2022/04/23

映画音楽とマルセル・ミュール(五重奏/映像)


ミケランジェロ・アントニオーニ監督「La Signora senza camelie(伊 1952)」の音楽には、サクソフォンが大胆に取り入れられている。作曲はGiovanni Fuscoという人物で、アントニオーニ監督の映画への音楽提供で名を馳せた人物とのこと。

「Cronaca di un amore(伊 1950)」の音楽に、マルセル・ミュール氏が独奏で参加していることは以前の記事で述べたが、こちらの映画ではなんと演奏者のクレジットがQuintetto di sassofoni Marcel Muleとなっている。ミュール四重奏団ではなく、ミュール五重奏団、というのは初めて聴いたのだが、一説によればミュール四重奏団をベースに、五人目としてダニエル・デファイエ氏を迎えた臨時編成との情報もある(「Le chant du cinema francais(SAXIANA)」より)。スコア上、それほどテクニカルさは無いが、しっとりと多重奏で奏でられる演奏は、程よい雰囲気を醸し出し、映像に華を添えている。

ミュール氏の録音は、クラシック編曲物やオリジナル作品など、SP時代~LP時代に非常に多くの録音が制作され、かなりの量の復刻が進んでいる。しかしながら、映画音楽方面を辿るとまだまだ知られざる録音が出てくるのだ。演奏者としてクレジットされているもの、他に無いかな…。

数年前にネット界隈を騒がせたのは、「Dans les Rues(仏 1933)」で、ここではミュール氏自身がダンスバンドメンバーとして、一瞬映像に登場している。ミュール氏の演奏姿(アフレコだとは思うが…)を見ることができる数少ない映像の一つである。

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