2011/12/12

ルディ・ヴィードーフ入門

ルディ・ヴィードーフ Rudy Wiedoeft(ウィードフト)は、マルセル・ミュール以前では間違いなくもっとも偉大なサクソフォン奏者のひとりである。初めて彼の録音を聴いたのは、スティーブン・コットレルの論文つきCD「History of the Saxophone(Clarinet Classics)」に収録された「SAX-O-PHUN」よってであったが、1920年代に録音されたとは到底信じがたい技巧、自作曲の完成度の高さ、密度の高い音色、特殊奏法の数々に驚いたものだ。

メディアへの露出も多く、いくつもの録音が残されていることも幸いであった。CDとして復刻されているものも含め、私たちは今でもたくさんの録音を耳にすることができる。

当時の大衆芸術(ヴォードヴィル)の流れにのって、後にはレコード、ラジオにもその活躍の場を広げるなかで空前絶後の成功を収めたとされる。当時のアメリカでは、本当か嘘か知らないが、皆がヴィードーフに憧れてサクソフォンを手に取ったという。本流のクラシック・サクソフォンとは違うものの、純粋なサクソフォンの技術や音楽性という面で捉えれば間違いなく当時のナンバーワンであろう。そもそもマルセル・ミュールの演奏にしたってポップス界がルーツなのだし、クラシック・サクソフォンとも関わりが深いと思う。実際に、ヴィブラートの捉え方や音色に対する考え方など、共通点も多いと感じる。

ご存じない方は、ぜひその世界を覗いてみよう。当時のアメリカを震わせ、ただひたすらにエンターテイメントに徹した(しかし完成度は異常なほどに高い)サクソフォンの世界が、いやヴィードーフの世界感が、良く現れていると思う。

Saxo-O-Phun


ショート・ムービー。Cメロサックスを吹くルディ。


ディズニー映画「Music Island」。主人公のサックスは、ルディではないかと言われている。アニメーションとしても超一級品!

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