空」
O.レスピーギ - 交響詩「ローマの松」
G.ビゼー - 組曲「アルルの女」第2番より
M.ラヴェル - ボレロ
G.ロッシーニ - 歌劇「ウィリアム・テル」序曲
・1984年9月30日(指揮:R.ブートリー)
J.S.バッハ - トッカータとフーガニ短調
G.ビゼー - 組曲「アルルの女」より
C.ドビュッシー - 「夜想曲」より"祭"
J.B.リュリ - 国王づき近衛騎兵行進曲
P.I.チャイコフスキー - 幻想序曲「ロミオとジュリエット」
R.ブートリー - ディヴェルティメント
R.シュトラウス - 交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」
・2007年11月3日(指揮:F.ブーランジェ)
H.ベルリオーズ - 序曲「ローマの謝肉祭」
M.ラヴェル - 「ダフニスとクロエ」第2組曲
G.ビゼー - 組曲「カルメン」より
M.ラヴェル - ボレロ
1961年の演奏は、昨年3月にNHK-FMの番組「今日は一日吹奏楽三昧」にて放送されたものだ。長いこと忘れ去られており、木下さんを始めとするギャルド研究家の必死の働きかけにもかかわらず、長い間NHK内部での調査が進行しなかったいわくつきの音源である。木下さんによると、この録音の公開を心待ちにしていた赤松文治氏、須摩洋朔氏ともに聴くことが叶わずに逝かれたということで、何ともやりきれず、残念極まりない話だ。
ブラン楽長、リシャール楽長指揮下の、まさに黄金期のギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団の演奏。えもいわれぬテュッティの響き、各々の見事なソロ、おまけに録音状態も当時としては驚異的なレベルときたもんだ。素晴らしくないはずがないではないか。半世紀を経て、21世紀にこの演奏が響き渡ることを、我々は感謝の念でもって受け止めなくてはならないだろう。曲間に挟まれるプレゼンターの朝岡さんとゲストの須川さんのやり取りからも、お二人の興奮の様子が伝わってくる。ちなみに、この来日時のサクソフォンセクションのトップは、須川さんが話しているミシェル・ヌオーではなく、未だロームと思われる。
途中、木下さんから番組に向けての投書が読まれるが、木下さんは須摩氏がまだお元気だった頃、氏の自宅を訪問されているのだ。その辺りのことは、忘れざるルシアン・テヴェ掲示板のエントリ81番に詳しい。当該エントリに書かれている「須摩氏の写真」は、木下さんがわざわざCD-Rの表面にプリントしてくださった。感謝の念にたえない。
1984年、2007年の演奏はそれだけ聴けば素晴らしい演奏ではあるものの、さすがに1961年のものと比べてしまうとサウンドの質が良くも悪くもインターナショナル化しているなあ、という感じがする。ちなみに1984年のほうは、ブートリーの「ディヴェルティメント」吹奏楽版がなかなか面白いな。独奏はアンドレ・ブーン氏。
さて今日ご紹介するのも、以前木下直人さんより頂戴したもの。相変わらずの貴重な音源群であり、大変嬉しい。ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団の来日公演から、1961年のライヴ、1984年のライヴ、2007年のライヴをそれぞれデジタルデータ化し、CD-Rに収録していただいたものである。
・1961年11月11日(指揮:H.J.ブラン、須摩洋朔)
H.ベルリオーズ - 序曲「ローマの謝肉祭」
F.リスト - ハンガリー狂詩曲第2番
須摩洋朔 - 行進曲「大空」
O.レスピーギ - 交響詩「ローマの松」
G.ビゼー - 組曲「アルルの女」第2番より
M.ラヴェル - ボレロ
G.ロッシーニ - 歌劇「ウィリアム・テル」序曲
・1984年9月30日(指揮:R.ブートリー)
J.S.バッハ - トッカータとフーガニ短調
G.ビゼー - 組曲「アルルの女」より
C.ドビュッシー - 「夜想曲」より"祭"
J.B.リュリ - 国王づき近衛騎兵行進曲
P.I.チャイコフスキー - 幻想序曲「ロミオとジュリエット」
R.ブートリー - ディヴェルティメント
R.シュトラウス - 交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」
・2007年11月3日(指揮:F.ブーランジェ)
H.ベルリオーズ - 序曲「ローマの謝肉祭」
M.ラヴェル - 「ダフニスとクロエ」第2組曲
G.ビゼー - 組曲「カルメン」より
M.ラヴェル - ボレロ
1961年の演奏は、昨年3月にNHK-FMの番組「今日は一日吹奏楽三昧」にて放送されたものだ。長いこと忘れ去られており、木下さんを始めとするギャルド研究家の必死の働きかけにもかかわらず、長い間NHK内部での調査が進行しなかったいわくつきの音源である。木下さんによると、この録音の公開を心待ちにしていた赤松文治氏、須摩洋朔氏ともに聴くことが叶わずに逝かれたということで、何ともやりきれず、残念極まりない話だ。
ブラン楽長、リシャール楽長指揮下の、まさに黄金期のギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団の演奏。えもいわれぬテュッティの響き、各々の見事なソロ、おまけに録音状態も当時としては驚異的なレベルときたもんだ。素晴らしくないはずがないではないか。半世紀を経て、21世紀にこの演奏が響き渡ることを、我々は感謝の念でもって受け止めなくてはならないだろう。曲間に挟まれるプレゼンターの朝岡さんとゲストの須川さんのやり取りからも、お二人の興奮の様子が伝わってくる。ちなみに、この来日時のサクソフォンセクションのトップは、須川さんが話しているミシェル・ヌオーではなく、未だロームと思われる。
途中、木下さんから番組に向けての投書が読まれるが、木下さんは須摩氏がまだお元気だった頃、氏の自宅を訪問されているのだ。その辺りのことは、忘れざるルシアン・テヴェ掲示板のエントリ81番に詳しい。当該エントリに書かれている「須摩氏の写真」は、木下さんがわざわざCD-Rの表面にプリントしてくださった。感謝の念にたえない。
1984年、2007年の演奏はそれだけ聴けば素晴らしい演奏ではあるものの、さすがに1961年のものと比べてしまうとサウンドの質が良くも悪くもインターナショナル化しているなあ、という感じがする。ちなみに1984年のほうは、ブートリーの「ディヴェルティメント」吹奏楽版がなかなか面白いな。独奏はアンドレ・ブーン氏。
2008/02/19
こんな風になるまで(その2)
前回の記事の続き。
関東地方の、某T大学へ進学。当然のように吹奏楽団に入団し、トランペットの盟友?rokuen氏やサックスのめえめえさん、先輩のK野さんやきみーさんと出会う。大学の吹奏楽団のサックスパートには、松雪明先生がトレーナーとして時々来ており、カルテットの練習に際して何度もお世話になる機会を持つことができた(音楽だけでなく、人間としても大変尊敬できる先生で、私たちの中では誇りだ)。また、東京に比較的近いため、演奏会を聴きに行ったり渋谷のタワレコでCDを漁ったりする機会が増えた。
最初に聴いたのは、2003年の10月に東京文化会館で聴いた栃尾さんのリサイタル。次は、当時付き合っていた女の子と一緒に行った、2003年のフェスティバルの最終コンサート(雲井氏と平野氏と原氏)、2004年1月の須川さんと東京佼成の演奏会。さらに、浜離宮の雲井雅人サックス四重奏団の演奏会。素晴らしい演奏、素晴らしいホールで、どれもカルチャーショックだったなあ。フェスの平野さんに影響されて「バラフォン」の楽譜を買い、雲井Qのすごさに影響されて、直後の四重奏の本番で「トニーへの歌」を演奏したような(順番は逆かな?)。
2004年(大学2年生)は、新しいしカルテットを結成し、それに伴って水面下でCD収集や楽譜収集に励んでいたが、この時どうしても入手できなかったのがマスランカ「マウンテン・ロード」の楽譜。そういえば、4月から12月にかけては、演奏会にはあまり行かなかった気がする。フェスティバルではクリニックに参加して、服部吉之先生と出会ったっけな。フェスティバルコンサートのトリは、須川さんの演奏で伊藤康英先生の「協奏曲」ピアノ2台版。
年が明けて2005年、松雪先生に、デザンクロのレッスンを受けた際、かねてより聴きたいと思っていたデファイエQのリュエフやパスカルが入った音源をお持ちでないかを尋ね、CD-Rを送ってもらったのである。
…大感動!!リュエフの一発目のペダル音に飛び上がり、なんだかワケのわからないテンションで、Yahoo!アカウント取得&ウェブページkuri_saxoを開設。確かに、この「ダイアリー」は、こんな記事から始まっていることが証拠である。但し、当初はブログではなく、PDFファイルをアップするという、これまたワケのわからないことをしていた(いつのまにか、HTML形式に移行。ブログで書き始めるのは、もっとずっと後のこと)。ウェブページには、日記以外のコンテンツとして書き溜めた「フーガの技法」の楽譜をアップするなどしていた。
まもなく、Thunderさんのブログに初コメント(笑)。mckenさんとネットを介したやりとりを始めたのも、この頃だったかなー。しかし、まだまだハンドルネームが揺れていたっけ。"クリバ"とか"クリバヤシ"とか"kuri_saxo"とか。結局は"kuri"に落ち着いたのだが…。自分のサイトを作ったこともあり、(質はともかくとして)ネット上のコミュニケーションの仲間入りをしたと言える時期ではないだろうか。
同時に、Yahoo!のアカウントからマスランカ氏に「マウンテン・ロード」の楽譜をどうしても買いたいのです!という旨のメールを送った(メールアカウント取って一番最初に送ったメールが、英文メールだったというのも、手前味噌ながら驚き…)。ドキドキしながら返事を待っていたのだが、数日後に大変丁寧な調子で返信をいただけたのだ!このときの嬉しさは、言葉では言い表せなかったなー。国際郵便為替を使って送金し、楽譜が入った大きな小包を受け取った時のワクワク感…ああ、久々に思い出してしまった。
最初に送ったメールがフイにされていたら、おそらくその後、海外にメールを送るのが怖くなってしまっていただろうな。そういった意味でも、マスランカ氏の、私のような見知らぬ者に対する優しさには、今でも感謝している。以降は、メールを使って作曲家や出版社にコンタクトすることが徐々に多くなっていった。「バードランド」のためにRAFの音楽課にメールを送ったり、「ソビエト民警のための行進曲」のために、RNCMとB&Hにメールを送ったりするたびに、いちいちドキドキしていた気がする。イトーミュージックさんとも、何度もメールをやりとりしたっけかな。
佐藤渉さんから、またSim@さんから連絡を頂いたのが、2005年の暮れ。フェスももちろん聴きに行った。2006年初頭、イギリスのサクソフォーン界に関する研究を開始。音源を見境無く収集しはじめる。2006年の2月ごろ、mixi加入。雲井さんを発見し、失礼とは思いながら何度もページを訪問する。
2006年7月、ジェローム・ララン氏が来日。大泉学園ゆめりあホールで行われたリサイタルは、今まで聴いたコンサートの中で最も印象深いものの一つとなっているが、その場所でThunderさんの紹介により、mckenさんと初対面したのである。また、演奏会後にララン氏にメールを送り、お知り合いになることができた。そうだ、コンサートに向かう途中に立ち寄ったオープンしたばかりのドルチェ楽器で、倉田さんと2時間ほど話し込んだうえに、マーフィ氏にサインをもらったのだった。
このころ、フェルドハウス氏から楽譜を購入するために、PayPalのアカウントを作成。PayPalってeBayでたくさん使われているんだ…ってことで、eBayでの音源収集も開始。送料の高さに驚きながら、持っていなかったLPを少しずつ収集し始めた。5ドルのレコードを落札して送料20ドルと言われたときは、さすがに青ざめたけど。
2006年11月、HTMLで書いていた「ダイアリー」を、ブログへ移行。更新頻度を上げ、おおよそ一日に一つの記事を書くように心がけた。当時の訪問者は、およそ40人/日。さすがブログのほうがPageRankが上がるためか、その後少しずつ訪問者が増えていくのが面白かった。
2006年の暮れから2007年の頭にかけては、何と言っても、生野裕久氏に宛ててメールではなく初めて手紙を使った、ということ、それから「an eye for a difference」がらみのクリス・カルドウェル氏との出会いが印象深い。結局実現はしなかったけれど、実はデルタ・サクソフォン四重奏団のつくば市公演(演奏会とワークショップ)を、水面下で準備していたのですよ!これに関しては結局、デルタQの来日自体が流れてしまい、叶わなかった。
