良く知られている盤だと思うが、改めて聴くとやはり良いな…ということで、紹介しておきたい。
準メルクルがフランス国立リヨン管弦楽団を振ったドビュッシー作品集の第7集「DEBUSSY: Orchestral Works Vol. 7(Naxos 8.572675)」。アレクサンドル・ドワジー Alexandre Doisy氏が参加した「ラプソディ」ほか、ポール・メイエ氏が「第一狂詩曲」を、ジャン=イヴ・ティボーデ氏が「ファンタジー」を演奏するという、なんとも贅沢なソリスト陣を迎えたCDとして、発売当時かなり話題となった。"現代風"と簡単に表現してしまうにはあまりにも勿体無い、聴き込みがいのあるCDである。
リヨン管といえば、エマヌエル・クリヴィヌ氏が振ったCD(Denon)も有名だが、そちらは聴いたことがないんだよなあ。早いこと聴かなきゃ。
2016/01/28
2016/01/24
ロベール「カデンツァ」世界初演の録音(ヌオーsax&ロベールpf)
kuri出演情報:2016/2/14開催予定のコンサート、The Portrait of JacobTVの詳細は以下のリンクから。
http://kurisaxo.blogspot.jp/2016/01/the-portrait-of-jacobtv.html
----------
ルーシー・ロベール=ディエゼル Lucie Robert Diessel「カデンツァ Cadenza」の世界初演録音が、YouTubeにアップロードされていた。サクソフォンは、ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団の名手、ミシェル・ヌオー Michel Nouaux氏、ピアノは作曲家自身。1974年7月6日、ボルドーで開かれた第4回世界サクソフォンコングレスにおける、実況録音だ。
ロベール氏がサクソフォンに興味を示したのは、ローマ留学仲間にジョルジュ・グールデ Georges Gourdet氏がいたことがキッカケだったようだが、その後もグールデ氏の紹介でロベール氏は数多くのサクソフォン奏者と知り合い、傑作を生み出した。ヌオーをロベールに紹介したのも、きっとグールデ氏だったのだろう。この録音、状態が良いとは言えないが、雰囲気はとても良く伝わってくる。細かく聴いていくと疵がないわけではないが、濃密で輝かしく、時に色艶を魅せる音色、全編を通して手を触れるとヤケドしそうなほどの集中力は、世界初演ならではであろうか。その気迫たるや、数多くのサクソフォンの録音の中でも、屈指のものだろう。
この録音をアップしたのは、おなじみAndre Bauchy氏。彼のアカウントには蔵出し超貴重録音が多くアップロードされており、とても興味深い。私も、時間を見つけてはめぼしい物がないかどうか漁っている。
http://kurisaxo.blogspot.jp/2016/01/the-portrait-of-jacobtv.html
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ルーシー・ロベール=ディエゼル Lucie Robert Diessel「カデンツァ Cadenza」の世界初演録音が、YouTubeにアップロードされていた。サクソフォンは、ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団の名手、ミシェル・ヌオー Michel Nouaux氏、ピアノは作曲家自身。1974年7月6日、ボルドーで開かれた第4回世界サクソフォンコングレスにおける、実況録音だ。
ロベール氏がサクソフォンに興味を示したのは、ローマ留学仲間にジョルジュ・グールデ Georges Gourdet氏がいたことがキッカケだったようだが、その後もグールデ氏の紹介でロベール氏は数多くのサクソフォン奏者と知り合い、傑作を生み出した。ヌオーをロベールに紹介したのも、きっとグールデ氏だったのだろう。この録音、状態が良いとは言えないが、雰囲気はとても良く伝わってくる。細かく聴いていくと疵がないわけではないが、濃密で輝かしく、時に色艶を魅せる音色、全編を通して手を触れるとヤケドしそうなほどの集中力は、世界初演ならではであろうか。その気迫たるや、数多くのサクソフォンの録音の中でも、屈指のものだろう。
この録音をアップしたのは、おなじみAndre Bauchy氏。彼のアカウントには蔵出し超貴重録音が多くアップロードされており、とても興味深い。私も、時間を見つけてはめぼしい物がないかどうか漁っている。
Tokyo Rock'n Sax 4th Live
kuri出演情報:2016/2/14開催予定のコンサート、The Portrait of JacobTVの詳細は以下のリンクから。
http://kurisaxo.blogspot.jp/2016/01/the-portrait-of-jacobtv.html
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今回もまた伺った。今のところ4回のライヴ全てコンプリート中(笑)。CDも発売となり、今後の活動がますます楽しみになってきた!
出演:松下洋(satc)、山下友教(sa)、東秀樹(at)、加藤里志(t)、丸場慶人(t)、塩塚純(b)、川地立真(b)、田中拓也(bs)、山本真央樹(drs)
日時:2016年1月22日 20:00 start
会場:カラオケラウンジKahoo
プログラム:
Yes - Siberian Khatru
King Crimson - 21st Century Schizoid Man
Uriah Heep - Traveller in Time
Queen - Who Wants to Live Forever
King Crimson - Red
Led Zeppelin - Heartbreaker
Deep Purple - Speed King
Rush - YYZ
Yes - Heart of the Sunrise
TOTO - Child's Anthem (encore)
UK - Time to Kill (encore)
最初の頃は、ヘヴィな(サクソフォンらしからぬ)サウンドに圧倒されていたのだが、何度も聴いているせいか、聴こえてくる音を分離して、各個人のプレイを楽しむことができるようになってきた。原曲でXXXという響きだった箇所が、Tokyo Rock'n Saxの演奏ではどのように表現されているのかな、という興味とともに聴き進めていくと、新たな発見があり面白い。ちなみに、ライヴを繰り返していると、十八番的な曲と新曲での、なんとなく慣れ具合の差分が気になってくるのだが(笑)贅沢な注文というものだろう。
音作りについては、かなりベクトルが揃ってきて安定し、しかし、決して予定調和な箇所には収まろうとせず、常に全力でロックの音を表現しようとしているところに好感が持てる(「何となくこの位」といって奏でられるほどつまらない演奏はない)。今後もどのようにサウンドが進化/深化していくのか、ますます楽しみだ!
