アメリカサクソフォン界の黎明期を支えたサクソフォン奏者のひとり、ヴィンセント・(ジミー)・アバト Vincent Jimmy Abato氏のアーカイヴページを見つけた。Adam Michlinという作曲家/指揮者が作成したページである。
内容は、Adam Michlin氏、Victor Morosco氏(!)、Albert Hunt氏による献呈文と、写真(晩年のショットも)、そして録音。特筆すべきは録音で、アバト氏の見事な演奏を楽しむことができる。イベールの「コンチェルティーノ・ダ・カメラ」ほか、サクソフォンのみならずクラリネットの演奏、そしてクラシックからポピュラー音楽までと、その守備範囲の幅広さには舌を巻くほかない。
http://michlinmusic.com/abato/
2012/12/31
NY Philharmonicとサクソフォン
New York Philharmonic(NYP)Digital Archivesに所収されている、サクソフォンがNYPに登場した演奏会のプログラム冊子ファクシミリへのリンク集。さすがにサクソフォン協奏曲はそれほど多くないのだな…。また、アーカイブされていない期間の演奏会の内容も気になっている。
1944年1月27,28日
William Steinberg, conductor
Vincent Abato, saxophone
Paul Creston - Concerto
http://archives.nyphil.org/index.php/artifact/6c8be0dc-49f0-4aee-89c9-68d4df404142?search-type=singleFilter&search-text=saxophone&doctype=program
1944年2月13日
Artur Rodzinski, conductor
Vincent Abato, saxophone
Paul Creston - Concerto
http://archives.nyphil.org/index.php/artifact/8908ce0d-3f72-410a-985c-e95d53053e43?search-type=singleFilter&search-text=saxophone&doctype=program
1946年1月8日
Milton Katims, conductor
Al Gallodor, saxophone
Jacques Ibert - Concertino da camera
http://archives.nyphil.org/index.php/artifact/8d173777-1c62-40ee-9856-56b6117b292e?search-type=singleFilter&search-text=saxophone&doctype=program
1958年1月11,12日
Leonard Bernstein, conductor
John La Porta, saxophone
Teo Macero - Fusion
http://archives.nyphil.org/index.php/artifact/545c3d15-95fc-46a1-84fe-17fbda06055a?search-type=singleFilter&search-text=saxophone&doctype=program
1959年12月10,11,12,13日
Leonard Bernstein, conductor
Paul Desmond, saxophone
H.Brubeck - Dialogues for Jazz Combo and Orchestra
http://archives.nyphil.org/index.php/artifact/9110275b-ff56-4e8d-a227-0fd005422d0b?search-type=singleFilter&search-text=saxophone&doctype=program
1961年10月14日
小澤征爾, conductor
Sigurd Rascher, saxophone
Claude Debussy - Rapsodie
http://archives.nyphil.org/index.php/artifact/998cc563-e2ea-4766-84cb-c2327007d7e6?search-type=singleFilter&search-text=saxophone&doctype=program&sort-order=asc&sort-column=npp:SortDate&page=2
1964年2月8日
Leonard Bernstein, conductor
Benny Golson, saxophone
Schuller - Journey into Jazz
http://archives.nyphil.org/index.php/artifact/c82d7b7c-07b5-4ad5-9e49-d282b66d3084?search-type=singleFilter&search-text=saxophone&doctype=program&sort-order=asc&sort-column=npp:SortDate&page=2
1944年1月27,28日
William Steinberg, conductor
Vincent Abato, saxophone
Paul Creston - Concerto
http://archives.nyphil.org/index.php/artifact/6c8be0dc-49f0-4aee-89c9-68d4df404142?search-type=singleFilter&search-text=saxophone&doctype=program
1944年2月13日
Artur Rodzinski, conductor
Vincent Abato, saxophone
Paul Creston - Concerto
http://archives.nyphil.org/index.php/artifact/8908ce0d-3f72-410a-985c-e95d53053e43?search-type=singleFilter&search-text=saxophone&doctype=program
1946年1月8日
Milton Katims, conductor
Al Gallodor, saxophone
Jacques Ibert - Concertino da camera
http://archives.nyphil.org/index.php/artifact/8d173777-1c62-40ee-9856-56b6117b292e?search-type=singleFilter&search-text=saxophone&doctype=program
1958年1月11,12日
Leonard Bernstein, conductor
John La Porta, saxophone
Teo Macero - Fusion
http://archives.nyphil.org/index.php/artifact/545c3d15-95fc-46a1-84fe-17fbda06055a?search-type=singleFilter&search-text=saxophone&doctype=program
1959年12月10,11,12,13日
Leonard Bernstein, conductor
Paul Desmond, saxophone
H.Brubeck - Dialogues for Jazz Combo and Orchestra
http://archives.nyphil.org/index.php/artifact/9110275b-ff56-4e8d-a227-0fd005422d0b?search-type=singleFilter&search-text=saxophone&doctype=program
1961年10月14日
小澤征爾, conductor
Sigurd Rascher, saxophone
Claude Debussy - Rapsodie
http://archives.nyphil.org/index.php/artifact/998cc563-e2ea-4766-84cb-c2327007d7e6?search-type=singleFilter&search-text=saxophone&doctype=program&sort-order=asc&sort-column=npp:SortDate&page=2
1964年2月8日
Leonard Bernstein, conductor
Benny Golson, saxophone
Schuller - Journey into Jazz
http://archives.nyphil.org/index.php/artifact/c82d7b7c-07b5-4ad5-9e49-d282b66d3084?search-type=singleFilter&search-text=saxophone&doctype=program&sort-order=asc&sort-column=npp:SortDate&page=2
2012/12/30
木下直人さんから(放浪の騎士)
先日、島根県のF様よりご提供いただいた…ということで紹介したジョルジュ・ツィピーヌ指揮フランス国立放送局管弦楽団の演奏によるジャック・イベール「放浪の騎士」の録音だが、原盤となる仏COLUMBIA FCX 607(当たり前だがジャケットも違う)の復刻を木下直人さんより頂戴した。イベールの諸作品のなかでも格段に好きな作品であるので、嬉しい限りである。木下さん、いつもありがとうございます。
朗読を経た、冒頭のトランペットの音から高解像の音楽に驚いてしまった。確かに、もともと非常に優秀な録音であるということはわかってたのだが、それにしても凄い。木下さんによれば、原盤であることと、さらにカートリッジがPierre Clementであること、イコライザが原盤と同一であること(Old Columbiaのセッティング)により、この復刻音質が実現できているとのこと。
改めて、マルセル・ミュール氏のサクソフォンが見事である。オーケストラの中のサクソフォンとしては、ダニエル・デファイエ氏参加のダリウス・ミヨー「世界の創造」(レナード・バーンスタイン指揮フランス国立管弦楽団)や、ティモシー・マカリスター氏参加のジョン・アダムス「シティ・ノワール」(グスターボ・ドゥダメル指揮ロサンゼルス・フィル)とともに、サクソフォン奏者必聴の録音であると思う。
朗読を経た、冒頭のトランペットの音から高解像の音楽に驚いてしまった。確かに、もともと非常に優秀な録音であるということはわかってたのだが、それにしても凄い。木下さんによれば、原盤であることと、さらにカートリッジがPierre Clementであること、イコライザが原盤と同一であること(Old Columbiaのセッティング)により、この復刻音質が実現できているとのこと。
改めて、マルセル・ミュール氏のサクソフォンが見事である。オーケストラの中のサクソフォンとしては、ダニエル・デファイエ氏参加のダリウス・ミヨー「世界の創造」(レナード・バーンスタイン指揮フランス国立管弦楽団)や、ティモシー・マカリスター氏参加のジョン・アダムス「シティ・ノワール」(グスターボ・ドゥダメル指揮ロサンゼルス・フィル)とともに、サクソフォン奏者必聴の録音であると思う。
2012/12/28
つくば市で練習
仕事は木曜日でなんとか納め、今日は休暇を取得した。
個人練習とラージの合わせのため、午前からつくば市へ。自宅からは1時間45分ほどかかる。
練習しなければならない楽譜が積み上がってきており、しかもどれも難易度的に厄介であるため、時間を見つけてどんどんとさらっていく必要があるのだ。お昼休憩を挟んで15:00まで「Alley Dance」を中心に個人練習。「クープランの墓」も少し練習することができた。どちらも、急がば回れ…と、着実にさらっていかなければならない。15:00からは、ラージアンサンブルの合わせだった。チャイコフスキー/ミ・ベモル編の「弦楽セレナーデ」の第2楽章と第4楽章。初見状態ではまったく歯が立たず(汗)。改めて、ミ・ベモルの技術力の高さを思い知らされた。こちらも個人練習しておかなければ!
明日は、午前中に個人練習、夜は四重奏の合わせ。年末年始も実家に楽器を持って帰って練習する予定(さもなくば、いろいろと間に合わない…遅ければ指は動くがテンポを上げることが容易ではない)。この積み上がり具合と切羽詰まった感は、久々かもしれない。
個人練習とラージの合わせのため、午前からつくば市へ。自宅からは1時間45分ほどかかる。
練習しなければならない楽譜が積み上がってきており、しかもどれも難易度的に厄介であるため、時間を見つけてどんどんとさらっていく必要があるのだ。お昼休憩を挟んで15:00まで「Alley Dance」を中心に個人練習。「クープランの墓」も少し練習することができた。どちらも、急がば回れ…と、着実にさらっていかなければならない。15:00からは、ラージアンサンブルの合わせだった。チャイコフスキー/ミ・ベモル編の「弦楽セレナーデ」の第2楽章と第4楽章。初見状態ではまったく歯が立たず(汗)。改めて、ミ・ベモルの技術力の高さを思い知らされた。こちらも個人練習しておかなければ!
明日は、午前中に個人練習、夜は四重奏の合わせ。年末年始も実家に楽器を持って帰って練習する予定(さもなくば、いろいろと間に合わない…遅ければ指は動くがテンポを上げることが容易ではない)。この積み上がり具合と切羽詰まった感は、久々かもしれない。
2012/12/27
Amuser Saxophone Quartette 1st Recital
【Amuser Saxophone Quartette 1st Recital】
出演:Amuser Saxophone Quartette(河原翌真、菊地麻利絵、中村ちひろ、大野香菜)
日時:2012年12月27日(木)開演18:30
会場:ティアラこうとう 小ホール(都営新宿線・東京メトロ半蔵門線 住吉駅より徒歩5分)
料金:500円(全席自由)
プログラム:
J.フランセ - 小四重奏曲
P.I.チャイコフスキー - 弦楽四重奏曲第1番
J.S.バッハ - 目覚めよと呼ぶ声あり
D.マスランカ - マウンテン・ロード
菊地さんよりご案内いただいていた演奏会。先日のドビュッシーのレクチャーコンサートが今年最後に聴きに行く演奏会かなと思っていたら、埼玉大学吹奏楽部とAmuserSQが残っていたのだった。11月から12月までの間に、20回近く何かしらの演奏機会に伺っていることになる。前半は仕事が忙しく行きたい演奏会にも行けなかったので、ここにきてリバウンドしているような。
職場から会場まで遠く、また18:30開演ということでさすがに間に合わず、後半のバッハから聴いた。なんとか後半には間に合って良かった…。
AmuserSQは、東京音楽大学の学生により2011年の12月に結成されたアンサンブルである。ソプラノの河原氏は、名古屋音楽大学出身で現在東京音楽大学の大学院2年生、そのほかのメンバーは学部の4年生である。リサイタルは今回が初となるが、これまで複数回の演奏機会をこなしているとのこと。一昔前までは、アンサンブルといえば東京芸大か昭和音大か洗足音大かというイメージがあったのだが、最近では基本的な技術力の上昇ほか様々な要因からか、魅力的な演奏をするグループが増えてきていると思う。
休憩後、最初聴いたのはバッハ。音色・バランスといったところで若干ソプラノが分離する格好となっており、ときどき予期する響きから転回しているように聴こえる部分もあった。このバランスならば、前半のチャイコフスキーの弦楽四重奏のアレンジなんてかなり良い演奏だったと思うのだが。ただし、"地"の技術がしっかりしており、きちんと聴衆に聴かせるようなベクトルを持つ演奏だったと思う。それにしても、菊地さんの立ち回りや確固たる音楽づくりは凄いですね(ますますソロでの演奏を聴いてみたくなった)。
マスランカはさらに和声の難易度が上がるが、テクニカルな面では安定している。第2楽章や第3楽章が特に興味深い。また、第6楽章後半のコラール変奏では各プレイヤーの独奏となるが、それぞれの奏者の個性が出ていて面白く聴くことができた。楽章が進んでもとくに疲れた様子も見せない。前半にはフランセと、さらに30分に及ぶ大曲チャイコフスキーをこなしているわけで、たしかにプロフェッショナルの演奏家にとっては当たり前なのだが、実は凄いことなんだよなあ…驚いてしまった。
アンコール1曲目はフォーレ「ドリー」の"子守唄"。2曲目はヴィードーフの「サキソフォビア」の四重奏アレンジ版(菊地さんアレンジとのこと)。ヴィードーフの演奏が、不思議と心地よく余韻として帰り道もずっと残っていたのだった。
出演:Amuser Saxophone Quartette(河原翌真、菊地麻利絵、中村ちひろ、大野香菜)
日時:2012年12月27日(木)開演18:30
会場:ティアラこうとう 小ホール(都営新宿線・東京メトロ半蔵門線 住吉駅より徒歩5分)
料金:500円(全席自由)
プログラム:
J.フランセ - 小四重奏曲
P.I.チャイコフスキー - 弦楽四重奏曲第1番
J.S.バッハ - 目覚めよと呼ぶ声あり
D.マスランカ - マウンテン・ロード
菊地さんよりご案内いただいていた演奏会。先日のドビュッシーのレクチャーコンサートが今年最後に聴きに行く演奏会かなと思っていたら、埼玉大学吹奏楽部とAmuserSQが残っていたのだった。11月から12月までの間に、20回近く何かしらの演奏機会に伺っていることになる。前半は仕事が忙しく行きたい演奏会にも行けなかったので、ここにきてリバウンドしているような。
職場から会場まで遠く、また18:30開演ということでさすがに間に合わず、後半のバッハから聴いた。なんとか後半には間に合って良かった…。
AmuserSQは、東京音楽大学の学生により2011年の12月に結成されたアンサンブルである。ソプラノの河原氏は、名古屋音楽大学出身で現在東京音楽大学の大学院2年生、そのほかのメンバーは学部の4年生である。リサイタルは今回が初となるが、これまで複数回の演奏機会をこなしているとのこと。一昔前までは、アンサンブルといえば東京芸大か昭和音大か洗足音大かというイメージがあったのだが、最近では基本的な技術力の上昇ほか様々な要因からか、魅力的な演奏をするグループが増えてきていると思う。
休憩後、最初聴いたのはバッハ。音色・バランスといったところで若干ソプラノが分離する格好となっており、ときどき予期する響きから転回しているように聴こえる部分もあった。このバランスならば、前半のチャイコフスキーの弦楽四重奏のアレンジなんてかなり良い演奏だったと思うのだが。ただし、"地"の技術がしっかりしており、きちんと聴衆に聴かせるようなベクトルを持つ演奏だったと思う。それにしても、菊地さんの立ち回りや確固たる音楽づくりは凄いですね(ますますソロでの演奏を聴いてみたくなった)。
マスランカはさらに和声の難易度が上がるが、テクニカルな面では安定している。第2楽章や第3楽章が特に興味深い。また、第6楽章後半のコラール変奏では各プレイヤーの独奏となるが、それぞれの奏者の個性が出ていて面白く聴くことができた。楽章が進んでもとくに疲れた様子も見せない。前半にはフランセと、さらに30分に及ぶ大曲チャイコフスキーをこなしているわけで、たしかにプロフェッショナルの演奏家にとっては当たり前なのだが、実は凄いことなんだよなあ…驚いてしまった。
アンコール1曲目はフォーレ「ドリー」の"子守唄"。2曲目はヴィードーフの「サキソフォビア」の四重奏アレンジ版(菊地さんアレンジとのこと)。ヴィードーフの演奏が、不思議と心地よく余韻として帰り道もずっと残っていたのだった。
2012/12/26
木下直人さんから(ロンデックス&ブロディ)
