2008/02/13

第15回東京藝術大学サクソフォーン専攻生による演奏会

ふう、なんか最近いろいろ自分のダメっぷりに起因して凹んでおります…。楽器とか、その周辺のこととかいろいろ。まあ、ブログに書くことでもないですが。

さて、昨日は埼玉県まで足を伸ばして、藝大のサックス科演奏会を聴きに行ってきた。いったん東京に出て(久々に秋葉原からお茶の水まで歩いて)下倉楽器でリードやら何やらを購入した後、京浜東北線で川口駅に向かった。…意外と遠い(^^;川口リリアのホールは初めてだったのだが、なんと駅の目の前。JR線出口から陸橋で接続されているという、都市内部としては抜群のロケーションに位置している。

【第15回東京藝術大学サクソフォーン専攻生による演奏会】
出演:東京藝大サクソフォーン専攻生、平野公崇(指揮)
日時:2008年2月12日(火)18:30開演
場所:川口総合文化センターリリア音楽ホール
プログラム:
E.グリーグ「ホルベルグ組曲」
P.ヒンデミット「コンチェルトシュトゥック」
松岡美弥子「Verschmelzung(委嘱作品)」
A.グラズノフ「サクソフォーン協奏曲」
C.ドビュッシー「ピアノ三重奏曲」
長生淳「サクソフォーン八重奏曲」
M.ブルッフ「コル・ニドライ」
B.バルトーク「弦楽のためのディヴェルティメント」

ホールに入ると超満員。音大生っぽい人、芸大関係者っぽい人、地元の高校生などで埋め尽くされていた。今回が15回目だということだが、固定客もかなりついているのだろうなー。しかし凄いや。

グリーグ、速かった(笑)。佐藤さんのソプラノをじっくり聴くのはドゥラングル教授のレクチャー以来だったが、以前聴いたときの印象とは変わっていて面白かったな…聴いている空間の広さによるものだろう。丸場さんのテナーとしての役回りは、是非に見習いたいですな。全体の印象は、さすが最近のサクソフォーンの傾向に乗っているだけあって、対位的な音の絡みのなかに、ふわっと浮かんでくる和声が耳に残る、心地よい響き。しかし、いったいどのくらいの合わせで、このレベルまで持って行くのだろうか…。興味あるところだ。我々なんぞ、半年がっちり合わせたところでこういうレベルには及ぶべくもないだろう。というか、そもそも「合わせること」に対する捉え方が、アマチュアとは根本的に違う気がする。

次は、ヒンデミット。今までに録音・実演ともにいくつも聴いているが、この曲を「良い曲だ」と思えたのは初めてだった!ラッシャーと娘のカリーナ・ラッシャーのデュオによる録音や、デュオ・ルマリエのCD、昨年7月にも原さんとラランさんによるデュオを聴いている…たしかこのときは、会場が狭すぎて、今となっては曲云々の前に音楽の流れに圧倒されて終わってしまったような印象が残っているのである(^^;角口さんの滑らかに跳躍を繰り返すサウンドを、大石さんのがっしりした低音部が支えるうちに、ぐいぐいと引き込まれた。時々出現するハモリをきっちり決めてくるのは、さすが。

続く松岡美弥子作曲の「Verschmelzung」は、サックスに尺八・ピアノ、ドラムス・ヴィブラフォン、ベースという楽器を加えた、ほとんどジャズコンボの編成。冒頭部と最終部に置かれた尺八とサックスとベースのハーモニクスの音が混ざった響きは実に新鮮。面白い着眼点だ。中間部は少々割り切れない感じがしたが、捉えづらいコードの進行だったのせいかな?ライヴハウスなどで聴いたら、また違った印象になるかもしれない。

第一部最後は、細川紘希さんのソロで、グラズノフの「サクソフォーン協奏曲」。さすがといいますか、何といいますか、おそらく今までに何度も演奏してきた作品なのだろう。本当に上手い。一緒に行った友人が感激していた。編曲はロンデックスのヴァージョンだったのであろうか?あ、あとこれを0.1ミリグラムくらい期待していたのだが、残念ながら普通のLeduc版の音運びだった(笑)。

休憩を挟んで、第二部はドビュッシーから。ここでピアノの原田恭子さん登場。サックスの佐藤大樹さんと須永和宏さんは、お二人とも学部の三年生だそうだ。ドビュッシーのトリオをサクソフォンに置き換える、というアイデアは、一般的なものなのだろうか?チェロ・ソナタやヴァイオリン・ソナタは話には良く聞いたことがあるが、楽しい試みだと思った。これから先、ピアノ・トリオやピアノ・クインテットのような編成のアレンジを聴く機会って、増えていくだろうな。

長生淳の「八重奏曲」。依然お知り合いから昭和音楽大学のライヴ録音を分けていただいたので、よく知っている曲ではあったのだが、その録音で聴かれた重厚なスタイルとはまた違った雰囲気。こういう風に並ぶんですかーというような、実演ならではの発見もあり。ソプラノのトップは、伊藤さんと田村さん。かなりアンサンブルは難しそうな印象ではあるが、あいまいな部分を残さずに難所を的確に切り抜けていく技術レベルの高さは、さすがと言うところ。演奏終了後の拍手を聴くに、客席もかなり沸いていたようだ。

「コル・ニドライ」は、クローバーSQのバリトンサクソフォン奏者としてもおなじみの、坂口大介さんが独奏。音符ごとに若干ずつ音色を変化させていくのは、チェロの弓使いを意識したフレージング?バックのサクソフォン・アンサンブルも、熱が入った演奏だった。それにしても、この曲の冒頭って、どうしてもラ・フォリアに聴こえてしまうんだが(笑)。最後に全員で合奏されたバルトークは第3楽章のみであったが、さすが手馴れているもので迫力ある演奏だった。全楽章聴いてみたいなあ。アンコールは、マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」。

開演は18:30だったが、終演はなんと21:00。聴いている最中はそんなに長く感じなかったのだが、身体は素直なようで終演と同時にぐったり。東京駅まで出て夕食をとったあと、バスで帰った。東京駅の楊州商人とかいう名前のラーメン屋さん、はやく復活しないかなあ。また、あの杏仁豆腐が食べたい。

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