また、なんといっても選曲の妙!新曲となったイエスの「シベリアン・カートゥル」や、キング・クリムゾン「Red」など、もう涙なしには聴けないというものだ。1970年代の名曲の持つパワーに、改めて感銘を受けたのだった。最後がRushからの「燃える朝焼け」とかね、もう興奮しないわけないじゃないか。いやはや。
サインを貰いたかったのだが、せっかく買ったCDを忘れてしまった…次回レコ発ライヴには忘れないようにしないと!
http://kurisaxo.blogspot.jp/2016/01/the-portrait-of-jacobtv.html
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今回もまた伺った。今のところ4回のライヴ全てコンプリート中(笑)。CDも発売となり、今後の活動がますます楽しみになってきた!
出演:松下洋(satc)、山下友教(sa)、東秀樹(at)、加藤里志(t)、丸場慶人(t)、塩塚純(b)、川地立真(b)、田中拓也(bs)、山本真央樹(drs)
日時:2016年1月22日 20:00 start
会場:カラオケラウンジKahoo
プログラム:
Yes - Siberian Khatru
King Crimson - 21st Century Schizoid Man
Uriah Heep - Traveller in Time
Queen - Who Wants to Live Forever
King Crimson - Red
Led Zeppelin - Heartbreaker
Deep Purple - Speed King
Rush - YYZ
Yes - Heart of the Sunrise
TOTO - Child's Anthem (encore)
UK - Time to Kill (encore)
最初の頃は、ヘヴィな(サクソフォンらしからぬ)サウンドに圧倒されていたのだが、何度も聴いているせいか、聴こえてくる音を分離して、各個人のプレイを楽しむことができるようになってきた。原曲でXXXという響きだった箇所が、Tokyo Rock'n Saxの演奏ではどのように表現されているのかな、という興味とともに聴き進めていくと、新たな発見があり面白い。ちなみに、ライヴを繰り返していると、十八番的な曲と新曲での、なんとなく慣れ具合の差分が気になってくるのだが(笑)贅沢な注文というものだろう。
音作りについては、かなりベクトルが揃ってきて安定し、しかし、決して予定調和な箇所には収まろうとせず、常に全力でロックの音を表現しようとしているところに好感が持てる(「何となくこの位」といって奏でられるほどつまらない演奏はない)。今後もどのようにサウンドが進化/深化していくのか、ますます楽しみだ!
また、なんといっても選曲の妙!新曲となったイエスの「シベリアン・カートゥル」や、キング・クリムゾン「Red」など、もう涙なしには聴けないというものだ。1970年代の名曲の持つパワーに、改めて感銘を受けたのだった。最後がRushからの「燃える朝焼け」とかね、もう興奮しないわけないじゃないか。いやはや。
サインを貰いたかったのだが、せっかく買ったCDを忘れてしまった…次回レコ発ライヴには忘れないようにしないと!
2016/01/23
ヴァンサン・ダヴィッド サクソフォンリサイタル
kuri出演情報:2016/2/14開催予定のコンサート、The Portrait of JacobTVの詳細は以下のリンクから。
http://kurisaxo.blogspot.jp/2016/01/the-portrait-of-jacobtv.html
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月曜日のことになるが、昭和音楽大学までヴァンサン・ダヴィッド Vincent David氏のリサイタルを聴きに伺った。現代最高のヴィルトゥオーゾの一人といって差し支えなく、だがしかしあまり来日の機会は多くなく、独奏でまるまる一本のリサイタルに接するのは初めて。
【ヴァンサン・ダヴィッド サクソフォンリサイタル】
出演:ヴァンサン・ダヴィッド(sax)、松浦真沙(pf)
日時:2016年1月18日 19:00開演
会場:昭和音楽大学ユリホール
プログラム:
C.Debussy - Rapsodie
V.David - Sillage
M.Ravel - Tzigane
P.Boulez - Dialogue de l'ombre double
L.Berio - Sequenza VIIb
V.David - Pulse
J.Massenet - "Meditation" from Thais(アンコール)
R.Noda - Mai(アンコール)
技巧レベルは想像を絶する。新幹線に乗りながら「最高時速って320km/hだよねー、速いなー」などと言っていたら、隣を600km/hのリニアモーターカーが追い抜かしていった、みたいな。一緒にトラック競技のレースをスタートして、スタートの瞬間に見えなくなったと思ったら、もう周回リードしていた、みたいな。インテルのオクタコアプロセッサ入ってますけど何か、みたいな。時代の最先端というより、時代を一歩先取りし続けているような、そんな印象を受ける。
圧倒的なダイナミクス…特に、上方向が凄い。無理な鳴らし方はせず、ごく自然に響きだけが増大していき、広いホールいっぱいに音が満たされる。「音量は控えめであることが、最近のフレンチ・サクソフォンの傾向である」などと思い込みがあったが、ダヴィッド氏の演奏を聴いて耳がすっかり洗い直されてしまった。大げさとも言えるダイナミクスの変化は、ちょっとテアトル的な要素を感じさせるものであり、