2007年3月、サクソフォーン協会のアンサンブルコンクール参加の折に、日本各地のアマチュアサクソフォン奏者と知り合う。短い時間ではあったが、そこで顔をあわせた多くの方と、その後にわたるネット上やオフラインでの付き合いが始まった。2007年7月、ジョイントリサイタルの折に原さんや大石さんと初対面。2007年8月、Adolphesax.comのチームの方のご尽力により、Saxologie共同購入プロジェクト(?)を敢行。到着が遅れたものの、結果的に合計4冊の冊子を日本へと輸入することができ、またこの時に新たにお知り合いになったサックス吹きの方もいた。
2007年10月、ラッシャーについての研究開始。A.Jackson氏と初めてコンタクト。ある意味においては、ロンデックス氏をもしのぐ世界最高のサクソフォーン研究家であり、現在もA.Jackson氏に協力し、とあるウェブページの日本語版作成を行っている(公開はもう少し先です)。2007年11月、ドゥラングル教授の伝説的リサイタル。京青さんのお膳立てにより、静岡のアマチュアサクソフォニスト、あかいけさんと初対面。芸大のとある方々とも初対面。
2007年12月、フェスティバル参加。無謀にも「Heartbreakers Part1」を日本初演。フェスのレセプションで、アマチュア・プロのサクソフォン奏者と知り合いになった。上田卓氏からはボルドー音楽院関連の大量の資料を頂戴した。2007年暮れ、世界的なギャルド研究家、木下直人さんから連絡を頂く。木下さんからは、その後もたくさんの音源や資料を頂戴している。2008年1月、ロンデックスコンクールの折に、集計ページを作成する際、李早恵氏、オコナー氏など多くの方のお世話になった。また、ラッシャーに作品を献呈した唯一の日本人、笹森建英氏と手紙をやりとりすることができた。
現在の調査・研究対象は「シガード・ラッシャー」「現代音楽におけるサクソフォーン」「イギリスのサクソフォーン」の3点である。ブログへのユーザの訪問は、1日せいぜい150~180セッションと比較的少ない(そもそも対象としている市場が小さいのだし)が、今後とも様々なネタを掘り起こしていこうと思っている。…こんな一学生を相手にしてくださる、国内・海外のプロ・アマチュアのサクソフォン奏者や研究家、作曲家の方々に今一度感謝を申し上げ、この記事を締めくくろうと思う。
関東地方の、某T大学へ進学。当然のように吹奏楽団に入団し、トランペットの盟友?rokuen氏やサックスのめえめえさん、先輩のK野さんやきみーさんと出会う。大学の吹奏楽団のサックスパートには、松雪明先生がトレーナーとして時々来ており、カルテットの練習に際して何度もお世話になる機会を持つことができた(音楽だけでなく、人間としても大変尊敬できる先生で、私たちの中では誇りだ)。また、東京に比較的近いため、演奏会を聴きに行ったり渋谷のタワレコでCDを漁ったりする機会が増えた。
最初に聴いたのは、2003年の10月に東京文化会館で聴いた栃尾さんのリサイタル。次は、当時付き合っていた女の子と一緒に行った、2003年のフェスティバルの最終コンサート(雲井氏と平野氏と原氏)、2004年1月の須川さんと東京佼成の演奏会。さらに、浜離宮の雲井雅人サックス四重奏団の演奏会。素晴らしい演奏、素晴らしいホールで、どれもカルチャーショックだったなあ。フェスの平野さんに影響されて「バラフォン」の楽譜を買い、雲井Qのすごさに影響されて、直後の四重奏の本番で「トニーへの歌」を演奏したような(順番は逆かな?)。
2004年(大学2年生)は、新しいしカルテットを結成し、それに伴って水面下でCD収集や楽譜収集に励んでいたが、この時どうしても入手できなかったのがマスランカ「マウンテン・ロード」の楽譜。そういえば、4月から12月にかけては、演奏会にはあまり行かなかった気がする。フェスティバルではクリニックに参加して、服部吉之先生と出会ったっけな。フェスティバルコンサートのトリは、須川さんの演奏で伊藤康英先生の「協奏曲」ピアノ2台版。
年が明けて2005年、松雪先生に、デザンクロのレッスンを受けた際、かねてより聴きたいと思っていたデファイエQのリュエフやパスカルが入った音源をお持ちでないかを尋ね、CD-Rを送ってもらったのである。
…大感動!!リュエフの一発目のペダル音に飛び上がり、なんだかワケのわからないテンションで、Yahoo!アカウント取得&ウェブページkuri_saxoを開設。確かに、この「ダイアリー」は、こんな記事から始まっていることが証拠である。但し、当初はブログではなく、PDFファイルをアップするという、これまたワケのわからないことをしていた(いつのまにか、HTML形式に移行。ブログで書き始めるのは、もっとずっと後のこと)。ウェブページには、日記以外のコンテンツとして書き溜めた「フーガの技法」の楽譜をアップするなどしていた。
まもなく、Thunderさんのブログに初コメント(笑)。mckenさんとネットを介したやりとりを始めたのも、この頃だったかなー。しかし、まだまだハンドルネームが揺れていたっけ。"クリバ"とか"クリバヤシ"とか"kuri_saxo"とか。結局は"kuri"に落ち着いたのだが…。自分のサイトを作ったこともあり、(質はともかくとして)ネット上のコミュニケーションの仲間入りをしたと言える時期ではないだろうか。
同時に、Yahoo!のアカウントからマスランカ氏に「マウンテン・ロード」の楽譜をどうしても買いたいのです!という旨のメールを送った(メールアカウント取って一番最初に送ったメールが、英文メールだったというのも、手前味噌ながら驚き…)。ドキドキしながら返事を待っていたのだが、数日後に大変丁寧な調子で返信をいただけたのだ!このときの嬉しさは、言葉では言い表せなかったなー。国際郵便為替を使って送金し、楽譜が入った大きな小包を受け取った時のワクワク感…ああ、久々に思い出してしまった。
最初に送ったメールがフイにされていたら、おそらくその後、海外にメールを送るのが怖くなってしまっていただろうな。そういった意味でも、マスランカ氏の、私のような見知らぬ者に対する優しさには、今でも感謝している。以降は、メールを使って作曲家や出版社にコンタクトすることが徐々に多くなっていった。「バードランド」のためにRAFの音楽課にメールを送ったり、「ソビエト民警のための行進曲」のために、RNCMとB&Hにメールを送ったりするたびに、いちいちドキドキしていた気がする。イトーミュージックさんとも、何度もメールをやりとりしたっけかな。
佐藤渉さんから、またSim@さんから連絡を頂いたのが、2005年の暮れ。フェスももちろん聴きに行った。2006年初頭、イギリスのサクソフォーン界に関する研究を開始。音源を見境無く収集しはじめる。2006年の2月ごろ、mixi加入。雲井さんを発見し、失礼とは思いながら何度もページを訪問する。
2006年7月、ジェローム・ララン氏が来日。大泉学園ゆめりあホールで行われたリサイタルは、今まで聴いたコンサートの中で最も印象深いものの一つとなっているが、その場所でThunderさんの紹介により、mckenさんと初対面したのである。また、演奏会後にララン氏にメールを送り、お知り合いになることができた。そうだ、コンサートに向かう途中に立ち寄ったオープンしたばかりのドルチェ楽器で、倉田さんと2時間ほど話し込んだうえに、マーフィ氏にサインをもらったのだった。
このころ、フェルドハウス氏から楽譜を購入するために、PayPalのアカウントを作成。PayPalってeBayでたくさん使われているんだ…ってことで、eBayでの音源収集も開始。送料の高さに驚きながら、持っていなかったLPを少しずつ収集し始めた。5ドルのレコードを落札して送料20ドルと言われたときは、さすがに青ざめたけど。
2006年11月、HTMLで書いていた「ダイアリー」を、ブログへ移行。更新頻度を上げ、おおよそ一日に一つの記事を書くように心がけた。当時の訪問者は、およそ40人/日。さすがブログのほうがPageRankが上がるためか、その後少しずつ訪問者が増えていくのが面白かった。
2006年の暮れから2007年の頭にかけては、何と言っても、生野裕久氏に宛ててメールではなく初めて手紙を使った、ということ、それから「an eye for a difference」がらみのクリス・カルドウェル氏との出会いが印象深い。結局実現はしなかったけれど、実はデルタ・サクソフォン四重奏団のつくば市公演(演奏会とワークショップ)を、水面下で準備していたのですよ!これに関しては結局、デルタQの来日自体が流れてしまい、叶わなかった。
2007年3月、サクソフォーン協会のアンサンブルコンクール参加の折に、日本各地のアマチュアサクソフォン奏者と知り合う。短い時間ではあったが、そこで顔をあわせた多くの方と、その後にわたるネット上やオフラインでの付き合いが始まった。2007年7月、ジョイントリサイタルの折に原さんや大石さんと初対面。2007年8月、Adolphesax.comのチームの方のご尽力により、Saxologie共同購入プロジェクト(?)を敢行。到着が遅れたものの、結果的に合計4冊の冊子を日本へと輸入することができ、またこの時に新たにお知り合いになったサックス吹きの方もいた。
2007年10月、ラッシャーについての研究開始。A.Jackson氏と初めてコンタクト。ある意味においては、ロンデックス氏をもしのぐ世界最高のサクソフォーン研究家であり、現在もA.Jackson氏に協力し、とあるウェブページの日本語版作成を行っている(公開はもう少し先です)。2007年11月、ドゥラングル教授の伝説的リサイタル。京青さんのお膳立てにより、静岡のアマチュアサクソフォニスト、あかいけさんと初対面。芸大のとある方々とも初対面。
2007年12月、フェスティバル参加。無謀にも「Heartbreakers Part1」を日本初演。フェスのレセプションで、アマチュア・プロのサクソフォン奏者と知り合いになった。上田卓氏からはボルドー音楽院関連の大量の資料を頂戴した。2007年暮れ、世界的なギャルド研究家、木下直人さんから連絡を頂く。木下さんからは、その後もたくさんの音源や資料を頂戴している。2008年1月、ロンデックスコンクールの折に、集計ページを作成する際、李早恵氏、オコナー氏など多くの方のお世話になった。また、ラッシャーに作品を献呈した唯一の日本人、笹森建英氏と手紙をやりとりすることができた。
現在の調査・研究対象は「シガード・ラッシャー」「現代音楽におけるサクソフォーン」「イギリスのサクソフォーン」の3点である。ブログへのユーザの訪問は、1日せいぜい150~180セッションと比較的少ない(そもそも対象としている市場が小さいのだし)が、今後とも様々なネタを掘り起こしていこうと思っている。…こんな一学生を相手にしてくださる、国内・海外のプロ・アマチュアのサクソフォン奏者や研究家、作曲家の方々に今一度感謝を申し上げ、この記事を締めくくろうと思う。
2008/02/18
こんな風になるまで(その1)
私、kuriがサックスにのめり込み、現在のような風になるまで。演奏のほうではなく、音源や楽譜の収集、クラシックサックスの調査研究に関して、これまでの経緯を思い出しながら書いてみたい。
そもそもは、それほどサックスにはまってはいなかった。中学のときにバリトンサックスを手にしたものの、大してのめり込むわけでもなく、ごく普通に毎日の練習をこなしていた。生真面目であったので、メトロノームを相手に楽譜を何度も吹き、配られた曲をすべて暗譜するほどではあったが、所詮中学生の吹くバリトンサックスの譜面である。ほとんどは四分音符の刻み程度の楽譜だった。音程も、さぞかしひどいものであった(高ければ高いほど自分の音が抜けるため、そのほうが良いと思いこんでいた)。
高校でも、吹奏楽が楽しかったことは楽しかったけれど、「サックスにのめりこむこと」はなかった。ところが、1年生の10月ごろのことである。アンコンの曲を決めようと言う段階になって、先輩が候補に出した曲を聴かせてくれた。それがデザンクロの「四重奏曲」。とってもかっこいい曲で、こんな世界があったのか!と感動。そして、一緒に聴かせてくれたパスカルの「四重奏曲」にも、ずいぶんと惹かれた。吹奏楽の中で吹いているサックスとは、別物だった。
結局は、下手くそであったのでデザンクロなどできるはずもなく、ジャンジャンの「四重奏曲」を演奏。アルト。校内予選で落選し、ふたたび何となくな日々に戻る。トルヴェール・クヮルテットの「マルセル・ミュールに捧ぐ」が世に出たのは、高校2年生の4月であった。これ、初めて自分で買ったCDであり、パスカルとフランセが大好きで、何度も聴いたっけ。
