2010/12/16

山本哲也「チャラサックス」

JacobTV Showの会場で、サクソフォンの由井平太さんのご紹介により、作曲家の山本哲也さんにご挨拶することができた。山本さんは、第27回現音作曲新人賞において、コントラバスとハープのための「誤謬」という作品で最高位を得るなど、ご活躍中である。最近は、声楽で有名な松平敬氏から委嘱を受けるなどしているようだ。

その山本さんが2009年に書いたサクソフォンのための室内楽作品を聴かせてもらった。「チャラサックス」と名付けられたSATBの四重奏のための作品である。

全体を通してお洒落な小品、といった趣。シンコペーションのリズムを多用したややポップス風の部分が置かれ、続いてテナーサクソフォンの牧歌的メロディ(なんだかグラズノフ「四重奏曲」第1楽章の主題に似ている)に導かれて始まる小ワルツ、そして再びポップス風のセクションに戻ってゆくABA構成。最後には、ポップス風主題と牧歌風主題が連結して幕となる。冒頭部分を聴くと、なんだかずいぶんハードな現代音楽か!?と思わせるパルスが聴こえる。これは冒頭部分とポップス風セクションの真ん中に出現するが、なんだかまるで別の曲のように聴こえるのが面白い。最後、転調?したあとの音程感覚を捉えるのが少し難しそう。

演奏上の特殊なテクニックは必要とされず、曲のグルーヴや性格をどのように表現するかは演奏者の手に委ねられているのかなと感じた。私が普段吹いているTsukuba Saxophone Quartetは楽譜に引きずられっぱなしになるような曲しか演奏しないもので、例えばこのような作品を吹くとどんな演奏になるのかな。ちょっと音を出してみようかなあ。

山本さんに許可をいただいて録音を聴けるようにアップロードした。演奏は、由井さんを中心とする昭和音楽大学の四重奏だそうだ。もし演奏したい!と興味がある方は、山本さんに直接お問い合わせいただきたい(ご本人のブログ→http://feblog2009.blog113.fc2.com/)。

山本哲也「チャラサックス」(クリックしてダウンロード)

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