WSC参加者全員に、プログラム冊子・名札等の各種グッズとともに無料配布されたCD。
RNCM…つまり、Royal Nothern College of Musicことイギリス王立北部音楽院のサクソフォン・オーケストラである。RNCMといったら、私が現代の吹奏楽界で愛してやまない吹奏楽団のひとつ…RNCM Wind Orchestra(コングレスの吹奏楽コンチェルトコンサートのバックバンドを務めていた)を擁する音楽院だが、まさかこんなサクソフォン・オーケストラをも抱えているとは知らなかった。
解説によると、Rob Buckland ロブ・バックバンド氏が1997年から、Andy Scott アンディ・スコット氏が2000年からRNCMのサクソフォン科講師となり、その後"RNCM Saxophone Day"というイベントを立ち上げたことによりRNCMのサクソフォン専攻生が増大し、サクソフォン・オーケストラを立ち上げることができたとのこと。このCDは、RNCM Saxophone Orchestraの初めてのレコーディングで、録音セッションは2012年の5月に実施されたということだ。
Adam Gorb - Burlesque
Gary Carpenter - Missa Beata Virgine
Andy Scott - Tjuonavagge
Andy Scott - Big Red
Julian Arguelles - Music from "Scapes"
Rob Buckland - Altostratus
なんと、すべてサクソフォン・オーケストラのために書かれたオリジナル作品である。アダム・ゴーブ氏やゲイリー・カーペンター氏という現代イギリス作曲界を代表する布陣が作品を寄せているほか、指導陣であるスコット、バックランド両氏も作品を書いている。
作品のスタイルは様々で、特にゲイリー・カーペンター氏の「Missa Beata Virgine」は、これはぜひ実演で聴いてみたいと思った。ミサ曲という名前がついているが、カーペンター氏の現代的な書法とサクソフォンという現代楽器による演奏によって、とてもおもしろい作品に仕上がっている。スコット、バックランド両氏の作品は、さすがにサクソフォンのかっこいい響きをよく解っているな、という感じ。Julian Arguelles氏の作品は、大胆にジャズ風なテナーサックスがフィーチャーされており、聴き応えがある。
演奏技術は非常に高い。丹念にリハーサルされ、技術的な部分をきちんとクリアしている。また、ソロ的な見せ場でもその高い技術が伺える。正直、オリジナル作品ばかりでここまできちんと聴かせられることに驚いた。なんだか、以前紹介したApollo Saxophone OrchestraのCDよりも、よほどこちらのほうがApolloっぽい音がする…という感想も変だなあ。録音が丁寧だ、ということも関係しているのかもしれない。
CDのどこをみても出版社の情報や型番が書いていない。もしかしたら、プロモーション目的の非商用自主制作盤かもしれない。興味ある方はRNCMに問い合わせていただきたい。
0 件のコメント:
コメントを投稿