そして、決定的となったのがその一ヵ月後である。当時ひとつ上だった3年生の先輩Aさんが、東京に出た折にとあるCDを買ってきたのである。いわく、「これ凄いよ!本当に、信じられないぐらい凄いサックス!」とのことだったので、「へえ、どんなんだろうー」早速練習場所にあったCDデッキを持ち出して再生してみた。最初のトラックは、ふむふむ、ヴェローヌの「ラプソディ」という曲か…。
…感動。涙が出てしまうほどであった。本当に心の底に染み入ってくる音だった。これこそが、当時20枚同時にリリースされた「ギャルド・レピュブリケーヌ「アンダルシアの騎士~マルセル・ミュールの至芸II(TOCE-55233)」だったのである。こんな凄い世界があったんだ!と驚きを隠せず、帰ってから早速インターネットで「マルセル・ミュール」「Marcel Mule」と検索してみた。そこで見つけたのが、Thunderさんのこのページとmckenさんのこのページ。当時の無知さといったらひどいもので、へえ、これがマルセル・ミュールの公式ページか、などと思ったことをかすかに覚えている。まもなく、タワレコでミュールの「La Legende」を取り扱い始めたことを知り、親にねだって買ってもらったのだ。クレストン、モーリス、ランティエあたりの作品を好んで聴いた。
さて、そこまでくると、たいていの人がやるように、今度はmckenさんのページでサックスのCDを調べまくるのである。須川さんの「ファジイ・バード」は当時再販前だったが、どうしてもこの五つ星アルバムを聴きたくて、その曲が入っているようなCDを探した。デザンクロ、クレストンという名前も知りつつあったが、特にベリオの「セクエンツァ」という曲は調べれば調べるほど面白い情報が出てくるものであった。そこで、秋葉原に遊びに行くと言うクラシック好きの友達に、クロード・ドゥラングルという奏者のBISのアルバムを買ってきてくれないか、と頼み、首尾よく入手に至る。これが、現代音楽を聴き始めた瞬間だ。
そうして入手したのが「The Japanese Saxophone」と「The Russian Saxophone」。最初はあまりの難しさに、しばらくはお蔵入りとなったが、あるとき突然、棚田文則氏の「Mysterious Morning III」に、不思議と共感を覚えるようになる。3日ほどひたすらリピートして聴きまくり、曲の全体像を覚えてしまったのであった。この後しばらくは現代音楽って面白い!ということで、ベリオ、シュトックハウゼン、ライヒを舐めるように横断した。
しかし結局はクラシック・サックスの分野に戻ってくることとなる。そのわけは、高校2年の10月から取り組んだアンサンブルコンテスト。無茶とは思いながらデザンクロの「四重奏曲」バリトンパートを担当し、最終的にアンサンブルにハマるきっかけになった。この過程で、mckenさんのページにあるデザンクロの四重奏曲収録CDを、上から順番に収集するという暴挙に出るのである。「聴き比べ」の楽しさを知り、このとき以来、見境なくCDを収集する癖がついてしまった。
当時廃盤とされていた、「サクソフォーンの芸術(EMI)」を研修旅行先の長崎市の商店街のCDショップで発見したときは嬉しかったなあ。お土産代の3万円から6000円をはたき、購入。その3枚組のディスクの2枚目…デファイエ四重奏団の演奏によるピエルネ、デザンクロ、リヴィエ、シュミットが所収された盤は、買った当時から今まで最も聴いた回数が多いCDだ。このCDを聴き込むことで、「1970年代のフランス流派」が何たるかを、まがいなりにも知ることになり、結果的にその後は往年のフランスの演奏を進んで聴くことができるようになった。聴いた演奏に対する感じ方が、周囲の友人と変わってきたなと感じたのも、この頃。
そうこうしているうちに、高校卒業までに収集したサックス関連のCDが40枚を越えた。楽譜はそれほど無かったと思うのだが…。自分の所蔵CDを全てMDに録音し、後輩への置き土産としてサックスパート棚に寄付(寄付したのは、MDのほうです)。高校を卒業し、関東地方の大学へと進学する。
次の記事へつづく。
そもそもは、それほどサックスにはまってはいなかった。中学のときにバリトンサックスを手にしたものの、大してのめり込むわけでもなく、ごく普通に毎日の練習をこなしていた。生真面目であったので、メトロノームを相手に楽譜を何度も吹き、配られた曲をすべて暗譜するほどではあったが、所詮中学生の吹くバリトンサックスの譜面である。ほとんどは四分音符の刻み程度の楽譜だった。音程も、さぞかしひどいものであった(高ければ高いほど自分の音が抜けるため、そのほうが良いと思いこんでいた)。
高校でも、吹奏楽が楽しかったことは楽しかったけれど、「サックスにのめりこむこと」はなかった。ところが、1年生の10月ごろのことである。アンコンの曲を決めようと言う段階になって、先輩が候補に出した曲を聴かせてくれた。それがデザンクロの「四重奏曲」。とってもかっこいい曲で、こんな世界があったのか!と感動。そして、一緒に聴かせてくれたパスカルの「四重奏曲」にも、ずいぶんと惹かれた。吹奏楽の中で吹いているサックスとは、別物だった。
結局は、下手くそであったのでデザンクロなどできるはずもなく、ジャンジャンの「四重奏曲」を演奏。アルト。校内予選で落選し、ふたたび何となくな日々に戻る。トルヴェール・クヮルテットの「マルセル・ミュールに捧ぐ」が世に出たのは、高校2年生の4月であった。これ、初めて自分で買ったCDであり、パスカルとフランセが大好きで、何度も聴いたっけ。
そして、決定的となったのがその一ヵ月後である。当時ひとつ上だった3年生の先輩Aさんが、東京に出た折にとあるCDを買ってきたのである。いわく、「これ凄いよ!本当に、信じられないぐらい凄いサックス!」とのことだったので、「へえ、どんなんだろうー」早速練習場所にあったCDデッキを持ち出して再生してみた。最初のトラックは、ふむふむ、ヴェローヌの「ラプソディ」という曲か…。
…感動。涙が出てしまうほどであった。本当に心の底に染み入ってくる音だった。これこそが、当時20枚同時にリリースされた「ギャルド・レピュブリケーヌ「アンダルシアの騎士~マルセル・ミュールの至芸II(TOCE-55233)」だったのである。こんな凄い世界があったんだ!と驚きを隠せず、帰ってから早速インターネットで「マルセル・ミュール」「Marcel Mule」と検索してみた。そこで見つけたのが、Thunderさんのこのページとmckenさんのこのページ。当時の無知さといったらひどいもので、へえ、これがマルセル・ミュールの公式ページか、などと思ったことをかすかに覚えている。まもなく、タワレコでミュールの「La Legende」を取り扱い始めたことを知り、親にねだって買ってもらったのだ。クレストン、モーリス、ランティエあたりの作品を好んで聴いた。
さて、そこまでくると、たいていの人がやるように、今度はmckenさんのページでサックスのCDを調べまくるのである。須川さんの「ファジイ・バード」は当時再販前だったが、どうしてもこの五つ星アルバムを聴きたくて、その曲が入っているようなCDを探した。デザンクロ、クレストンという名前も知りつつあったが、特にベリオの「セクエンツァ」という曲は調べれば調べるほど面白い情報が出てくるものであった。そこで、秋葉原に遊びに行くと言うクラシック好きの友達に、クロード・ドゥラングルという奏者のBISのアルバムを買ってきてくれないか、と頼み、首尾よく入手に至る。これが、現代音楽を聴き始めた瞬間だ。
そうして入手したのが「The Japanese Saxophone」と「The Russian Saxophone」。最初はあまりの難しさに、しばらくはお蔵入りとなったが、あるとき突然、棚田文則氏の「Mysterious Morning III」に、不思議と共感を覚えるようになる。3日ほどひたすらリピートして聴きまくり、曲の全体像を覚えてしまったのであった。この後しばらくは現代音楽って面白い!ということで、ベリオ、シュトックハウゼン、ライヒを舐めるように横断した。
しかし結局はクラシック・サックスの分野に戻ってくることとなる。そのわけは、高校2年の10月から取り組んだアンサンブルコンテスト。無茶とは思いながらデザンクロの「四重奏曲」バリトンパートを担当し、最終的にアンサンブルにハマるきっかけになった。この過程で、mckenさんのページにあるデザンクロの四重奏曲収録CDを、上から順番に収集するという暴挙に出るのである。「聴き比べ」の楽しさを知り、このとき以来、見境なくCDを収集する癖がついてしまった。
当時廃盤とされていた、「サクソフォーンの芸術(EMI)」を研修旅行先の長崎市の商店街のCDショップで発見したときは嬉しかったなあ。お土産代の3万円から6000円をはたき、購入。その3枚組のディスクの2枚目…デファイエ四重奏団の演奏によるピエルネ、デザンクロ、リヴィエ、シュミットが所収された盤は、買った当時から今まで最も聴いた回数が多いCDだ。このCDを聴き込むことで、「1970年代のフランス流派」が何たるかを、まがいなりにも知ることになり、結果的にその後は往年のフランスの演奏を進んで聴くことができるようになった。聴いた演奏に対する感じ方が、周囲の友人と変わってきたなと感じたのも、この頃。
そうこうしているうちに、高校卒業までに収集したサックス関連のCDが40枚を越えた。楽譜はそれほど無かったと思うのだが…。自分の所蔵CDを全てMDに録音し、後輩への置き土産としてサックスパート棚に寄付(寄付したのは、MDのほうです)。高校を卒業し、関東地方の大学へと進学する。
次の記事へつづく。
2008/02/17
いざ鎌倉?
"いざ鎌倉"って、鎌倉幕府時代の「御恩と奉公」における、いざと言うときの御家人の心構えなんだそうだ。久々に調べてみて、中学校時代の歴史の授業を思い出した。
3本のサックスとピアノのために書かれた、サミュエル・バーバー/生野裕久編「思い出」の服部吉之先生レッスン@鎌倉のご自宅、でございました。楽器を担いで移動したうち、最南記録を更新。鎌倉は秋葉原から1時間。意外なほどの近さに驚き。「最寄のバス停からとことこ歩いて先生のお宅に向かって山道を歩いていくと、なぜか右に曲がれず間違える」と、原さんに教えられていた通りのミスをやらかした(笑)。到着した先は、驚きの豪邸。
2時間ほどにわたってつけていただいたレッスンは、充実そのもの。先生の偉大さを再認識したと言うか、自分たちのダメっぷりに改めて気づかされたというか。面白い話、興味深い話も織り交ぜながら、目からウロコが落ちまくりだった。うー、練習練習。以下、自分のための備忘録。まだ他にもいろいろあるのだが。
・実は高畑次郎さんが演奏予定だったらしい
・発音の瞬間に、刺激を与えるのは意味無し
・ピタゴラス音律
・音程の狙い、良く歌うこと
・スラーの意味:冒頭へのアーティキュレーション集約
・3本の道筋
・ピアノとのアンサンブルにおける「切り替え」
・ピアノとサックスは、驚くほど近づくことができる
・吹ききる、ということ
帰り際には、鶴岡八幡宮をちょこっとだけ訪問。午後から曇り空模様で、とても寒かった(^^;
3本のサックスとピアノのために書かれた、サミュエル・バーバー/生野裕久編「思い出」の服部吉之先生レッスン@鎌倉のご自宅、でございました。楽器を担いで移動したうち、最南記録を更新。鎌倉は秋葉原から1時間。意外なほどの近さに驚き。「最寄のバス停からとことこ歩いて先生のお宅に向かって山道を歩いていくと、なぜか右に曲がれず間違える」と、原さんに教えられていた通りのミスをやらかした(笑)。到着した先は、驚きの豪邸。
2時間ほどにわたってつけていただいたレッスンは、充実そのもの。先生の偉大さを再認識したと言うか、自分たちのダメっぷりに改めて気づかされたというか。面白い話、興味深い話も織り交ぜながら、目からウロコが落ちまくりだった。うー、練習練習。以下、自分のための備忘録。まだ他にもいろいろあるのだが。
・実は高畑次郎さんが演奏予定だったらしい
・発音の瞬間に、刺激を与えるのは意味無し
・ピタゴラス音律
・音程の狙い、良く歌うこと
・スラーの意味:冒頭へのアーティキュレーション集約
・3本の道筋
・ピアノとのアンサンブルにおける「切り替え」
・ピアノとサックスは、驚くほど近づくことができる
・吹ききる、ということ
帰り際には、鶴岡八幡宮をちょこっとだけ訪問。午後から曇り空模様で、とても寒かった(^^;
2008/02/16
木下直人さんから(デファイエ、ミュールQ)
まだまだ他にもいろいろ頂戴しているのだが、とりあえずサックス関連のご紹介を優先しましょう。ダニエル・デファイエのCrest盤と、ミュール・サクソフォン四重奏団のErato盤。どちらも、サクソフォンの世界では伝説と化しているレコードを、木下さんがトランスファーしたものである。
「Daniel Deffayet Saxophone(Crest RE-7051)」
Daniel Deffayet ダニエル・デファイエ(sax)
Zita Carno ジータ・カルノ(pf.)
