2014/04/26

田村哲サクソフォンリサイタル 2nd

【田村哲サクソフォンリサイタル 2nd】
出演:田村哲(sax)、川岸麻里(pf)
日時:2014年4月25日(金曜)19:15開演
開場:フィリアホール(青葉台)
プログラム:
P.M.デュボワ - ディヴェルティスマン
P.モーリス - プロヴァンスの風景
A.デザンクロ - 前奏曲、カデンツァと終曲
西村友 - ポップ・ダンス・スイート
木下牧子 - 夜は千の目を持つ
A.ウェニアン - ラプソディ

1stリサイタルを含め何度かフォーマルに演奏を聴く機会があるが、回を重ねるごとにどんどんと上手くなり、もはや昨日のリサイタルでは技術面・音楽面ではもちろんのこと、30歳を目前に控えた中堅どころの貫禄のようなものすら感じさせるほど。プログラミング(プログラムが管打っぽくなってしまったのは偶然とのこと)、演奏、ステージングなど、どれもこれもが私の思い描く理想的なリサイタルにかなりマッチするもので、大変楽しむことができた。ちなみに私は今回のリサイタルにあたって、前々々回、前々回、前回に引き続いてプログラム冊子の曲目解説を担当した。

フィリアホールは、田村哲が中学生の時に師匠のリサイタルを聴いた会場なのだそうだ。その500席のホールが、見た目9割5分という盛況ぶり。あまりサクソフォン関係者っぽい方が多くないところが面白い。

デュボワ、モーリス、デザンクロという非常にオーソドックスな作品が並ぶが、どれもテクニカルな面でのクリアはもちろんのこと、音楽的にもクリーンで"正格"な印象を受ける。(田村哲と一緒に酒を呑んだくれるとあまりわからないのだが笑:-p)、音楽に対して誠実な取り組みがされており、誰が聴いてもこれはこう吹かれるべきだ!という印象を受ける。個人的にはガンガンにサクソフォンらしく吹く部分があっても良いかなとも思うのだが、この抑制された美しさと正格な演奏こそが田村哲の美意識に基づくものなのだろう。いずれも佳演!また、ピアノの川岸麻里さんという方も非常に良く弾く方で、特に左手の多彩な音色が個人的なツボだった。

後半には2曲、邦人のオリジナル作品が演奏された。西村氏の作品は誰が聴いても楽しいコンサート・ピースといった趣の内容。とてもわかり易くてかっこ良く、特にBeatRockのフェーズでピアノとサクソフォンがユニゾンで動く部分など楽しく、もっと演奏されても良いのではないかなと思った。木下牧子氏の作品は、これらの作品の中では若干シリアスな響きを含むが、日本的なテンポ感性と西洋的な響きが融合した(適当なこと言っています、すみません)、傑作である。同音連打や時折現れる甘い響きは、誤解を恐れず言えばロベールの「カデンツァ」を思い起こさせる。最後に演奏されたウェニアンは、これはやはりとてもバランスがとれた名品であるなとの思いを強くした。いずれの曲においても、演奏から受ける印象は第一部と同様で、技術面をしっかりと押さえて、さらに作品に寄り添った演奏が展開されていたように思えた。アンコールは、このたび発売となった1stアルバムから1曲。アルバムについては、別途レビュー予定。

そういえば、会場では久しぶりの方に何人もお会いできて、嬉しかったなあ。21:00から渋谷で日本サクソフォーン協会の協会誌に関する定例打ち合わせがあったため、急ぎ会場を後にした。

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プログラム冊子解説の中で木下氏が触れていた田村哲の「夜は千の目を持つ」演奏 on YouTubeの公式映像を貼り付けておく。昨日の演奏も良かったが、こちらも素晴らしい。

木下牧子「夜は千の目を持つ」第一章


木下牧子「夜は千の目を持つ」第二章

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