2011/04/17

Ensemble Squillanteのファーストアルバム

Ensemble Squillanteは、パリ国立高等音楽院出身のサクソフォン奏者で結成されたアンサンブル。第五回アドルフサックス国際コンクール優勝のSimon Diriqが参加するなど、その実力のほどは折り紙つきだ。そのこれまでも何度かこのブログ上で動画等を紹介するなどしてきたが、まとまった演奏を聴く機会はなかった。だがこのたびファーストアルバムをリリースし、お茶の間でこの演奏を堪能できるようになった。

Squillante(SC848-C874734)
J.S.Bach - Toccata et Fugue
E.Grieg - Holberg Suite
A.Corelli - Concerto Grosso Op.6-8
M.Ravel - Le Tombeau de Couperin

みずみずしく美しい、寒色系のスマートな音色は、現代フランスの流れに乗ったもの。バッハ「トッカータとフーガ」から、まるで晴れ渡った青空に向けて水しぶきが散っていくような爽快さを感じる。あまり技巧的な困難さを感じさせないというのも凄くて、このような演奏が可能な技術レベルの高さは、想像すらつかない。

「ホルベルク組曲」も果してこれまで何度サクソフォンの演奏で聴いたことだろう。スキランテの演奏は、間違いなくそのなかでもトップクラス。コレルリは、YouTubeにも彼らの演奏がアップロードされているが、なんだか妙にカッコ良い演奏で、一気に聴き通してしまった。バッハ、グリーグ、コレルリのような音楽的にベーシックな曲を臆すること無くファーストアルバムで取り上げてしまうのは、自信の表れだろう。

そして注目すべきはやはりラヴェル「クープランの墓」か。ラージアンサンブルの演奏というとミ=ベモルが思い浮かぶのだが、残念ながら私は聴いたことがなく…。というわけで比較はできないのが残念だが、まあとにかくトンデモ級の演奏で恐れ入る。「プレリュード」での、一本の旋律線が各楽器の間をスルスルと通り抜けていくさまなど、誰もが一聴の価値アリだ。オクターブ間の連結、フラジオ、何ですかそれ?と余裕を見せ、さらに9本のサクソフォンを駆使した音色の変化は、まるでフルオーケストラを聴いているかのような充実度。いやあ、参りました…。今回のアルバムは古典的な曲が多いが、ぜひ現代作品を集めたアルバムも聴いてみたいところだ。もしそんなCDが出た折には、なんだか選曲ともども凄いアルバムになりそう。

本CDは、Ensemble Squillanteのブログ上から、PayPal(クレジットカード可)決済で入手可能。

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