2011/06/02

フェリペ氏のグラズノフ「協奏曲」の録音

アントニオ・フェリペ Antonio Felipe Belijar氏は、スペインにおける最高のサクソフォン奏者の一人である。アドルフ・サックス国際コンクール(ディナン)に3回連続入賞というトンデモない経歴を持つ奏者であり、わたしも録音や映像で演奏に触れたことがあるが、隙のないテクニック、超絶技巧、軽やかな音色、といったところが印象深い。

そのフェリペ氏のグラズノフ「協奏曲」の録音を紹介したい。グラズノフの「協奏曲」は、プロフェッショナルからすれば技術的には困難がない作品だとされている(らしい)。技術的な部分が蒸発したあとに残るのは音楽性だが、その部分に関しても高いレベルに達している録音は多いと思う。というわけで、個人的に考える"名演奏"は多いのだが、そこにフェリペ氏の録音をぜひ付け加えたいと思う。

下記ページの123番をお聴きいただきたい。
http://www.adolphesax.com/index.php?option=com_weblinks&view=category&id=61&Itemid=618&lang=en&limitstart=100

この録音は、かつてフェリペ氏の公式ウェブサイトで公開されていたのだが、現在では聴けなくなっているもの。何かのコンクールの本選のライヴ録音のようなのだが、実にクオリティの高い演奏なのである。奇跡の名演…などと言うと大げさかもしれないが、確かにここでは様々な要因がプラスに働いて、聴き応えのある演奏となっている。もちろん、奇跡というのは起こるべくして起こるものであり、フェリペ氏の演奏技術や音楽性、指揮者の深い理解、オーケストラのテンションなど、全てが良い方向だったことが想像できるが。

…と、いろいと書いてしまったが、とにかく現代サクソフォン界におけるグラズノフ「協奏曲」の理想型のひとつだと考えている。

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