ジャン=マリー・ロンデックス Jean Marie Londeix氏とポール・ブロディ Paul Brodie氏の二重奏曲集。ロンデックス氏については、いまさら説明の必要も無いだろう。ポール・ブロディ氏は、ユージン・ルソー氏とともに世界サクソフォン・コングレスの立ち上げ者のひとりとして知られている。1934年生まれ、カナダを代表するサクソフォン奏者の一人で、「アンバサダー・オブ・サクソフォン=サクソフォン大使」というニックネームを持っている。
以前、ブロディ氏からLPの盤起こしをしたCD-Rを購入したのだが(ブロディ氏が亡くなる2007年より前のことで、eBayに出品されていた)、最近木下直人さんに木下さんの復刻環境によるCD-Rをお送りいただいた。先日のTsukuba Saxophone Quartetの長野公演の際、木下さんにお越しいただいたのだが、メンバーがルクレールのデュオ・ソナタを吹いているのを聴いて、メンバーぶん復刻して送って下さったのだ。たいへん嬉しいことだ(ありがとうございました)。
1975年、原盤はCrest。おそらく擬似残響と思われる独特のサウンドを伴った演奏である。テクニックを聴いているとどちらがどちら、ということは容易にわかるのだが、実はあまり気にならず、純粋にデュエットの愉しみが前面に押し出されている。収録曲は以下のとおり。テレマンのカノン風ソナタからの4曲と、ルクレールのソナタから3曲。いずれもロンデックスが編曲したもので、Alphonse Leducより出版されているとのこと。
G.F.Handel - 12 canons melodieux, ou 6 sonates en duo: Sonata in G major, TWV 40:118
G.F.Handel - 12 Canons melodieux, ou 6 sonates en duo: Sonata in D major, TWV 40:120
G.F.Handel - 12 Canons melodieux, ou 6 sonates en duo: Sonata in A minor, TWV 40:123
G.F.Handel - 12 Canons melodieux, ou 6 sonates en duo: Sonata in G minor, TWV 40:119
J.M.Leclair - Sonata for 2 Violins in C major
J.M.Leclair - Sonata for 2 Violins in F major
J.M.Leclair - Sonata for 2 Violins in A flat major
テレマンは、曲によってアルト+テナー、ソプラノ+テナー、ソプラノ+アルトなどと持ち替えられており、なかなか楽しい。音色や美妙なニュアンスのコントロール、そして何より発音の美しさは、さすがにロンデックスに軍配が上がるが、ブロディもなかなか健闘していると思う。あと個人的には、ルクレールの緩叙楽章のゆったりとした雰囲気が好きだ。寄せては返す波に揺られているような心地になる。
表面・裏面ジャケットのスキャンデータもお送りいただいた。裏面ジャケットには、ロンデックス氏とブロディ氏の対談が掲載されており、時間があったら訳してみるつもり。
以前、ブロディ氏からLPの盤起こしをしたCD-Rを購入したのだが(ブロディ氏が亡くなる2007年より前のことで、eBayに出品されていた)、最近木下直人さんに木下さんの復刻環境によるCD-Rをお送りいただいた。先日のTsukuba Saxophone Quartetの長野公演の際、木下さんにお越しいただいたのだが、メンバーがルクレールのデュオ・ソナタを吹いているのを聴いて、メンバーぶん復刻して送って下さったのだ。たいへん嬉しいことだ(ありがとうございました)。
1975年、原盤はCrest。おそらく擬似残響と思われる独特のサウンドを伴った演奏である。テクニックを聴いているとどちらがどちら、ということは容易にわかるのだが、実はあまり気にならず、純粋にデュエットの愉しみが前面に押し出されている。収録曲は以下のとおり。テレマンのカノン風ソナタからの4曲と、ルクレールのソナタから3曲。いずれもロンデックスが編曲したもので、Alphonse Leducより出版されているとのこと。
G.F.Handel - 12 canons melodieux, ou 6 sonates en duo: Sonata in G major, TWV 40:118
G.F.Handel - 12 Canons melodieux, ou 6 sonates en duo: Sonata in D major, TWV 40:120
G.F.Handel - 12 Canons melodieux, ou 6 sonates en duo: Sonata in A minor, TWV 40:123
G.F.Handel - 12 Canons melodieux, ou 6 sonates en duo: Sonata in G minor, TWV 40:119
J.M.Leclair - Sonata for 2 Violins in C major
J.M.Leclair - Sonata for 2 Violins in F major
J.M.Leclair - Sonata for 2 Violins in A flat major
テレマンは、曲によってアルト+テナー、ソプラノ+テナー、ソプラノ+アルトなどと持ち替えられており、なかなか楽しい。音色や美妙なニュアンスのコントロール、そして何より発音の美しさは、さすがにロンデックスに軍配が上がるが、ブロディもなかなか健闘していると思う。あと個人的には、ルクレールの緩叙楽章のゆったりとした雰囲気が好きだ。寄せては返す波に揺られているような心地になる。
表面・裏面ジャケットのスキャンデータもお送りいただいた。裏面ジャケットには、ロンデックス氏とブロディ氏の対談が掲載されており、時間があったら訳してみるつもり。
2012/12/25
復刻記事:小林秀雄(作曲家)のことば
4年ほど前に書いた記事より。
以下は、とある合唱曲集の冒頭に置かれた文章である。作曲家である小林秀雄が「最近の」合唱作品に対して思うことを、つづったもの。
----------
…私は、歌詞や内容のすべてが聴衆に完全に伝わる、明るい音楽を創作の中心に据えます。そして、粗雑で軽薄な音楽を廃します。
ところでわが国では、歌詞の内容やそれを歌う表現目的などが全く伝わってこず、ただひたすらコンクールやコンサートなどで大見得が切れるような、いうならば〈難しさのための難しさ〉を目的とした曲が量産され、また、なぜか暗い、深刻ぶった作品を〈明るく軽快でダイナミックな作品などよりも〉高く評価したがる、陰湿な精神主義がいまだに存在します。そうかと思うと「技巧よりも心」などといい、技術の拙劣さを心や情緒の話にすりかえてしまいます。
「明るい、わかりやすい音楽を、正格(※)な技術で演奏する。内容や心は、それに乗って滲みでてくる」。
これが音楽です。…(後略)
1984年7月 小林秀雄
※正格:規則の正しいこと。また規則にあてはまっていること。
----------
何という素晴らしい言葉であろうか。もっともシンプルでありここまで重要なことだけあって、逆にこうも断言できることが凄い。こんな言葉が活字になって出てくることなど、なかなかないとは思うのだが…。我々は、この言葉の前には無力であり、ただひれ伏すのみである。
アマチュア合唱界への言葉として留めておくのがもったいない。プロアマ問わず、"音楽"に携わるすべての作曲家と演奏家が、心に刻むべき言葉ではないだろうか。この当たり前のことを解って音楽に携わっている人が、いったい何人いるのだろうか。
以下は、とある合唱曲集の冒頭に置かれた文章である。作曲家である小林秀雄が「最近の」合唱作品に対して思うことを、つづったもの。
----------
…私は、歌詞や内容のすべてが聴衆に完全に伝わる、明るい音楽を創作の中心に据えます。そして、粗雑で軽薄な音楽を廃します。
ところでわが国では、歌詞の内容やそれを歌う表現目的などが全く伝わってこず、ただひたすらコンクールやコンサートなどで大見得が切れるような、いうならば〈難しさのための難しさ〉を目的とした曲が量産され、また、なぜか暗い、深刻ぶった作品を〈明るく軽快でダイナミックな作品などよりも〉高く評価したがる、陰湿な精神主義がいまだに存在します。そうかと思うと「技巧よりも心」などといい、技術の拙劣さを心や情緒の話にすりかえてしまいます。
「明るい、わかりやすい音楽を、正格(※)な技術で演奏する。内容や心は、それに乗って滲みでてくる」。
これが音楽です。…(後略)
1984年7月 小林秀雄
※正格:規則の正しいこと。また規則にあてはまっていること。
----------
何という素晴らしい言葉であろうか。もっともシンプルでありここまで重要なことだけあって、逆にこうも断言できることが凄い。こんな言葉が活字になって出てくることなど、なかなかないとは思うのだが…。我々は、この言葉の前には無力であり、ただひれ伏すのみである。
アマチュア合唱界への言葉として留めておくのがもったいない。プロアマ問わず、"音楽"に携わるすべての作曲家と演奏家が、心に刻むべき言葉ではないだろうか。この当たり前のことを解って音楽に携わっている人が、いったい何人いるのだろうか。
2012/12/24
演奏会ご案内:Amuser Saxophone Quartetteの演奏会
菊地麻利絵さんよりご案内いただいたサクソフォン四重奏の演奏会。今週木曜日、ティアラこうとうでのリサイタルである。平日、しかも自分の職場からは遠隔地ということだが、非常に挑戦的なプログラムでもあり、さらに入場料もかなりお安く設定されていて、なんとか伺いたいところ。ただ、仕事次第ではあるかなあ(開演時刻に間に合うのはちょっと厳しいかも)。
東京音楽大学の同窓生によるカルテットということだが、東京芸大、昭和音大、洗足音大以外からも、おもしろい演奏をするカルテットのグループが出現しており、なんとなく時代の移り変わりを感じる。
【Amuser Saxophone Quartette 1st Recital】
出演:Amuser Saxophone Quartette(河原翌真、菊地麻利絵、中村ちひろ、大野香菜)
日時:2012年12月27日(木)開演18:30
会場:ティアラこうとう 小ホール(都営新宿線・東京メトロ半蔵門線 住吉駅より徒歩5分)
料金:500円(全席自由)
プログラム:
J.フランセ - 小四重奏曲
P.I.チャイコフスキー - 弦楽四重奏曲第1番
J.S.バッハ - 目覚めよと呼ぶ声あり
D.マスランカ - マウンテン・ロード
そういえば、チャイコフスキーの弦楽四重奏曲をサクソフォンで演奏するのって、あまり聞いたことがないアイディアだ。第2楽章に言わずと知れた「アンダンテ・カンタービレ」を持つ名曲・かつ大曲(全部演奏すると30分くらいかかる)だが、サクソフォンでどのような響きを聴かせてくれるのだろうか。楽しみである。
※業務連絡:どなたかチラシの画像データ持ってらっしゃったら、この記事に貼り付けるのでぜひくださいませm(_ _)m
東京音楽大学の同窓生によるカルテットということだが、東京芸大、昭和音大、洗足音大以外からも、おもしろい演奏をするカルテットのグループが出現しており、なんとなく時代の移り変わりを感じる。
【Amuser Saxophone Quartette 1st Recital】
出演:Amuser Saxophone Quartette(河原翌真、菊地麻利絵、中村ちひろ、大野香菜)
日時:2012年12月27日(木)開演18:30
会場:ティアラこうとう 小ホール(都営新宿線・東京メトロ半蔵門線 住吉駅より徒歩5分)
料金:500円(全席自由)
プログラム:
J.フランセ - 小四重奏曲
P.I.チャイコフスキー - 弦楽四重奏曲第1番
J.S.バッハ - 目覚めよと呼ぶ声あり
D.マスランカ - マウンテン・ロード
そういえば、チャイコフスキーの弦楽四重奏曲をサクソフォンで演奏するのって、あまり聞いたことがないアイディアだ。第2楽章に言わずと知れた「アンダンテ・カンタービレ」を持つ名曲・かつ大曲(全部演奏すると30分くらいかかる)だが、サクソフォンでどのような響きを聴かせてくれるのだろうか。楽しみである。
※業務連絡:どなたかチラシの画像データ持ってらっしゃったら、この記事に貼り付けるのでぜひくださいませm(_ _)m
2012/12/23
埼玉大学吹奏楽部第48回定期演奏会
【埼玉大学吹奏楽部第48回定期演奏会】
出演:埼玉大学吹奏楽部、近藤久敦(客演指揮)、舩越孝太、池上龍一(以上指揮)
日時:2012年12月23日(日曜)14:00開演
会場:さいたま市文化会館おおみや
プログラム:
福島弘和 - 祝典のためのファンファーレ(委嘱作品・初演)
酒井格 - 森の贈り物
天野正道 - 交響組曲「GR」よりシンフォニックセレクション
G.ビゼー/G.イアシッリ - 「アルルの女」第2組曲よりファランドール
近藤久敦 - ファンファーレ&マーチ「イン・メモリアル」
A.グラズノフ/仲田守 - サクソフォン協奏曲(客演独奏:大津立史)
P.スパーク - 交響曲第一番"大地・水・太陽・風"
J.ヴァン=デル=ロースト - カンタベリー・コラール(アンコール)
A.リード - 交響組曲第一番よりギャロップ(アンコール)
創部50周年の記念演奏会とのこと。開場直後位の時刻に文化会館に到着したのだが、驚くほどの長蛇の列。会場内も、見た目9割5分の座席が埋まる大盛況。この盛り具合は毎度のことだが、どんな宣伝をしているのだろう。すごいなあ。
福島弘和氏への委嘱作品から演奏会がスタート。現代日本の吹奏楽界におけるスタンダードな響きで、50周年に相応しい佳曲。学生指揮者として出てきた舩越さんという方は、ソツなく…というレベルを超えてバンドからダイナミックな響きを引き出していた。プログラム冊子の紹介文を読んでみると、教育学部の作曲専攻に在籍しているとのことで、そういった裏付けがある指揮なのだなと感心した。なんだか、このまま常任指揮者にでもなってしまいそうな勢いだ。
酒井格「森の贈り物」という描写音楽のような作品を経て、第一部最後はおなじみ「GR」。数年前に吹奏楽界で爆発的にヒットしたことは記憶に新しく、最近ではさすがに演奏機会は減っているはずだが、天野正道氏の泣かせるメロディや見事なオーケストレーションはやはり魅力満載。15分近くに及ぶ大曲を集中して聴き通してしまった。この曲を知らないかたでも楽しめるような演奏に仕上がっていたと思う。
第二部は、まずビゼーの賑やかな「ファランドール」を。その昔、埼玉大学吹奏楽部が、音楽専攻の発表会から独立して演奏会を開催し始めた時のメイン曲が「アルルの女」組曲だったとのこと。冒頭、ちょっと弦楽入りのオーケストラっぽいサウンドすら聴こえて驚き。続いて近藤久敦氏が登場。30周年記念演奏会の折に作曲したという自作「イン・メモリアル」を。すこし斜めに構えたファンファーレ(グラスハープまで入っている)と、まるでアンコール曲のようなマーチの対比が面白い。しかしあの指揮で有名な近藤氏が作曲をなさるとは思わなかった。解説によると、公式作はこの作品だけだそうだが(笑)。
二部の最後はグラズノフの「サクソフォン協奏曲」をシエナWOのメンバーとしても有名な大津立史氏の独奏で。もちろん、仲田守氏のアレンジである。毎年、定期演奏会の折に高確率で協奏曲を取り上げるというのはなかなかバンドにとってハードだが、今年も良い演奏を堪能した。大津氏の独奏はとても高いテクニックを伴ったもので、清潔感あふれるスマートな、サクソフォン奏者のお手本となるべき内容である。ただ、この曲に独奏としてのオリジナリティを付与するというとなかなか難しいところなのかなとも思ってしまったのだった(バックが管楽アンサンブルだっただけに、余計にそう思ったのかもしれない)。アンコールは、福田洋介「さくらのうた」のサクソフォン+ピアノ版。会場が沸いた。
最後は、部員全員揃ってのフィリップ・スパーク「交響曲第一番"大地・水・太陽・風"」を、近藤氏の指揮で。埼玉大学吹奏楽部の演奏は三回目の観覧になるが、毎年ステージに120人前後の奏者が所狭しと並び集結する様子は圧巻である。この編成で、グレインジャー「ローマの権力とキリスト教徒の心」なんて演奏してくれたら凄いだろうなあ…まあ、ありえないだろうけど。
スパークの第一番は、学生だった当時所属していた大学の吹奏楽団で、8年前くらい前にテナーサックスのパートを演奏したことがあり、懐かしく聴いた。曲のとらえどころの無さ…妙にテクニカルな木管パート、新主題出現しまくり、交響曲なのにソナタ形式楽章皆無、30分近くに及ぶ演奏時間…といったところはなかなか演奏者にとって大変なはず。さすがに細かい場所ではいろいろあったようだが、120人がひとつの目指すベクトルを共有して、この曲の再現に成功していた。もちろん近藤氏の手腕によるところも大きかっただろうが、それのみならずバンド全体にしっかりとした地力がある証拠だ。あるひとつのパートでも技量的に劣れば、たちまちそこから崩壊してしまう作品だと思うが、まったくそんなことはなかった。作品としては、第三楽章でシンセサイザーが導入されていることの高い効果に感じ入ったのだった。冒頭なんて、まるでリゲティの「レクイエム」のようにも聴こえたぞ(さすがにそれは言い過ぎかしらん)。
アンコールは、ヤン・ヴァン=デル=ロースト「カンタベリーコラール」。好きな曲なのでこれは嬉しい!そして最後の最後に、埼玉大学吹奏楽部の演奏会ではおなじみのアルフレッド・リード「第一組曲」から「ギャロップ」を。
50周年記念ということもバイアスとしてあるのだろうが、単純なひとつの演奏会としては捉えられない、過去から未来に続く歴史の重み…いや、歴史そのもののような演奏会であったと感じた。部外者の私ですらこんな調子なのだから、会場にいたであろう埼玉大学吹奏楽部のOB/OGの皆様は、今回の演奏会をどう捉えたのだろうか。気になるところだ。
終演後は、ラーメン二郎大宮店(会場に向かう最中に見つけた)に寄ってから帰還。実は二郎デビューだった。
出演:埼玉大学吹奏楽部、近藤久敦(客演指揮)、舩越孝太、池上龍一(以上指揮)
日時:2012年12月23日(日曜)14:00開演
会場:さいたま市文化会館おおみや
プログラム:
福島弘和 - 祝典のためのファンファーレ(委嘱作品・初演)
酒井格 - 森の贈り物
天野正道 - 交響組曲「GR」よりシンフォニックセレクション
G.ビゼー/G.イアシッリ - 「アルルの女」第2組曲よりファランドール
近藤久敦 - ファンファーレ&マーチ「イン・メモリアル」
A.グラズノフ/仲田守 - サクソフォン協奏曲(客演独奏:大津立史)
P.スパーク - 交響曲第一番"大地・水・太陽・風"
J.ヴァン=デル=ロースト - カンタベリー・コラール(アンコール)
A.リード - 交響組曲第一番よりギャロップ(アンコール)
創部50周年の記念演奏会とのこと。開場直後位の時刻に文化会館に到着したのだが、驚くほどの長蛇の列。会場内も、見た目9割5分の座席が埋まる大盛況。この盛り具合は毎度のことだが、どんな宣伝をしているのだろう。すごいなあ。
福島弘和氏への委嘱作品から演奏会がスタート。現代日本の吹奏楽界におけるスタンダードな響きで、50周年に相応しい佳曲。学生指揮者として出てきた舩越さんという方は、ソツなく…というレベルを超えてバンドからダイナミックな響きを引き出していた。プログラム冊子の紹介文を読んでみると、教育学部の作曲専攻に在籍しているとのことで、そういった裏付けがある指揮なのだなと感心した。なんだか、このまま常任指揮者にでもなってしまいそうな勢いだ。
酒井格「森の贈り物」という描写音楽のような作品を経て、第一部最後はおなじみ「GR」。数年前に吹奏楽界で爆発的にヒットしたことは記憶に新しく、最近ではさすがに演奏機会は減っているはずだが、天野正道氏の泣かせるメロディや見事なオーケストレーションはやはり魅力満載。15分近くに及ぶ大曲を集中して聴き通してしまった。この曲を知らないかたでも楽しめるような演奏に仕上がっていたと思う。
