2010/07/04

木下直人さんから(ギャルドSQのAFA盤)

この土日は、用事ができたので長野の実家へ帰省していた。さすがに梅雨時であるから、長野といえど日中はかなり嫌な陽気だが、それでも夕方になると涼しい風が吹いてくる。休日の夕方は、時間の進み方が違うように感じる。写真は、今日の午前中に雲の隙間から顔を出した太陽。少し作為的な色作りを感じるが、これはこれで面白い色だなと思いアップしてみた(クリックすると拡大)。

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ジャケット写真(A3のフラットベッド型スキャナを購入され、ジャケットがフルサイズでスキャンできるようになったとのこと!)。

ギャルド・レピュブリケーヌ四重奏団のLPで、良く知られているボザ、デザンクロ、ショルティーノ、バゴが入っているEMI盤(これは私が人生の中で初めて買った"LP"だ)ではなく、今となってはかなり珍しい四重奏の作品群が含まれているLP。確か、これまでは木下直人さんはお持ちでなかったはずだが、この度原盤を入手されたとのことで、送っていただいた。復刻に使用されたステレオ・カートリッジは、オルトフォンのSPU-G(オルトフォン Jorgen Schou JS-41)。

"Quatuor de Saxophones de la Musique de la Garde Republicaine de Paris"

Michel Nouaux, saxophone soprano
André Beun, saxophone alto
Nernard Beaufreton, saxophone ténor
Maurice Delabre, saxophone baryton

Aubert Lemeland - Epilogue Nocturne
Rene Nicolas - Passim
Maurice Bagot - Saxophonie a quatre
Patrice Sciortino - Agogik
Jacques Bernard - Andante et Scherzo

再生してびっくり。どんなマイクの配置にしたら、こんな音の拡がりになるのだろう。ちょっとフシギな録音状態で、耳が飽和しそうだった。録音時に残響はほとんどつけられておらず、最近のCDに慣れていると楽器の音の生々しさに驚くが、耳が慣れてくればむしろこちらのほうが音楽そのものを楽しむことができるように思える。

どの曲も、いわゆる"現代音楽"的な響きではあるが、管楽器王国フランスのアカデミズムの延長線上にある作品場ばかりだ(と感じる)。フラジオ音域以外の特殊奏法が一切使われていないのが面白いな。1975年の録音だが、1970年のデニゾフ以降、パリで特殊奏法の作品が作られるよりも前の過渡期を捉えたディスクということだ。フランスのサクソフォン史に刻み込まれるLPの一つだ、と言い切ってしまっても良いのではないか。

素朴さと難解さ(伝統と前衛)が同居する作品を、ヌオー率いるギャルド四重奏団は、神妙に演奏している。技術的にはさすがに優れたもので、難パッセージもどんどん吹いてしまうが、音量の作り方が、いかにもセッションレコーディング用、という趣なのだ。これは実演で聴いたらかなり印象が違ったかもしれない。

ショルティーノの「アゴーギク」やベルナールの「アンダンテとスケルツォ」など久々に聴いたが、ジャズの筆致なども散りばめられた、面白い作品だな。後半の怒涛のパッセージなど、ジャズの影響なども聴きとることができ、あるいは現代の作品にも負けないほどのものかもしれない。誰か演奏しませんかね。

2 件のコメント:

木下直人 さんのコメント...

使用カートリッジはSPU-Gです。
Ortofonは針交換に出すと、昔は振動体を含めたユニットごと交換したのです。ですから製造番号が若くても、ユニットはオリジナルでないものがほとんどです。
数年前にドイツから購入したSPU-GTが、最初期のオリジナルだったのです。これのトランスを外しSPU-Gとして使用し、代わりのトランスはオルトフォン(Jorgen Schou)JSの41を接続して使っています。
最初期の(10万番台)のオルトフォンの再生音の素晴らしさに圧倒されます。
現在ではメーカーでの針交換は不能で、専門の個人の職人がダイヤチップのみの交換を行っています。

kuri さんのコメント...

> 木下様

コメントありがとうございます。不勉強なもので、せっかく復刻環境に関するメールを頂戴したのにもかかわらず、勘違いをしておりました。申し訳ありません。
早速本文と、以前の記事を修正しました。

ずっと前に頂戴したAFA盤と聴き比べてみましたが、とてもはっとさせられる音です。ロンデックス盤も同じ印象です。1960年代以降のステレオ盤を、いろいろと聴いてみたくなりました。