ドビュッシーは「シランクス」を吹きながら客席後方から入場し、間断なく「ラプソディ」への演奏へとなだれ込む演出。オクターブキイに水が溜まっていたのか、冒頭ちょっとヒヤリとする音も聴こえたのだが、すぐ復活。フレーズはあくまでもしなやかで、楽器が"アナログ"だということを再認識した。何百種類ものダイナミクスやアタックを使い分け、吹きつくされた「ラプソディ」に新たな生命を吹き込んだ。「シラージュ」は、自作のソプラノサクソフォンのための無伴奏曲。耳が追いつかないほどの怒涛の音並びや特殊奏法に、開いた口がふさがらない。どこをどうすりゃあんなの吹けるんじゃいな、というフレーズ、そして完璧なコントロールの連続で、サクソフォンの基準値をどこに設定すれば良いのかわからなくなってしまうほど。前半最後には、さらにパワーアップしての「ツィガーヌ」。通常音域を超えても、音楽が停滞せず、ごく自然に流れていく。
後半は、つい最近鬼籍に入ったばかりのブーレーズ氏の作品。ダヴィッド氏は、サクソフォン版の「二重の影の対話」の初演者であるが、このタイミングで、氏の演奏を聴くことができるとは思わなかった。激烈に難しい作品であるが、もはやこの流れの中では"古典"として聴こえ、また、ブーレーズの筆致の高尚さにも改めて思いを馳せることとなった。「セクエンツァVIIb」は、いつだかダヴィッド氏が来日したときにも吹いていたなあ…と思い出した。作品の構造は横の流れを観客に見せてこそ見えてくるのだ、と言わんばかりの、スポーツカーのような速さの演奏であった。最後は映像を交えたアルトサクソフォンの無伴奏曲「パルス」。かなりポップでリズミックな曲調で、聴きやすいが、技巧的には相当突っ込んだことを、安定してやってのけるものだから恐ろしい。楽譜見てみたいな…(笑)
アンコールは、まさかの「タイスの瞑想曲」、そしてまさかの野田燎「舞」(静止映像付だが、このような映像があるとは知らなかった)。いやー、最後の最後まで凄まじかった。
全曲暗譜、常識を覆す技巧や音楽の連続で、今後何を基準としてクラシック・サクソフォンを捉えていくべきなのか、困ってしまうほどだ。この驚異的な演奏を具現化する源泉は、もちろん練習にもあるのだろうが、それだけでは無いような気すらしてしまう…。
http://kurisaxo.blogspot.jp/2016/01/the-portrait-of-jacobtv.html
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月曜日のことになるが、昭和音楽大学までヴァンサン・ダヴィッド Vincent David氏のリサイタルを聴きに伺った。現代最高のヴィルトゥオーゾの一人といって差し支えなく、だがしかしあまり来日の機会は多くなく、独奏でまるまる一本のリサイタルに接するのは初めて。
【ヴァンサン・ダヴィッド サクソフォンリサイタル】
出演:ヴァンサン・ダヴィッド(sax)、松浦真沙(pf)
日時:2016年1月18日 19:00開演
会場:昭和音楽大学ユリホール
プログラム:
C.Debussy - Rapsodie
V.David - Sillage
M.Ravel - Tzigane
P.Boulez - Dialogue de l'ombre double
L.Berio - Sequenza VIIb
V.David - Pulse
J.Massenet - "Meditation" from Thais(アンコール)
R.Noda - Mai(アンコール)
技巧レベルは想像を絶する。新幹線に乗りながら「最高時速って320km/hだよねー、速いなー」などと言っていたら、隣を600km/hのリニアモーターカーが追い抜かしていった、みたいな。一緒にトラック競技のレースをスタートして、スタートの瞬間に見えなくなったと思ったら、もう周回リードしていた、みたいな。インテルのオクタコアプロセッサ入ってますけど何か、みたいな。時代の最先端というより、時代を一歩先取りし続けているような、そんな印象を受ける。
圧倒的なダイナミクス…特に、上方向が凄い。無理な鳴らし方はせず、ごく自然に響きだけが増大していき、広いホールいっぱいに音が満たされる。「音量は控えめであることが、最近のフレンチ・サクソフォンの傾向である」などと思い込みがあったが、ダヴィッド氏の演奏を聴いて耳がすっかり洗い直されてしまった。大げさとも言えるダイナミクスの変化は、ちょっとテアトル的な要素を感じさせるものであり、
ドビュッシーは「シランクス」を吹きながら客席後方から入場し、間断なく「ラプソディ」への演奏へとなだれ込む演出。オクターブキイに水が溜まっていたのか、冒頭ちょっとヒヤリとする音も聴こえたのだが、すぐ復活。フレーズはあくまでもしなやかで、楽器が"アナログ"だということを再認識した。何百種類ものダイナミクスやアタックを使い分け、吹きつくされた「ラプソディ」に新たな生命を吹き込んだ。「シラージュ」は、自作のソプラノサクソフォンのための無伴奏曲。耳が追いつかないほどの怒涛の音並びや特殊奏法に、開いた口がふさがらない。どこをどうすりゃあんなの吹けるんじゃいな、というフレーズ、そして完璧なコントロールの連続で、サクソフォンの基準値をどこに設定すれば良いのかわからなくなってしまうほど。前半最後には、さらにパワーアップしての「ツィガーヌ」。通常音域を超えても、音楽が停滞せず、ごく自然に流れていく。
後半は、つい最近鬼籍に入ったばかりのブーレーズ氏の作品。ダヴィッド氏は、サクソフォン版の「二重の影の対話」の初演者であるが、このタイミングで、氏の演奏を聴くことができるとは思わなかった。激烈に難しい作品であるが、もはやこの流れの中では"古典"として聴こえ、また、ブーレーズの筆致の高尚さにも改めて思いを馳せることとなった。「セクエンツァVIIb」は、いつだかダヴィッド氏が来日したときにも吹いていたなあ…と思い出した。作品の構造は横の流れを観客に見せてこそ見えてくるのだ、と言わんばかりの、スポーツカーのような速さの演奏であった。最後は映像を交えたアルトサクソフォンの無伴奏曲「パルス」。かなりポップでリズミックな曲調で、聴きやすいが、技巧的には相当突っ込んだことを、安定してやってのけるものだから恐ろしい。楽譜見てみたいな…(笑)