第二部は、まずビゼーの賑やかな「ファランドール」を。その昔、埼玉大学吹奏楽部が、音楽専攻の発表会から独立して演奏会を開催し始めた時のメイン曲が「アルルの女」組曲だったとのこと。冒頭、ちょっと弦楽入りのオーケストラっぽいサウンドすら聴こえて驚き。続いて近藤久敦氏が登場。30周年記念演奏会の折に作曲したという自作「イン・メモリアル」を。すこし斜めに構えたファンファーレ(グラスハープまで入っている)と、まるでアンコール曲のようなマーチの対比が面白い。しかしあの指揮で有名な近藤氏が作曲をなさるとは思わなかった。解説によると、公式作はこの作品だけだそうだが(笑)。
二部の最後はグラズノフの「サクソフォン協奏曲」をシエナWOのメンバーとしても有名な大津立史氏の独奏で。もちろん、仲田守氏のアレンジである。毎年、定期演奏会の折に高確率で協奏曲を取り上げるというのはなかなかバンドにとってハードだが、今年も良い演奏を堪能した。大津氏の独奏はとても高いテクニックを伴ったもので、清潔感あふれるスマートな、サクソフォン奏者のお手本となるべき内容である。ただ、この曲に独奏としてのオリジナリティを付与するというとなかなか難しいところなのかなとも思ってしまったのだった(バックが管楽アンサンブルだっただけに、余計にそう思ったのかもしれない)。アンコールは、福田洋介「さくらのうた」のサクソフォン+ピアノ版。会場が沸いた。
最後は、部員全員揃ってのフィリップ・スパーク「交響曲第一番"大地・水・太陽・風"」を、近藤氏の指揮で。埼玉大学吹奏楽部の演奏は三回目の観覧になるが、毎年ステージに120人前後の奏者が所狭しと並び集結する様子は圧巻である。この編成で、グレインジャー「ローマの権力とキリスト教徒の心」なんて演奏してくれたら凄いだろうなあ…まあ、ありえないだろうけど。
スパークの第一番は、学生だった当時所属していた大学の吹奏楽団で、8年前くらい前にテナーサックスのパートを演奏したことがあり、懐かしく聴いた。曲のとらえどころの無さ…妙にテクニカルな木管パート、新主題出現しまくり、交響曲なのにソナタ形式楽章皆無、30分近くに及ぶ演奏時間…といったところはなかなか演奏者にとって大変なはず。さすがに細かい場所ではいろいろあったようだが、120人がひとつの目指すベクトルを共有して、この曲の再現に成功していた。もちろん近藤氏の手腕によるところも大きかっただろうが、それのみならずバンド全体にしっかりとした地力がある証拠だ。あるひとつのパートでも技量的に劣れば、たちまちそこから崩壊してしまう作品だと思うが、まったくそんなことはなかった。作品としては、第三楽章でシンセサイザーが導入されていることの高い効果に感じ入ったのだった。冒頭なんて、まるでリゲティの「レクイエム」のようにも聴こえたぞ(さすがにそれは言い過ぎかしらん)。
アンコールは、ヤン・ヴァン=デル=ロースト「カンタベリーコラール」。好きな曲なのでこれは嬉しい!そして最後の最後に、埼玉大学吹奏楽部の演奏会ではおなじみのアルフレッド・リード「第一組曲」から「ギャロップ」を。
50周年記念ということもバイアスとしてあるのだろうが、単純なひとつの演奏会としては捉えられない、過去から未来に続く歴史の重み…いや、歴史そのもののような演奏会であったと感じた。部外者の私ですらこんな調子なのだから、会場にいたであろう埼玉大学吹奏楽部のOB/OGの皆様は、今回の演奏会をどう捉えたのだろうか。気になるところだ。
終演後は、ラーメン二郎大宮店(会場に向かう最中に見つけた)に寄ってから帰還。実は二郎デビューだった。
"「風の谷のナウシカ」より組曲5つのメロディー"の楽譜
長らく絶版となっていたチェロとピアノのデュオ楽譜、久石譲/藤原真理編の"「風の谷のナウシカ」より組曲5つのメロディー"、待望の重版。ご興味ある方は下記リンクからどうぞ。
http://shop.zen-on.co.jp/p/932001
普段からテナー or バリトンサクソフォンに取り組んでいる方で、この曲をサクソフォンで吹きたいと思っていた人は多いことだろう。よく知られているところでは、宗貞啓二先生が「ベル・カント(Brain Music)」というアルバムでこの作品をテナーで取り上げている。
アレンジや演奏に際してどのような手続きが必要であるかは詳しく調べていないが、楽譜が絶版であればそもそもの第一歩も踏み出せなかったわけで、まずはめでたい。
http://shop.zen-on.co.jp/p/932001
普段からテナー or バリトンサクソフォンに取り組んでいる方で、この曲をサクソフォンで吹きたいと思っていた人は多いことだろう。よく知られているところでは、宗貞啓二先生が「ベル・カント(Brain Music)」というアルバムでこの作品をテナーで取り上げている。
アレンジや演奏に際してどのような手続きが必要であるかは詳しく調べていないが、楽譜が絶版であればそもそもの第一歩も踏み出せなかったわけで、まずはめでたい。
2012/12/22
クロード・ドビュッシー生誕150周年企画コンサート(佐藤淳一博士による)
2012年のうちに聴きに伺うコンサートはこれが最後のはず。本当に素晴らしい催しで、この年を締めくくるに相応しいコンサートだったと思う。いや、この企画を単純に「コンサート」と分類しようとしている自分も、何だか変だな…。
【クロード・ドビュッシー生誕150周年企画コンサート】
出演:佐藤淳一(sax, 解説)、大城正司、貝沼拓実、伊藤あさぎ(以上sax)、佐野隆哉(pf)
日時:2012年12月21日(金曜)18:00開演
会場:アクタス ノナカ・アンナホール
プログラム:
~オープニングイベント~
佐藤淳一 - 映像と音で巡るドビュッシー《ラプソディ》の世界
~コンサート~
C.ドビュッシー - ラプソディ(Durand版)貝沼拓実
C.ドビュッシー - ラプソディ(Ries&Erler版:日本初演)伊藤あさぎ
C.ドビュッシー - ラプソディ(Henle版)大城正司
C.ドビュッシー - ベルガマスク組曲よりプレリュード&パスピエ
C.ドビュッシー - 弦楽四重奏曲第一番
C.ドビュッシー - 小組曲よりバレエ(アンコール)
会社を定時退社してアクタスへ。5分ほど遅刻してしまったが、オープニングイベントの大半を聴講することができた。佐藤淳一さんによるプレゼンテーションは、オープニングイベントのみならず、ドビュッシー「ラプソディ」の曲間にも及び、ドビュッシーの生い立ち、ラプソディの成立、エリザ・ホールの人物像、ラプソディの録音、ラプソディの編曲について、これまで知られていなかった/誤解されていた内容を覆す研究結果が数多く話された。また、いくつかの貴重な録音…Viardによる世界初録音、ラッシャーとニューヨークフィル、故S氏と芸大オケなど、どれもあまり一般には知られていないものであるため、とても良い機会であったと思う。全体のプレゼンテーション構成も素晴らしく、面白い出来事に絞ってポイントを押さえながら話していくあたり、聞き手としてもとても話を追いやすかったのであった。さすが佐藤さんである。
プレゼンテーション内容のメモ書き羅列は後日ブログにも掲載するつもりだが…ひとつ例を書いておく:
ラプソディの世界初録音は一般的にMaurice Viardの演奏によるもの、とされているが(Pearlから出版されている復刻CDにもそのように掲載されている)実は間違いで、 本当はJules Viardという名前のサクソフォン奏者であるということ。プレスされたグラモフォンのSPのラベルに、
Direction: M. Piero COPPOLA
Saxophone: M. Viard
と書かれていたため、Monsieurを表すM.がファーストネームと誤解され、他の奏者であるMaurice Viardと間違われたのではないかという推測がなされていた…この他のどの話題についても、目からウロコが落ちる思いだった。
プレゼンテーションの中で話された資料のデジタルアーカイブは、下記リンクからどうぞ。
ドビュッシーの自筆譜→こちら
ジェイムズ・ノイズ氏による「ラプソディ」黄金分割に関する考察を行った論文→こちら
ニュヨーク・フィルハーモニー管弦楽団所蔵のスコア。小澤征爾氏によるものと思われる筆跡も見られる→こちら
ヤング・ピープルズ・コンサートのプログラム冊子→こちら
ニュヨーク・フィルハーモニー管弦楽団とElkan-Vogel社による「ラプソディ」のアレンジをめぐっての往復書簡についてはここから参照できる→こちら
今回のプレゼンテーションは、佐藤淳一さんが執筆した論文「クロード・ドビュッシー《ラプソディ》を巡る諸問題に対する考察」が基となっている。この論文は、来年1月発行予定の、日本サクソフォーン協会発行の機関誌「サクソフォニスト」に掲載予定である。すでに校正段階に入っており、私も一読したのだが、ドビュッシー「ラプソディ」に関わりある方々は、ぜひ入会の上(笑)ご一読を。年会費3600円というのは破格だと思うのだが、あまり私の周りで入っている人はいないなあ。
19:00からはコンサート。3つの版をひとつのコンサートで聴けるなど、こんな企画でなければ絶対実現しない。1つ目のDurand版は、オーケストラのリダクションであり、サクソフォンのパートはそのまま。貝沼拓実さんの演奏は、音が少ないぶんその一発一発にかける気迫を感じ、ものすごい集中力のまま最後まで聴き通してしまった。「一音の重みが違う」とはご本人のことば。対してピアノパートは非常に高難易度であったが、やはり佐野氏のピアノはさすがである。薄明かりのような冒頭の和声から、遠くから聴こえてくるハバネラのリズム、そしてオーケストラの協奏のような部分など、多種多様な音色を確実に引き出していく。
2つ目はRies&Erler版(Detlef Bensmannのアレンジ)を伊藤あさぎさんの演奏で。これはまずアレンジの突拍子無さに驚かされた。随所でのソプラノとアルトの持ち替え、無伴奏カデンツァ(重音まで交えるなど…)、クライマックスでのフラジオ音域の多用など、強烈なものだ。伊藤あさぎさんの演奏をソロできちんと聴くのは久々。フランス留学を経て、音色に対する捉え方が変わっているような印象を受けた。テクニックはもともと素晴らしいものを持っていたが、その方面もさらに洗練されたようだ。来年3月にはリサイタルも予定しているとのことで、楽しみだ。
3つ目は2010年に出版されたHenleのUrtext版。ドビュッシーの自筆譜をもとにいちから作りなおした版であり、現存するアレンジ譜の中で最もドビュッシーの意図に近いものになっていると言えるだろう。実演では初めて聴いたがこれはとても面白い!もし仮に(ないだろうけど)私がラプソディを演奏するとしたら、この版を使うことだろう。大城正司さんの演奏を聴くのも久々で、音色・テクニック・音楽性等、その魅力を挙げていけばキリがないのだが、いちばん驚いたのがアンナホールの音響の悪さを感じさせない…といか、演奏でその音響の悪さをカヴァーしてしまうようなところである。アンナホールではこれまでも様々な演奏を聴いているが、あの音響の悪さをカヴァーできる演奏家は稀である。驚嘆してしまった。
後半は、ソプラノ:大城正司氏、アルト:伊藤あさぎ氏、テナー:貝沼拓実氏、バリトン:佐藤淳一氏という布陣でドビュッシーの2曲「ベルガマスク組曲よりプレリュード&パスピエ」「弦楽四重奏曲第一番」を。この企画のための即席のカルテットだということを感じさせない、素晴らしい演奏だった。この4人が集まるとどうなってしまうのかと思っていたのだが、ベルガマスクの冒頭を聴いた瞬間から音色のブレンド感に驚き、そのまま最後まで行ってしまった。弦楽四重奏曲の第3楽章の、グレゴリオ賛歌のような美しさに気づけたのも収穫。アンコールは、小組曲より「バレエ」。
佐藤さん曰く「自分は演奏者であり、物書きでもあるが、書いて終わりではなく、このような機会を企画することで多くの人に「ラプソディ」のことについて知ってほしい」「インターネットで沢山の情報が手に入る時代だからこそ、現地へ赴くことが重要。ニューイングランド音楽院でドビュッシーの手稿を手にし、参照して得られることがたくさんあった」という力強い言葉の数々に大いに共感した。目標にするのもおこがましいほどだが、私も佐藤さんのことを見習わなければ。
恐縮なことに打ち上げにも参加させてもらい、出演の方々といろいろお話することができた。楽しかったなーーー。また、現在マンハッタン音楽院でPaul Cohen氏のもとサクソフォンを学ぶWonki Leeさんに初めてお会いし、ご挨拶することができた。打ち上げにもいらっしゃったため、その席でもラッシャーやイベールについていろいろと情報を提供いただくことができた。やはりマンハッタン音楽院をそのうち訪問しなければ(笑)。
【クロード・ドビュッシー生誕150周年企画コンサート】
出演:佐藤淳一(sax, 解説)、大城正司、貝沼拓実、伊藤あさぎ(以上sax)、佐野隆哉(pf)
日時:2012年12月21日(金曜)18:00開演
会場:アクタス ノナカ・アンナホール
プログラム:
~オープニングイベント~
佐藤淳一 - 映像と音で巡るドビュッシー《ラプソディ》の世界
~コンサート~
C.ドビュッシー - ラプソディ(Durand版)貝沼拓実
C.ドビュッシー - ラプソディ(Ries&Erler版:日本初演)伊藤あさぎ
C.ドビュッシー - ラプソディ(Henle版)大城正司
C.ドビュッシー - ベルガマスク組曲よりプレリュード&パスピエ
C.ドビュッシー - 弦楽四重奏曲第一番
C.ドビュッシー - 小組曲よりバレエ(アンコール)
会社を定時退社してアクタスへ。5分ほど遅刻してしまったが、オープニングイベントの大半を聴講することができた。佐藤淳一さんによるプレゼンテーションは、オープニングイベントのみならず、ドビュッシー「ラプソディ」の曲間にも及び、ドビュッシーの生い立ち、ラプソディの成立、エリザ・ホールの人物像、ラプソディの録音、ラプソディの編曲について、これまで知られていなかった/誤解されていた内容を覆す研究結果が数多く話された。また、いくつかの貴重な録音…Viardによる世界初録音、ラッシャーとニューヨークフィル、故S氏と芸大オケなど、どれもあまり一般には知られていないものであるため、とても良い機会であったと思う。全体のプレゼンテーション構成も素晴らしく、面白い出来事に絞ってポイントを押さえながら話していくあたり、聞き手としてもとても話を追いやすかったのであった。さすが佐藤さんである。
プレゼンテーション内容のメモ書き羅列は後日ブログにも掲載するつもりだが…ひとつ例を書いておく:
ラプソディの世界初録音は一般的にMaurice Viardの演奏によるもの、とされているが(Pearlから出版されている復刻CDにもそのように掲載されている)実は間違いで、 本当はJules Viardという名前のサクソフォン奏者であるということ。プレスされたグラモフォンのSPのラベルに、
Direction: M. Piero COPPOLA
Saxophone: M. Viard
と書かれていたため、Monsieurを表すM.がファーストネームと誤解され、他の奏者であるMaurice Viardと間違われたのではないかという推測がなされていた…この他のどの話題についても、目からウロコが落ちる思いだった。
プレゼンテーションの中で話された資料のデジタルアーカイブは、下記リンクからどうぞ。
ドビュッシーの自筆譜→こちら
ジェイムズ・ノイズ氏による「ラプソディ」黄金分割に関する考察を行った論文→こちら
ニュヨーク・フィルハーモニー管弦楽団所蔵のスコア。小澤征爾氏によるものと思われる筆跡も見られる→こちら
ヤング・ピープルズ・コンサートのプログラム冊子→こちら
ニュヨーク・フィルハーモニー管弦楽団とElkan-Vogel社による「ラプソディ」のアレンジをめぐっての往復書簡についてはここから参照できる→こちら
今回のプレゼンテーションは、佐藤淳一さんが執筆した論文「クロード・ドビュッシー《ラプソディ》を巡る諸問題に対する考察」が基となっている。この論文は、来年1月発行予定の、日本サクソフォーン協会発行の機関誌「サクソフォニスト」に掲載予定である。すでに校正段階に入っており、私も一読したのだが、ドビュッシー「ラプソディ」に関わりある方々は、ぜひ入会の上(笑)ご一読を。年会費3600円というのは破格だと思うのだが、あまり私の周りで入っている人はいないなあ。
19:00からはコンサート。3つの版をひとつのコンサートで聴けるなど、こんな企画でなければ絶対実現しない。1つ目のDurand版は、オーケストラのリダクションであり、サクソフォンのパートはそのまま。貝沼拓実さんの演奏は、音が少ないぶんその一発一発にかける気迫を感じ、ものすごい集中力のまま最後まで聴き通してしまった。「一音の重みが違う」とはご本人のことば。対してピアノパートは非常に高難易度であったが、やはり佐野氏のピアノはさすがである。薄明かりのような冒頭の和声から、遠くから聴こえてくるハバネラのリズム、そしてオーケストラの協奏のような部分など、多種多様な音色を確実に引き出していく。
2つ目はRies&Erler版(Detlef Bensmannのアレンジ)を伊藤あさぎさんの演奏で。これはまずアレンジの突拍子無さに驚かされた。随所でのソプラノとアルトの持ち替え、無伴奏カデンツァ(重音まで交えるなど…)、クライマックスでのフラジオ音域の多用など、強烈なものだ。伊藤あさぎさんの演奏をソロできちんと聴くのは久々。フランス留学を経て、音色に対する捉え方が変わっているような印象を受けた。テクニックはもともと素晴らしいものを持っていたが、その方面もさらに洗練されたようだ。来年3月にはリサイタルも予定しているとのことで、楽しみだ。
3つ目は2010年に出版されたHenleのUrtext版。ドビュッシーの自筆譜をもとにいちから作りなおした版であり、現存するアレンジ譜の中で最もドビュッシーの意図に近いものになっていると言えるだろう。実演では初めて聴いたがこれはとても面白い!もし仮に(ないだろうけど)私がラプソディを演奏するとしたら、この版を使うことだろう。大城正司さんの演奏を聴くのも久々で、音色・テクニック・音楽性等、その魅力を挙げていけばキリがないのだが、いちばん驚いたのがアンナホールの音響の悪さを感じさせない…といか、演奏でその音響の悪さをカヴァーしてしまうようなところである。アンナホールではこれまでも様々な演奏を聴いているが、あの音響の悪さをカヴァーできる演奏家は稀である。驚嘆してしまった。
後半は、ソプラノ:大城正司氏、アルト:伊藤あさぎ氏、テナー:貝沼拓実氏、バリトン:佐藤淳一氏という布陣でドビュッシーの2曲「ベルガマスク組曲よりプレリュード&パスピエ」「弦楽四重奏曲第一番」を。この企画のための即席のカルテットだということを感じさせない、素晴らしい演奏だった。この4人が集まるとどうなってしまうのかと思っていたのだが、ベルガマスクの冒頭を聴いた瞬間から音色のブレンド感に驚き、そのまま最後まで行ってしまった。弦楽四重奏曲の第3楽章の、グレゴリオ賛歌のような美しさに気づけたのも収穫。アンコールは、小組曲より「バレエ」。
佐藤さん曰く「自分は演奏者であり、物書きでもあるが、書いて終わりではなく、このような機会を企画することで多くの人に「ラプソディ」のことについて知ってほしい」「インターネットで沢山の情報が手に入る時代だからこそ、現地へ赴くことが重要。ニューイングランド音楽院でドビュッシーの手稿を手にし、参照して得られることがたくさんあった」という力強い言葉の数々に大いに共感した。目標にするのもおこがましいほどだが、私も佐藤さんのことを見習わなければ。
恐縮なことに打ち上げにも参加させてもらい、出演の方々といろいろお話することができた。楽しかったなーーー。また、現在マンハッタン音楽院でPaul Cohen氏のもとサクソフォンを学ぶWonki Leeさんに初めてお会いし、ご挨拶することができた。打ち上げにもいらっしゃったため、その席でもラッシャーやイベールについていろいろと情報を提供いただくことができた。やはりマンハッタン音楽院をそのうち訪問しなければ(笑)。
2012/12/20
ソプラノ2題 on YouTube
明日は渋谷アクタスでコレです。楽しみ~。
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現代のサクソフォンの技術の上昇は…ちょっと想像を絶するほどであまり耳がついていかないくらいなのだが、留まることを知らない。数年前、Vincent Davidが取り上げたハチャトゥリアン「ヴァイオリン協奏曲」の第1楽章を、次の世代のプレイヤーが演奏するような時代である。今朝、松下洋さんのFacebookタイムラインから流れてきた動画である。
