2010/12/31

Shadows and Dawning

アメリカの重要なサクソフォン奏者のひとりに、ジョン・サンペン John Sampen氏という奏者がいる。ノースウェスタン大学でフレデリック・ヘムケ氏に師事したほか、ラリー・ティール、ドナルド・シンタらにも師事したそうだ。クラシカルな作品のみならず現代作品にも力を発揮し、これまでの委嘱作品・献呈作品の数は60を超える。CDも10枚以上を数え「Electric Saxophone(Capstone)」を始めとしていずれも素晴らしい物ばかり。

Marilyn Shrude - Renewing the Myth
William Albright - Sonata
Marilyn Shrude - Shadows and Dawning
Burton Beerman - Concerto No.1
Marilyn Shrude - Evolution V

ここで紹介するのは2002年にリリースされた「Shadows and Dawning(Albany Records TROY526)」。入手しやすく内容も充実しているため、サンペン氏のCDの中ではかなりお薦めできるもののひとつ(Amazonでの購入リンクはこちら)。ピアノはMarilyn Shrude女史…サンペン氏の奥様で、作曲家でもある。ここにも2作品収録されているが、並大抵にはいかないほどの超高密度の曲で驚かされる。たとえば「Renewing the Myth」は、パガニーニのカプリス第24番のコラージュ作品:YouTubeでも聴けるが、サクソフォン奏者にもピアニストにも高度な技術を要する作品。

収録されているプログラムは、そのシュリュード「Renewing the Myth」「Shadows and Dawning」を含み、さらに直前の記事でも紹介したウィリアム・オルブライトの「ソナタ」、テープとサクソフォンの「コンチェルトNo.1」に、Sax 4th Avenueとの共演となる「Evolution V」ときている。面白い作品ばかりだ。

どれも輝かしく濃密な音。そして、高い技術と誰が聴いても納得の音楽性。現代作品をきっちりと聴かせ、作品そのものの本質を聴き手に提示する。これはサクソフォンの録音として理想的な形と言えるだろう。「Evolution V」での師弟共演では、お互いがお互いを尊敬し合いながら着実に歩みを進めているのがわかる。オルブライトの「ソナタ」は、マカリスター氏の録音と甲乙付けがたいほどのカッコ良さだ。

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本年最後の記事となりました。2010年の隠れたブログ目標「ひと月ごと、その月の日数と同じ数の記事を書く」が達成できてホッとしています。皆様方におかれましては、どうか良い年をお迎えください。

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