曲目:
R.Gallois-Montbrun - Six pieces musicales d'etudes
R.Boutry - Divertimento
C.Pascal - Sonatine
J.Rueff - Sonate seul
このレコードに関しては、すでにThunderさんやDonaxさんがそれぞれこちらやこちらで語っているようにデファイエの録音のなかで、いや、クラシック・サックスの録音のなかで…いやいや、サックスによる演奏の中で最高のものの一つである。ガロワ=モンブランも、ブートリーも、パスカルも、リュエフも何もかも最高!どんな言葉を持ち出してきても、この圧倒的な演奏の前には無意味。一つだけ無理やり挙げるとしたら、私個人的にはブートリーかなあ。天才的なリズム処理、キラキラ光る音色、怒涛のプレスト…一編のドラマが、たった9分間のなかに凝縮されているのである。もちろんトランスファーの素晴らしさは、言うまでもない。
「Grands Virtuoses - Quatuors pour saxophones(Erato STU 70306)」
Marcel Mule マルセル・ミュール
Georges Gourdet ジョルジュ・グールデ
Guy Lacour ギィ・ラクール
Marcel Josse マルセル・ジョセ
曲目:
G.Pierne - Introduction et Variations sur une ronde populaire
A.Desenclos - Quatuor
J.Absil - Suite d'apres le folklore roumain
J.Rivier - Grave et Presto
これも凄いな。Musical Heritage Society盤こそ、そこそこ流通はしているのだが、木下さんが所蔵するのは、なんとErato原盤。Thunderさんが所蔵しているのは、国内のコロムビア盤でしたっけ。ところで、ミュールさんが吹くデザンクロなんて、どのくらいの方が聴いたことがあるのだろう。録音は1966年。作品が作られてわずか数年後に、この曲の完成形を提示してしまった恐るべき録音だ。というか、ミュールさん65歳ですか。いやはや言葉が出ません。
「Daniel Deffayet Saxophone(Crest RE-7051)」
Daniel Deffayet ダニエル・デファイエ(sax)
Zita Carno ジータ・カルノ(pf.)
曲目:
R.Gallois-Montbrun - Six pieces musicales d'etudes
R.Boutry - Divertimento
C.Pascal - Sonatine
J.Rueff - Sonate seul
このレコードに関しては、すでにThunderさんやDonaxさんがそれぞれこちらやこちらで語っているようにデファイエの録音のなかで、いや、クラシック・サックスの録音のなかで…いやいや、サックスによる演奏の中で最高のものの一つである。ガロワ=モンブランも、ブートリーも、パスカルも、リュエフも何もかも最高!どんな言葉を持ち出してきても、この圧倒的な演奏の前には無意味。一つだけ無理やり挙げるとしたら、私個人的にはブートリーかなあ。天才的なリズム処理、キラキラ光る音色、怒涛のプレスト…一編のドラマが、たった9分間のなかに凝縮されているのである。もちろんトランスファーの素晴らしさは、言うまでもない。
「Grands Virtuoses - Quatuors pour saxophones(Erato STU 70306)」
Marcel Mule マルセル・ミュール
Georges Gourdet ジョルジュ・グールデ
Guy Lacour ギィ・ラクール
Marcel Josse マルセル・ジョセ
曲目:
G.Pierne - Introduction et Variations sur une ronde populaire
A.Desenclos - Quatuor
J.Absil - Suite d'apres le folklore roumain
J.Rivier - Grave et Presto
これも凄いな。Musical Heritage Society盤こそ、そこそこ流通はしているのだが、木下さんが所蔵するのは、なんとErato原盤。Thunderさんが所蔵しているのは、国内のコロムビア盤でしたっけ。ところで、ミュールさんが吹くデザンクロなんて、どのくらいの方が聴いたことがあるのだろう。録音は1966年。作品が作られてわずか数年後に、この曲の完成形を提示してしまった恐るべき録音だ。というか、ミュールさん65歳ですか。いやはや言葉が出ません。
Vincent David氏の新アルバム
就職活動のために東京に出たら、上野駅で山手線のドアから降りてきた田村さんとばったり。まあ、芸大があるので不思議なことではないのだけど、あまりの偶然におどろきおどろき。
Vincent David氏のアルバムが、先月末にリリースされた。普通にCDとしても買えるのだが、このたびiTunes Storeにて取り扱いを開始したようだ。アルバム一枚1500円だとのこと。安いですな。収録曲は、以下の通り。
ルチアーノ・ベリオ「シュマンIV」
オムニバス「5つのデュオ」
ピエール・ブーレーズ「二重の影の対話」
オムニバス「5つのデュオ」
ルチアーノ・ベリオ「レシ(シュマンVII)」
オムニバス「4つのデュオ」
アントン・ヴェーベルン「四重奏曲作品22」
…これは速攻で買いだな。ベリオの手によるサクソフォーンのためのシュマンの待望の公式録音であり、さらにブーレーズの「二重の影の対話」サクソフォーン版の世界初録音(!)、最後はヴェーベルンの珠玉の室内楽までもが収録されている豪華さ。それだけでも凄いのに、大曲の間をブルーノ・マデルナ、ベラ・バルトークら、14人の作曲家の手による二重奏が満たすという、なんとも不思議なコンセプトのアルバムだ。
iTunes Storeで購入される際には、この辺のリンクから辿っていただければ良いかと。iTunesをあらかじめインストールされておくことをオススメいたします。
Vincent David氏のアルバムが、先月末にリリースされた。普通にCDとしても買えるのだが、このたびiTunes Storeにて取り扱いを開始したようだ。アルバム一枚1500円だとのこと。安いですな。収録曲は、以下の通り。
ルチアーノ・ベリオ「シュマンIV」
オムニバス「5つのデュオ」
ピエール・ブーレーズ「二重の影の対話」
オムニバス「5つのデュオ」
ルチアーノ・ベリオ「レシ(シュマンVII)」
オムニバス「4つのデュオ」
アントン・ヴェーベルン「四重奏曲作品22」
…これは速攻で買いだな。ベリオの手によるサクソフォーンのためのシュマンの待望の公式録音であり、さらにブーレーズの「二重の影の対話」サクソフォーン版の世界初録音(!)、最後はヴェーベルンの珠玉の室内楽までもが収録されている豪華さ。それだけでも凄いのに、大曲の間をブルーノ・マデルナ、ベラ・バルトークら、14人の作曲家の手による二重奏が満たすという、なんとも不思議なコンセプトのアルバムだ。
iTunes Storeで購入される際には、この辺のリンクから辿っていただければ良いかと。iTunesをあらかじめインストールされておくことをオススメいたします。
2008/02/14
Miha Rogina on YouTube
ミーハ・ロギーナ氏の日本での演奏会の様子が、公式にアップされていた。ピアノの李早恵さんとのデュオ("Duo Kalypso"っていう名前らしい…知らなかった)で、ファリャの小品。もう一つは、無伴奏でクリスチャン・ローバの「ジャングル」。いやあ、どちらもホントに素敵な演奏だ。
・デ=ファリャ「スペイン舞曲」
・クリスチャン・ローバ「ジャングル」
・デ=ファリャ「スペイン舞曲」
・クリスチャン・ローバ「ジャングル」
2008/02/13
第15回東京藝術大学サクソフォーン専攻生による演奏会
ふう、なんか最近いろいろ自分のダメっぷりに起因して凹んでおります…。楽器とか、その周辺のこととかいろいろ。まあ、ブログに書くことでもないですが。
さて、昨日は埼玉県まで足を伸ばして、藝大のサックス科演奏会を聴きに行ってきた。いったん東京に出て(久々に秋葉原からお茶の水まで歩いて)下倉楽器でリードやら何やらを購入した後、京浜東北線で川口駅に向かった。…意外と遠い(^^;川口リリアのホールは初めてだったのだが、なんと駅の目の前。JR線出口から陸橋で接続されているという、都市内部としては抜群のロケーションに位置している。
【第15回東京藝術大学サクソフォーン専攻生による演奏会】
出演:東京藝大サクソフォーン専攻生、平野公崇(指揮)
日時:2008年2月12日(火)18:30開演
場所:川口総合文化センターリリア音楽ホール
プログラム:
E.グリーグ「ホルベルグ組曲」
P.ヒンデミット「コンチェルトシュトゥック」
松岡美弥子「Verschmelzung(委嘱作品)」
A.グラズノフ「サクソフォーン協奏曲」
C.ドビュッシー「ピアノ三重奏曲」
長生淳「サクソフォーン八重奏曲」
M.ブルッフ「コル・ニドライ」
B.バルトーク「弦楽のためのディヴェルティメント」
ホールに入ると超満員。音大生っぽい人、芸大関係者っぽい人、地元の高校生などで埋め尽くされていた。今回が15回目だということだが、固定客もかなりついているのだろうなー。しかし凄いや。
グリーグ、速かった(笑)。佐藤さんのソプラノをじっくり聴くのはドゥラングル教授のレクチャー以来だったが、以前聴いたときの印象とは変わっていて面白かったな…聴いている空間の広さによるものだろう。丸場さんのテナーとしての役回りは、是非に見習いたいですな。全体の印象は、さすが最近のサクソフォーンの傾向に乗っているだけあって、対位的な音の絡みのなかに、ふわっと浮かんでくる和声が耳に残る、心地よい響き。しかし、いったいどのくらいの合わせで、このレベルまで持って行くのだろうか…。興味あるところだ。我々なんぞ、半年がっちり合わせたところでこういうレベルには及ぶべくもないだろう。というか、そもそも「合わせること」に対する捉え方が、アマチュアとは根本的に違う気がする。
次は、ヒンデミット。今までに録音・実演ともにいくつも聴いているが、この曲を「良い曲だ」と思えたのは初めてだった!ラッシャーと娘のカリーナ・ラッシャーのデュオによる録音や、デュオ・ルマリエのCD、昨年7月にも原さんとラランさんによるデュオを聴いている…たしかこのときは、会場が狭すぎて、今となっては曲云々の前に音楽の流れに圧倒されて終わってしまったような印象が残っているのである(^^;角口さんの滑らかに跳躍を繰り返すサウンドを、大石さんのがっしりした低音部が支えるうちに、ぐいぐいと引き込まれた。時々出現するハモリをきっちり決めてくるのは、さすが。
続く松岡美弥子作曲の「Verschmelzung」は、サックスに尺八・ピアノ、ドラムス・ヴィブラフォン、ベースという楽器を加えた、ほとんどジャズコンボの編成。冒頭部と最終部に置かれた尺八とサックスとベースのハーモニクスの音が混ざった響きは実に新鮮。面白い着眼点だ。中間部は少々割り切れない感じがしたが、捉えづらいコードの進行だったのせいかな?ライヴハウスなどで聴いたら、また違った印象になるかもしれない。
第一部最後は、細川紘希さんのソロで、グラズノフの「サクソフォーン協奏曲」。さすがといいますか、何といいますか、おそらく今までに何度も演奏してきた作品なのだろう。本当に上手い。一緒に行った友人が感激していた。編曲はロンデックスのヴァージョンだったのであろうか?あ、あとこれを0.1ミリグラムくらい期待していたのだが、残念ながら普通のLeduc版の音運びだった(笑)。
休憩を挟んで、第二部はドビュッシーから。ここでピアノの原田恭子さん登場。サックスの佐藤大樹さんと須永和宏さんは、お二人とも学部の三年生だそうだ。ドビュッシーのトリオをサクソフォンに置き換える、というアイデアは、一般的なものなのだろうか?チェロ・ソナタやヴァイオリン・ソナタは話には良く聞いたことがあるが、楽しい試みだと思った。これから先、ピアノ・トリオやピアノ・クインテットのような編成のアレンジを聴く機会って、増えていくだろうな。
長生淳の「八重奏曲」。依然お知り合いから昭和音楽大学のライヴ録音を分けていただいたので、よく知っている曲ではあったのだが、その録音で聴かれた重厚なスタイルとはまた違った雰囲気。こういう風に並ぶんですかーというような、実演ならではの発見もあり。ソプラノのトップは、伊藤さんと田村さん。かなりアンサンブルは難しそうな印象ではあるが、あいまいな部分を残さずに難所を的確に切り抜けていく技術レベルの高さは、さすがと言うところ。演奏終了後の拍手を聴くに、客席もかなり沸いていたようだ。