独奏のジョシュア=マルコム・ハイドは、前回のJML国際優勝でも有名だろう。この曲、数年前に小川卓朗さんが国内でも取り上げたが、あと何年かしたら国内の音大生がレパートリーとして組み入れられるほどになってしまうのだろうか。バックはパリ音楽院のアンサンブル。本堂誠さん、外山舞さんの演奏姿を観ることができる。
もうひとつ、Adolphesax.comのタイムラインから。おなじみ、スペインのアントニオ=フェリペ・ベリヤル氏の演奏動画。カールハインツ・シュトックハウゼンの「少年のデュエット」である。シュトックハウゼンのサクソフォン作品集で、ジュリアン・プティ氏とフェリペ氏がデュオを組んで吹いていたのを思い出した。
こちらの二重奏もいいですね。ヘンデル/J.halvorsen編の「パッサカリア」。本来はヴァイオリンとチェロで演奏される。
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現代のサクソフォンの技術の上昇は…ちょっと想像を絶するほどであまり耳がついていかないくらいなのだが、留まることを知らない。数年前、Vincent Davidが取り上げたハチャトゥリアン「ヴァイオリン協奏曲」の第1楽章を、次の世代のプレイヤーが演奏するような時代である。今朝、松下洋さんのFacebookタイムラインから流れてきた動画である。
独奏のジョシュア=マルコム・ハイドは、前回のJML国際優勝でも有名だろう。この曲、数年前に小川卓朗さんが国内でも取り上げたが、あと何年かしたら国内の音大生がレパートリーとして組み入れられるほどになってしまうのだろうか。バックはパリ音楽院のアンサンブル。本堂誠さん、外山舞さんの演奏姿を観ることができる。
もうひとつ、Adolphesax.comのタイムラインから。おなじみ、スペインのアントニオ=フェリペ・ベリヤル氏の演奏動画。カールハインツ・シュトックハウゼンの「少年のデュエット」である。シュトックハウゼンのサクソフォン作品集で、ジュリアン・プティ氏とフェリペ氏がデュオを組んで吹いていたのを思い出した。
こちらの二重奏もいいですね。ヘンデル/J.halvorsen編の「パッサカリア」。本来はヴァイオリンとチェロで演奏される。
2012/12/19
Branford Marsalis with NY Philharmonic
おなじみ、佐藤淳一さんに、ブランフォード・マルサリス Branford Marsalis氏とニューヨーク・フィルハーモニックが共演した録音を聴かせてもらった。ブランフォード・マルサリス氏と言えば、言わずと知れたアメリカの著名なジャズ・サクソフォン奏者であるが、クラシック・サクソフォンにも造詣が深く、「Creation(Sony)」などの全編クラシックのアルバムを制作するなどしている。さらに面白いのは、ジャズサクソフォン奏者ならではのエッセンスをクラシックの録音に持ち込むことであり、例えば「Creation」に収録されているイベール「コンチェルティーノ・ダ・カメラ」の第3楽章では、楽譜を無視して長時間にわたりオリジナルのジャズ風カデンツを吹きまくる、という具合である。
そのマルサリス氏がグラズノフの「サクソフォン協奏曲」と、シュルホフ「ホット・ソナタ」(しかもベネットのアレンジ!YouTubeにはジョン・ハール氏の演奏もアップされている)を吹いた録音ということで、面白くないはずがない。
Cond: Andrey Boreyko
Orch: New York Philharmonic
Joseph Haydn - Symphony No.60
Alexandre Glazounov - Concerto (saxophone: B.Marsalis)
Erwin Schulhoff/Richard Rodney Bennett - Hot Sonata
Richard Strauss - Suite from the comédie-ballet "Le Bourgeois Gentilhomme"
全編を俯瞰すれば非常にまっとうな解釈だ。音色も、想像していたものよりもずっとクラシックに近い。グラズノフの細かいアゴーギクやヴィブラートの掛け方では「おっ? or おぉっ!!」という2パターンの驚きが時折聴かれるが、どちらかと言えばよりプラスの傾向に働いている箇所が多いと思う。シュルホフは、もともとがあのスタイルなので、さらに自然に聴こえる。
やはり特筆すべきはグラズノフでのカデンツァだろう。およそ2分にわたるネオ・クラシック風のカデンツァだが、これは即興なのだろうか?「Creation」でのイベール並に音をばらまきながら進行する。時折、主題の回帰なども見られ、とてもセンス溢れる内容だ。このカデンツァだったら、楽譜として売りだせば売れるんじゃないかなとも思ってしまう。サックス吹きならば一度聴いてみるべき。
YouTubeには、公式のプロモーション動画(おそらく演奏会前に撮られたものだろう)がアップされていた。
そのマルサリス氏がグラズノフの「サクソフォン協奏曲」と、シュルホフ「ホット・ソナタ」(しかもベネットのアレンジ!YouTubeにはジョン・ハール氏の演奏もアップされている)を吹いた録音ということで、面白くないはずがない。
Cond: Andrey Boreyko
Orch: New York Philharmonic
Joseph Haydn - Symphony No.60
Alexandre Glazounov - Concerto (saxophone: B.Marsalis)
Erwin Schulhoff/Richard Rodney Bennett - Hot Sonata
Richard Strauss - Suite from the comédie-ballet "Le Bourgeois Gentilhomme"
全編を俯瞰すれば非常にまっとうな解釈だ。音色も、想像していたものよりもずっとクラシックに近い。グラズノフの細かいアゴーギクやヴィブラートの掛け方では「おっ? or おぉっ!!」という2パターンの驚きが時折聴かれるが、どちらかと言えばよりプラスの傾向に働いている箇所が多いと思う。シュルホフは、もともとがあのスタイルなので、さらに自然に聴こえる。
やはり特筆すべきはグラズノフでのカデンツァだろう。およそ2分にわたるネオ・クラシック風のカデンツァだが、これは即興なのだろうか?「Creation」でのイベール並に音をばらまきながら進行する。時折、主題の回帰なども見られ、とてもセンス溢れる内容だ。このカデンツァだったら、楽譜として売りだせば売れるんじゃないかなとも思ってしまう。サックス吹きならば一度聴いてみるべき。
YouTubeには、公式のプロモーション動画(おそらく演奏会前に撮られたものだろう)がアップされていた。
2012/12/18
ISSAC慰労会
昨日は西新宿の白銀屋にて、日下部任良さん、吉田優さん、木村佳さんたちと一緒に、10月に開かれたISSAC(The International Saxophone Symposium And Competition)の慰労会。慰労会というわりにはISSACの話がこれっぽっちも出なかったので、まあいわゆる普通の飲み会ですね(笑)仕事がおして到着がだいぶ遅くなってしまったが、なんとか伺えて良かった。最終的に10人くらい集まったかな?楽しかった!
シメは、ラーメン…ではなくて東京麺通団のうどん。これまた美味しかったー。身体には悪そうだが(^^;。
シメは、ラーメン…ではなくて東京麺通団のうどん。これまた美味しかったー。身体には悪そうだが(^^;。
2012/12/17
ご案内:佐藤淳一「映像と音で巡るドビュッシー《ラプソディ》の世界」
今年も残り僅かとなってきたが、今週末にまた魅力的なコンサートが控えている。佐藤淳一さんがドビュッシー・イヤーの最後に企画するとびきりの演奏会。今年の研究内容(アメリカまで行っていろいろ調べてきたそうだ)であるドビュッシー「ラプソディ」について、その成果を聞/聴くことができるコンサート。アンナホールという小さな会場であることがちょっと残念ではあるが、ぜひ時間の空いている方は伺ってみては。
レクチャーからぜひ聞ければと思うが、間に合うかな。それから個人的興味は、伊藤あさぎさんが演奏を担当する「Ries&Erler版のラプソディ」…これは聴いたことの無い方にはぜひ聴いてほしいところ。けっこう衝撃的かも。
以下、佐藤淳一さんからのメールを引用。
----------
一つ目はクロード・ドビュッシー生誕150周年を記念してドビュッシーの《ラプソディ》を中心としたコンサートを企画致しました。開演前の18時からは「映像と音で巡るドビュッシー《ラプソディ》の世界」と題して、私が今年の9月に渡米して持ち帰った《ラプソディ》の資料を元にした曲の説明や、ホール夫人の再評価、珍しい音源などを交えたプレトークとしまして皆さんにお話ししたいと思います。もし当日お時間がある方はこちらからご参加頂けると後半のコンサートがより楽しめるかと思います。
19時からは素晴らしいサクソフォニスト3人を交えたコンサートです。
前半は《ラプソディ》の3つの版を伊藤あさぎさん、貝沼拓実さん、大城正司さんの3人が吹き、間に《ラプソディ》に関する解説を私が致します。ピアノは佐野隆哉さんが演奏して下さいます。こういった機会でないと《ラプソディ》を違った奏者で3回も聴くことが出来ないかと思いますし、3人の奏者それぞれに違った素晴らしい魅力があり、また演奏する版もバラエティに富んでいるので楽しんで頂けるかと思います。あさぎさんが演奏するRies&Erler版は日本初演となり、アルトとソプラノを持ち替えるなど趣向を凝らした版となっています。解説では《ラプソディ》についての論文を書いてる中で知ったこの曲に秘められた謎もお話しする予定です。
後半は私も演奏に加わり4人でのカルテットになります。曲は《ベルガマスク組曲より》と《弦楽四重奏曲》を演奏する予定です。このコンサートのためだけのカルテットがどの様なサウンドと表現を創り出すかお楽しみ下さい。
2012年12月21日(金)
オープン 17:30
イベント 18:00開始
コンサート 19:00開始
会場 アクタス ノナカ・アンナホール
料金 一般2500円 学生2000円
オープニングイベント
「映像と音で巡るドビュッシー《ラプソディ》の世界」
コンサート第一部
サクソフォンとピアノのための《ラプソディ》
・貝沼拓実(Dunrand版)
・伊藤あさぎ(Ries&Erler版 日本初演)
・大城正司(Henle版)
コンサート第二部
《ベルガマスク組曲》より
《弦楽四重奏曲 第一番 ト短調 作品10》
S.SAX 大城正司
A.SAX 伊藤あさぎ
T.SAX 貝沼拓実
B.SAX 佐藤淳一
レクチャーからぜひ聞ければと思うが、間に合うかな。それから個人的興味は、伊藤あさぎさんが演奏を担当する「Ries&Erler版のラプソディ」…これは聴いたことの無い方にはぜひ聴いてほしいところ。けっこう衝撃的かも。
以下、佐藤淳一さんからのメールを引用。
----------
一つ目はクロード・ドビュッシー生誕150周年を記念してドビュッシーの《ラプソディ》を中心としたコンサートを企画致しました。開演前の18時からは「映像と音で巡るドビュッシー《ラプソディ》の世界」と題して、私が今年の9月に渡米して持ち帰った《ラプソディ》の資料を元にした曲の説明や、ホール夫人の再評価、珍しい音源などを交えたプレトークとしまして皆さんにお話ししたいと思います。もし当日お時間がある方はこちらからご参加頂けると後半のコンサートがより楽しめるかと思います。
19時からは素晴らしいサクソフォニスト3人を交えたコンサートです。
前半は《ラプソディ》の3つの版を伊藤あさぎさん、貝沼拓実さん、大城正司さんの3人が吹き、間に《ラプソディ》に関する解説を私が致します。ピアノは佐野隆哉さんが演奏して下さいます。こういった機会でないと《ラプソディ》を違った奏者で3回も聴くことが出来ないかと思いますし、3人の奏者それぞれに違った素晴らしい魅力があり、また演奏する版もバラエティに富んでいるので楽しんで頂けるかと思います。あさぎさんが演奏するRies&Erler版は日本初演となり、アルトとソプラノを持ち替えるなど趣向を凝らした版となっています。解説では《ラプソディ》についての論文を書いてる中で知ったこの曲に秘められた謎もお話しする予定です。
後半は私も演奏に加わり4人でのカルテットになります。曲は《ベルガマスク組曲より》と《弦楽四重奏曲》を演奏する予定です。このコンサートのためだけのカルテットがどの様なサウンドと表現を創り出すかお楽しみ下さい。
2012年12月21日(金)
オープン 17:30
イベント 18:00開始
コンサート 19:00開始
会場 アクタス ノナカ・アンナホール
料金 一般2500円 学生2000円
オープニングイベント
「映像と音で巡るドビュッシー《ラプソディ》の世界」
コンサート第一部
サクソフォンとピアノのための《ラプソディ》
・貝沼拓実(Dunrand版)
・伊藤あさぎ(Ries&Erler版 日本初演)
・大城正司(Henle版)
コンサート第二部
《ベルガマスク組曲》より
《弦楽四重奏曲 第一番 ト短調 作品10》
S.SAX 大城正司
A.SAX 伊藤あさぎ
T.SAX 貝沼拓実
B.SAX 佐藤淳一
2012/12/15
ビジネスクラスSEの演奏会2012
【Business Class Saxophone Ensemble 2012 Concert】
出演:Business Class Saxophone Ensemble、中村愛(harp)
日時:2012年12月15日(土曜)18:30開演
会場:かなっくホール(東神奈川)
プログラム:
F.プーランク/喜多形寛丈 - ミサ曲ト長調より"Kyrie"
G.ピエルネ/M.ミュール - 昔の歌、鉛の小さな兵隊の行進
P.ヴェローヌ - アンダルシアの騎士
D.ミヨー/啼鵬 - フランス組曲より
J.タイユフェール/島藤寛 - ドビュッシーへのオマージュ
C.ドビュッシー/中村均一 - ベルガマスク組曲より"前奏曲"
C.ドビュッシー/宇田川不二夫 - 神聖な舞曲と世俗的な舞曲(ハープ独奏:中村愛)
C.ドビュッシー/栃尾克樹 - 小組曲(ハープ独奏:中村愛)
C.ドビュッシー - ベルガマスク組曲より"月の光"(アンコール・ハープ独奏:中村愛)
宇田川不二夫 - 月夜の祈り(アンコール)
新横浜と東神奈川があんなに近いとは思わなかった。おかげで、ぎりぎりとなったがメインの「小組曲」から聴くことができたのだった。なんと、ちょうど「小組曲」が始まる瞬間に会場に飛び込めた。さすがに「小舟にて」こそ、複雑な和声進行と音の立ち上がりとテンポのせめぎ合いに苦労しているようにも聴こえたが(この楽章は超難しいっす)、続く「行列」や「メヌエット」での感の短い部分を使ったえもいわれぬ音色やフレージングなど、かなっくホールのような会場で聴くとゾクゾクする。中村愛氏のハープを加えたことによる効果は想像以上で、発音媒体の違う楽器がひとつ入るだけでこうも印象が変わるのかと驚いてしまった。個人的な感覚だが、見た目的な華やかさも、ある意味ドビュッシーの作品にマッチしていると思った。
「月の光」も良かった。ハープ奏者と親交があるサクソフォン団体はあまりないとは思うが、もし実現可能性があるならば演奏したい!と思ってしまう。このアレンジはアンドレ・カプレ編のアレンジベース…ではないように思えるが、実際どうだったのだろう?
本日のプログラム冊子と、そこに挟まっていた中村愛氏の…えっと、ブロマイドっていうのかな?違うか。なんだかモデルのポストカードみたいでかっこいいな。
出演:Business Class Saxophone Ensemble、中村愛(harp)
日時:2012年12月15日(土曜)18:30開演
会場:かなっくホール(東神奈川)
プログラム:
F.プーランク/喜多形寛丈 - ミサ曲ト長調より"Kyrie"
G.ピエルネ/M.ミュール - 昔の歌、鉛の小さな兵隊の行進
P.ヴェローヌ - アンダルシアの騎士
D.ミヨー/啼鵬 - フランス組曲より
J.タイユフェール/島藤寛 - ドビュッシーへのオマージュ
C.ドビュッシー/中村均一 - ベルガマスク組曲より"前奏曲"
C.ドビュッシー/宇田川不二夫 - 神聖な舞曲と世俗的な舞曲(ハープ独奏:中村愛)
C.ドビュッシー/栃尾克樹 - 小組曲(ハープ独奏:中村愛)
C.ドビュッシー - ベルガマスク組曲より"月の光"(アンコール・ハープ独奏:中村愛)
宇田川不二夫 - 月夜の祈り(アンコール)
新横浜と東神奈川があんなに近いとは思わなかった。おかげで、ぎりぎりとなったがメインの「小組曲」から聴くことができたのだった。なんと、ちょうど「小組曲」が始まる瞬間に会場に飛び込めた。さすがに「小舟にて」こそ、複雑な和声進行と音の立ち上がりとテンポのせめぎ合いに苦労しているようにも聴こえたが(この楽章は超難しいっす)、続く「行列」や「メヌエット」での感の短い部分を使ったえもいわれぬ音色やフレージングなど、かなっくホールのような会場で聴くとゾクゾクする。中村愛氏のハープを加えたことによる効果は想像以上で、発音媒体の違う楽器がひとつ入るだけでこうも印象が変わるのかと驚いてしまった。個人的な感覚だが、見た目的な華やかさも、ある意味ドビュッシーの作品にマッチしていると思った。
「月の光」も良かった。ハープ奏者と親交があるサクソフォン団体はあまりないとは思うが、もし実現可能性があるならば演奏したい!と思ってしまう。このアレンジはアンドレ・カプレ編のアレンジベース…ではないように思えるが、実際どうだったのだろう?
本日のプログラム冊子と、そこに挟まっていた中村愛氏の…えっと、ブロマイドっていうのかな?違うか。なんだかモデルのポストカードみたいでかっこいいな。
Audrey Saxophone Quartetのライヴ♪
【藤岡交流館交流カフェ オードリー・サクソフォン・カルテット ミニコンサート】
出演:オードリー・サクソフォン・カルテット
日時:2012年12月15日(土曜)10:00~&11:15~
会場:愛知県豊田市藤岡交流館
プログラム:
1st stage(10:10~):
?(数曲)
シング・シング・シング
津軽海峡冬景色(アンコール)
プログラム
2nd stage(11:15~):
こぎつね
夢路より
情熱大陸
ホワイト・クリスマス
シング・シング・シング
オー・シャンゼリゼ(アンコール)
愛知県を中心に活躍するアマチュアのサクソフォンアンサンブル、オードリー・サクソフォン・カルテット(カキツバタ・サクソフォン・アンサンブルは同アンサンブルの"上位互換"とのこと)のライヴに急遽伺うことになり、豊田市まで行ってきた。朝6:00に家を出発し、新横浜から新幹線ひかりで豊橋まで。飯田線の終点が見られて感激。豊橋からは名鉄に乗って揺られること一時間で豊田市駅に到着し、そこからバスでさらに30分ほどの場所。
到着したのは、ちょうど1st stageの最終曲「シング・シング・シング」の演奏が始まるころだった。第3回のサクソフォン交流会に参加された方はわかるだろう…あのアドリブを含むスペシャルアレンジをガンガン吹きこなしていた。客席も巻き込んで大盛り上がりし、アンコールのリクエストも飛び出して急遽「津軽海峡冬景色」を演奏していた。休憩時間には、控え室に入れていただき、雑談。急な訪問だったにも関わらず、あたたかく迎え入れてくださり、感激である。
2nd stageは「こぎつね」「情熱大陸」といった、個人的にもなじみ深い作品のほか、「夢路より」といったあまり知らないアレンジ(渡部哲哉氏アレンジとのこと)も聴くことができた。純粋な音色の美しさ、テクニックの高さ、構成感と各箇所でのメリハリ、クラシックからポップスまで幅広いジャンルに対応できる引き出しの多さ(ふつうに演奏したらふつうにしか聴こえないアレンジ作品群を、特殊奏法を駆使しながら見事に変貌させる)、さらに時にはアドリブも飛び出すなど、オードリーSQさんの魅力を挙げていけばキリがない。「オー・シャンゼリゼ」を聴いているときの、純粋な楽しい!&幸せ!という感覚を、サクソフォンの演奏で味わったのは久しぶりだった。ライヴで聴くことができて本当に良かった!
