スイスのサクソフォン奏者、マルカス・ワイス Marcus Weiss氏が、室内楽団とともに演奏するアンドレ・カプレ「伝説」の録音。商用流通しているとは聴いたことがないが、放送用録音だろうか。
https://archive.org/details/cd_music-of-andre-caplet_andre-caplet/disc1/
スイスのサクソフォン奏者、マルカス・ワイス Marcus Weiss氏が、室内楽団とともに演奏するアンドレ・カプレ「伝説」の録音。商用流通しているとは聴いたことがないが、放送用録音だろうか。
https://archive.org/details/cd_music-of-andre-caplet_andre-caplet/disc1/
ダニエル・デファイエ Daniel Defffayet氏関連の、所持録音リストを更新。
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1c98A6VaRUuYaFOOw8MycHDwJ9aFtiwYdx_pq32VGxOI/edit?usp=sharing
1977年のデファイエ四重奏団の日本でのリサイタルと、1992年日本での最後のリサイタルとなった、昭和音楽大学での藤井一興氏との共演を追加した。
1921年生まれ、かつてブリュッセル王立音楽院の教授を務めるなど、ベルギーを代表するサクソフォン奏者の一人であったフランソワ・ダニール François Daneels氏。その録音がInternet Archiveに上がっている。ジャン・アブシルの「サクソフォンとピアノ、オーケストラのためのバラード」という作品の演奏で、私は初めて聴いた。
サクソフォンとピアノのインタープレイが面白く、ネオ・ロマンティックとでも表現できる(アブシル)らしい響き。ダニール氏の濃密な音色は、存在感抜群だ。写真は、フランソワ・ダニール氏の近影。
ときどき思い出したように聴きたくなるCD。今となっては入手困難なのが非常に残念なのだが、現代におけるサクソフォン四重奏のありとあらゆるCDの中で、頂点に位置するものだと言い切ってしまいたいものだ。
マルセル・ミュール四重奏団が創始したクラシック界のサクソフォン四重奏は、ダニエル・デファイエ四重奏団の拡張によって頂点を極められた。その後、80年代後半のグローバル化に伴う多様化から、種々の進化のベクトルが生まれたが、ミュール~デファイエと続いたその伝統的なフランスの流れを押し拡げた結果の、ひとつの究極系なのだ。
恐ろしいほどの集中力と覇気が、録音からビシバシと伝わってくる。間違いなく優勝のみを見据えて頂点を狙いに行く、一切手抜きなしの彼らの本気が凝縮された、その瞬間を切り取った素晴らしいディスクだ。本線のグラズノフ、クセナキスは、もはや異次元であり、そして一切守りなし、攻め一方の驚くべき内容。これから先これをのような演奏が果たして出てくるのかわからない、というほどのもの。
ダニエル・デファイエ Daniel Defffayet氏関連の、所持録音リストを更新。
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1c98A6VaRUuYaFOOw8MycHDwJ9aFtiwYdx_pq32VGxOI/edit?usp=sharing
Marcel Mule: His Life & the Saxophone内の記述で、ダニエル・デファイエについて触れられている部分を訳してみた。
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ドイツの指揮者・オーケストラについて、他になにか特別な思い出はありますか?
私は多くのオーケストラで演奏しましたが、時折ドイツの指揮者とも共演しました。その中のひとりが、ヘルベルト・フォン・カラヤンで、彼がまだ30歳のときにラヴェル「ボレロ」を一緒に演奏しました。彼は心から我々のサクソフォンの演奏について驚き、喜んでくれました。今日では、ベルリン・フィルハーモニックで重要なサクソフォンパートがある時、カラヤンはダニエル・デファイエを呼んでいます。
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時折、サクソフォンの音について、いわゆるフランスの音、だとか、アメリカの音、といったカテゴライズがなされることを耳にしますが、それについてどう思いますか?
その考え方は誤っており、サクソフォンを真に学んだ奏者はそのような分類を使いません。それに関連して一つお話をしましょう。1970年のジュネーブ国際コンクールのサクソフォン部門での出来事です。多くのフランス人奏者のみならず、アメリカやカナダといった他の国からも奏者が参加しましたが、フランスの奏者は良い結果を残せず、アメリカやカナダの奏者が良い結果を残しました(注:最高位はアメリカのジャック・クリプル)。私はこれについて、演奏時の身体の方向と関連があると考えました。デファイエ教授に、彼の生徒が審査員の方を直接向かず、45度身体の方向を変えるよう、示唆したのは私です。しかし、コンクールを聴きに来ていた地元の批評家が、ジュネーヴの新聞に書いた記事には、音の違いはフレンチ・スクールとアメリカン・スクールの違いから来るものだと書いていました。(…後略)
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ピエール・ブーレーズと仕事をしたことはありますか?
いいえ、ありません。しかし彼を良く知っています。(…中略…)最近ダニエル・デファイエに教えてもらったことにより、私はとても勇気づけられました。デファイエは、ブーレーズ指揮でアルバン・ベルクの「ルル」を吹きました。ブーレーズがデファイエに曰く「このように演奏される時にこそ、私はサクソフォンをとても好きになる」とのことです。このコメントは、奇妙でありつつも勇気づけられます。まずはじめに「ルル」のサクソフォンパートは極めてメロディックなものなのです。ブーレーズはこれを好きだ、と言ったのです!翻って、彼がそれよりもサクソフォンが貧弱に演奏されることを聴いたことがあるということをも暗示するのです。彼はデファイエに、サクソフォンの作品を書く、とまで言いました。もしかしたら実現するかもしれません!
