2007/05/07

6年ぶりのトルヴェール

5/5 13:30~ カザルスホールでの、トルヴェール・クヮルテットのコンサート。開場時間の10分前に到着すると、すでにホール入り口から長ーく伸びた列が目に入った。カザルスホールはそれほどキャパが大きくないこともあり、この日のコンサートのチケットは、なんと完売だったそうだ。ホール内も混みまくっており、あんまり良い席を確保できず。

そういえば、高校2年生の秋に初めて聴いたサクソフォン四重奏のコンサートもトルヴェールだった。生で聴くのはそのとき以来ということになる。プログラムは、以下のとおり。

・30人によるサクソフォーン・オーケストラ
伊藤康英 - エスパーニャ
グリーグ - 過ぎ去った春
・マイ・フェイバリット・シングス(真島俊夫編)
・フラッケンポール - ラグタイム組曲
・マンハッタン・トランスファー - A Nightingale Sang In Berkeley Square(彦坂眞一郎編)
・ウッズ - 3つの即興曲
・長生淳 - トルヴェールの彗星
・ボザ - アンダンテとスケルツォ
・デザンクロ - 四重奏曲
アンコール:G線上のアリア、ドゥー・ダー組曲

コンサートは、トルヴェールのメンバーに中高生を交えた30人のサクソフォンオーケストラの演奏で始まった。須川さんが指揮に回り、ソプラノのトップには芸大の細川紘希さんが。エスパーニャは、サクソフォーン・フェスティバルで聴いたこともあったっけなぁ。途中に「スペインのフォリア」が顔を出すのが面白い。一日前に集まって一気に練習した、とのことだったが、わりと安心して聴けた。

前座の後は、いよいよ4人による演奏。「マイ・フェイバリット・シングス」や「ラグタイム組曲」は、私も吹いたことがあるけれど、音色・技術・遊びゴコロはかなうはずもなし。まるで、その場でリアルタイムに取り決めが行われているように、即興的にみるみる音楽が立ち上がってくる様だ。普通に演奏したらつまらないだけの「ラグタイム組曲」も、随所に仕掛けられた"遊び"がとても楽しい。実はほとんど合わせをしていないんじゃないかとも思えるほどの、その場で生まれる音楽の勢いを感じることができる。後に演奏されたウッズよりも、こちらのほうがずっとジャズのように聴こえのは、私だけではないだろう。

個人的に大好きな曲、ウッズ「3つの即興曲」を聴けたのもうれしかった。デビューアルバム「ザ・トルヴェール・クヮルテット(Apollon)」へのレコーディング以来、ほとんど手をつけなかったというが、その15年のブランクを感じさせない見事な演奏で、CDでも聴けたあの興奮が、目の前に蘇った。各所に織り込まれる、メンバーのソロもかっこいい。官能的なバラードから、第3楽章の嵐のような超絶ユニゾンまで、押さえるところをきっちり押さえ、プラスアルファを繰り出していくあたりは、トルヴェールの面目躍如といったところ。

後半は一転して、クラシック系のプログラム。後半は「彗星」からスタート。やっぱり、これでもかとばかりに要素が詰め込まれた長生節を、120%の再現できるのは彼らしかいないですな。アンコンなどで聴くことができる"彗星"とは一味も二味も違った演奏だ。

ボザ、デザンクロは、軽めな演奏を想像していたのだが、ちょっと違った。特にデザンクロは、前半のポップスの流れを汲むようなノリノリ(笑)の演奏で、曲がもつモダン・ジャズの表情を(特にリズムの側面から)引き出した解釈。聴きながら、盗み取りたい瞬間がいくつもあった。しかし、我々アマチュアが、息を切らしながら頑張って吹くこれらの曲を、いとも簡単にらくらく~と吹いてしまうのですな。

アンコールに、「G線上のアリア」と「ドゥー・ダー組曲」。「ドゥー・ダー」の最終部は、まるで即興演奏大会のような激しさで、盛況のうちに幕を閉じた。

そういえば、一部の中学生のマナーの悪さ(ポスターで肩を叩くわ、ヒソヒソ声でおしゃべりするわ、袋をがさごそやるわ…いずれも演奏中)が、とっても気になったのだが…気にするほうがおかしいのかなあ。好きで来てるなら、もっと集中しても良いと思うのだが、こんなもんなのだろうか。うむむ。

さて、トルヴェールは、今年の10月6、7、8日にトッパンホールで20周年記念コンサートを行うそうだ。果たしてどんなプログラムで20年間を俯瞰するのか、こちらも注目したい。せっかくだから、出かけてみようかな。…って、学園祭の期間中じゃないか!

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