「コル・ニドライ」は、クローバーSQのバリトンサクソフォン奏者としてもおなじみの、坂口大介さんが独奏。音符ごとに若干ずつ音色を変化させていくのは、チェロの弓使いを意識したフレージング?バックのサクソフォン・アンサンブルも、熱が入った演奏だった。それにしても、この曲の冒頭って、どうしてもラ・フォリアに聴こえてしまうんだが(笑)。最後に全員で合奏されたバルトークは第3楽章のみであったが、さすが手馴れているもので迫力ある演奏だった。全楽章聴いてみたいなあ。アンコールは、マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」。
開演は18:30だったが、終演はなんと21:00。聴いている最中はそんなに長く感じなかったのだが、身体は素直なようで終演と同時にぐったり。東京駅まで出て夕食をとったあと、バスで帰った。東京駅の楊州商人とかいう名前のラーメン屋さん、はやく復活しないかなあ。また、あの杏仁豆腐が食べたい。
さて、昨日は埼玉県まで足を伸ばして、藝大のサックス科演奏会を聴きに行ってきた。いったん東京に出て(久々に秋葉原からお茶の水まで歩いて)下倉楽器でリードやら何やらを購入した後、京浜東北線で川口駅に向かった。…意外と遠い(^^;川口リリアのホールは初めてだったのだが、なんと駅の目の前。JR線出口から陸橋で接続されているという、都市内部としては抜群のロケーションに位置している。
【第15回東京藝術大学サクソフォーン専攻生による演奏会】
出演:東京藝大サクソフォーン専攻生、平野公崇(指揮)
日時:2008年2月12日(火)18:30開演
場所:川口総合文化センターリリア音楽ホール
プログラム:
E.グリーグ「ホルベルグ組曲」
P.ヒンデミット「コンチェルトシュトゥック」
松岡美弥子「Verschmelzung(委嘱作品)」
A.グラズノフ「サクソフォーン協奏曲」
C.ドビュッシー「ピアノ三重奏曲」
長生淳「サクソフォーン八重奏曲」
M.ブルッフ「コル・ニドライ」
B.バルトーク「弦楽のためのディヴェルティメント」
ホールに入ると超満員。音大生っぽい人、芸大関係者っぽい人、地元の高校生などで埋め尽くされていた。今回が15回目だということだが、固定客もかなりついているのだろうなー。しかし凄いや。
グリーグ、速かった(笑)。佐藤さんのソプラノをじっくり聴くのはドゥラングル教授のレクチャー以来だったが、以前聴いたときの印象とは変わっていて面白かったな…聴いている空間の広さによるものだろう。丸場さんのテナーとしての役回りは、是非に見習いたいですな。全体の印象は、さすが最近のサクソフォーンの傾向に乗っているだけあって、対位的な音の絡みのなかに、ふわっと浮かんでくる和声が耳に残る、心地よい響き。しかし、いったいどのくらいの合わせで、このレベルまで持って行くのだろうか…。興味あるところだ。我々なんぞ、半年がっちり合わせたところでこういうレベルには及ぶべくもないだろう。というか、そもそも「合わせること」に対する捉え方が、アマチュアとは根本的に違う気がする。
次は、ヒンデミット。今までに録音・実演ともにいくつも聴いているが、この曲を「良い曲だ」と思えたのは初めてだった!ラッシャーと娘のカリーナ・ラッシャーのデュオによる録音や、デュオ・ルマリエのCD、昨年7月にも原さんとラランさんによるデュオを聴いている…たしかこのときは、会場が狭すぎて、今となっては曲云々の前に音楽の流れに圧倒されて終わってしまったような印象が残っているのである(^^;角口さんの滑らかに跳躍を繰り返すサウンドを、大石さんのがっしりした低音部が支えるうちに、ぐいぐいと引き込まれた。時々出現するハモリをきっちり決めてくるのは、さすが。
続く松岡美弥子作曲の「Verschmelzung」は、サックスに尺八・ピアノ、ドラムス・ヴィブラフォン、ベースという楽器を加えた、ほとんどジャズコンボの編成。冒頭部と最終部に置かれた尺八とサックスとベースのハーモニクスの音が混ざった響きは実に新鮮。面白い着眼点だ。中間部は少々割り切れない感じがしたが、捉えづらいコードの進行だったのせいかな?ライヴハウスなどで聴いたら、また違った印象になるかもしれない。
第一部最後は、細川紘希さんのソロで、グラズノフの「サクソフォーン協奏曲」。さすがといいますか、何といいますか、おそらく今までに何度も演奏してきた作品なのだろう。本当に上手い。一緒に行った友人が感激していた。編曲はロンデックスのヴァージョンだったのであろうか?あ、あとこれを0.1ミリグラムくらい期待していたのだが、残念ながら普通のLeduc版の音運びだった(笑)。
休憩を挟んで、第二部はドビュッシーから。ここでピアノの原田恭子さん登場。サックスの佐藤大樹さんと須永和宏さんは、お二人とも学部の三年生だそうだ。ドビュッシーのトリオをサクソフォンに置き換える、というアイデアは、一般的なものなのだろうか?チェロ・ソナタやヴァイオリン・ソナタは話には良く聞いたことがあるが、楽しい試みだと思った。これから先、ピアノ・トリオやピアノ・クインテットのような編成のアレンジを聴く機会って、増えていくだろうな。
長生淳の「八重奏曲」。依然お知り合いから昭和音楽大学のライヴ録音を分けていただいたので、よく知っている曲ではあったのだが、その録音で聴かれた重厚なスタイルとはまた違った雰囲気。こういう風に並ぶんですかーというような、実演ならではの発見もあり。ソプラノのトップは、伊藤さんと田村さん。かなりアンサンブルは難しそうな印象ではあるが、あいまいな部分を残さずに難所を的確に切り抜けていく技術レベルの高さは、さすがと言うところ。演奏終了後の拍手を聴くに、客席もかなり沸いていたようだ。
「コル・ニドライ」は、クローバーSQのバリトンサクソフォン奏者としてもおなじみの、坂口大介さんが独奏。音符ごとに若干ずつ音色を変化させていくのは、チェロの弓使いを意識したフレージング?バックのサクソフォン・アンサンブルも、熱が入った演奏だった。それにしても、この曲の冒頭って、どうしてもラ・フォリアに聴こえてしまうんだが(笑)。最後に全員で合奏されたバルトークは第3楽章のみであったが、さすが手馴れているもので迫力ある演奏だった。全楽章聴いてみたいなあ。アンコールは、マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」。
開演は18:30だったが、終演はなんと21:00。聴いている最中はそんなに長く感じなかったのだが、身体は素直なようで終演と同時にぐったり。東京駅まで出て夕食をとったあと、バスで帰った。東京駅の楊州商人とかいう名前のラーメン屋さん、はやく復活しないかなあ。また、あの杏仁豆腐が食べたい。
2008/02/12
ロンデックスコンクール、集計ページ(英語版)
Here is "2nd International Jean-Marie Londeix Saxophone Competition -2008- Unofficial Information and Results" English page. Summing up the information and results of the competition. Thanks to Ms.Lee for giving me official guidebook. Also thanks to Mr.O'Connor, he suggested my making English version of the page.
ロンデックスコンクール集計ページの英語版を、ダグラス・オコナー氏(本選第二位、イーストマン音楽院在学)の提案により作成。ドラフトを作成した後、簡単にオコナー氏に監修していただいた…ので、そんなに間違いはないはず。
(追記)
オコナー氏のウェブページから、リンクを張っていただきました。「New statistics on Londeix competition posted here.」と書いてあるところが、集計ページへのリンクとなっています。
ロンデックスコンクール集計ページの英語版を、ダグラス・オコナー氏(本選第二位、イーストマン音楽院在学)の提案により作成。ドラフトを作成した後、簡単にオコナー氏に監修していただいた…ので、そんなに間違いはないはず。
(追記)
オコナー氏のウェブページから、リンクを張っていただきました。「New statistics on Londeix competition posted here.」と書いてあるところが、集計ページへのリンクとなっています。
2008/02/11
筑波大学吹奏楽団打楽器アンサンブルコンサート
昨日のこと。先週からの予報では、日曜日は雨が降るとの予定であったのだが、なぜか快晴!晴れ男&晴れ女効果かな。9時に会場入りし、もろもろのリハーサルを客席で聴いた。自分が参加している以外のアンサンブルを聴くのはほとんど初めてだったが、どれもがきちんとした完成度、さらに突っ込んだところまでに到達していて驚いた。
指揮を振らせていただいた水野修孝「鼓」は、曲自体がテンションの塊みたいな作品で、パフォーマンス要素というか、音符以外にも重要な箇所が多い。舞台の上では明らかにいつもの練習とは違う化学反応の進み具合で、ゼエゼエになりながらリハーサルをなんとか終える。気合が入りすぎて、一回通しただけでしばらく動けなくなるくらいだ。続く曲のリハーサルも滞りなく進み、15:30に開演。
> セレブレーションとコラール
> グリーティングス・トゥ・ヘルマン
> マリンバ・スピリチュアル
> ピアノ・フェイズ
> 鼓
> 彩
> ゲインズボロー
> ティファナ・サンバ(アンコール)
受付のほうを少し手伝った後、裏に引っ込んで袖からいろいろを聴いた。う~ん、どれも良い演奏。客席からの拍手でも、それが分かるほど。「ピアノ・フェイズ」にぼーっと耳を傾けていたら、およよ、もう出番。「鼓」の本番は、第2楽章"破"の尺がいつもより長かった(笑)あと、最後の最後でめがねを飛ばしそうになった。しっかし、面白かったなあ。共演者の皆さん、ありがとうございました。
客席で残りのプログラムを聴いていると、あっという間にアンコール。出演者全員による「ティファナ・サンバ」は、手拍子も交えて楽しいことこの上なし。とても良い演奏会だった。サックスの3/1のほうも頑張ろ。終演後は、片付けもそこそこに失礼して、竹園公民館でサックスラージの練習。自分の音楽的センスの無さに凹みつつ、「ホルベルク組曲」の第2楽章"サラバンド"をじっくり合わせる。…あ、アンコール曲を音だししていないことに気づいた(!)
打楽器コンサートの打ち上げには、22時ころから途中参加。なんというか、みなさん若いっす。同じ店で飲んでいた他の飲み会グループとも一緒にはしゃぎまくり、わけがわからないこととなる(笑)。楽しかったー。途中別件でワケあってめちゃくちゃ慌て、確認のために夜も遅くに各所に電話をかけまくってしまった(失礼しました)。そちらに関しては、解決と言うか、杞憂と言うか、結果的に全く問題ナシ…ふう、良かった(^^;日が巡って、1時ごろに解散。
演奏会主催者のたー氏、「鼓」共演者の皆さま、聴きに来てくださった皆さま、どうもありがとうございました&お疲れ様でした。
指揮を振らせていただいた水野修孝「鼓」は、曲自体がテンションの塊みたいな作品で、パフォーマンス要素というか、音符以外にも重要な箇所が多い。舞台の上では明らかにいつもの練習とは違う化学反応の進み具合で、ゼエゼエになりながらリハーサルをなんとか終える。気合が入りすぎて、一回通しただけでしばらく動けなくなるくらいだ。続く曲のリハーサルも滞りなく進み、15:30に開演。
> セレブレーションとコラール
> グリーティングス・トゥ・ヘルマン
> マリンバ・スピリチュアル
> ピアノ・フェイズ
> 鼓
> 彩
> ゲインズボロー
> ティファナ・サンバ(アンコール)
受付のほうを少し手伝った後、裏に引っ込んで袖からいろいろを聴いた。う~ん、どれも良い演奏。客席からの拍手でも、それが分かるほど。「ピアノ・フェイズ」にぼーっと耳を傾けていたら、およよ、もう出番。「鼓」の本番は、第2楽章"破"の尺がいつもより長かった(笑)あと、最後の最後でめがねを飛ばしそうになった。しっかし、面白かったなあ。共演者の皆さん、ありがとうございました。
客席で残りのプログラムを聴いていると、あっという間にアンコール。出演者全員による「ティファナ・サンバ」は、手拍子も交えて楽しいことこの上なし。とても良い演奏会だった。サックスの3/1のほうも頑張ろ。終演後は、片付けもそこそこに失礼して、竹園公民館でサックスラージの練習。自分の音楽的センスの無さに凹みつつ、「ホルベルク組曲」の第2楽章"サラバンド"をじっくり合わせる。…あ、アンコール曲を音だししていないことに気づいた(!)