アンコールは、まさかの「タイスの瞑想曲」、そしてまさかの野田燎「舞」(静止映像付だが、このような映像があるとは知らなかった)。いやー、最後の最後まで凄まじかった。
全曲暗譜、常識を覆す技巧や音楽の連続で、今後何を基準としてクラシック・サクソフォンを捉えていくべきなのか、困ってしまうほどだ。この驚異的な演奏を具現化する源泉は、もちろん練習にもあるのだろうが、それだけでは無いような気すらしてしまう…。
2016/01/20
第2回横浜サクソフォンアンサンブル演奏会
横浜サクソフォンアンサンブル(YSA)の第二回演奏会を聴きに伺った。昨年に引き続き、とても楽しい時間を過ごすことができたのだった。
最近は、仕事が忙しかったり、その他諸々で精神的に荒んでおり、おまけに金曜から体調を崩すなど散々だったのだが、今日の演奏を聴いてずいぶんと音楽に救われる思いがしたのだった。普段は気付かないけれど、やっぱり、楽しい音楽は周りに無くてはならないものなのだと、感じ入った次第。
【第1回横浜サクソフォンアンサンブル演奏会】
出演:神奈川にゆかりのあるサクソフォン奏者、宗貞啓二、田口雄太(指揮)
日時:2016年1月16日 18:00開演
会場:都筑公会堂
プログラム:
M.ラヴェル/山田悠人 - 道化師の朝
H.マンシーニ/名田綾子 - ムーンリバー
M.ルグラン/名田綾子 - 双子姉妹の歌
長生淳 - 八重奏曲
真島俊夫 - ラ・セーヌ
真島俊夫 - シーガル
J.ヴァン=デル・ロースト/柏原卓之 - アルセナール
C.M.シェーンベルク/金井宏光 - レ・ミゼラブル
J.ヴァン=デル・ロースト/柏原卓之 - カンタベリー・コラール
W.R.ワーグナー - ワルキューレの騎行
小椋佳&見岳章 - 美空ひばりメドレー
和泉宏隆 - 宝島
岡野貞一/旭井翔一 - 浜辺の歌(アンコール)
和泉宏隆 - オーメンズ・オブ・ラブ(アンコール)
音大生・プロフェッショナルのステージは、プログラムとしてはかなりオーソドックスながら、各団体が「YSA」というブランドを一段階上へとステップアップさせるような、そんな気概を感じた。音大生のアンサンブル、木村有沙さんフィーチャー、男性八重奏、女性八重奏、原博巳さんをフィーチャーした「シーガル」等、どれも個性的な演奏を楽しんだ。見た目にも変化があり、編成は一曲ごとに違い、また曲のスタイルも様々。時間は少々長かったが、まったく飽きることなく楽しく聴くことができた。
ざっと感想を述べていくと…アンサンブルとして練りこまれていると感じたのは、「ラ・セーヌ」かなあ。女性らしい繊細なニュアンスの変化を楽しんだ。長生「八重奏曲」は、現代風のスタイルで吹くとあんなに軽やかになるのか、と驚いた。個人的にはもっとガツガツした感じが好きなのだが…。木村さんの、このステージの中で独自とも言える世界観は聴衆をずいぶんと魅了していたようだ。音大生チームは、一発目、かつ作品としても聴かせるのが難しいということもあって少々堅さがみられたかな、でもあの会場の雰囲気の中でかなり健闘していた。原さんは、もうさすがとしか言いようがなく、格の違いがここまで出てしまうのかと、改めて驚かされたのだった。進行は松下くんのMCによる。脱力系(褒め言葉です)の和やかな口上に、もしかしたら驚いた方もおられるかもしれないのだが、私自身はそれを彼の一つの魅力だと思っている…とは買いかぶりすぎかな。
後半、宗貞先生、そして田口雄太氏の指揮により、プロアマ混合、総勢130名ほどのラージアンサンブル演奏が披露された。耳馴染みのある曲を中心に演奏されたが、特に「ワルキューレの騎行」の集中力(山田氏の編曲は、実に手の混んだものであった)や、「カンタベリー・コラール」の集中力と、分厚い響きには感銘を受けたのだった。体調を崩していたこともあって、「美空ひばりメドレー」あたりから音が分離して聴こえなくなってしまったのだが、それでも最後までしっかりと、祝祭的な雰囲気を楽しむことができた。「宝島」のお祭り騒ぎも、サクソフォンならでは、サクソフォンだからこその楽しさを存分に感じさせるものであった。
アンコールで、まさかの旭井翔一編の「浜辺の歌」。オリジナリティある"響き"を追求したアレンジが印象的。最後は手拍子まで入っての「オーメンズ・オブ・ラヴ」。大盛り上がりの中終演となった。
運営の大変さはきっとあるだろうが、ぜひこれからも続けていってほしいなと思う次第。
最近は、仕事が忙しかったり、その他諸々で精神的に荒んでおり、おまけに金曜から体調を崩すなど散々だったのだが、今日の演奏を聴いてずいぶんと音楽に救われる思いがしたのだった。普段は気付かないけれど、やっぱり、楽しい音楽は周りに無くてはならないものなのだと、感じ入った次第。
【第1回横浜サクソフォンアンサンブル演奏会】
出演:神奈川にゆかりのあるサクソフォン奏者、宗貞啓二、田口雄太(指揮)
日時:2016年1月16日 18:00開演
会場:都筑公会堂
プログラム:
M.ラヴェル/山田悠人 - 道化師の朝
H.マンシーニ/名田綾子 - ムーンリバー
M.ルグラン/名田綾子 - 双子姉妹の歌
長生淳 - 八重奏曲
真島俊夫 - ラ・セーヌ
真島俊夫 - シーガル
J.ヴァン=デル・ロースト/柏原卓之 - アルセナール
C.M.シェーンベルク/金井宏光 - レ・ミゼラブル
J.ヴァン=デル・ロースト/柏原卓之 - カンタベリー・コラール
W.R.ワーグナー - ワルキューレの騎行
小椋佳&見岳章 - 美空ひばりメドレー
和泉宏隆 - 宝島
岡野貞一/旭井翔一 - 浜辺の歌(アンコール)
和泉宏隆 - オーメンズ・オブ・ラブ(アンコール)