終演後は、お昼ご飯&お茶をご一緒させていただいて、とあるプロジェクトの説明&打ち合わせ。いろいろと有益な情報・意見を伺うことができて、濃密な時間となった。お昼ご飯もごちそうになり恐縮である。最後はおかだぁさんに名古屋駅まで車で送っていただき(車中の会話も濃くてまた楽しいのである)、新幹線で新横浜へと戻った。
出演:オードリー・サクソフォン・カルテット
日時:2012年12月15日(土曜)10:00~&11:15~
会場:愛知県豊田市藤岡交流館
プログラム:
1st stage(10:10~):
?(数曲)
シング・シング・シング
津軽海峡冬景色(アンコール)
プログラム
2nd stage(11:15~):
こぎつね
夢路より
情熱大陸
ホワイト・クリスマス
シング・シング・シング
オー・シャンゼリゼ(アンコール)
愛知県を中心に活躍するアマチュアのサクソフォンアンサンブル、オードリー・サクソフォン・カルテット(カキツバタ・サクソフォン・アンサンブルは同アンサンブルの"上位互換"とのこと)のライヴに急遽伺うことになり、豊田市まで行ってきた。朝6:00に家を出発し、新横浜から新幹線ひかりで豊橋まで。飯田線の終点が見られて感激。豊橋からは名鉄に乗って揺られること一時間で豊田市駅に到着し、そこからバスでさらに30分ほどの場所。
到着したのは、ちょうど1st stageの最終曲「シング・シング・シング」の演奏が始まるころだった。第3回のサクソフォン交流会に参加された方はわかるだろう…あのアドリブを含むスペシャルアレンジをガンガン吹きこなしていた。客席も巻き込んで大盛り上がりし、アンコールのリクエストも飛び出して急遽「津軽海峡冬景色」を演奏していた。休憩時間には、控え室に入れていただき、雑談。急な訪問だったにも関わらず、あたたかく迎え入れてくださり、感激である。
2nd stageは「こぎつね」「情熱大陸」といった、個人的にもなじみ深い作品のほか、「夢路より」といったあまり知らないアレンジ(渡部哲哉氏アレンジとのこと)も聴くことができた。純粋な音色の美しさ、テクニックの高さ、構成感と各箇所でのメリハリ、クラシックからポップスまで幅広いジャンルに対応できる引き出しの多さ(ふつうに演奏したらふつうにしか聴こえないアレンジ作品群を、特殊奏法を駆使しながら見事に変貌させる)、さらに時にはアドリブも飛び出すなど、オードリーSQさんの魅力を挙げていけばキリがない。「オー・シャンゼリゼ」を聴いているときの、純粋な楽しい!&幸せ!という感覚を、サクソフォンの演奏で味わったのは久しぶりだった。ライヴで聴くことができて本当に良かった!
終演後は、お昼ご飯&お茶をご一緒させていただいて、とあるプロジェクトの説明&打ち合わせ。いろいろと有益な情報・意見を伺うことができて、濃密な時間となった。お昼ご飯もごちそうになり恐縮である。最後はおかだぁさんに名古屋駅まで車で送っていただき(車中の会話も濃くてまた楽しいのである)、新幹線で新横浜へと戻った。
2012/12/13
第3回サクソフォン交流会事務局打ち上げ(6ヶ月越し)
昨日、第3回サクソフォン交流会事務局メンバーと服部先生を交えた打ち上げを行った。諸事情によりマネージャーのOさんは不参加だったが、合計7名が集まり4時間に渡っておしゃべり。いろいろと話せて楽しかったなー。
第4回の話もちょっとだけだが出た。ひとつ大きなチャレンジとなる…か?委細後日。
第4回の話もちょっとだけだが出た。ひとつ大きなチャレンジとなる…か?委細後日。
2012/12/11
次回のサクソフォーン・フェスティバル速報
昨日、日本サクソフォーン協会のニュースが届いたのだが、次回サクソフォーン・フェスティバルのコンテンツに関する速報が掲載されていた。それによると、企画内容としてはざっと以下のような感じ。
【大ホール】
オープニングコンサート
音大生によるアンサンブル
フェスティバル・コンサート~サクソフォンと弦楽四重奏~
マルチェロ「協奏曲」(伊藤あさぎ)
スタイン「クインテット」(ジェローム・ララン)
石毛里佳「Fragile」(井上麻子)
ガーシュウィン/ブラム「"ポギーとベス"からの情景」(上野耕平)
ラーション「協奏曲」(林田和之)
フェスティバルオーケストラ:ドヴォルザーク「新世界より」第4楽章
【小ホール】
A会員によるプレミアム・コンサート
カルテット名曲館
ディスカヴァリー・コンサート(デュクリュック「ソナタ」、ダンディ「コラール変奏曲」、ドビュッシー「ラプソディ」を他楽器で)
雲井雅人プレゼンツ企画~アドルフ・サックス工房からの枝分かれ~
【市民ギャラリー】
サクソフォン・クリニック
アレクサンダー・テクニーク講座(バジル・クリッツァー)
毎年、あの大ホール・小ホールという巨大な会場をどのように扱うか、という点でかなり苦心されているはずだが、様々に企画を起こしており、頭が上がらない。我々としても盛り立てていきたいところだ。そういえばB会員参加の催しが無くなっているが、近年位置付けが難しくなっているように見受けられることから、とても妥当な判断だと思った。
【大ホール】
オープニングコンサート
音大生によるアンサンブル
フェスティバル・コンサート~サクソフォンと弦楽四重奏~
マルチェロ「協奏曲」(伊藤あさぎ)
スタイン「クインテット」(ジェローム・ララン)
石毛里佳「Fragile」(井上麻子)
ガーシュウィン/ブラム「"ポギーとベス"からの情景」(上野耕平)
ラーション「協奏曲」(林田和之)
フェスティバルオーケストラ:ドヴォルザーク「新世界より」第4楽章
【小ホール】
A会員によるプレミアム・コンサート
カルテット名曲館
ディスカヴァリー・コンサート(デュクリュック「ソナタ」、ダンディ「コラール変奏曲」、ドビュッシー「ラプソディ」を他楽器で)
雲井雅人プレゼンツ企画~アドルフ・サックス工房からの枝分かれ~
【市民ギャラリー】
サクソフォン・クリニック
アレクサンダー・テクニーク講座(バジル・クリッツァー)
毎年、あの大ホール・小ホールという巨大な会場をどのように扱うか、という点でかなり苦心されているはずだが、様々に企画を起こしており、頭が上がらない。我々としても盛り立てていきたいところだ。そういえばB会員参加の催しが無くなっているが、近年位置付けが難しくなっているように見受けられることから、とても妥当な判断だと思った。
2012/12/10
Joan Martí Frasquier plays Pimpin on Vimeo
JacobTVのバリトンサクソフォン作品「Pimpin」の高画質・高音質動画。演奏はスペインのJoan Martí Frasquier氏。日本ではフィリップ・ガイス氏が来日時に演奏したのが初めてのはずで、その後大石将紀氏によって再演されている。「Grab It!」ばりにカッコ良く、バリトンサックスのための「Believer」よりもこちらのほうが好きだなあ。
http://vimeo.com/32502518
http://vimeo.com/32502518
Just Composed 2012 in Yokohama インタラクティブサクソフォン
いやはやトンデモなかった。これまでも大石将紀さんの演奏や他メディアとの融合によるパフォーマンスは何度も聴いた/体感したことがあって聴くたびに新鮮な感動を覚えたものだが、今日のはさらにひとつ上の次元へと進んでしまったというか…。いまだに、コンサートの余韻を引きずって夢見心地である。
サクソフォン吹きならば、アマチュア・プロフェッショナル問わず聴くべき演奏会だった。そういえばブログでも紹介しようと思っていたところ、忘れてしまっていたのだった。ううう、私としたことが。
【Just Composed 2012 in Yokohama インタラクティブサクソフォン】
出演:大石将紀(sax)、清水靖晃(composition/sax)、神田佳子(perc)、カール・ストーン(computer)、有馬純寿(electronics/sound design)、小阪淳(projection)、渡辺愛(composition)、宮木朝子(composition/electronics)、佐野太平(lighting)
日時:2012年12月9日(日曜)18:00開演
会場:横浜みなとみらいホール・小ホール
プログラム:
酒井健治 - Initial S(サクソフォン+映像)
佐藤允彦 - 遊行より(サクソフォン+打楽器)
P.ジョドロフスキ - Mixtion(サクソフォン+エレクトロニクス)
宮木朝子 - Evangelium(サクソフォン+エレクトロニクス+映像)
渡辺愛 - Unimaginary Landscape~サクソフォンとオーディオのための~(委嘱初演:サクソフォン+エレクトロニクス+照明)
清水靖晃 - Carl's Wild Garden(委嘱初演:サクソフォンx2+コンピュータ)
即興演奏(アンコール:サクソフォンx2+コンピュータ+打楽器+照明)
梅沢さんの演奏会終了後、電車に飛び乗って池袋からみなとみらいへ移動。余裕だろうと思っていたところ、東横線の安全確認のための一時停止によりギリギリになってしまった。会場に到着すると、サクソフォン関係者は少なめだったが、濃い方々ばかりにお会いした(笑)。佐藤淳一さんにもお会いしていろいろお話したり…。
酒井健治「Initial S」は、無伴奏アルトサクソフォンのための作品。もう、のっけから驚いてしまった。これまでも大石氏の強烈なテクニックは分かっていたつもりだったのだが、なんか今日はさらに磨きがかっていたというか…細やかな部分から全体の構成感までをコントロールしながら、美しいサクソフォンの音色で吹きまくる。木目調の反響板に映された映像は、3Dグラフィックの木片?の回転と、画面全体を歪ませるようなエフェクト。演奏とシンクロしていたのだが、どのように同期を取っていたのだろう?(映像も誰かがリアルタイムで動かしていたのかな?)
佐藤允彦作品は、始まった瞬間に暗闇から雷のようなエレクトロニクスのような音が聞こえてきてなんだなんだと思っていたところ、いつの間にかスプリングドラムを持った神田氏がステージ上に。即興演奏のような「駒返し」、サクソフォンとマリンバの演奏となった「としたけて」「殺生石」、そして、サクソフォンとハイハット&タムタムによる炎のような速度の「はやぶさ」(まるでビバップ)。和の要素と西洋楽器を見事に融合させたパフォーマンスに感動してしまった。
楽しみにしていたジョドロフスキ。そういえば、11列目11番という素晴らしい座席(なんと有馬氏のコンソールの目の前の座席)だったのだが、この位置で聴く「Mixtion」は定位感が完璧で最高である。サウンドデザインの点で言えば、2007年のAOIで聴いたものに匹敵するか、それをも上回っていたかもしれない。羽のように軽い大石さんのテナーサクソフォンの演奏は、ジェローム・ララン氏や井上麻子さんの演奏とはやや趣が異なるものの、それでも唖然とするほどのテクニックに打ちのめされてしまった。
後半は「エヴァンジェリウム」から。実はこの曲を聴くのは二回目。一回目は、2009年に前田ホールのロビーで聴いたんだっけなあ。懐かしい。幻想的なサウンドと、ホールの壁面に映し出される幻燈(プロジェクションではなく、まさに幻燈という雰囲気)に、まるで浮遊するような心地よさを感じる。サクソフォンによって繰り返されるアルペジオは、まるで「Jackdaw」の中間部のようだ。YouTubeに本日の映像を提供した小阪淳氏の映像とともにアップロードされているので、興味ある方はぜひ。本日のライブでの印象とはかなり異なるが…。
委嘱新作、渡辺愛氏の「Unimaginary Landscape」…ジョン・ケージのタイトルに影響を受けていることは明らかだが、サウンドはまったく違うもの。ここでは、言葉で言い表すことができない体験をしてしまった。端的に言ってしまえば、サクソフォンの生音とミュージック・コンクレート、照明(レーザーとフラッシュ)の融合、ということなのだが、それらが有機的に絡み合い、まるで別世界を旅するような不思議な15分間を創り出していた。あの時間をあの場所にいた他の聴衆の方々共有できたことを嬉しく思う。ため息が漏れてしまうほどだ。
そして清水靖晃氏とカール・ストーン氏登場。「Seeds」「Rain」「Work」「Be Flat」という4部構成の大曲(おそらく30分弱くらい演奏していたのではないかな)。点描的なテナーサクソフォンの掛け合いにさりげなくエレクトロニクスが絡む「Seeds」、通路まで出てきての即興対決となった「Rain」、ステージに戻っての「Work」(時折挟み込まれる協和音は実に甘い味がする)、最終部、張り裂けそうな生命の鼓動のようなビートが印象的だった「Be Flat」。清水靖晃氏は、いまでこそバッハやペンタトニカでよく知られているが、そういえばもともとは1970年代から実験音楽を積極的に手がけた作曲家/プロデューサー/プレイヤーなのであった。本性を垣間見た思いがする。清水氏も大石氏もすばらしく、相乗効果により1+1が3にも4にもなるような瞬間を目の当たりにした。
アンコールは、全員参加の即興で、。最後の最後までトンデモ系。いやはや、参りました…凄かったなあ。
先の火曜日には、銀座でユージン・ルソー氏の演奏会を聴いたばかりだというのに。一週間のうちに、生ける伝説と呼ばれる巨匠の音楽に触れ、そして現代日本の最先端のサクソフォン音楽に触れ…というなんとも濃い体験が連続している。幸せなことだ。
サクソフォン吹きならば、アマチュア・プロフェッショナル問わず聴くべき演奏会だった。そういえばブログでも紹介しようと思っていたところ、忘れてしまっていたのだった。ううう、私としたことが。
【Just Composed 2012 in Yokohama インタラクティブサクソフォン】
出演:大石将紀(sax)、清水靖晃(composition/sax)、神田佳子(perc)、カール・ストーン(computer)、有馬純寿(electronics/sound design)、小阪淳(projection)、渡辺愛(composition)、宮木朝子(composition/electronics)、佐野太平(lighting)
日時:2012年12月9日(日曜)18:00開演
会場:横浜みなとみらいホール・小ホール
プログラム:
酒井健治 - Initial S(サクソフォン+映像)
佐藤允彦 - 遊行より(サクソフォン+打楽器)
P.ジョドロフスキ - Mixtion(サクソフォン+エレクトロニクス)
宮木朝子 - Evangelium(サクソフォン+エレクトロニクス+映像)
渡辺愛 - Unimaginary Landscape~サクソフォンとオーディオのための~(委嘱初演:サクソフォン+エレクトロニクス+照明)
清水靖晃 - Carl's Wild Garden(委嘱初演:サクソフォンx2+コンピュータ)
即興演奏(アンコール:サクソフォンx2+コンピュータ+打楽器+照明)
梅沢さんの演奏会終了後、電車に飛び乗って池袋からみなとみらいへ移動。余裕だろうと思っていたところ、東横線の安全確認のための一時停止によりギリギリになってしまった。会場に到着すると、サクソフォン関係者は少なめだったが、濃い方々ばかりにお会いした(笑)。佐藤淳一さんにもお会いしていろいろお話したり…。
酒井健治「Initial S」は、無伴奏アルトサクソフォンのための作品。もう、のっけから驚いてしまった。これまでも大石氏の強烈なテクニックは分かっていたつもりだったのだが、なんか今日はさらに磨きがかっていたというか…細やかな部分から全体の構成感までをコントロールしながら、美しいサクソフォンの音色で吹きまくる。木目調の反響板に映された映像は、3Dグラフィックの木片?の回転と、画面全体を歪ませるようなエフェクト。演奏とシンクロしていたのだが、どのように同期を取っていたのだろう?(映像も誰かがリアルタイムで動かしていたのかな?)
