2013/06/24

サクソフォーンアンサンブルの会 第29回演奏会

土曜日に伺った演奏会。

発足は1977年、日本国内のサクソフォンアンサンブル団体としては、プロアマ問わず間違いなく最も長い歴史を持つ団体である。日本のサクソフォンアンサンブルの歴史の一端を担ってきた、といっても過言ではないだろう。昨年、メンバーのKさんのお誘いで初めて伺ってその見事な演奏に感銘を受けたのだが、今年もまた充実の演奏を楽しんだ。

【サクソフォーンアンサンブルの会 第29回演奏会】
出演:サクソフォーンアンサンブルの会、原博巳(sax)、泉谷絵里(pf)
日時:2013年6月22日(土)17:30開場 18:00開演
会場:牛込箪笥区民ホール
プログラム:
C.M.シェーンベルク - ミス・サイゴン・メドレー
大河の流れ 江~平清盛~八重の桜
P.M.デュボワ - 協奏曲(独奏:原博巳)
今井智景 - セダクティブ・レルム
N.リムスキー=コルサコフ - シェヘラザード
青春の輝き(アンコール)
エルカペオ+(アンコール)

「ミス・サイゴン・メドレー」は私自身が知っている曲はあまり入っていなかったのだが、やはり面白い。長年の活動を続ける中で、技術的に完成され、一切の無駄が削ぎ落とされたようなサウンドの方向性は、あまり他では聴くことのできないものだと思う。ほとんどの作品の編曲はメンバーのNさんによるものだが、この分量をこなすその気合いというか筆の速さ、想像できない…。「大河の流れ」と題された直近の3作品の大河ドラマテーマ曲メドレーは、演奏者・会場とも共感度が高く、とてもよい雰囲気。こうして聴くと、「平清盛」の音楽の特殊さが一層際立つような気もする。

デュボワは原博巳さんを独奏に迎えての演奏。まさかの暗譜、冒頭から聴き手を一気に惹きつけ、最後まで行ってしまった。音量・音色・音楽性・技術力・オーラ…、どれをとっても、まさに"怪物級"。なんだか別の世界からやってきた楽器を聴いているようだ。もちろんバックのアンサンブルも独奏に感化されたかのような熱演。特に第1楽章~第3楽章それぞれの性格が、弦楽合奏よりもより表出するものだなと思った。

後半は、アリアージュ・カルテットのレパートリーとして有名なモーツァルト「魔笛」をベースにした「セダクティブ・レルム」。演奏はもちろんJION Saxophone Quartet…と、なんと泉谷絵里さん!関東サクソフォンアカデミーの時にも聴いて感じたが、やはりこのカルテット、一筋縄ではいかない…すごかった。全体のプログラムの流れの中でも一段と光っていたなあ。作品としても面白く、楽譜も作曲者にコンタクトすれば手に入れられそうだ。

最後はなんと「シェヘラザード」全楽章(一部カットあり、とはいえ30分弱という長大な演奏)!!キーロフ管弦楽団をワレリー・ゲルギエフが振った録音が好きで、昔特に第4楽章を取り出して聴いていたのだが、第1楽章から複数楽章にまたがって続く主題の変遷に涙してしまった。原曲のオーケストレーションが素晴らしいことでも有名だが、このアレンジ・演奏も一級品!サクソフォンとしての長所を上手く生かしつつ、また要所要所で出現する独奏も泣かせるものだった。

アンコールは原さんの演奏で「青春の輝き」。この「青春の輝き」がまたすごくて…安易な表現に走らない、確固たる音楽作り(言葉で表すのは難しく、これは聴いた人の特権だろう)。最後は「エル・カペオ」、に「りす」と「協奏曲」の第1楽章がくっついた「エル・カペオ+」というお遊びも交えて〆。楽しかった(^^)

打ち上げまでお邪魔させてもらって、皆さんといろいろとお話できて良かったなあ(ありがとうございました)。

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