音大生・プロフェッショナルのステージは、プログラムとしてはかなりオーソドックスながら、各団体が「YSA」というブランドを一段階上へとステップアップさせるような、そんな気概を感じた。音大生のアンサンブル、木村有沙さんフィーチャー、男性八重奏、女性八重奏、原博巳さんをフィーチャーした「シーガル」等、どれも個性的な演奏を楽しんだ。見た目にも変化があり、編成は一曲ごとに違い、また曲のスタイルも様々。時間は少々長かったが、まったく飽きることなく楽しく聴くことができた。
ざっと感想を述べていくと…アンサンブルとして練りこまれていると感じたのは、「ラ・セーヌ」かなあ。女性らしい繊細なニュアンスの変化を楽しんだ。長生「八重奏曲」は、現代風のスタイルで吹くとあんなに軽やかになるのか、と驚いた。個人的にはもっとガツガツした感じが好きなのだが…。木村さんの、このステージの中で独自とも言える世界観は聴衆をずいぶんと魅了していたようだ。音大生チームは、一発目、かつ作品としても聴かせるのが難しいということもあって少々堅さがみられたかな、でもあの会場の雰囲気の中でかなり健闘していた。原さんは、もうさすがとしか言いようがなく、格の違いがここまで出てしまうのかと、改めて驚かされたのだった。進行は松下くんのMCによる。脱力系(褒め言葉です)の和やかな口上に、もしかしたら驚いた方もおられるかもしれないのだが、私自身はそれを彼の一つの魅力だと思っている…とは買いかぶりすぎかな。
後半、宗貞先生、そして田口雄太氏の指揮により、プロアマ混合、総勢130名ほどのラージアンサンブル演奏が披露された。耳馴染みのある曲を中心に演奏されたが、特に「ワルキューレの騎行」の集中力(山田氏の編曲は、実に手の混んだものであった)や、「カンタベリー・コラール」の集中力と、分厚い響きには感銘を受けたのだった。体調を崩していたこともあって、「美空ひばりメドレー」あたりから音が分離して聴こえなくなってしまったのだが、それでも最後までしっかりと、祝祭的な雰囲気を楽しむことができた。「宝島」のお祭り騒ぎも、サクソフォンならでは、サクソフォンだからこその楽しさを存分に感じさせるものであった。
アンコールで、まさかの旭井翔一編の「浜辺の歌」。オリジナリティある"響き"を追求したアレンジが印象的。最後は手拍子まで入っての「オーメンズ・オブ・ラヴ」。大盛り上がりの中終演となった。
運営の大変さはきっとあるだろうが、ぜひこれからも続けていってほしいなと思う次第。
2016/01/14
演奏会情報:ヴァンサン・ダヴィッド@ユリホール
kuri出演情報:2016/2/14開催予定のコンサート、The Portrait of JacobTVの詳細は以下のリンクから。
http://kurisaxo.blogspot.jp/2016/01/the-portrait-of-jacobtv.html
----------
フランスのサクソフォン奏者、ヴァンサン・ダヴィッド Vincent David氏が来日中。世界最高クラスのサクソフォンの技術力と音楽性を持つ、類稀な奏者である。この機を逃さず、ぜひユリホールへ!
【ヴァンサン・ダヴィッド サクソフォンリサイタル】
出演:ヴァンサン・ダヴィッド(sax)、松浦真沙(pf)
日時:2016年1月18日(月)開演19:00
会場:昭和音楽大学ユリホール
料金:一般 2,500円 / 学生 2,000円(前売り)
プログラム:
- Rapsodie by Debussy
- Sillage by David
- Tzigane by Ravel
- Sequenza VIIb by Berio
- Pulse by David
- Dialogue de l'ombre double by Boulez
プログラム中、なんといっても注目は、先日鬼籍に入ったばかりの、ブーレーズの作品。クラリネットのために書かれ、のちにサクソフォン版が編まれた傑作「二重の影の対話」を、サクソフォン版初演者であるヴァンサン・ダヴィッド氏の演奏で、しかもこのタイミングで聴くことができる僥倖は、またとない機会だろう。とても楽しみだ。
以下、氏の演奏動画をいくつか紹介する。
セルマー130週年記念イベントでの、氏の演奏の様子。柔軟な楽器のコントロールに注目。共演は、パリ音楽院のドゥラングル・クラス出身で、現在はジャズを専門にしているJean Charles Richard氏。
おなじイベントで、氏が自作を披露(指揮担当)。出演陣が超豪華。 Christian Wirth、Seung Dong Lee、Barry Cockcroft、Javier Valerio、Julien Petit、Christophe Grezes、Claude Delangle、Timothy McAllister、Baptiste Herbin、Sylvain Malezieux、Eddy Lopez、Hiroshi Hara、Sylvain Beuf、Jerry Bergonzi、Fabrizio Mancuso、John Helliwell、Anthony Malkoun、Florent Milhaud、Gilles Tressos、Matthieu Delage、Keiji Munesada、Jean-Charles Richard、Philippe Geiss、てなもんで。
サクソフォン版「二重の影の対話」の演奏抜粋。第14回世界サクソフォン・コングレス@スロヴェニアでの演奏。
http://kurisaxo.blogspot.jp/2016/01/the-portrait-of-jacobtv.html
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フランスのサクソフォン奏者、ヴァンサン・ダヴィッド Vincent David氏が来日中。世界最高クラスのサクソフォンの技術力と音楽性を持つ、類稀な奏者である。この機を逃さず、ぜひユリホールへ!