佐藤允彦作品は、始まった瞬間に暗闇から雷のようなエレクトロニクスのような音が聞こえてきてなんだなんだと思っていたところ、いつの間にかスプリングドラムを持った神田氏がステージ上に。即興演奏のような「駒返し」、サクソフォンとマリンバの演奏となった「としたけて」「殺生石」、そして、サクソフォンとハイハット&タムタムによる炎のような速度の「はやぶさ」(まるでビバップ)。和の要素と西洋楽器を見事に融合させたパフォーマンスに感動してしまった。
楽しみにしていたジョドロフスキ。そういえば、11列目11番という素晴らしい座席(なんと有馬氏のコンソールの目の前の座席)だったのだが、この位置で聴く「Mixtion」は定位感が完璧で最高である。サウンドデザインの点で言えば、2007年のAOIで聴いたものに匹敵するか、それをも上回っていたかもしれない。羽のように軽い大石さんのテナーサクソフォンの演奏は、ジェローム・ララン氏や井上麻子さんの演奏とはやや趣が異なるものの、それでも唖然とするほどのテクニックに打ちのめされてしまった。
後半は「エヴァンジェリウム」から。実はこの曲を聴くのは二回目。一回目は、2009年に前田ホールのロビーで聴いたんだっけなあ。懐かしい。幻想的なサウンドと、ホールの壁面に映し出される幻燈(プロジェクションではなく、まさに幻燈という雰囲気)に、まるで浮遊するような心地よさを感じる。サクソフォンによって繰り返されるアルペジオは、まるで「Jackdaw」の中間部のようだ。YouTubeに本日の映像を提供した小阪淳氏の映像とともにアップロードされているので、興味ある方はぜひ。本日のライブでの印象とはかなり異なるが…。
委嘱新作、渡辺愛氏の「Unimaginary Landscape」…ジョン・ケージのタイトルに影響を受けていることは明らかだが、サウンドはまったく違うもの。ここでは、言葉で言い表すことができない体験をしてしまった。端的に言ってしまえば、サクソフォンの生音とミュージック・コンクレート、照明(レーザーとフラッシュ)の融合、ということなのだが、それらが有機的に絡み合い、まるで別世界を旅するような不思議な15分間を創り出していた。あの時間をあの場所にいた他の聴衆の方々共有できたことを嬉しく思う。ため息が漏れてしまうほどだ。
そして清水靖晃氏とカール・ストーン氏登場。「Seeds」「Rain」「Work」「Be Flat」という4部構成の大曲(おそらく30分弱くらい演奏していたのではないかな)。点描的なテナーサクソフォンの掛け合いにさりげなくエレクトロニクスが絡む「Seeds」、通路まで出てきての即興対決となった「Rain」、ステージに戻っての「Work」(時折挟み込まれる協和音は実に甘い味がする)、最終部、張り裂けそうな生命の鼓動のようなビートが印象的だった「Be Flat」。清水靖晃氏は、いまでこそバッハやペンタトニカでよく知られているが、そういえばもともとは1970年代から実験音楽を積極的に手がけた作曲家/プロデューサー/プレイヤーなのであった。本性を垣間見た思いがする。清水氏も大石氏もすばらしく、相乗効果により1+1が3にも4にもなるような瞬間を目の当たりにした。
アンコールは、全員参加の即興で、。最後の最後までトンデモ系。いやはや、参りました…凄かったなあ。
先の火曜日には、銀座でユージン・ルソー氏の演奏会を聴いたばかりだというのに。一週間のうちに、生ける伝説と呼ばれる巨匠の音楽に触れ、そして現代日本の最先端のサクソフォン音楽に触れ…というなんとも濃い体験が連続している。幸せなことだ。
2012/12/09
梅沢洋&中村真紀デュオ・リサイタル2012winter
サクソフォン交流会の事務局等でもお世話になっているアマチュアのサクソフォン奏者、梅沢洋さんの演奏会。最初にお知り合いになったのはたしか波多江さん関連のイベントだったのだが、演奏を拝聴するのは初めてだった。会場は、JR池袋西口から7分ほどのbar Apple Jumpという25席ほどのスペース。ちょうど来ていたtfmさん、マリエさんと一緒に聴いた。Rosso関連で、久々にお会いする方も。
【梅沢洋&中村真紀デュオ・リサイタル2012winter】
出演:梅沢洋(sax)、中村真紀(pf)
日時:2012年12月9日(日曜)15:30開演
会場:bar Apple Jump
プログラム:
A.ピアソラ - タンゴ・エチュード第3番(サクソフォンソロ)
C.ドビュッシー - シランクス(サクソフォンソロ)
C.ドビュッシー - 亜麻色の髪の乙女(ピアノソロ)
C.ドビュッシー - グラドゥス・アド・パルナッスム博士(ピアノソロ)
C.ドビュッシー - 金色の魚(ピアノソロ)
A.リード - バラッド(デュオ)
A.ララ - グラナダ(デュオ)
C.ドビュッシー - 小さな黒人(デュオ・アンコール)
最初はサクソフォンの無伴奏。アマチュアが取り組むようなプログラムでは到底ない、高難易度の作品が並ぶが、たしか梅沢さんはこれまでもデザンクロの「PCF」等に取り組まれたことがあるはずで(うろ覚え、間違っていたらごめんなさい)、お手の物なのだろうか。芯のある輝かしい音色で着実に吹きこなしていく。曲中に出現するフラジオもばっちり決めて、一曲吹き終えた。続く「シランクス」は良い選曲!これ、サクソフォンの無伴奏として普通に聴けてしまう作品だが、あまり取り上げる方がいないのが不思議。今日はアルトだったが、今度はソプラノで聴いてみたい。
続く3曲は、中村さんのピアノ独奏。妙な脱力系MC(しかも面白い)を挟みながら、3つのドビュッシーの小品を演奏した。「映像第2集」からの「金色の魚」は、日本の漆器の土台の上に金粉で描かれた鯉のことを指す…とのことだが、いままで意識して聴いたことがなく、非常にテクニカルで面白い作品だと思った。
デュオではアルフレッド・リードの「バラッド」とララ「グラナダ」を。デュオともなると、さすがに(音量や響きの融合的に)大きいハコで聴きたいかなと思ったが、それでもきちんと作りこんであり、特に「グラナダ」は技巧的なカデンツも含めてかなり盛り上がった。気がつけば作曲化のファースト・ネームはAかCだけだったな(笑)アンコールに、「小さな黒人」をデュオで。
【梅沢洋&中村真紀デュオ・リサイタル2012winter】
出演:梅沢洋(sax)、中村真紀(pf)
日時:2012年12月9日(日曜)15:30開演
会場:bar Apple Jump
プログラム:
A.ピアソラ - タンゴ・エチュード第3番(サクソフォンソロ)
C.ドビュッシー - シランクス(サクソフォンソロ)
C.ドビュッシー - 亜麻色の髪の乙女(ピアノソロ)
C.ドビュッシー - グラドゥス・アド・パルナッスム博士(ピアノソロ)
C.ドビュッシー - 金色の魚(ピアノソロ)
A.リード - バラッド(デュオ)
A.ララ - グラナダ(デュオ)
C.ドビュッシー - 小さな黒人(デュオ・アンコール)
最初はサクソフォンの無伴奏。アマチュアが取り組むようなプログラムでは到底ない、高難易度の作品が並ぶが、たしか梅沢さんはこれまでもデザンクロの「PCF」等に取り組まれたことがあるはずで(うろ覚え、間違っていたらごめんなさい)、お手の物なのだろうか。芯のある輝かしい音色で着実に吹きこなしていく。曲中に出現するフラジオもばっちり決めて、一曲吹き終えた。続く「シランクス」は良い選曲!これ、サクソフォンの無伴奏として普通に聴けてしまう作品だが、あまり取り上げる方がいないのが不思議。今日はアルトだったが、今度はソプラノで聴いてみたい。
続く3曲は、中村さんのピアノ独奏。妙な脱力系MC(しかも面白い)を挟みながら、3つのドビュッシーの小品を演奏した。「映像第2集」からの「金色の魚」は、日本の漆器の土台の上に金粉で描かれた鯉のことを指す…とのことだが、いままで意識して聴いたことがなく、非常にテクニカルで面白い作品だと思った。
デュオではアルフレッド・リードの「バラッド」とララ「グラナダ」を。デュオともなると、さすがに(音量や響きの融合的に)大きいハコで聴きたいかなと思ったが、それでもきちんと作りこんであり、特に「グラナダ」は技巧的なカデンツも含めてかなり盛り上がった。気がつけば作曲化のファースト・ネームはAかCだけだったな(笑)アンコールに、「小さな黒人」をデュオで。
ヤマハ目黒吹奏楽団 特別演奏会
【ヤマハ目黒吹奏楽団 特別演奏会(めぐろパーシモンホール開館10周年記念公演 めぐろパーシモン芸術文化ネットワーク シリーズ4)】
出演:ヤマハ目黒吹奏楽団、鳥谷部武夫(指揮)、大田昌穂(司会)
日時:2012年6月17日(日)14:00開演
会場:めぐろパーシモンホール・大ホール
プログラム:
E.エルガー - 威風堂々
F.エリクソン - 序曲「祝典」
P.A.グレインジャー - デリー地方のアイルランド民謡
J.シベリウス - 交響詩「フィンランディア」
J.ガーランド - イン・ザ・ムード
I.バーリン - ホワイト・クリスマス
R.ロジャース - サウンド・オブ・ミュージック・メドレー
M.ハムリッシュ - 追憶のテーマ
久石譲 - 交響組曲「風の谷のナウシカ」三章
アンパンマンマーチ(アンコール)
上を向いて歩こう(アンコール)
年間2回、夏と冬のヤマハ目黒吹奏楽団のステージマネージャーのお仕事。昨年冬季の演奏会がステマネで、3回目だった。9時頃に会場入りし、ゲネを経て本番。進行のほか照明のQ出し…これがかなり緊張する…もあって大変だが、なんとか無事終演。毎回、まわりのスタッフやホールの方にも助けられている(ありがたいことだ)。
すばらしい演奏をする団体であり、名物司会の太田さんのMCも楽しく、毎回たくさんのお客様が来場するのだが、今回はめぐろパーシモンホールとの共催ということでさらに客席が盛況となった。最終的に、1200席のホールに1000人弱来場があったそうだ。個人的には、シガード・ラッシャー氏に「サクソフォン協奏曲」を献呈したエリクソンの曲を聴けたのが嬉しかったなあ。後半のプリミティブな"楽しさ"を感じられるステージも、さすがである。サックスのO氏の、追憶のテーマでのイケイケっぷりも鮮烈!そしてナウシカは、やはり演奏者側・聴衆側ともに共感度が高い。
ステージマネージャーを引き受け続けている以上は客席で聴くことはできないが、吹奏楽が好きな方にはぜひいらしていただきたいなあと思う次第。次回以降、こちらでも余裕を持って告知できれば良いなと思う。
出演:ヤマハ目黒吹奏楽団、鳥谷部武夫(指揮)、大田昌穂(司会)
日時:2012年6月17日(日)14:00開演
会場:めぐろパーシモンホール・大ホール
プログラム:
E.エルガー - 威風堂々
F.エリクソン - 序曲「祝典」
P.A.グレインジャー - デリー地方のアイルランド民謡
J.シベリウス - 交響詩「フィンランディア」
J.ガーランド - イン・ザ・ムード
I.バーリン - ホワイト・クリスマス
R.ロジャース - サウンド・オブ・ミュージック・メドレー
M.ハムリッシュ - 追憶のテーマ
久石譲 - 交響組曲「風の谷のナウシカ」三章
アンパンマンマーチ(アンコール)
上を向いて歩こう(アンコール)
年間2回、夏と冬のヤマハ目黒吹奏楽団のステージマネージャーのお仕事。昨年冬季の演奏会がステマネで、3回目だった。9時頃に会場入りし、ゲネを経て本番。進行のほか照明のQ出し…これがかなり緊張する…もあって大変だが、なんとか無事終演。毎回、まわりのスタッフやホールの方にも助けられている(ありがたいことだ)。
すばらしい演奏をする団体であり、名物司会の太田さんのMCも楽しく、毎回たくさんのお客様が来場するのだが、今回はめぐろパーシモンホールとの共催ということでさらに客席が盛況となった。最終的に、1200席のホールに1000人弱来場があったそうだ。個人的には、シガード・ラッシャー氏に「サクソフォン協奏曲」を献呈したエリクソンの曲を聴けたのが嬉しかったなあ。後半のプリミティブな"楽しさ"を感じられるステージも、さすがである。サックスのO氏の、追憶のテーマでのイケイケっぷりも鮮烈!そしてナウシカは、やはり演奏者側・聴衆側ともに共感度が高い。
ステージマネージャーを引き受け続けている以上は客席で聴くことはできないが、吹奏楽が好きな方にはぜひいらしていただきたいなあと思う次第。次回以降、こちらでも余裕を持って告知できれば良いなと思う。
ユージン・ルソー氏トーク内容メモ書き(後半)
先日行われたユージン・ルソー トーク&ミニコンサートでのトーク内容のメモ書き、後半部分をアップ。聞きながら書いたため、間違っている可能性もありますのでご承知おき下さい。
Thunderさんもご自身のメモ内容をアップされています。
【世界の偉大な音楽家との出会い】
* マルセル・ミュール氏
- first & most
- always very gentle with plite
- レッスンの様子
o 28歳の時に渡仏したため、パリ音楽院の卒業試験を受けることはできなかった
o 月2回、3時間ずつのプライヴェート・レッスンを受けることができた
o ミュール氏の自宅でのレッスン
o レッスンをすべて録音した
o ある日のこと、レッスン中に窓の外からパトカーのサイレンが聞こえてきた。ケネディ大統領の乗った車が外を通過していたのだった
o 生徒に対して常に明確な説明を行った(例:手の位置など)
o 生徒の考え方を尊重し、他の方法がある場合に示唆を行った(例:ゴトコフスキー「ブリヤンス」の指使い)
- 帰国後
o 沢山の手紙をやり取りした
o ミュール氏が高齢のため字が書けなくなってからは、ミュール氏の息子が口述筆記を行なっていた
* ポール・クレストン氏
- 1965年のミッドウエスト・クリニック写真
o Frederick Fennell, Frederick L. Hemke, Cecil Leeson, Donald Sinta, Eugene Rousseau, Warren Benson and Sigurd Raschèr
o セシル・リースン氏に関連して…
- 出会い
o シアトルで開かれたコンヴェンションで「ソナタ」を演奏
o 客席にクレストン氏がいた(ルソー氏はそのことを知らなかった)
o 演奏の後にルソー氏のところに来てくれた
o 2楽章を指定テンポ66より遅く演奏したので、そのことについて謝ったところ、逆に66は速すぎると言われてしまった
- WSC@ノースウェスタン
o ユーモアあふれる人。演奏の後に来て「とてもいい演奏だった!だからこの調子で練習を続けなさい」という具合
o このときもらったサックスカルテットの楽語がイタリア語でとても驚いた(ご存知のように「ソナタ」での楽語は英語表記)
o 理由を尋ねたところ「僕も成長しているんだよ」とのこと
o クレストンはイタリア系の移民家系であり、幼い頃は両親から英語を使うよう言われていたのだろう
* バーナード・ヘイデン氏
- ルソー氏との関わり
o インディアナ大学で教授職として同僚
o 36年間にわたる友人
o 「ディヴァージョン」を含むいくつものサクソフォン作品を書いている
- 簡単な経歴
o ドイツ出身、1930年にはドイツを離れてアメリカに渡った(ユダヤ人だったため)
o デトロイトに居を構え、そこでラリー・ティールに会った
o 料理上手
- 「ソナタ」について
o 1943年に「ソナタ」を作曲、ティールに献呈
o 師匠はヒンデミットで、ヘイデンはヒンデミットのことを震えるほど恐れていた
o ヒンデミットがデトロイトを訪れた時、ヘイデンは「ソナタ」のスコアをヒンデミットに見せた。ヒンデミットの評は、「It is good.」だった
o 2冊の自筆譜が制作され、1冊目はティールが、2冊目はルソー氏が所有(ブルーミントンでのティール氏の演奏のあと、パーティでヘイデン氏に会ってもらった)
* カレル・フサ氏
- 簡単な経歴
o チェコ・プラハ出身→フランス・パリへ移住→アメリカへ移住
- ルソー氏との関わり
o ルソー氏の奥様がチェコ語を話せるため、交流があった
o いまでも仲が良い
o 協奏曲を一緒に演奏する機会があったが、指揮台に立ったフサはただ一言「Just follow me」と…。
- エレジーとロンド
o エレジーは、もともとピアノ独奏作品だった
* イィンドジフ・フェルド氏(kuriからの質問)
- きっかけ
o プラハに留学していたルソー氏の奥様が送ってくれたLPの中に面白いものがあり、それがフェルドの作品だった
- フェルドはサクソフォン作品を書いたことがなかったので、ルソー氏は自分の録音を送った
- こうして作曲されたサクソフォン協奏曲はソプラノ、アルト、テナー3本のサクソフォンのための作品
- ニュルンベルクのWSCで初演
- フェルドはフルート作品が有名で、ランパルやゴールウェイにも作品献呈している
* グラモフォン盤の協奏曲集制作経緯(Thunderさんからの質問)
- 録音決定まで
o 1967年~68年でヨーロッパ・ツアーを行った
o コンサートのエージェントに、録音をしたいとの旨を話したところ、エージェントが各レーベルに交渉の手紙を送ってくれた
o グラモフォンから返事があり、2秒で即決
- 録音時のエピソード
o パリの協会でレコーディング、とても寒く、チューニングが難しかった
o 指揮者のポール・ケンツ氏はコントラバス奏者に不満があったらしく、突然「10分やるから練習しろ」と言い、腕を組んで後ろを向いてしまった。コントラバス奏者も、何もせずソッポを向いてしまった。
o 大変ショックを受けた。また、録音ブースにいた録音技師もルソー氏の妻も、いった何が起こっているのかと混乱した
o 録音が終わると仲直りして、一緒にビールを飲んでいた
【若きサクソフォン演奏家へのメッセージ】
* あなたが本当に音楽を好きであるならば、情熱を持って取り組みなさい
* お金を稼ごうとするならば、人生はそれほどシンプルではない
* Be the best you can be!!
Thunderさんもご自身のメモ内容をアップされています。
【世界の偉大な音楽家との出会い】
* マルセル・ミュール氏
- first & most
- always very gentle with plite
- レッスンの様子
o 28歳の時に渡仏したため、パリ音楽院の卒業試験を受けることはできなかった
o 月2回、3時間ずつのプライヴェート・レッスンを受けることができた
o ミュール氏の自宅でのレッスン
o レッスンをすべて録音した
o ある日のこと、レッスン中に窓の外からパトカーのサイレンが聞こえてきた。ケネディ大統領の乗った車が外を通過していたのだった
o 生徒に対して常に明確な説明を行った(例:手の位置など)
o 生徒の考え方を尊重し、他の方法がある場合に示唆を行った(例:ゴトコフスキー「ブリヤンス」の指使い)
- 帰国後
o 沢山の手紙をやり取りした
o ミュール氏が高齢のため字が書けなくなってからは、ミュール氏の息子が口述筆記を行なっていた
* ポール・クレストン氏
- 1965年のミッドウエスト・クリニック写真
o Frederick Fennell, Frederick L. Hemke, Cecil Leeson, Donald Sinta, Eugene Rousseau, Warren Benson and Sigurd Raschèr
o セシル・リースン氏に関連して…
- 出会い
o シアトルで開かれたコンヴェンションで「ソナタ」を演奏
o 客席にクレストン氏がいた(ルソー氏はそのことを知らなかった)
o 演奏の後にルソー氏のところに来てくれた
o 2楽章を指定テンポ66より遅く演奏したので、そのことについて謝ったところ、逆に66は速すぎると言われてしまった
- WSC@ノースウェスタン
o ユーモアあふれる人。演奏の後に来て「とてもいい演奏だった!だからこの調子で練習を続けなさい」という具合
o このときもらったサックスカルテットの楽語がイタリア語でとても驚いた(ご存知のように「ソナタ」での楽語は英語表記)
o 理由を尋ねたところ「僕も成長しているんだよ」とのこと
o クレストンはイタリア系の移民家系であり、幼い頃は両親から英語を使うよう言われていたのだろう
* バーナード・ヘイデン氏
- ルソー氏との関わり
o インディアナ大学で教授職として同僚
o 36年間にわたる友人
o 「ディヴァージョン」を含むいくつものサクソフォン作品を書いている
- 簡単な経歴
o ドイツ出身、1930年にはドイツを離れてアメリカに渡った(ユダヤ人だったため)
o デトロイトに居を構え、そこでラリー・ティールに会った
o 料理上手
- 「ソナタ」について
o 1943年に「ソナタ」を作曲、ティールに献呈
o 師匠はヒンデミットで、ヘイデンはヒンデミットのことを震えるほど恐れていた
o ヒンデミットがデトロイトを訪れた時、ヘイデンは「ソナタ」のスコアをヒンデミットに見せた。ヒンデミットの評は、「It is good.」だった
o 2冊の自筆譜が制作され、1冊目はティールが、2冊目はルソー氏が所有(ブルーミントンでのティール氏の演奏のあと、パーティでヘイデン氏に会ってもらった)
* カレル・フサ氏
- 簡単な経歴
o チェコ・プラハ出身→フランス・パリへ移住→アメリカへ移住
- ルソー氏との関わり
o ルソー氏の奥様がチェコ語を話せるため、交流があった
o いまでも仲が良い
o 協奏曲を一緒に演奏する機会があったが、指揮台に立ったフサはただ一言「Just follow me」と…。
- エレジーとロンド
o エレジーは、もともとピアノ独奏作品だった
* イィンドジフ・フェルド氏(kuriからの質問)
- きっかけ
o プラハに留学していたルソー氏の奥様が送ってくれたLPの中に面白いものがあり、それがフェルドの作品だった
- フェルドはサクソフォン作品を書いたことがなかったので、ルソー氏は自分の録音を送った
- こうして作曲されたサクソフォン協奏曲はソプラノ、アルト、テナー3本のサクソフォンのための作品
- ニュルンベルクのWSCで初演
- フェルドはフルート作品が有名で、ランパルやゴールウェイにも作品献呈している
* グラモフォン盤の協奏曲集制作経緯(Thunderさんからの質問)
- 録音決定まで
o 1967年~68年でヨーロッパ・ツアーを行った
o コンサートのエージェントに、録音をしたいとの旨を話したところ、エージェントが各レーベルに交渉の手紙を送ってくれた
o グラモフォンから返事があり、2秒で即決
- 録音時のエピソード
o パリの協会でレコーディング、とても寒く、チューニングが難しかった
o 指揮者のポール・ケンツ氏はコントラバス奏者に不満があったらしく、突然「10分やるから練習しろ」と言い、腕を組んで後ろを向いてしまった。コントラバス奏者も、何もせずソッポを向いてしまった。
o 大変ショックを受けた。また、録音ブースにいた録音技師もルソー氏の妻も、いった何が起こっているのかと混乱した
o 録音が終わると仲直りして、一緒にビールを飲んでいた
【若きサクソフォン演奏家へのメッセージ】
* あなたが本当に音楽を好きであるならば、情熱を持って取り組みなさい
* お金を稼ごうとするならば、人生はそれほどシンプルではない
* Be the best you can be!!
