2016/01/07

ピエール・ブーレーズ氏、逝去

ピエール・ブーレーズ Pierre Boulez氏、逝去の報が飛び込んできた。享年90歳。近現代フランス音楽史において、重要な音楽家の一人。作曲からキャリアをスタートさせ、後年は指揮・教育活動にも尽力した。現代における数少ない「巨匠」の一人であり、80歳代まで精力的に活動していたため、不死身の鉄人のような勝手なイメージを持っていたのだが…ご冥福をお祈り申し上げる次第。

私がブーレーズ氏の名前を初めて知ったのは、ベルリン・フィルハーモニーのラヴェル「ダフニスとクロエ」、そしてクリーヴランド管弦楽団のストラヴィンスキー「春の祭典」(新録音)の指揮者としてであった。この2つの作品については、ブーレーズ氏指揮の録音が私の刷り込みだ。

サクソフォンの世界との関わりでいえば、何と言っても「二重の影の対話」のサクソフォン版だ。もともとはクラリネット作品であったが、2001年にヴァンソン・ダヴィッド氏とブーレーズ氏が共同で編曲を実施、IRCAMのアゴラ音楽祭でサクソフォン版が初演された。日本でも、佐藤淳一氏や、大石将紀氏、またクロード・ドゥラングル教授が来日した折に取り上げており、私も彼らの演奏で実演に接している。密度が高く難解であり、(全体の音響は好きだが)おそらくほとんど理解せずに聴いているのだが、間違いなく名曲であり、サクソフォン史に燦然と輝く作品のひとつとして、後世に伝えられていくことだろう。

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