【ヴァンサン・ダヴィッド サクソフォンリサイタル】
出演:ヴァンサン・ダヴィッド(sax)、松浦真沙(pf)
日時:2016年1月18日(月)開演19:00
会場:昭和音楽大学ユリホール
料金:一般 2,500円 / 学生 2,000円(前売り)
プログラム:
- Rapsodie by Debussy
- Sillage by David
- Tzigane by Ravel
- Sequenza VIIb by Berio
- Pulse by David
- Dialogue de l'ombre double by Boulez
プログラム中、なんといっても注目は、先日鬼籍に入ったばかりの、ブーレーズの作品。クラリネットのために書かれ、のちにサクソフォン版が編まれた傑作「二重の影の対話」を、サクソフォン版初演者であるヴァンサン・ダヴィッド氏の演奏で、しかもこのタイミングで聴くことができる僥倖は、またとない機会だろう。とても楽しみだ。
以下、氏の演奏動画をいくつか紹介する。
セルマー130週年記念イベントでの、氏の演奏の様子。柔軟な楽器のコントロールに注目。共演は、パリ音楽院のドゥラングル・クラス出身で、現在はジャズを専門にしているJean Charles Richard氏。
おなじイベントで、氏が自作を披露(指揮担当)。出演陣が超豪華。 Christian Wirth、Seung Dong Lee、Barry Cockcroft、Javier Valerio、Julien Petit、Christophe Grezes、Claude Delangle、Timothy McAllister、Baptiste Herbin、Sylvain Malezieux、Eddy Lopez、Hiroshi Hara、Sylvain Beuf、Jerry Bergonzi、Fabrizio Mancuso、John Helliwell、Anthony Malkoun、Florent Milhaud、Gilles Tressos、Matthieu Delage、Keiji Munesada、Jean-Charles Richard、Philippe Geiss、てなもんで。
サクソフォン版「二重の影の対話」の演奏抜粋。第14回世界サクソフォン・コングレス@スロヴェニアでの演奏。
2016/01/13
演奏会ご案内:The Portrait of JacobTV
ブログ上での紹介がまだだった。
来る2月14日、井村重人さんのフォトスタジオ"アーニーズ・スタジオ"において、JacobTV(Jacob ter Veldhuis)作品を集めたコンサートを行う。私は、委嘱作品である「Ticking Time」の日本初演と、四重奏で「Postnuclear Winterscenario No.10」「Grab It!(四重奏版が最近リリースされたのだ、これも日本初演となる)」を演奏予定。出演者が私以外超豪華なことになっているが、頑張りたいと思う。
「Ticking Time」「Grab It! 4」は目下練習中。ようやく少しずつサウンドトラックと合わせられるようになってきたが、どちらの曲もグルーヴ感がとても楽しい!
【The Portrait of JacobTV - Musics for Saxophone and Ghettoblaster】
出演:佐藤淳一、加藤里志、大石俊太郎、栗林肇
日時:2016年2月14日(日曜)14:00開場 14:30開演
音響・映像オペレーション:出射慎二
会場:アーニーズスタジオ(表参道駅A4出口徒歩1分)
料金:入場無料/投げ銭制(限定40席・要予約)
プログラム(すべてJacobTV作品):
The Garden of Love
Billie
Ticking Time ※委嘱作品・日本初演
Buku
Postnuclear Winterscenario No.10
Grab It! (sax quartet version) ※日本初演
予約・問い合わせ:
kuri_saxo@yahoo.co.jp
もしくは出演者まで直接メール/メッセージをお願いします。
Facebookのイベントページ:
https://www.facebook.com/events/803260159819166/
チラシは、フリーで転がっているテンプレートを拾ってきて、Photoshop Elementsでこねくり回して作った。完成した時は「初めて作ったにしては意外と良い雰囲気になった…!」と思ったが、これはテンプレの出来が良いからですね(苦笑)
来る2月14日、井村重人さんのフォトスタジオ"アーニーズ・スタジオ"において、JacobTV(Jacob ter Veldhuis)作品を集めたコンサートを行う。私は、委嘱作品である「Ticking Time」の日本初演と、四重奏で「Postnuclear Winterscenario No.10」「Grab It!(四重奏版が最近リリースされたのだ、これも日本初演となる)」を演奏予定。出演者が私以外超豪華なことになっているが、頑張りたいと思う。
「Ticking Time」「Grab It! 4」は目下練習中。ようやく少しずつサウンドトラックと合わせられるようになってきたが、どちらの曲もグルーヴ感がとても楽しい!
