2011/12/18

埼玉大学吹奏楽部第47回定期演奏会

【埼玉大学吹奏楽部第47回定期演奏会】
出演:埼玉大学吹奏楽部、山本敬明、船越孝太(以上cond.)
日時:2011年12月18日(日曜) 14:00開演
会場:埼玉会館
プログラム:
J.ヴァン=デル=ロースト - フラッシング・ウィンズ
R.W.スミス - 海の男達の歌
渡口公康 - 南風のマーチ
S.プロコフィエフ - 「ロメオとジュリエット」より
A.リード - エル・カミーノ・レアル
伊藤康英 - 琉球幻想曲
M.アーノルド/小峰章裕 - 「スウィーニー・トッド」セレクション
B.ピクール - 交響曲第0番
~アンコール~
J.スウェアリンジェン - ロマネスク
A.リード - 第1組曲より"ギャロップ"

某お知り合いが所属しているということで聴きに伺った。そういえば去年も来たのだが、同じ会場・同じ時間帯で、何となくいろいろ思い出すことがある。ある団体を毎年聴くというようなことは、最近ほとんどやらなくなってしまったが、定期的に伺うことで分かってくることや期待することなど、単発とはまた違った楽しみがあるというものだ。1000人規模の巨大なホールだが、見た目9割5分超えの大盛況。二階席のできるだけ前のほうに席を構えた。

「フラッシング・ウィンズ」から、小気味よいリズムと見事な響きに聴き入ってしまった。私自身も何度も演奏した/聴いた曲であるが、こういうスタンダード作品をきっちりまとめられるあたりが、ベースとなる力の高さを示しているのだろう。指揮者によるところも大きそうだ。とても明解な棒さばきで、大編成のバンドをリードしていた。「海の男たちの歌」でもその傾向は同じであり、良い意味での"予定調和的な"音楽は、非常に好感が持てるものだ。中間部のゆったりとした部分でのソロの掛け合いなど、なかなか感動的ですらあった。

続いて演奏されたのは、今年のコンクールで取り上げたという2曲。…そういえば夏に県大会だか支部大会だかを聴きに行ったぞ(笑)。今日の演奏は、やはりコンクールメンバーでの演奏だったのだろうか。常任指揮者の小峰氏の指揮で、安定感に加えてダイナミックな要素もプラスされた音楽を楽しんだ。コンクールの曲を定期演奏会に乗せるとき、いろいろなシチュエーションがあるとは思うのだが、どのくらい追加練習を重ねるのだろうか。

「エル・カミーノ・レアル」「琉球幻想曲」「スウィーニー・トッド」の3曲は、小峰章裕氏の埼玉大学吹奏楽部常任指揮者就任10周年を記念してのステージという扱いであった。昨年も聴いてびっくりした「アルメニアン・ダンス」の演奏を思い起こさせる、聴衆を興奮のるつぼへと誘う魅せ方や全体構成などは小峰氏の面目躍如といった感じ。「琉球幻想曲」は、実質ピアノ協奏曲的なスタイルの作品だった(ピアノは部員の方が担当)。ちょうどいまサクソフォン四重奏版に取り組んでいるところだったので、その響きや構成の違いなど、興味深く聴くことができた。

「スウィーニー・トッド」の前に小峰氏のあいさつ。なんとここで、10周年を期に同部の常任指揮を離れることが伝えられた。埼玉大学吹奏楽部といえば小峰氏、というイメージがあったので、唐突な発表にかなり意外だったし、何があったのかといろいろ考えを巡らせてしまった。続いて演奏された「スウィーニー・トッド」は、小峰氏のまさに十八番。アーノルド氏に絶賛されたという自身のアレンジで、隅々までを知り尽くしたタクトは、さすがに説得力のあるものだった。

メインとなるピクールの「交響曲第0番」。この不思議なタイトルは、不死鳥伝説を題材にしたことに由来するもので、死→蘇生を繰り返す不死鳥のライフサイクルの環(○)を連想させる0(ZERO)が与えられたことによるものだそうだ。とにかく演奏者にとっては至難な作品で、現代的なリズム処理など大変そうな場所も散見されたが、長大な楽曲をきちんと作品として聴かせられていたことに感心。楽曲中の各ソロも、名演揃いだったと思う。

アンコールでは(これがホントの最後ということで)小峰氏が再びタクトを取り、スウェアリンジェン「ロマネスク」とリード「第1組曲」の「"たぶん世界最高速の"ギャロップ」。大盛り上がりの中、幕となった。

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