打楽器コンサートの打ち上げには、22時ころから途中参加。なんというか、みなさん若いっす。同じ店で飲んでいた他の飲み会グループとも一緒にはしゃぎまくり、わけがわからないこととなる(笑)。楽しかったー。途中別件でワケあってめちゃくちゃ慌て、確認のために夜も遅くに各所に電話をかけまくってしまった(失礼しました)。そちらに関しては、解決と言うか、杞憂と言うか、結果的に全く問題ナシ…ふう、良かった(^^;日が巡って、1時ごろに解散。
演奏会主催者のたー氏、「鼓」共演者の皆さま、聴きに来てくださった皆さま、どうもありがとうございました&お疲れ様でした。
2008/02/09
ジェローム・ララン氏の私家録音
ジェローム・ララン Jérôme LARANさんから、プライヴェート・レコーディングを送っていただいた。録音データが付与されていなかったので良く分からないのだが、メイヤー財団作成のディスクよりも、早い時期にレコーディングされたものだろうか?→2003年のレコーディングだそうです。
Bernat Vivancos - L'ombre des rêves
George Gershwin - Prelude
Piet Swerts - Klonos
Modest Mussorgsky - Il vecchio castello
Ryo Noda - Mai
Carlos Gardel - El dia que me quieras
Jacob ter Veldhuis - Grab It!
ラランさんのサックスは、現代作品、アカデミック作品、無伴奏、古典、ポップス、ロック、どの分野においても、変幻自在。作品のスタイルが変わろうとも、サクソフォンの魅力を存分に表現しているのが印象的。…そう、ラランさんの魅力の一つに、全分野に渡る楽器の扱いとしてのフットワークの軽さが挙げられることは間違いないだろう。どんなスタイルの作品においても普通に聴けてしまうサックスは、ある意味驚異的だ。
ヴィヴァンコスの、サクソフォンソロとオーケストラのための作品を聴いてみよう。アルトサックスの神秘的なロングトーンに始まり、前半は美しいメロディや和声を重ねながら展開する「海」を連想させるドラマである(タイトルの邦訳は「夢の影」だそうだが、私の中ではむしろ海を渡ってくる神秘的な響き…というイメージが先行した)。中間部における、循環呼吸を使用しているであろう長大なアルペジオ風フレーズは、ぼーっとしながら聴いていると何となく過ぎてしまうが、実は凄いことをやっているではないか!。
後半はバリトンサックスに持ち替え、とたんにリズミカルなフレーズが演奏される。クライマックスでは、細かい16分音符の並びをばったばったと切り裂いていくが、直後にカット・オフ。最初にアルトで奏でられたフレーズが回帰し、波が引くようにゆったりと曲が閉じる。最後の最弱音まで、耳をひきつけられる美しい音色…。作品としても素晴らしいが、この曲をじっくり聴かせられるのはラランさんならではでしょうなあ。その後に置かれた小品も、どれもが素晴らしい。「Grab It!」は、期待通りの名演。
今年も、来日予定があるそうだ。今度は何をやらかしていただけるのか、今からとても楽しみ!!フェスティバルのときに久々に再会してちょっと聞いた話では、M○○○○○○のアナザー・ヴァージョンも考えているとかで、期待特大。Cafuaにレコーディングされたという録音も、リリースがm待ち遠しい。
Bernat Vivancos - L'ombre des rêves
George Gershwin - Prelude
Piet Swerts - Klonos
Modest Mussorgsky - Il vecchio castello
Ryo Noda - Mai
Carlos Gardel - El dia que me quieras
Jacob ter Veldhuis - Grab It!
ラランさんのサックスは、現代作品、アカデミック作品、無伴奏、古典、ポップス、ロック、どの分野においても、変幻自在。作品のスタイルが変わろうとも、サクソフォンの魅力を存分に表現しているのが印象的。…そう、ラランさんの魅力の一つに、全分野に渡る楽器の扱いとしてのフットワークの軽さが挙げられることは間違いないだろう。どんなスタイルの作品においても普通に聴けてしまうサックスは、ある意味驚異的だ。
ヴィヴァンコスの、サクソフォンソロとオーケストラのための作品を聴いてみよう。アルトサックスの神秘的なロングトーンに始まり、前半は美しいメロディや和声を重ねながら展開する「海」を連想させるドラマである(タイトルの邦訳は「夢の影」だそうだが、私の中ではむしろ海を渡ってくる神秘的な響き…というイメージが先行した)。中間部における、循環呼吸を使用しているであろう長大なアルペジオ風フレーズは、ぼーっとしながら聴いていると何となく過ぎてしまうが、実は凄いことをやっているではないか!。
後半はバリトンサックスに持ち替え、とたんにリズミカルなフレーズが演奏される。クライマックスでは、細かい16分音符の並びをばったばったと切り裂いていくが、直後にカット・オフ。最初にアルトで奏でられたフレーズが回帰し、波が引くようにゆったりと曲が閉じる。最後の最弱音まで、耳をひきつけられる美しい音色…。作品としても素晴らしいが、この曲をじっくり聴かせられるのはラランさんならではでしょうなあ。その後に置かれた小品も、どれもが素晴らしい。「Grab It!」は、期待通りの名演。
今年も、来日予定があるそうだ。今度は何をやらかしていただけるのか、今からとても楽しみ!!フェスティバルのときに久々に再会してちょっと聞いた話では、M○○○○○○のアナザー・ヴァージョンも考えているとかで、期待特大。Cafuaにレコーディングされたという録音も、リリースがm待ち遠しい。
びっくり(初)
ロンデックスコンクールの映像、続々と追加されているので、ご覧ください。ダグラス・オコナー Douglas O'Connor氏やショーン・パタヤニコム Sean Patayanikorn氏のトマジが新たにアップされたので、起きたばかりの寝ぼけ眼でぼーっと観ていた。うーん、目が覚める(笑)。
"ながら聴き"をしながらメールをチェックしたら、本選二位のO'Connor氏から突然メールが来ていてびっくり!!I can't read non-Roman characters, but you've obviously done a very nice job with your siteというメッセージともに、私が作成したロンデックスコンクールの集計ページのURLが貼り付けられていた。検索して、そのページをアメリカから見てくださったようだ。ウェブページやブログを書いていると時々メールは来るけれど、海外のネイティヴの方から、しかも受動的に、というのは初めて。なんだか嬉しい。
ブログも英語版を書くべきか…。でも、読むのは辞書を引きながらやればなんとかなるけど、書くのは苦手。だれかこの駄文の塊を翻訳してくれませんかね。
"ながら聴き"をしながらメールをチェックしたら、本選二位のO'Connor氏から突然メールが来ていてびっくり!!I can't read non-Roman characters, but you've obviously done a very nice job with your siteというメッセージともに、私が作成したロンデックスコンクールの集計ページのURLが貼り付けられていた。検索して、そのページをアメリカから見てくださったようだ。ウェブページやブログを書いていると時々メールは来るけれど、海外のネイティヴの方から、しかも受動的に、というのは初めて。なんだか嬉しい。
ブログも英語版を書くべきか…。でも、読むのは辞書を引きながらやればなんとかなるけど、書くのは苦手。だれかこの駄文の塊を翻訳してくれませんかね。
2008/02/08
ロンデックスコンクール、本選映像 on YouTube
大学の研究室からの更新。先ほどまで先輩方の修士論文の発表会を聞いていた。平日の昼間にブログを書くのも、我ながら珍しいなあ。
ロンデックスコンクールのネタは、お終いにしたはずだったのだが…とある筋から、ロンデックスコンクール本選のムービーが、YouTubeに上がっているという情報を得たのだ。探したところ見つけることができたので、貼り付け。なんだかホームビデオで撮ったような怪しい雰囲気が満点なのだが、著作権的には大丈夫なのかな。タイ国中に中継されたという映像も観てみたいなー。タイにお住まいの方、ぜひお願いいたします。
・アレクサンドル・ドワジー Alexandre DOISY(第一位)
ジョラスのこの曲、初めて聴いたが面白いなあ。ドワジー氏の演奏も、さすがの上手さ…なにっ、4本持ち替え?しかもBIPHONIE奏法まで使っているぞ!確か副賞でサックス2本をもらったはずだが、6本ものサックスをどうやって持ち帰ったんだろう。
Betzy Jolas - Points d'or 前半
Betzy Jolas - Points d'or 後半
・ダグラス・オコナー Douglas O'Connor(第二位)
イーストマン音楽院で研鑽をつむオコナーの演奏。なんと暗譜だ。ロギーナ氏とは対照的な、骨太な構造を形成するような演奏…うおおおっ、水を飲んだ!
Henri Tomasi - Concerto(前半)
Henri Tomasi - Concerto(後半)
・ミーハ・ロギーナ Miha ROGINA(第三位)
さすがのテクニックと音楽性、美しい音色。非の打ち所のない演奏で、素晴らしい!ジョラスに比べて、特に前半は作品としてのインパクトには欠けるのはしょうがないかも…が、後半の熱気あふれる演奏は、ライヴならではの壮絶さ。オケが高速部分でもたつくのは、しょうがないのかしらん(^^;
Henri Tomasi - Concerto(前半)
Henri Tomasi - Concerto(後半)
・ショーン・パタヤニコム Sean PATAYANIKORN(第四位)
Henri Tomasi - Concerto(前半)
Henri Tomasi - Concerto(後半)
・ヴァンサン・ダウト Vincent DAOUD(第五位)
ミハロヴィッチの作品はオーケストラが難しすぎて演奏できず、ピアノと本選に臨むこととなった。というか、Daoud氏、2007年に何度か来日されていたのだそうだ。知らなかった。映像は、途中で途切れている。
Marcel Mihalovich - Chant premier
ロンデックスコンクールのネタは、お終いにしたはずだったのだが…とある筋から、ロンデックスコンクール本選のムービーが、YouTubeに上がっているという情報を得たのだ。探したところ見つけることができたので、貼り付け。なんだかホームビデオで撮ったような怪しい雰囲気が満点なのだが、著作権的には大丈夫なのかな。タイ国中に中継されたという映像も観てみたいなー。タイにお住まいの方、ぜひお願いいたします。
・アレクサンドル・ドワジー Alexandre DOISY(第一位)
ジョラスのこの曲、初めて聴いたが面白いなあ。ドワジー氏の演奏も、さすがの上手さ…なにっ、4本持ち替え?しかもBIPHONIE奏法まで使っているぞ!確か副賞でサックス2本をもらったはずだが、6本ものサックスをどうやって持ち帰ったんだろう。
Betzy Jolas - Points d'or 前半
Betzy Jolas - Points d'or 後半
・ダグラス・オコナー Douglas O'Connor(第二位)
イーストマン音楽院で研鑽をつむオコナーの演奏。なんと暗譜だ。ロギーナ氏とは対照的な、骨太な構造を形成するような演奏…うおおおっ、水を飲んだ!