【The Portrait of JacobTV - Musics for Saxophone and Ghettoblaster】
出演:佐藤淳一、加藤里志、大石俊太郎、栗林肇
日時:2016年2月14日(日曜)14:00開場 14:30開演
音響・映像オペレーション:出射慎二
会場:アーニーズスタジオ(表参道駅A4出口徒歩1分)
料金:入場無料/投げ銭制(限定40席・要予約)
プログラム(すべてJacobTV作品):
The Garden of Love
Billie
Ticking Time ※委嘱作品・日本初演
Buku
Postnuclear Winterscenario No.10
Grab It! (sax quartet version) ※日本初演
予約・問い合わせ:
kuri_saxo@yahoo.co.jp
もしくは出演者まで直接メール/メッセージをお願いします。
Facebookのイベントページ:
https://www.facebook.com/events/803260159819166/
チラシは、フリーで転がっているテンプレートを拾ってきて、Photoshop Elementsでこねくり回して作った。完成した時は「初めて作ったにしては意外と良い雰囲気になった…!」と思ったが、これはテンプレの出来が良いからですね(苦笑)
2016/01/11
マカリスターがケージ「龍安寺」を演奏したCD
ティモシー・マカリスター Timothy McAllister氏が参加したCDの中でも、かなり珍しい部類に入るCDだろう。シモーネ・マンクーゾ Simone Mancuso氏という打楽器奏者のCD「John Cage(Stradivarius STR33941)」に収録されている、ジョン・ケージ「龍安寺」のサクソフォンパートを、マカリスター氏が吹いているのだ。
この作品、確か明確な楽器指定はない作品のはずだが、Ulrich Krieger氏の手によってサクソフォン用に編曲されており、その編曲が使われている(氏自身もサクソフォン奏者であり、このような自演CDも存在する→http://www.moderecords.com/catalog/104cage.html。サクソフォンのジョン・ケージ・アルバムとしては、非常に有名なものだ)。
どのような作品かと言われると難しいのだが、夏田昌和「West, or Evening Song in Autumn」に僅かに残る俗っぽさを抜いて、究極的にシンプルな響きを目指していくと、こうなるのかな、という感じ。サクソフォン(ときどき多重録音が使われる)の長いグリッサンド、不変のパーカッションの音色のみ、使われている音楽的要素は非常に少ないが、なんとなく惹かれる音楽である。
この作品、確か明確な楽器指定はない作品のはずだが、Ulrich Krieger氏の手によってサクソフォン用に編曲されており、その編曲が使われている(氏自身もサクソフォン奏者であり、このような自演CDも存在する→http://www.moderecords.com/catalog/104cage.html。サクソフォンのジョン・ケージ・アルバムとしては、非常に有名なものだ)。
どのような作品かと言われると難しいのだが、夏田昌和「West, or Evening Song in Autumn」に僅かに残る俗っぽさを抜いて、究極的にシンプルな響きを目指していくと、こうなるのかな、という感じ。サクソフォン(ときどき多重録音が使われる)の長いグリッサンド、不変のパーカッションの音色のみ、使われている音楽的要素は非常に少ないが、なんとなく惹かれる音楽である。
2016/01/10
2016/01/07
ピエール・ブーレーズ氏、逝去
ピエール・ブーレーズ Pierre Boulez氏、逝去の報が飛び込んできた。享年90歳。近現代フランス音楽史において、重要な音楽家の一人。作曲からキャリアをスタートさせ、後年は指揮・教育活動にも尽力した。現代における数少ない「巨匠」の一人であり、80歳代まで精力的に活動していたため、不死身の鉄人のような勝手なイメージを持っていたのだが…ご冥福をお祈り申し上げる次第。
私がブーレーズ氏の名前を初めて知ったのは、ベルリン・フィルハーモニーのラヴェル「ダフニスとクロエ」、そしてクリーヴランド管弦楽団のストラヴィンスキー「春の祭典」(新録音)の指揮者としてであった。この2つの作品については、ブーレーズ氏指揮の録音が私の刷り込みだ。
サクソフォンの世界との関わりでいえば、何と言っても「二重の影の対話」のサクソフォン版だ。もともとはクラリネット作品であったが、2001年にヴァンソン・ダヴィッド氏とブーレーズ氏が共同で編曲を実施、IRCAMのアゴラ音楽祭でサクソフォン版が初演された。日本でも、佐藤淳一氏や、大石将紀氏、またクロード・ドゥラングル教授が来日した折に取り上げており、私も彼らの演奏で実演に接している。密度が高く難解であり、(全体の音響は好きだが)おそらくほとんど理解せずに聴いているのだが、間違いなく名曲であり、サクソフォン史に燦然と輝く作品のひとつとして、後世に伝えられていくことだろう。
私がブーレーズ氏の名前を初めて知ったのは、ベルリン・フィルハーモニーのラヴェル「ダフニスとクロエ」、そしてクリーヴランド管弦楽団のストラヴィンスキー「春の祭典」(新録音)の指揮者としてであった。この2つの作品については、ブーレーズ氏指揮の録音が私の刷り込みだ。
サクソフォンの世界との関わりでいえば、何と言っても「二重の影の対話」のサクソフォン版だ。もともとはクラリネット作品であったが、2001年にヴァンソン・ダヴィッド氏とブーレーズ氏が共同で編曲を実施、IRCAMのアゴラ音楽祭でサクソフォン版が初演された。日本でも、佐藤淳一氏や、大石将紀氏、またクロード・ドゥラングル教授が来日した折に取り上げており、私も彼らの演奏で実演に接している。密度が高く難解であり、(全体の音響は好きだが)おそらくほとんど理解せずに聴いているのだが、間違いなく名曲であり、サクソフォン史に燦然と輝く作品のひとつとして、後世に伝えられていくことだろう。
2016/01/06
演奏会情報:荒木浩一氏の無伴奏バリトンサクソフォンコンサート
ポラン氏関連でお世話になっている荒木浩一氏のリサイタル情報をご紹介。バリトンサクソフォンのみ、全曲がJ.S.バッハの「無伴奏チェロ組曲」という、何ともストイックなプログラムだ。この内容、きっと技術的には非常に高度なものが要求されるのは間違いないが、さらに加えてベテランの成せる業、というところもあるに違いない。
聴いてみたいものだが、いかんせん会場が遠く…遠方の地よりご盛会を祈念する次第。
【荒木浩一バリトンサクソフォンコンサート】
出演:荒木浩一
日時:2016年1月17日(日曜)16:00開場 17:00開演