2012/12/08
2012/12/06
ユージン・ルソー氏トーク内容メモ書き(前半)
先日行われたユージン・ルソー トーク&ミニコンサートでのトーク内容のメモ書きを(長くなりそうなので前半・後半にわけて)アップ。聞きながら書いたため、間違っている可能性もありますのでご承知おき下さい。
Thunderさんもご自身のメモ内容をアップされています。
【サクソフォン人生のこと】
* 幼少時代~キャリア初期の写真
- 幼少時代の家
o イリノイ州ブルーアイランド
- 初めてサクソフォンを手にした数年後(1942年)
- 高校時代(1949年)
- EU Trio(1951年)
o 大学時代に組んでいたダンス・ミュージックを演奏するためのバンド。そこそこ稼いだ
- マルセル・ミュールと(1961年)
o ルソー氏の後ろにはベートーヴェンの肖像が掛かっている
* サクソフォンとの出会い~パリ留学
- 7~8才のころ、近所の男の子がサクソフォンを練習しているのを聴いて、その音に魅せられた
- 両親にねだったところサクソフォンを買い与えてくれたのだが、近所の男の子は金色の楽器、買ってもらったのは銀色の楽器だったので、泣いてしまった
- 中学までは音楽orサクソフォンを専門的に学ぶことはなかった
- 高校から、トロンボーン奏者の先生について音楽を習った
o あるときコンクールで取り上げるために先生が曲名を書いてくれた
o シカゴの大型楽器店まで行って、店員に曲名を見せてこの楽譜が欲しいといったところ、本当かと驚かれた
o そこに書いてあったのがイベール「コンチェルティーノ・ダ・カメラ」
o 店員がミュール演奏のイベール演奏が収録された78回転のSPを薦めてくれたため、購入。演奏に魅了された。
- 28歳の時フルブライト給費生としてフランスへ。"Change My Life"
ルソー氏が幼少時代を過ごしたという家の写真。スライドに住所が映されていたのだが、Google Mapに住所を打ち込んだらストリートビューで探すことができた。住んでいる人はもちろん変わっているのだろうが、家自体はいまでも変わらずその場所にあるらしい。
【新しいサクソフォンを目指して・ヤマハとの出会い】
* ヤマハとの出会い
- パリ留学時代、アパートで練習できなかったため、近くのLeblancの工場で練習させてもらっていた
- Leblanc工場の近くにはウヴナゲール?という名前の音響学者が住んでおり、練習しに行くといつも話しかけてきた。「何々を知ってる?」と聞かれ、知らないというと「それはね、云々~」という具合。
- YAMAHAは、当時新型サクソフォンを開発するためのテスターを探していた
- ルブランUSAの社長Vito Pascucci氏が、ルソー氏を、YAMAHA社長の川上源一氏へと紹介
* YAS-62の開発
- 当時の最上位機種YAS-61の印象として書かれたメモ:Good feature, Good quality...will it be improved
- YAMAHAと協業できたことは幸運だった
o 設備も素晴らしく、働く人のやる気も高い
- 写真
o 手書きのサクソフォン設計書
o 目隠しをしてサクソフォンをテストするルソー氏
o 音ごとの音程グラフ
o 黒板に書き付けられたメモ
- ルソー氏が考えるサクソフォン設計において重要な3つの要素
o Intonation(音程)
o Air(エアー)
o Embouchure(アンブシュア)
- Pitchを補正する→Tuningを行う→Make intonation by using good air and embouchure
* 雲井氏コメント
- 音程チェックのテストはとても大変だった
- ルソー氏とのコラボレーションも、非常に刺激的だった
- 自分の意見が新製品の開発に生かされていることが、非常に良い経験だった
* 石渡氏コメント
- ピアノの永井氏?が行ったコンクリートで作れば一番良く響く、という言葉が忘れられない
- ルソー氏の演奏は銀座中央会館でのリサイタルで初めて聴いた
- インディアナ大学へは研究員として6ヶ月間留学
- 後年、ルソー氏が有給休暇(アメリカの大学教員は6年ごとに1年間の有給休暇を取得できる)を取るときに、半分の6ヶ月間だけ特別講師として赴任。破格の2万ドルをもらった
- 62の開発には5年間を費やした
【世界の偉大な音楽家との出会い】【若きサクソフォン演奏家へのメッセージ】については、後日、別の記事として書く予定。
Thunderさんもご自身のメモ内容をアップされています。
【サクソフォン人生のこと】
* 幼少時代~キャリア初期の写真
- 幼少時代の家
o イリノイ州ブルーアイランド
- 初めてサクソフォンを手にした数年後(1942年)
- 高校時代(1949年)
- EU Trio(1951年)
o 大学時代に組んでいたダンス・ミュージックを演奏するためのバンド。そこそこ稼いだ
- マルセル・ミュールと(1961年)
o ルソー氏の後ろにはベートーヴェンの肖像が掛かっている
* サクソフォンとの出会い~パリ留学
- 7~8才のころ、近所の男の子がサクソフォンを練習しているのを聴いて、その音に魅せられた
- 両親にねだったところサクソフォンを買い与えてくれたのだが、近所の男の子は金色の楽器、買ってもらったのは銀色の楽器だったので、泣いてしまった
- 中学までは音楽orサクソフォンを専門的に学ぶことはなかった
- 高校から、トロンボーン奏者の先生について音楽を習った
o あるときコンクールで取り上げるために先生が曲名を書いてくれた
o シカゴの大型楽器店まで行って、店員に曲名を見せてこの楽譜が欲しいといったところ、本当かと驚かれた
o そこに書いてあったのがイベール「コンチェルティーノ・ダ・カメラ」
o 店員がミュール演奏のイベール演奏が収録された78回転のSPを薦めてくれたため、購入。演奏に魅了された。
- 28歳の時フルブライト給費生としてフランスへ。"Change My Life"
ルソー氏が幼少時代を過ごしたという家の写真。スライドに住所が映されていたのだが、Google Mapに住所を打ち込んだらストリートビューで探すことができた。住んでいる人はもちろん変わっているのだろうが、家自体はいまでも変わらずその場所にあるらしい。
【新しいサクソフォンを目指して・ヤマハとの出会い】
* ヤマハとの出会い
- パリ留学時代、アパートで練習できなかったため、近くのLeblancの工場で練習させてもらっていた
- Leblanc工場の近くにはウヴナゲール?という名前の音響学者が住んでおり、練習しに行くといつも話しかけてきた。「何々を知ってる?」と聞かれ、知らないというと「それはね、云々~」という具合。
- YAMAHAは、当時新型サクソフォンを開発するためのテスターを探していた
- ルブランUSAの社長Vito Pascucci氏が、ルソー氏を、YAMAHA社長の川上源一氏へと紹介
* YAS-62の開発
- 当時の最上位機種YAS-61の印象として書かれたメモ:Good feature, Good quality...will it be improved
- YAMAHAと協業できたことは幸運だった
o 設備も素晴らしく、働く人のやる気も高い
- 写真
o 手書きのサクソフォン設計書
o 目隠しをしてサクソフォンをテストするルソー氏
o 音ごとの音程グラフ
o 黒板に書き付けられたメモ
- ルソー氏が考えるサクソフォン設計において重要な3つの要素
o Intonation(音程)
o Air(エアー)
o Embouchure(アンブシュア)
- Pitchを補正する→Tuningを行う→Make intonation by using good air and embouchure
* 雲井氏コメント
- 音程チェックのテストはとても大変だった
- ルソー氏とのコラボレーションも、非常に刺激的だった
- 自分の意見が新製品の開発に生かされていることが、非常に良い経験だった
* 石渡氏コメント
- ピアノの永井氏?が行ったコンクリートで作れば一番良く響く、という言葉が忘れられない
- ルソー氏の演奏は銀座中央会館でのリサイタルで初めて聴いた
- インディアナ大学へは研究員として6ヶ月間留学
- 後年、ルソー氏が有給休暇(アメリカの大学教員は6年ごとに1年間の有給休暇を取得できる)を取るときに、半分の6ヶ月間だけ特別講師として赴任。破格の2万ドルをもらった
- 62の開発には5年間を費やした
【世界の偉大な音楽家との出会い】【若きサクソフォン演奏家へのメッセージ】については、後日、別の記事として書く予定。
2012/12/05
ユージン・ルソー トーク&ミニコンサート
まるで夢のような、幸せな時間を過ごした。こういった聴後感というか、演奏会後の気分は初めてだ。
【ユージン・ルソー トーク&ミニコンサート】
出演:ユージン・ルソー(sax)、松浦真沙(pf)、佐藤渉(通訳)
日時:2012年12月4日(火)19:00開演
会場:ヤマハ銀座コンサートサロン
プログラム:
B.ヘイデン - ディヴァージョン
トーク(サクソフォン人生のこと、新しいサクソフォンを目指して・ヤマハとの出会い)
H.カーマイケル - スターダスト
トーク(世界の偉大な音楽家との出会い、若きサクソフォン演奏家へのメッセージ)
G.ガーシュウィン - ポギーとベスより
E.ヘイゲン - ハーレム・ノクターン(アンコール)
アメリカを、いや、世界を代表するクラシック・サクソフォンの巨匠、ユージン・ルソー Eugene Rousseau氏。1932年アメリカ生まれ。フルブライト留学生としてパリに渡り、マルセル・ミュール氏に師事。アメリカ帰国後は演奏活動・教育活動に携わり、世界各地の有名オーケストラとの共演、ドイツ・グラモフォンを含む複数レーベルへの録音、数々の新作の初演を行った。インディアナ大学、ミネソタ州立大学特別教授として後進の指導にあたり、著名な演奏家を輩出した。
私にとってルソー氏は、リアルタイムで接したことのない「CDの中の人」。よく聴いたのは、クラシック・サクソフォンに興味を持ったちょうどそのころにリリースされ、手に入れやすかったRIAXの4枚である。ソナタ集、アレンジ・コンチェルト集、弦楽器とのトリオ、フェルド作品集と、多岐にわたるジャンルが面白いことに加え、演奏のクオリティが非常に高いこともあり、愛聴盤だ。他にも、Delos盤、グラモフォン盤ほか、10枚ほど持っているはずだ。
そんなこんなで、まさかお会いできることになるとは思わなかったのだが、今年7月のWSCで、初めてルソー氏にお会いして(ごく短い時間ながら)お話できた。この時(石渡悠史先生にシャッターを押してもらって)ルソー氏とケネス・チェ氏と写真を撮ってもらい、とても嬉しかったのだった。ちなみにWSCではマスタークラスのために渡英したとのことで、演奏を聴く機会はなかった。
そして昨日!まさか2012年のうちに、再びルソー氏に接する機会を得ることができるとは、夢にも思わなかった。貴重な機会を準備して下さったYAMAHAのスタッフの皆様に感謝、である。…前置きが長くなった。
会場に着くと、客席がいつにも増して濃い。客席にギャラ発生しそうだよね、とはtfmさんの言葉。久々にお会いする方もたくさんおり、ご挨拶できて嬉しかった。
冒頭から難曲「ディヴァージョン」。ルソー氏が独奏をつとめるDelosの録音でも親しんだあの曲を、まさかライヴで聴くことができるとは!あのCDで聴くことのできた丸くニュートラル、そして暖色系の音色が眼前で発せられる。やや控えめで上品なヴィブラートが、華を添える。驚いたことに80歳にしていまだテクニックにはほとんど衰えがみられない。指回しも驚異的、そしてカデンツァでの輝かしい(しかし決して押し付けがましくない)フラジオ音域と、あと10年は余裕で吹き続けることができるのではないかと思わせる圧倒的な演奏で冒頭を飾った。松浦真沙氏のピアノも、もちろん素晴らしい。
トークでは、YAMAHAのH氏が司会をつとめ、佐藤渉氏が通訳を行った(通訳はさすが!であった)。プロジェクターで写真やその他資料を映しながら、ルソー氏が音楽家としてのキャリアの初期についてトークを行う。その言葉の隅々から巨匠としての風格を漂わせるが、しかし客席に語りかけるように、時にユーモアを交えながら親しみやすい口調で様々なエピソードが語られた。続いて、YAMAHAのサクソフォン開発において共同作業を開始したキッカケや、その開発時のエピソードについて話が進んだ。司会のH氏ご指名で、客席の石渡悠史氏と雲井雅人氏からもYAMAHAサクソフォンの開発に関する話がなされ、充実したセッションとなった。
そして、再びルソー氏の演奏。マイナスワンのCDを使った、カーマイケル「スターダスト」である。トークから感じられる人柄が、そのまま音楽となって溢れ出してきたような、素晴らしい演奏を堪能。思わず涙してしまうほどであった…。
休憩時間には、ホワイエに並べられた各時代のYAMAHAのアルト・サクソフォンのトップモデルを鑑賞。ミシェル・ヌオー氏が開発に携わった最初期のYAS-61、そしてルソー氏が開発に携わったYAS-62、最新のYAS-875EXまで。これはとてもおもしろかったので、後日写真をまとめてアップしたいと思う。
後半のトークは、ルソー氏と音楽家たち…マルセル・ミュール氏、ポール・クレストン氏、バーナード・ヘイデン氏、カレル・フサ氏について、エピソードが語られた。その後、客席からも質問OKということだったので、イィンドジフ・フェルド氏との関わりについてエピソードを質問させてもらった。Thunderさんは、グラモフォンの協奏曲集を吹きこむことになった経緯について質問されていた。最後に、日本の若いサクソフォン奏者へ、ということでメッセージ。本当に好きで、専門家として生きていくならば、人生はお金を稼ごうと思えばシンプルではないけれど、情熱を持って取り組みなさい…「Be the best you can be!」という力強い言葉が、いまでも頭の中をぐるぐる回っている。
最後に、ガーシュウィン。「世界のどこでバッハを吹いてもこれはバッハの音楽だとわかってもらえる。ガーシュウィンの音楽も、同じようなものであると考えている」という短い前置きのあとに、ソプラノとアルトを持ち替えての演奏。ここまでプリミティブな"音楽"として演奏されてしまうと、いま聴こえてきている音楽が、クラシック音楽なのか、ポピュラー音楽なのか、という境界がぼやけて、よく分からなくなってきてしまう。得難い経験だった。アンコールに「ハーレム・ノクターン」。最後まで幸せな時間だった。
終演後、サインを頂戴し、写真を一緒に撮ってもらい(ミーハーモード)、さらに木下直人さんから送ってもらったミュール氏参加のデュリュフレSPの世界初復刻を渡すことができた。なんだかほっこりしたまま会場を後にしたのだった。
トークの内容は、後日メモ書きをアップしたいと思う。
【ユージン・ルソー トーク&ミニコンサート】
出演:ユージン・ルソー(sax)、松浦真沙(pf)、佐藤渉(通訳)
日時:2012年12月4日(火)19:00開演
会場:ヤマハ銀座コンサートサロン
プログラム:
B.ヘイデン - ディヴァージョン
トーク(サクソフォン人生のこと、新しいサクソフォンを目指して・ヤマハとの出会い)
H.カーマイケル - スターダスト
トーク(世界の偉大な音楽家との出会い、若きサクソフォン演奏家へのメッセージ)
G.ガーシュウィン - ポギーとベスより
E.ヘイゲン - ハーレム・ノクターン(アンコール)
アメリカを、いや、世界を代表するクラシック・サクソフォンの巨匠、ユージン・ルソー Eugene Rousseau氏。1932年アメリカ生まれ。フルブライト留学生としてパリに渡り、マルセル・ミュール氏に師事。アメリカ帰国後は演奏活動・教育活動に携わり、世界各地の有名オーケストラとの共演、ドイツ・グラモフォンを含む複数レーベルへの録音、数々の新作の初演を行った。インディアナ大学、ミネソタ州立大学特別教授として後進の指導にあたり、著名な演奏家を輩出した。
私にとってルソー氏は、リアルタイムで接したことのない「CDの中の人」。よく聴いたのは、クラシック・サクソフォンに興味を持ったちょうどそのころにリリースされ、手に入れやすかったRIAXの4枚である。ソナタ集、アレンジ・コンチェルト集、弦楽器とのトリオ、フェルド作品集と、多岐にわたるジャンルが面白いことに加え、演奏のクオリティが非常に高いこともあり、愛聴盤だ。他にも、Delos盤、グラモフォン盤ほか、10枚ほど持っているはずだ。
そんなこんなで、まさかお会いできることになるとは思わなかったのだが、今年7月のWSCで、初めてルソー氏にお会いして(ごく短い時間ながら)お話できた。この時(石渡悠史先生にシャッターを押してもらって)ルソー氏とケネス・チェ氏と写真を撮ってもらい、とても嬉しかったのだった。ちなみにWSCではマスタークラスのために渡英したとのことで、演奏を聴く機会はなかった。
そして昨日!まさか2012年のうちに、再びルソー氏に接する機会を得ることができるとは、夢にも思わなかった。貴重な機会を準備して下さったYAMAHAのスタッフの皆様に感謝、である。…前置きが長くなった。
会場に着くと、客席がいつにも増して濃い。客席にギャラ発生しそうだよね、とはtfmさんの言葉。久々にお会いする方もたくさんおり、ご挨拶できて嬉しかった。
冒頭から難曲「ディヴァージョン」。ルソー氏が独奏をつとめるDelosの録音でも親しんだあの曲を、まさかライヴで聴くことができるとは!あのCDで聴くことのできた丸くニュートラル、そして暖色系の音色が眼前で発せられる。やや控えめで上品なヴィブラートが、華を添える。驚いたことに80歳にしていまだテクニックにはほとんど衰えがみられない。指回しも驚異的、そしてカデンツァでの輝かしい(しかし決して押し付けがましくない)フラジオ音域と、あと10年は余裕で吹き続けることができるのではないかと思わせる圧倒的な演奏で冒頭を飾った。松浦真沙氏のピアノも、もちろん素晴らしい。
トークでは、YAMAHAのH氏が司会をつとめ、佐藤渉氏が通訳を行った(通訳はさすが!であった)。プロジェクターで写真やその他資料を映しながら、ルソー氏が音楽家としてのキャリアの初期についてトークを行う。その言葉の隅々から巨匠としての風格を漂わせるが、しかし客席に語りかけるように、時にユーモアを交えながら親しみやすい口調で様々なエピソードが語られた。続いて、YAMAHAのサクソフォン開発において共同作業を開始したキッカケや、その開発時のエピソードについて話が進んだ。司会のH氏ご指名で、客席の石渡悠史氏と雲井雅人氏からもYAMAHAサクソフォンの開発に関する話がなされ、充実したセッションとなった。