Henri Tomasi - Concerto(前半)
Henri Tomasi - Concerto(後半)
・ミーハ・ロギーナ Miha ROGINA(第三位)
さすがのテクニックと音楽性、美しい音色。非の打ち所のない演奏で、素晴らしい!ジョラスに比べて、特に前半は作品としてのインパクトには欠けるのはしょうがないかも…が、後半の熱気あふれる演奏は、ライヴならではの壮絶さ。オケが高速部分でもたつくのは、しょうがないのかしらん(^^;
Henri Tomasi - Concerto(前半)
Henri Tomasi - Concerto(後半)
・ショーン・パタヤニコム Sean PATAYANIKORN(第四位)
Henri Tomasi - Concerto(前半)
Henri Tomasi - Concerto(後半)
・ヴァンサン・ダウト Vincent DAOUD(第五位)
ミハロヴィッチの作品はオーケストラが難しすぎて演奏できず、ピアノと本選に臨むこととなった。というか、Daoud氏、2007年に何度か来日されていたのだそうだ。知らなかった。映像は、途中で途切れている。
Marcel Mihalovich - Chant premier
2008/02/07
Apollo Saxophone Quartet「Bow Out」
イギリスの代表的なサックス四重奏団、Apollo Saxophone Quartetのデビューアルバム「BOW OUT(CD ASQ 1)」をヤフオクで落札。かなり貴重な盤であるため、落札できるかどうかドキドキだったのだが、競合者がいなくて助かった。デビュー盤といっても、自主制作盤であるためかほとんどマシな流通経路に乗らず、幻のCDとなっていたものだった。イギリスのサックス好きとしては外せないでしょう!ということで、長きに渡って捜し求めていたのだが、探索開始から4年…ついに、という感じ。
Peter Lyondev - Kaval Sviri
Michael Nyman - A Watery Death
Michael Nyman - The Garden is Becoming a Roberoom
Michael Nyman - Chasing Sheep is Best Left to Shepherds
Paul Mitchell Davidson - A Small Dream of a Dance
Chick Corea - Children's Songs
Roy Powell - Bow Out
よもや、「クラシックのサックス四重奏団」にあるまじき挑戦的なプログラム!これこそが、アポロ・サクソフォン四重奏団のアイデンティティの一つである。ちなみに、ナイマンの作品は全て映画「英国式庭園殺人事件 The Draughtsman's Contract」からの抜粋である。んー、「An eye for optical theory」がないのはちょっと残念かなあ。あと、全体の収録時間が30分台というのは(^^;
出版は1992年…彼らが東京国際音楽コンクールでトルヴェール・クヮルテットを打ち破った前後でのレコーディングであり、最も若さと勢いがあった時期の演奏記録と言えるだろう。チック・コリアの「チルドレンズ・ソング」なんて凄いぞ。後に出版されたArgo盤も、かなりのテンションに圧倒されたが、こちらを聴いてしまえば、その印象が吹っ飛ばされてしまうほど。サックスパートはやや荒削りながら、シンセサイザーなども加えた豪華なサウンドで、引き込まれた。
「Kaval Sviri」や「A Small Dream of a Dance」も、作品・演奏とも良い!"ゆるみ"が全くないのだ。それぞれ、2分、5分の短い中にぎゅっと凝縮されたエッセンスは、いやおうなしに聴き手を惹きつける魅力がある。アポロ四重奏団の面々も、その楽譜に精一杯応えようとしているのが分かる。ナイマンの作品は、さすがにナイマン・バンドの豪華な響きとは一線を画すが、かなり健闘している(ナイマン好きならば、聴いておいて損はない)。
プロデュースはもちろんジョン・ハール氏。うーん、久々にハール派にやられました。やっぱり、自分はイギリスのクラシカル・サックスが好きなんだなあと、改めて認識した次第。
Peter Lyondev - Kaval Sviri
Michael Nyman - A Watery Death
Michael Nyman - The Garden is Becoming a Roberoom
Michael Nyman - Chasing Sheep is Best Left to Shepherds
Paul Mitchell Davidson - A Small Dream of a Dance
Chick Corea - Children's Songs
Roy Powell - Bow Out
よもや、「クラシックのサックス四重奏団」にあるまじき挑戦的なプログラム!これこそが、アポロ・サクソフォン四重奏団のアイデンティティの一つである。ちなみに、ナイマンの作品は全て映画「英国式庭園殺人事件 The Draughtsman's Contract」からの抜粋である。んー、「An eye for optical theory」がないのはちょっと残念かなあ。あと、全体の収録時間が30分台というのは(^^;
出版は1992年…彼らが東京国際音楽コンクールでトルヴェール・クヮルテットを打ち破った前後でのレコーディングであり、最も若さと勢いがあった時期の演奏記録と言えるだろう。チック・コリアの「チルドレンズ・ソング」なんて凄いぞ。後に出版されたArgo盤も、かなりのテンションに圧倒されたが、こちらを聴いてしまえば、その印象が吹っ飛ばされてしまうほど。サックスパートはやや荒削りながら、シンセサイザーなども加えた豪華なサウンドで、引き込まれた。
「Kaval Sviri」や「A Small Dream of a Dance」も、作品・演奏とも良い!"ゆるみ"が全くないのだ。それぞれ、2分、5分の短い中にぎゅっと凝縮されたエッセンスは、いやおうなしに聴き手を惹きつける魅力がある。アポロ四重奏団の面々も、その楽譜に精一杯応えようとしているのが分かる。ナイマンの作品は、さすがにナイマン・バンドの豪華な響きとは一線を画すが、かなり健闘している(ナイマン好きならば、聴いておいて損はない)。
プロデュースはもちろんジョン・ハール氏。うーん、久々にハール派にやられました。やっぱり、自分はイギリスのクラシカル・サックスが好きなんだなあと、改めて認識した次第。
2008/02/06
打楽器アンサンブル演奏会お知らせ
私の音楽仲間、たー氏始めとした有志が主催している、打楽器アンサンブルコンサートのお知らせ。なかなか気合の入った演奏会となっているので、つくば市周辺の方も東京近辺の方もぜひお越しを。打楽器アンサンブルの、まさに王道といった感じのプログラムありーの、打楽器を使用した表現の極北ありーので、単純に面白い演奏会としてオススメいたします。
ちなみに、私も出演させていただくことになっている…「鼓」という曲で、およそ1年ぶりに指揮を振ります。これがまたなかなか体力が必要な曲で、一曲通すごとにゼエゼエなのだが…ご期待?くださいませ。れっどりばー氏による詳細な曲目解説は、こちらを参照ください。
【筑波大学吹奏楽団 打楽器アンサンブルコンサート2008】
日時:2008年2月10日(日)15:30開演
会場:つくば市カピオホール(TXつくば駅杜甫10分)
入場料:無料
曲目:デ・ポンテ「セレブレーションとコラール」、ライヒ「ピアノ・フェイズ」、水野修孝「鼓~指揮者と8人の打楽器奏者のための」、ゴーガー「ゲインズボロー」
問合せ:http://percussion.okoshi-yasu.net/
ちなみに、私も出演させていただくことになっている…「鼓」という曲で、およそ1年ぶりに指揮を振ります。これがまたなかなか体力が必要な曲で、一曲通すごとにゼエゼエなのだが…ご期待?くださいませ。れっどりばー氏による詳細な曲目解説は、こちらを参照ください。
【筑波大学吹奏楽団 打楽器アンサンブルコンサート2008】
日時:2008年2月10日(日)15:30開演
会場:つくば市カピオホール(TXつくば駅杜甫10分)
入場料:無料
曲目:デ・ポンテ「セレブレーションとコラール」、ライヒ「ピアノ・フェイズ」、水野修孝「鼓~指揮者と8人の打楽器奏者のための」、ゴーガー「ゲインズボロー」
問合せ:http://percussion.okoshi-yasu.net/
野田燎「Mai」 on YouTube
とあるウェブページの作成作業が忙しいので、動画紹介のお手軽モードで(しかもうたた寝しちゃって、いま起きたよ…)。アルトサクソフォンのための無伴奏曲、野田燎「Mai」の演奏映像。曲想は、同じく野田氏の「即興曲」あたりを想像していただければ良いかも。演奏はPrism Quartetのプレイヤーとしても有名なTaimur Sullivan。お見事!!
2008/02/05
【情報】東京藝大サックス科演奏会
来週の東京藝術大学サックス科演奏会お知らせ。お知り合いが何人か出演されており、私も見に行く予定。チラシの画像は、クリックすると拡大できます。
ほかの音楽大学のサックス科演奏会とは、一味違った感じのプログラムも、興味深い。「ホルベルク組曲」は、話によるとサックス四重奏ヴァージョン。長生淳の「八重奏曲」は、聴いたことがない人ならば耳にして損はないと思うし、松岡さん作曲の「委嘱作品」ていうのも気になりますなあ。バルトークはメインの合奏ですかね。原曲は言わずもがな、弦楽合奏のために書かれたもっとも優れた作品のひとつ(どんな曲だかやや忘れてしまったので、予習して行かなきゃ)。
【第15回東京藝術大学サクソフォーン専攻生による演奏会】
出演:東京藝大サクソフォーン専攻生
日時:2008年2月12日(火)18:30開演
場所:川口総合文化センターリリア音楽ホール
入場料:全席自由1200円
プログラム:グリーグ「ホルベルク組曲」、松岡美弥子「(委嘱作品)」、長生淳「八重奏曲」、バルトーク「弦楽のためのディヴェルティメント」他
問い合わせ:yorithree@yahoo.co.jp(佐藤)
ほかの音楽大学のサックス科演奏会とは、一味違った感じのプログラムも、興味深い。「ホルベルク組曲」は、話によるとサックス四重奏ヴァージョン。長生淳の「八重奏曲」は、聴いたことがない人ならば耳にして損はないと思うし、松岡さん作曲の「委嘱作品」ていうのも気になりますなあ。バルトークはメインの合奏ですかね。原曲は言わずもがな、弦楽合奏のために書かれたもっとも優れた作品のひとつ(どんな曲だかやや忘れてしまったので、予習して行かなきゃ)。
【第15回東京藝術大学サクソフォーン専攻生による演奏会】
出演:東京藝大サクソフォーン専攻生
日時:2008年2月12日(火)18:30開演
場所:川口総合文化センターリリア音楽ホール
入場料:全席自由1200円
プログラム:グリーグ「ホルベルク組曲」、松岡美弥子「(委嘱作品)」、長生淳「八重奏曲」、バルトーク「弦楽のためのディヴェルティメント」他
問い合わせ:yorithree@yahoo.co.jp(佐藤)
2008/02/03
Music Land
ディズニーの映画、「Music Land(1935)」。こりゃおもしろい!!ディズニーの発想力の凄さ、というのを実感できるかも。音楽の中でサックスを吹いているのは、Rudy Wiedoeftらしい。
ラッシャーの演奏映像
ホンジュラス共和国にお住まいのサクソフォーン研究家、B.K.氏から、CDとDVDが到着。氏が30年間の研究の中で収集した貴重な音源を、CD-RやDVD-Rとして一般向けに販売しているのだが(ラッシャー関連は、いろいろ買いました)、どこで買えるかとかその辺りの紹介は支払い関係の事情によりまた今度に回すとして。
買ったディスクの中に、その昔サックスメーカーのBUECHERが作成したレクチャーフィルムのDVD、なんてものがある。なんと、ラッシャーが吹いている映像を観ることができるのだが…。
BUECHERのオーバートーン披露用のホールなしサックス。うおお、まさか実際に吹いているところを観られるとは!
ラッシャーと、カーブドソプラノを吹いているの可愛らしい女の子は、若かりし日のカリーナ・ラッシャー(!!)である。カリーナのオーバートーンも、笑ってしまうくらい実に見事。
買ったディスクの中に、その昔サックスメーカーのBUECHERが作成したレクチャーフィルムのDVD、なんてものがある。なんと、ラッシャーが吹いている映像を観ることができるのだが…。
BUECHERのオーバートーン披露用のホールなしサックス。うおお、まさか実際に吹いているところを観られるとは!
ラッシャーと、カーブドソプラノを吹いているの可愛らしい女の子は、若かりし日のカリーナ・ラッシャー(!!)である。カリーナのオーバートーンも、笑ってしまうくらい実に見事。
2008/02/02
「SAXOPET」発売記念サロンコンサート
ドルチェ楽器にて、雲井雅人氏と神代修氏に、藤井一興氏、徳永洋明氏が参加したSAXOPET(Cryston)のリリース記念サロンコンサートを聴いてきた。会場は、大盛況、というか、チケット売りすぎたとかで入りきらないほど。Thunderさん、Wind-Fさん、ねぇ。さんなど、お知り合いや見知った顔もたくさん。会場設営の混乱もあり、10分以上遅れて開演した。
・伊藤康英「木星のファンタジー」
・伊藤康英「チョコレート・ダモーレ」
・徳永洋明「海からの手紙」
~休憩~
・タネーエフ「コン・フォーコ」
・ダマーズ「バカンス」
・ブラント「子守唄」
・リヴィエ「ダブル・コンチェルト」
~アンコール~
・ケンツビッチ「黄昏」
・伊藤康英「木星のファンタジー」
プログラムはこんな感じ。今日のピアノは、藤井氏ではなく久保田美絵さん。徳永氏の作品については、作曲者自身がピアノ演奏を行った。ドルチェのサロンコンサートっていうと、普通にコンサートホールでのコンサート並みに2時間尺であるため、しっかり聴けてとても嬉しいのである。演奏される作品は、CDでもしっかり聴けるものであるので、作品の面白さと言うよりもむしろお二人の演奏スタイルのようなものを、じっくり感じ取ることができた。
雲井さんのフレージングの保持力にしびれた。相手方がトランペットという楽器であるためか、余計に際立つのだが、しかしこれは凄い。あの独特の音色とヴィブラートでもって、美しいメロディに生命を吹き込んでいくかのよう。あらためてCDの録音を聴いてみると、なるほどとも思うが、間近で体感するのはまた違った感動がある。
最初こそ会場の環境の悪さからイマイチ乗り切れていない感じがしたけれど、前半最後の「海からの手紙」や、メインとなったリヴィエの「ダブル・コンチェルト」はスケールの大きな作品をガバっと取り込んでいくような気合いの入った演奏で、惹き込まれたなあ。「木星のファンタジー」を、最後にもう一度聴けたのは嬉しかった!