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たくさんの作品があなたのために書かれました。いくつくらいあるのですか?
数えたことがありません。そして、楽譜ももはや所持していません。多くの楽譜は、引退のときに、ダニエル・デファイエなど、元生徒たちにあげました。私はこれらの作品を演奏しないのだから、楽譜を持ち続ける理由が無かったのです。
ラッシャー・サクソフォン四重奏団と、Dennis Russell Davies指揮アメリカン・コンポーザーズ・オーケストラの演奏で、1988年1月11日、ニューヨーク・カーネギーホールにおける2曲のライヴ録音を聴くことができる。1曲目は、女流作曲家Augusta Read Thomasの「Brass Axis」、2曲目はフィリップ・グラスの「サクソフォン四重奏とオーケストラのための協奏曲」である。
ハイ・テンションで駆け抜ける1曲目も良いが、とにかく2曲目のオーケストラとの録音は貴重であり、やはりそちらに着目してしまう。やや音場が遠いが、セッション録音(やはり同じD.R.Daviesと、こちらはシュトットガルト室内管弦楽団との録音)と比べると、前進力の違いが顕著であり、ぐっと引き込まれた。
D.R.Daviesとフィリップ・グラスが写った写真。「交響曲第8番」のジャケットに使われている。
だいぶ久々ではあるが、ダニエル・デファイエ Daniel Defffayet氏関連の、所持録音リストを更新。
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1c98A6VaRUuYaFOOw8MycHDwJ9aFtiwYdx_pq32VGxOI/edit?usp=sharing
大阪のリサイタルの録音(ヒンデミットは赤松二郎氏との共演と、ジャン=フランンソワ・パイヤール室内管弦楽団とのグラズノフの録音についての情報を追加した。
日本在住の最中に木下直人さんから頂戴したものや、最近はニコラ・プロスト氏の復刻録音なども出てきており、それらについても追記していく予定。
シガード・ラッシャー Sigurd Rascher氏の演奏による、ヴォルフガング・ヤコビ Wolfgang Jacobi「サクソフォン協奏曲」の録音。Jan Koetsier指揮バイエルン放送交響楽団との共演。
ドイツ生まれの、ネオ・クラシカルの流派に属する作曲家であるヤコビは、ラッシャー氏とのコラボレーションにより多くのサクソフォン作品を書いているが、「サクソフォン協奏曲」の、ラッシャー氏による演奏が残っていたとは知らなかった。
ごく短い作品ではあるもの、前後半の対比により、サクソフォンの特徴を極めてよく引き出している作品だと感じた。ラッシャー氏のサクソフォンも冴えわたっており、冒頭の、まるでフルートのような音色から、後半のテクニカルな箇所まで、見事な演奏を繰り広げている。
ヤコビの功績を伝えるページには、ラッシャー氏と写った写真が掲載されていた。
武藤賢一郎氏の録音アーカイブが1ヶ月ほど前に更新されていた。シューベルト「セレナーデ」と、ディニク「ホラ・スタッカート」。これらの作品の演奏は、それぞれ「スーパー・ヴィルトゥオーゾ」「アメージング・サクソフォーン」というFontecのアルバムに収録されているが、同一ソースか、別ソース(ライヴ録音等)かは、判別することができなかった。
コンサートに伺ったのは久々だった。ベイエリアで長くピアノ指導に携わる有座なぎさ氏の「NAGISA ARIZA PIANO STUDIO」の生徒による発表会。下は4歳から上は15歳まで、弾く作品の尺もレベルも様々。3時間近くにわたる演奏を興味深く聴いた。
最初の「Solo Piano」ステージは、どの生徒さんも立派な演奏。これは私の印象だが、何となく男の子のほうが飄々と、女の子のほうが緊張して、それぞれ弾いているような傾向があるなあ。場面によってしっかり音色を弾き分けているのは、指導の賜物か、その子の特性か…は分からなかったが。おおっ、と思う瞬間をいくつも発見した。トリを務めたLisa Saitoさんの演奏、特にLiebermann、Chopinは一流で、聴き応えがあった。
ディズニー100周年を記念した連弾のディズニー特集を含む、「Four Hands」ステージ、兄弟姉妹のデュオ、というのは、練習風景などを想像すると理屈抜きに微笑ましいものだ。リラックスして、楽しく聴くことができた。
「Piano Trio」ステージに出演したヴァイオリンのYujin Ariza氏と、チェロのElena Ariza氏…共にジュリアード音楽院で音楽を専攻した経験あり…が、後半のピアノトリオステージに登場し、実に見事な演奏を生徒さん達と繰り広げていた。こうして間近で、デッドな音響環境で聴くと、撥弦楽器と、ピアノ(弦を打鍵する楽器)の、アンサンブルとしての相性の良さが際立つ。ハイドンの「Trio No.39」第3楽章のような作品での最後の煽るようなハイ・テンションな演奏を聴くと、これはサクソフォンでもきっと負けないぞ、と思うが、アントン・アレンスキーやクララ・シューマンの冒頭にあるような繊細なフレージングは、サクソフォンでは実現し難いものだなと、感じ入ったのだった。
写真は、会場のMountain View Center for the Performing Arts。