そして、再びルソー氏の演奏。マイナスワンのCDを使った、カーマイケル「スターダスト」である。トークから感じられる人柄が、そのまま音楽となって溢れ出してきたような、素晴らしい演奏を堪能。思わず涙してしまうほどであった…。
休憩時間には、ホワイエに並べられた各時代のYAMAHAのアルト・サクソフォンのトップモデルを鑑賞。ミシェル・ヌオー氏が開発に携わった最初期のYAS-61、そしてルソー氏が開発に携わったYAS-62、最新のYAS-875EXまで。これはとてもおもしろかったので、後日写真をまとめてアップしたいと思う。
後半のトークは、ルソー氏と音楽家たち…マルセル・ミュール氏、ポール・クレストン氏、バーナード・ヘイデン氏、カレル・フサ氏について、エピソードが語られた。その後、客席からも質問OKということだったので、イィンドジフ・フェルド氏との関わりについてエピソードを質問させてもらった。Thunderさんは、グラモフォンの協奏曲集を吹きこむことになった経緯について質問されていた。最後に、日本の若いサクソフォン奏者へ、ということでメッセージ。本当に好きで、専門家として生きていくならば、人生はお金を稼ごうと思えばシンプルではないけれど、情熱を持って取り組みなさい…「Be the best you can be!」という力強い言葉が、いまでも頭の中をぐるぐる回っている。
最後に、ガーシュウィン。「世界のどこでバッハを吹いてもこれはバッハの音楽だとわかってもらえる。ガーシュウィンの音楽も、同じようなものであると考えている」という短い前置きのあとに、ソプラノとアルトを持ち替えての演奏。ここまでプリミティブな"音楽"として演奏されてしまうと、いま聴こえてきている音楽が、クラシック音楽なのか、ポピュラー音楽なのか、という境界がぼやけて、よく分からなくなってきてしまう。得難い経験だった。アンコールに「ハーレム・ノクターン」。最後まで幸せな時間だった。
終演後、サインを頂戴し、写真を一緒に撮ってもらい(ミーハーモード)、さらに木下直人さんから送ってもらったミュール氏参加のデュリュフレSPの世界初復刻を渡すことができた。なんだかほっこりしたまま会場を後にしたのだった。
トークの内容は、後日メモ書きをアップしたいと思う。
2012/12/03
たかの舞俐作品集(「リガリアン」所収)
サクソフォン関係者でたかの舞俐(まり)氏の名前をご存知の方は少ないと思うが、非常に面白い作品「リガリアンI」「リガリアンIV」をサクソフォン・デュオ+ピアノの編成に提供している。この曲を私が初めて聴いたのは、2010年2月にノースショア・サクソフォン・トリオ(ネイサン・ナブ氏、杉原真人氏、ウィストン・チョイ氏)が来日したときのことである。
「リガリアン=LigAlien」とは、たかの舞俐氏の作曲の師匠であるジェルジュ・リゲティの名前とエイリアン(異星人)を掛けあわせた造語である。以前この作品をライヴで聴いた時に、演奏の前に氏自身の口から作曲コンセプトが語られた。それによれば、リゲティのDNAにエイリアンのDNAを掛けあわせ、発展(進化?)させていったらどのような作品が生まれるか、ということを氏なりに解釈して作曲した…という、何だか理解できないようなできないような、そんなコンセプトに基づいて作曲されたとのこと。わかるようなわからないような。
とにかく聴いてみなければその面白さはわからない…というような作品なのだが、これまで商用録音が存在しなかった。YouTubeに、上記来日時の映像がアップロードされているが、録音状態など鑑みると観賞用としてはやはり完全とはいえない。…ということで、前置きが長くなったが、BISレーベルより同曲のセッション録音が含まれるたかの舞俐作品集「LigAlien || works by Mari Takano(BIS CD-1453)」がリリースされていたのでご紹介。
LigAlien I(サクソフォン・デュオ+ピアノ)
Jungibility(ピアノ)
LigAlien III(ヴァイオリン+ハープ)
LigAlien II(オーボエ+ヴァイオリン+琴)
Full Moon(ヴァイオリン+エレクトロニクス)
LigAlien IV(サクソフォン・デュオ+ピアノ)
Flute Concerto(フルート+オーケストラ)
「リガリアンI」「リガリアンIV」の演奏は、ノースショア・サクソフォン・トリオである!まさかここでまた彼らの演奏を聴くことができるとは思わなかった。嬉しいサプライズだ。安定した技術に基づきつつも"吹っ切れた"演奏は、この曲の面白さを存分に引き出すものだと思う。
また、フルート協奏曲の独奏はシャロン・ベザリーがつとめており(おそらくBIS CD-1649と同一セッション。BISだと良くあることだが)、こちらもクオリティの高い演奏を楽しめた。ヴァイオリンとエレクトロニクスのための「Full Moon」は初めて聴いたが、多彩な響きが面白いなあと思って聴いていたら…最終部の音作りがとんでもない。エレクトロニクス作品で、「恐怖」を覚えたのは、テリー・ライリーの「暗殺者の幻想」以来か。Amazonでの購入リンクはこちら→たかの舞俐作品集
ちなみに、現在たかの舞俐氏は、オペラ「雪の女王」を作曲中とのこと。クラリネット持ち替えでアルト・サクソフォンが編成に含まれており、オーケストラ編成のなかでどのような使われ方をするのか楽しみである。
「リガリアン=LigAlien」とは、たかの舞俐氏の作曲の師匠であるジェルジュ・リゲティの名前とエイリアン(異星人)を掛けあわせた造語である。以前この作品をライヴで聴いた時に、演奏の前に氏自身の口から作曲コンセプトが語られた。それによれば、リゲティのDNAにエイリアンのDNAを掛けあわせ、発展(進化?)させていったらどのような作品が生まれるか、ということを氏なりに解釈して作曲した…という、何だか理解できないようなできないような、そんなコンセプトに基づいて作曲されたとのこと。わかるようなわからないような。
とにかく聴いてみなければその面白さはわからない…というような作品なのだが、これまで商用録音が存在しなかった。YouTubeに、上記来日時の映像がアップロードされているが、録音状態など鑑みると観賞用としてはやはり完全とはいえない。…ということで、前置きが長くなったが、BISレーベルより同曲のセッション録音が含まれるたかの舞俐作品集「LigAlien || works by Mari Takano(BIS CD-1453)」がリリースされていたのでご紹介。
LigAlien I(サクソフォン・デュオ+ピアノ)
Jungibility(ピアノ)
LigAlien III(ヴァイオリン+ハープ)
LigAlien II(オーボエ+ヴァイオリン+琴)
Full Moon(ヴァイオリン+エレクトロニクス)
LigAlien IV(サクソフォン・デュオ+ピアノ)
Flute Concerto(フルート+オーケストラ)
「リガリアンI」「リガリアンIV」の演奏は、ノースショア・サクソフォン・トリオである!まさかここでまた彼らの演奏を聴くことができるとは思わなかった。嬉しいサプライズだ。安定した技術に基づきつつも"吹っ切れた"演奏は、この曲の面白さを存分に引き出すものだと思う。
また、フルート協奏曲の独奏はシャロン・ベザリーがつとめており(おそらくBIS CD-1649と同一セッション。BISだと良くあることだが)、こちらもクオリティの高い演奏を楽しめた。ヴァイオリンとエレクトロニクスのための「Full Moon」は初めて聴いたが、多彩な響きが面白いなあと思って聴いていたら…最終部の音作りがとんでもない。エレクトロニクス作品で、「恐怖」を覚えたのは、テリー・ライリーの「暗殺者の幻想」以来か。Amazonでの購入リンクはこちら→たかの舞俐作品集
ちなみに、現在たかの舞俐氏は、オペラ「雪の女王」を作曲中とのこと。クラリネット持ち替えでアルト・サクソフォンが編成に含まれており、オーケストラ編成のなかでどのような使われ方をするのか楽しみである。
2012/12/02
木下直人さんから(Marcel Mule plays Durufle)
木下直人さんから、非常に希少な音盤の復刻を頂戴した。マルセル・ミュール氏がオーケストラに参加した盤で、モーリス・デュリュフレの「3つの舞曲」の第3楽章"Tambourin"が収録されたSPである。Assosication francaise d'action artisqique AA.11という型番が付与されている、超レア盤。木下さんのお話では、一般販売されなかった盤のではないか、とのこと。Eugène Bigot指揮コンセール・ラムルー管弦楽団の演奏で、1943年2月22日の録音。この録音が吹きこまれた経緯などいろいろと想像を巡らせてしまう。写真はクリックすると拡大できる。
第3楽章"Tambourin"の中間部で、サクソフォンが活躍する。息の長いソロ、そして続くスタッカート部分で他楽器との掛け合いが聴かれる。良くあるSP時代のサクソフォン独奏SPのように、オンマイクでサクソフォンが吹きこまれているということはなく、あくまでオーケストラの一員としてサクソフォンが聴こえる。しかし、その中でも抜群の存在感を放つ…これは、ミュールの演奏そのものである。70年近くの時を経て、この録音がCDプレーヤー上で再生されているなんて、天国のミュール氏が知ったらどう思うだろうか。
先日の長野での演奏の際には、私の分のみならず、TsukubaSQ出演者全員分の復刻までしていただいて、プレゼントしてくださった。しかも一枚足りないとわかるや、追加で郵送して下さったのだ!いやはや、頭が上がらない。この場を借りて改めて御礼申し上げる。
興味ある方は、kuri_saxo@yahoo.co.jpまで連絡をください。
第3楽章"Tambourin"の中間部で、サクソフォンが活躍する。息の長いソロ、そして続くスタッカート部分で他楽器との掛け合いが聴かれる。良くあるSP時代のサクソフォン独奏SPのように、オンマイクでサクソフォンが吹きこまれているということはなく、あくまでオーケストラの一員としてサクソフォンが聴こえる。しかし、その中でも抜群の存在感を放つ…これは、ミュールの演奏そのものである。70年近くの時を経て、この録音がCDプレーヤー上で再生されているなんて、天国のミュール氏が知ったらどう思うだろうか。
先日の長野での演奏の際には、私の分のみならず、TsukubaSQ出演者全員分の復刻までしていただいて、プレゼントしてくださった。しかも一枚足りないとわかるや、追加で郵送して下さったのだ!いやはや、頭が上がらない。この場を借りて改めて御礼申し上げる。
興味ある方は、kuri_saxo@yahoo.co.jpまで連絡をください。
Wisuwat Pruksavanich "Hard Fairy"
有村氏のリサイタルは伺えず…残念。
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タイのサクソフォン奏者で、Siam Saxophone Quartetのメンバー、そしてお友達であるWisuwat "George" Pruksavanich氏(私は彼のことをGeorgeと呼んでいる)のCDを先週初めに入手した。このアルバムはGeorgeのファーストアルバムであり、企画が立ち上がったあたりから完成までGeorgeのFacebookアカウントで経緯を追うこともできたため、内容を知るのも早く楽しみにしていた。収録曲は次の通り。
JacobTV - Grab It!
Barry Cockcroft - Rock Me
Graham Fitkin - Hard Fairy
Christian Lauba - Hard too Hard
Russell Peterson - Quintet
Claude T. Smith - Fantasia
Prince Phichai Mahintorodom - Lao Duang Duan
タイトルだけ眺めても「おっ」と感じる方がいることだろう。ヤコブTV、コッククロフト、フィトキン、ロバといった現代作曲家の高難易度の作品、アメリカのラッセル・ピーターソンとC.T.スミスの作品エンターテインメント性あふれる作品が一挙に収録されている。
だがこのアルバムの特徴はそれに留まらない。フィトキン、ピーターソン、スミス作品で、Georgeによるスペシャル・アレンジが施されているのだ!そのアレンジたるや、サクソフォンと、ドラム、ベース、ギター、シンセサイザーというもの。完全にロック編成のヘヴィな音作りは、実にクール!特に、もともとソプラノサックス+2台ピアノ編成のフィトキン「ハードな妖精」のアレンジなど、まるでプログレッシブ・ロックのようにも聴こえ、個人的には超感涙ものである。また、もともと吹奏楽のために書かれたスミス「ファンタジア」がどのように料理されているのかも、気になる方は多いのではないだろうか。
全体的にヴィブラート控えめで、サクソフォンパートにはさらなるニュアンスの変化が欲しい部分も少しあるが、それでもこの全体のクールさを前にしては何も言えなくなってしまう。現代作品が好きな方、そしてロックが好きな方であれば、一発でノックアウトされてしまうのではないだろうか。
また、無伴奏曲も注意深く聴いてみると面白い味付けがされている。「ロック・ミー」をこのように料理するのかあと、ニヤニヤしてしまう。無伴奏曲でのテクニックは実に冴え渡っており、「ハード・トゥ・ハード」でも安定した技巧と大胆な表現も聴くことができる。おすすめ。
購入は、Georgeへのメールで。私が購入したときは、1枚10ドルちょっとだった。日本への発送なら、送料込みでも20USドルいかないはず。
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タイのサクソフォン奏者で、Siam Saxophone Quartetのメンバー、そしてお友達であるWisuwat "George" Pruksavanich氏(私は彼のことをGeorgeと呼んでいる)のCDを先週初めに入手した。このアルバムはGeorgeのファーストアルバムであり、企画が立ち上がったあたりから完成までGeorgeのFacebookアカウントで経緯を追うこともできたため、内容を知るのも早く楽しみにしていた。収録曲は次の通り。
JacobTV - Grab It!
Barry Cockcroft - Rock Me
Graham Fitkin - Hard Fairy
Christian Lauba - Hard too Hard
Russell Peterson - Quintet
Claude T. Smith - Fantasia
Prince Phichai Mahintorodom - Lao Duang Duan
タイトルだけ眺めても「おっ」と感じる方がいることだろう。ヤコブTV、コッククロフト、フィトキン、ロバといった現代作曲家の高難易度の作品、アメリカのラッセル・ピーターソンとC.T.スミスの作品エンターテインメント性あふれる作品が一挙に収録されている。
だがこのアルバムの特徴はそれに留まらない。フィトキン、ピーターソン、スミス作品で、Georgeによるスペシャル・アレンジが施されているのだ!そのアレンジたるや、サクソフォンと、ドラム、ベース、ギター、シンセサイザーというもの。完全にロック編成のヘヴィな音作りは、実にクール!特に、もともとソプラノサックス+2台ピアノ編成のフィトキン「ハードな妖精」のアレンジなど、まるでプログレッシブ・ロックのようにも聴こえ、個人的には超感涙ものである。また、もともと吹奏楽のために書かれたスミス「ファンタジア」がどのように料理されているのかも、気になる方は多いのではないだろうか。
全体的にヴィブラート控えめで、サクソフォンパートにはさらなるニュアンスの変化が欲しい部分も少しあるが、それでもこの全体のクールさを前にしては何も言えなくなってしまう。現代作品が好きな方、そしてロックが好きな方であれば、一発でノックアウトされてしまうのではないだろうか。
また、無伴奏曲も注意深く聴いてみると面白い味付けがされている。「ロック・ミー」をこのように料理するのかあと、ニヤニヤしてしまう。無伴奏曲でのテクニックは実に冴え渡っており、「ハード・トゥ・ハード」でも安定した技巧と大胆な表現も聴くことができる。おすすめ。
購入は、Georgeへのメールで。私が購入したときは、1枚10ドルちょっとだった。日本への発送なら、送料込みでも20USドルいかないはず。
2012/12/01
ジェローム・ララン氏参加の「世界の創造」動画
おなじみ、ジェローム・ララン氏の参加したダリウス・ミヨー「世界の創造」の動画。Facebookのジェローム氏のアカウントから流れてきた。最近Facebookから有益な情報を得ることが多いなあ。今年10月14日に、サル・プレイエルにおいて開かれた演奏会の録画で、イル・ド・フランス国立管弦楽団 Orchestre National d'Île-de-Franceの演奏。
「世界の創造」をライヴで作りこむのは非常に困難だと思うのだが、指揮者のせいかオケのせいか、大変素晴らしい仕上がり。さらに高画質・高音質。ジェローム氏の演奏も冴え渡っている…。他に視聴可能なのは、Jean Wiener「Concerto franco-americain」(知らない作品だ…)、ガーシュウィン「ラプソディ・イン・ブルー」、ミヨー「屋根の上の牛」。2013年4月14日まで視聴可能とのこと。
http://www.citedelamusiquelive.fr/Concert/0993419/1.html
「世界の創造」をライヴで作りこむのは非常に困難だと思うのだが、指揮者のせいかオケのせいか、大変素晴らしい仕上がり。さらに高画質・高音質。ジェローム氏の演奏も冴え渡っている…。他に視聴可能なのは、Jean Wiener「Concerto franco-americain」(知らない作品だ…)、ガーシュウィン「ラプソディ・イン・ブルー」、ミヨー「屋根の上の牛」。2013年4月14日まで視聴可能とのこと。
http://www.citedelamusiquelive.fr/Concert/0993419/1.html