そういえば、雲井氏曰く「今まで私のサックスを聴いたことのなかったトランペット吹きの人に、このCDによって私の演奏を聴いてもらえるのが嬉しい(というようなニュアンス)」とのこと、ということはつまりvice versaでありまして。神代氏の演奏も、存分に堪能することができたのは収穫。トランペットという制約を乗り越えたところにある、どこまでも自在なパフォーマンスが印象的であった。
----------
あ!そういえば。普通のCDショップではまだだが、待望の「レシテーション・ブック(Cafua)」、メンバーの皆さんのところに納入された分は、発売開始!だそうだ。今日も飛ぶように売れていた。私はというと、TSQのH経由で佐藤さんから買う予定。楽しみ楽しみ。
・伊藤康英「木星のファンタジー」
・伊藤康英「チョコレート・ダモーレ」
・徳永洋明「海からの手紙」
~休憩~
・タネーエフ「コン・フォーコ」
・ダマーズ「バカンス」
・ブラント「子守唄」
・リヴィエ「ダブル・コンチェルト」
~アンコール~
・ケンツビッチ「黄昏」
・伊藤康英「木星のファンタジー」
プログラムはこんな感じ。今日のピアノは、藤井氏ではなく久保田美絵さん。徳永氏の作品については、作曲者自身がピアノ演奏を行った。ドルチェのサロンコンサートっていうと、普通にコンサートホールでのコンサート並みに2時間尺であるため、しっかり聴けてとても嬉しいのである。演奏される作品は、CDでもしっかり聴けるものであるので、作品の面白さと言うよりもむしろお二人の演奏スタイルのようなものを、じっくり感じ取ることができた。
雲井さんのフレージングの保持力にしびれた。相手方がトランペットという楽器であるためか、余計に際立つのだが、しかしこれは凄い。あの独特の音色とヴィブラートでもって、美しいメロディに生命を吹き込んでいくかのよう。あらためてCDの録音を聴いてみると、なるほどとも思うが、間近で体感するのはまた違った感動がある。
最初こそ会場の環境の悪さからイマイチ乗り切れていない感じがしたけれど、前半最後の「海からの手紙」や、メインとなったリヴィエの「ダブル・コンチェルト」はスケールの大きな作品をガバっと取り込んでいくような気合いの入った演奏で、惹き込まれたなあ。「木星のファンタジー」を、最後にもう一度聴けたのは嬉しかった!
そういえば、雲井氏曰く「今まで私のサックスを聴いたことのなかったトランペット吹きの人に、このCDによって私の演奏を聴いてもらえるのが嬉しい(というようなニュアンス)」とのこと、ということはつまりvice versaでありまして。神代氏の演奏も、存分に堪能することができたのは収穫。トランペットという制約を乗り越えたところにある、どこまでも自在なパフォーマンスが印象的であった。
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あ!そういえば。普通のCDショップではまだだが、待望の「レシテーション・ブック(Cafua)」、メンバーの皆さんのところに納入された分は、発売開始!だそうだ。今日も飛ぶように売れていた。私はというと、TSQのH経由で佐藤さんから買う予定。楽しみ楽しみ。
2008/02/01
Ennio Morricone: Scores
コンサートの広告をお願いしに行った、つくば市のクレフ楽器で捕獲したCD。買おうとは思っていたものの、すっかり存在を忘れていたものであったが、まだ残っていて助かった(廃盤になっているのだ)。タイトルは「エンニオ・モリコーネ クラシカル作品集(Triton DICC-28012)」で、名前の通り"あの"イタリアの作曲家、モリコーネの作品を集めたディスクである。
モリコーネと聞いて我々が連想するのは、「ニュー・シネマ・パラダイス」「ガブリエルズ・オーボエ」「海の上のピアニスト」を始めとする、映画音楽へのスコア提供である。美しいメロディ線は、世界中の愛好家から評価が高く、映画は観たことがなくとも音楽は知っている、という方も多いのではないだろうか。…しかしこのCDは、そんなモリコーネの純音楽分野(と言ったら誤解が生じるかもしれないが)の作品にスポットを当てたものなのである。ライナーノートの巻末に、モリコーネの演奏会用作品リストが掲載されていた。しかも日本語。おおー、これまた貴重な資料でございます。
参加アーティストは、豪華そのもの。敬称略で名前を挙げていくと、木ノ脇道元(flt.)、清水靖晃、平野公崇、大城正司、江川良子、大石将紀、鈴木広志(以上sax.)、白石光隆(pf.)、高田元太郎(gtr.)、啼鵬(bandneon)…凄っ。というか、演奏、上手すぎです。プログラムは、以下。
ニュー・シネマ・パラダイス(flt. + pf.)
3つの小品"ブリッツ"(4sax.)
断片化されたラグ(pf.)
"アルジェの戦い"に基づく即興(tsax.)
ギターのための4つの小品(gtr.)
"夕陽のガンマン"に基づく即興(flt. + bsax.)
シシリアーノ"さすらいの口笛"(flt. + gtr.)
ピアノのための4つの練習曲(pf.)
コントラバスのための練習曲~清水靖晃の独自解釈による(tsax. + bsax.)
ニュー・シネマ・パダライス(bandneon + 4sax)
どこから手を付けていいのか、分からなくなりそうなほどの"ごった煮"っぷりだが、一回聴きとおしてみれば意外に素直に聴けることに驚く。ああ、同じ作曲家の手による作品集なのネ、みたいな。というか、そもそも最初から最後までを聴きとおすことを前提としてプログラミングされているようにも感じる。組曲が続いたかと思えば、突然フリーの即興が挟まれたり…。
フルートの優しい音色による、おなじみの「ニュー・シネマ・パラダイス」が冒頭に配置され、続いて「サクソフォン四重奏のための"ブリッツ"」なる組曲。チェスの場面展開に応じた印象を曲に置き換えたそうで、初演はアカデミア・クヮルテット、本盤は世界初録音。というかそもそも、モリコーネがサクソフォンのためにオリジナルの作品を提供していたこと自体が驚きだ。「Comprehensive Guide to the Saxophone Repertoire 1844-2003」を調べてみたら、確かに載っていたが(写真)。いや、それよりもその直下にあるDexter Morrillの「Getz Variations」が気になるんですが(笑)。
話を元に戻そう。ピアノのための「断片化されたラグ」は、うーん、これは聴いたことがあるなあと思ったら映画「地獄の貴婦人」の中の「虐殺者のテーマ」ではないか!好きな曲だけに、ちょっと嬉しい。平野さんがたった一人で立ち向かうインプロヴィゼイションは、モリコーネが参加していた即興グループ"GINC"の録音を参考にもしているそうな(モリコーネは、作曲家と同時に、卓越したフリーの即興演奏家でもある)。その後のギターのための組曲→即興→シシリアーノという流れは、実に強烈な印象を残す。即興での、風が吹き抜けていくような音の密度から、シシリアーノに戻った瞬間と言ったら!
「コントラバスのための練習曲」は、テナーサックスを清水靖晃氏が、バリトンサックスを大石将紀氏が担当。これまた強烈な(ほぼ)フリーの即興で、平野氏のインプロヴィゼイションと共に、CDの中でもかなり重点が置かれていると感じた。元の曲がどんな感じであるか、というのは、興味あるな。「ニュー・シネマ・パラダイス」のリプライズ・ヴァージョンは、短いけれど、音楽を奏でる喜びがそこかしこに満ちあふれている。
ということで、モリコーネの意外な一面を覗いてみたい方は、ぜひ入手すると良いと思う。演奏のほうも、平野氏の即興や、清水氏×大石氏の即興なんてのも、なかなか聴きものではないか?残念ながら廃盤となって久しいが、中古で探してみていただきたい。
モリコーネと聞いて我々が連想するのは、「ニュー・シネマ・パラダイス」「ガブリエルズ・オーボエ」「海の上のピアニスト」を始めとする、映画音楽へのスコア提供である。美しいメロディ線は、世界中の愛好家から評価が高く、映画は観たことがなくとも音楽は知っている、という方も多いのではないだろうか。…しかしこのCDは、そんなモリコーネの純音楽分野(と言ったら誤解が生じるかもしれないが)の作品にスポットを当てたものなのである。ライナーノートの巻末に、モリコーネの演奏会用作品リストが掲載されていた。しかも日本語。おおー、これまた貴重な資料でございます。
参加アーティストは、豪華そのもの。敬称略で名前を挙げていくと、木ノ脇道元(flt.)、清水靖晃、平野公崇、大城正司、江川良子、大石将紀、鈴木広志(以上sax.)、白石光隆(pf.)、高田元太郎(gtr.)、啼鵬(bandneon)…凄っ。というか、演奏、上手すぎです。プログラムは、以下。
ニュー・シネマ・パラダイス(flt. + pf.)
3つの小品"ブリッツ"(4sax.)
断片化されたラグ(pf.)
"アルジェの戦い"に基づく即興(tsax.)
ギターのための4つの小品(gtr.)
"夕陽のガンマン"に基づく即興(flt. + bsax.)
シシリアーノ"さすらいの口笛"(flt. + gtr.)
ピアノのための4つの練習曲(pf.)
コントラバスのための練習曲~清水靖晃の独自解釈による(tsax. + bsax.)
ニュー・シネマ・パダライス(bandneon + 4sax)
どこから手を付けていいのか、分からなくなりそうなほどの"ごった煮"っぷりだが、一回聴きとおしてみれば意外に素直に聴けることに驚く。ああ、同じ作曲家の手による作品集なのネ、みたいな。というか、そもそも最初から最後までを聴きとおすことを前提としてプログラミングされているようにも感じる。組曲が続いたかと思えば、突然フリーの即興が挟まれたり…。
フルートの優しい音色による、おなじみの「ニュー・シネマ・パラダイス」が冒頭に配置され、続いて「サクソフォン四重奏のための"ブリッツ"」なる組曲。チェスの場面展開に応じた印象を曲に置き換えたそうで、初演はアカデミア・クヮルテット、本盤は世界初録音。というかそもそも、モリコーネがサクソフォンのためにオリジナルの作品を提供していたこと自体が驚きだ。「Comprehensive Guide to the Saxophone Repertoire 1844-2003」を調べてみたら、確かに載っていたが(写真)。いや、それよりもその直下にあるDexter Morrillの「Getz Variations」が気になるんですが(笑)。
話を元に戻そう。ピアノのための「断片化されたラグ」は、うーん、これは聴いたことがあるなあと思ったら映画「地獄の貴婦人」の中の「虐殺者のテーマ」ではないか!好きな曲だけに、ちょっと嬉しい。平野さんがたった一人で立ち向かうインプロヴィゼイションは、モリコーネが参加していた即興グループ"GINC"の録音を参考にもしているそうな(モリコーネは、作曲家と同時に、卓越したフリーの即興演奏家でもある)。その後のギターのための組曲→即興→シシリアーノという流れは、実に強烈な印象を残す。即興での、風が吹き抜けていくような音の密度から、シシリアーノに戻った瞬間と言ったら!
「コントラバスのための練習曲」は、テナーサックスを清水靖晃氏が、バリトンサックスを大石将紀氏が担当。これまた強烈な(ほぼ)フリーの即興で、平野氏のインプロヴィゼイションと共に、CDの中でもかなり重点が置かれていると感じた。元の曲がどんな感じであるか、というのは、興味あるな。「ニュー・シネマ・パラダイス」のリプライズ・ヴァージョンは、短いけれど、音楽を奏でる喜びがそこかしこに満ちあふれている。
ということで、モリコーネの意外な一面を覗いてみたい方は、ぜひ入手すると良いと思う。演奏のほうも、平野氏の即興や、清水氏×大石氏の即興なんてのも、なかなか聴きものではないか?残念ながら廃盤となって久しいが、中古で探してみていただきたい。