11/5の演奏会は別件で伺えないのだが、本日こちらの演奏会を聴くことができた。今回の来日中、聴くことは叶わないと思っていただけに嬉しく、また期待以上の内容だった!
【Proxima Centauri - Marie Bernadette Charrier & Hiromi Sakaguchi マスタークラス&ミニコンサート】
出演:マリー=ベルナデット・シャリエ(sax)、坂口裕美(pf)
日時:2016年11月5日(土)マスタークラス13:00開演 ミニコンサート15:00開演
会場:洗足学園音楽大学シルバーマウンテン1F
プログラム:
Hans-Joachim Hespos - Ikas
Philippe Hurel - Bacasax
鈴木治行 - 隔世遺伝
François Rossé - Erde-Edo
小櫻秀樹 - 私はボルドーのサックス奏者だ!
François Rossé - Fuku Yama
マスタークラスは、デニゾフ「ソナタ」と増田悦郎「PAIN II(本日のマスタークラスのために準備された新作)」。デニゾフでの受講者は荒木真寛氏(asax)と中村真幸氏(pf)、増田作品での受講者は藏戸里沙氏(sax)と森嶋奏帆氏(pf)。マスタークラスの内容は別記事に譲るが、かなり細かい部分まで突っ込んだ、充実した内容のマスタークラスだった。デニゾフは、楽譜に書いている内容を丁寧に読み解き、その各箇所に適した演奏法を、様々なバックグラウンドにもとづいて指摘・改善させるというもの。増田作品は、作曲者臨席のもと、作品の意図する内容を引き出しながら、適切な表現を行うためのテクニックや表現法を中心にアドバイスする、というものだった。
いずれの受講者もかなりしっかりと準備してあり、最初の通し演奏もかなりレベルが高かったのだが、さらに突っ込んだ指摘が飛んでいた。本日のマスタークラスを聴いて、ボルドー音楽院で学んでみたい、と思った方も多いのではないかな。それだけ、濃くて充実した内容だった。シャリエ氏が模範で吹く短いフレーズも、無限のバリエーションの表現が聴こえてきて、かつ各箇所の楽想にピタリと当てはまるものであった。
ミニコンサートも凄かった。今回は、アルト、テナー、バリトンの3種類を繰っての演奏会。テアトル的な雰囲気を持つ「Ikas」、シェルシ作品か、スペクトル楽派の作品のような雰囲気を持つ「Bacasax」、ここまで2つほど短い作品で、一気に会場の度肝を抜いた。続く鈴木氏の作品では、テナーとピアノが12音的なリフをひたすらに繰り返す(ピアノも凄く良く弾く方で、キャスリーン・グッドソン氏の快刀乱舞っぷりを思い出した)。
ピアノソロで演奏されたロセ作品「Erde-Edo」や「私はボルドーのサックス奏者だ!」は、聴き手の頭がついていかないほどの響きやシーンの変化があり、しかし演奏者は高い集中力で見事に楽曲の持つパワーを表現していた。この2人のために書かれたという「Fuku Yama」での、驚異的なアンサンブルの然り。シャリエ氏、坂口氏の底知れぬ技術力、アンサンブル能力、ソルフェージュ能力を思い知らされたのだった。
いやあ、本当に聴けてよかったなあ!
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