会場:広島牛田教会
料金:前売り4000円、当日4500円
プログラム:
J.S.バッハ - 無伴奏チェロ組曲第1番BWV1007
J.S.バッハ - 無伴奏チェロ組曲第2番BWV1008
J.S.バッハ - 無伴奏チェロ組曲第3番BWV1009
問い合わせ:
070-6562-5550(ハッピーハートカンパニー 担当:末永)
info@happy-heart-company.com
コーディネーターのS氏によれば、「牛田教会はモダン建築で建築雑誌「新建築」でも紹介されました。建築デザインも大切ですが、肝心な響きがとても素晴らしいので開催を決めました。」とのこと。先日の、マイア氏がコーディネートし小倉氏が出演した演奏会もそうだが、演奏を重視するのみならず、非日常としての"場"を提供しようとする、トータル・コーディネート的なバランスをもつイベントとなるのが面白い。個人的に、演奏だけではなくさらに広い視点で演奏会を捉える、ということに興味が湧いてきている(まだ入り口を垣間見ているだけだが)。
こちらはチラシ裏面。
聴いてみたいものだが、いかんせん会場が遠く…遠方の地よりご盛会を祈念する次第。
【荒木浩一バリトンサクソフォンコンサート】
出演:荒木浩一
日時:2016年1月17日(日曜)16:00開場 17:00開演
会場:広島牛田教会
料金:前売り4000円、当日4500円
プログラム:
J.S.バッハ - 無伴奏チェロ組曲第1番BWV1007
J.S.バッハ - 無伴奏チェロ組曲第2番BWV1008
J.S.バッハ - 無伴奏チェロ組曲第3番BWV1009
問い合わせ:
070-6562-5550(ハッピーハートカンパニー 担当:末永)
info@happy-heart-company.com
コーディネーターのS氏によれば、「牛田教会はモダン建築で建築雑誌「新建築」でも紹介されました。建築デザインも大切ですが、肝心な響きがとても素晴らしいので開催を決めました。」とのこと。先日の、マイア氏がコーディネートし小倉氏が出演した演奏会もそうだが、演奏を重視するのみならず、非日常としての"場"を提供しようとする、トータル・コーディネート的なバランスをもつイベントとなるのが面白い。個人的に、演奏だけではなくさらに広い視点で演奏会を捉える、ということに興味が湧いてきている(まだ入り口を垣間見ているだけだが)。
こちらはチラシ裏面。
2016/01/03
小倉大志他出演のJazz Sax Live@KAISU
昨年の暮になるが、小倉氏が出演したサクソフォンのライヴを聴いてきた。ライヴをコーディネートしたマイア氏は建築系専攻出身のデザイナーであり、近年はフランスでインテリアコーディネート等を行っているそうだ。出演は、サクソフォン4人。松下洋、細川信二、小倉大志、野原朝宇(継承略)で、小倉氏@留学中の一時帰国に合わせて開催された。会場は、赤坂のゲストハウス"KAISU"。元料亭だった場所を改装したものだとのこと。
【Jazz Sax Live】
出演:松下洋、細川信二、小倉大志、野原朝宇
日時:2015年12月18日 14:00開演
会場:KAISU
プログラム:
George Gershwin/Taishi Ogura - But not for Me
Duke Ellington/Serge Forté/Taishi Ogura - Take the 'A' Train
Omnibus/Russel Peterson - Gospel Fever
Taishi Ogura - RonRon
Taishi Ogura - Abeille
John Whelan/Benoit Menut - Trip to Skye
このテーブルの上の空間は、Maia氏の制作によるもの。雪の結晶のようなレーダーチャートのような形は、KAISUのロゴマークだ。天井の風船から、テーブルの上に作られたミニチュアの街に雪が降ってきているような、そんな印象を受けた。このように凝った空間で演奏を聴くのは久々で、演奏のみならず、場としてのトータルな提供は重要だなあと改めて感じたのだった。
演奏も非常に楽しいものだった。ジャズ・スタンダードは小倉氏自らがアレンジしたものも多い。小倉氏、そして松下氏までもがソロを取り、普段クラシカル・サクソフォンばかり聴いているとなかなか慣れない音色ながら、とても興奮させられた。後半は小倉氏のオリジナルが2曲。もともとは別の編成だったものを、サクソフォン四重奏にアレンジした内容で、初めて聴いた「Abeille」という作品が、特に楽く(もう少し尺がほしいと思いつつも)とても良い曲だなと思った。自作を演奏するのは、ジャズ科で学んでいる小倉氏ならでは…だろうか。「トリップ・トゥ・スカイ」を演奏してくれたのも嬉しかったなあ。"ソルフェージュ"とは、何と奥深い世界なのかと再認識し、すっかり耳を洗い直されてしまったのだった。
【Jazz Sax Live】
出演:松下洋、細川信二、小倉大志、野原朝宇
日時:2015年12月18日 14:00開演
会場:KAISU
プログラム:
George Gershwin/Taishi Ogura - But not for Me
Duke Ellington/Serge Forté/Taishi Ogura - Take the 'A' Train
Omnibus/Russel Peterson - Gospel Fever
Taishi Ogura - RonRon
Taishi Ogura - Abeille
John Whelan/Benoit Menut - Trip to Skye
このテーブルの上の空間は、Maia氏の制作によるもの。雪の結晶のようなレーダーチャートのような形は、KAISUのロゴマークだ。天井の風船から、テーブルの上に作られたミニチュアの街に雪が降ってきているような、そんな印象を受けた。このように凝った空間で演奏を聴くのは久々で、演奏のみならず、場としてのトータルな提供は重要だなあと改めて感じたのだった。
演奏も非常に楽しいものだった。ジャズ・スタンダードは小倉氏自らがアレンジしたものも多い。小倉氏、そして松下氏までもがソロを取り、普段クラシカル・サクソフォンばかり聴いているとなかなか慣れない音色ながら、とても興奮させられた。後半は小倉氏のオリジナルが2曲。もともとは別の編成だったものを、サクソフォン四重奏にアレンジした内容で、初めて聴いた「Abeille」という作品が、特に楽く(もう少し尺がほしいと思いつつも)とても良い曲だなと思った。自作を演奏するのは、ジャズ科で学んでいる小倉氏ならでは…だろうか。「トリップ・トゥ・スカイ」を演奏してくれたのも嬉しかったなあ。"ソルフェージュ"とは、何と奥深い世界なのかと再認識し、すっかり耳を洗い直されてしまったのだった。