2010/09/13

井上麻子×松尾俊介@ドルチェ東京

【井上麻子×松尾俊介 Saxophone x Guitar Concert】
出演:井上麻子(sax.)、松尾俊介(gt.)
日時:2010年9月12日(日)15:00開演
会場:ドルチェ楽器アーティストサロン東京
入場料:2,500円(前売り2,000円)
プログラム:
John Dowland - Three Dances (ssax, guitar)
Eberhard Werdin - Vier Bagatellen (asax, guitar)
Manuel Maria Ponce - Tres canciones polulaires Mexicanas (guitar)
Eugène Bozza - Trois Pièces (ssax, guitar)
Bartók Béla Viktor János - Jocuri poporale Romanesti (ssax, guitar)
Nuccio d'Angelo - Introduzione e Aria (ssax, guitar)
Heitor Villa Lobos - Bachianas Brasileiras no.5 "Aria" (asax, guitar)
Heitor Villa Lobos - Modinha (asax, guitar)
Manuel de Falla - Siete Canciones populares Espanolas (ssax, guitar)

9/12、しらこばと音楽団の本番の後にJRへ飛び乗り(南浦和駅での乗り換え!)、一路新宿へ。井上麻子さんの演奏をライヴで聴くのは、実に3年ぶり。初めて聴いたのは2007年暮れのフェスで聴いたピエール・ジョドロフスキ「Mixtion」だったが、音響サイドの様々な不調にも関わらず、独奏者として大変に素晴らしい演奏を繰り広げ、感動したものだ。この日のプログラムはその時のプログラムとは全く違うが、とても楽しみにして伺った。それにしても、このプログラム!半分以上知らない。バロック系、トランス物はなんとなく想像がついたのだが、驚いたのはオリジナル作品が含まれていたこと!

到着は開演3分前(危ない危ない…)。ステージ上には小型のギターアンプが。さすがにサクソフォンとギターではバランスを取りづらいだろうから、その調整用だろうか?

一曲目は、バロックよりも以前の古楽作品。もともとはリュートとソロ楽器のために書かれたそうな。この曲の2曲目"Lachrimae Pavan"で、サクソフォンとギター、それぞれのあまりの音色の美しさに震えた。小さい会場の隅々まで、どんな隙間までにも沁み渡るような上質のソプラノ・サクソフォン、そして、瞬間瞬間に音色を変えてゆくギター。メロディの美しさも相まって、この作品を聴けただけでも、来た価値があると思った。MCを挟みながらの演奏。お二人は、パリ国立高等音楽院で同期だったとのこと。在学中より、室内楽として活動を行っていたとのこと。…MCで微妙に笑いを取りに入るのは、これは関西のデュオだからなのか、それとも井上麻子さんだからなのか(笑)。

二曲目は、ソロ楽器にヴィオラ、クラリネット、アルトサクソフォンのいずれか、という指定があるものの、れっきとしたオリジナル作品なのだそうだ。ちょっと現代風で、聴きやすい部分も、スリリングな部分もあって、好みの曲想。井上麻子さんのアルトサクソフォンの音も素敵だなあ。低音も危なげなくスルリと安定して、他の音域と同じ音量で演奏してしまうので、サックスという楽器に対する先入観からすると、まるで肩透かしをくらったような気分になる(笑)

ポンセはギターソロ。楽章間でもチューニングを行うのは珍しい光景だと感じたのだが、ギターだと普通なのかな?プログラムに追加されたエストレリータという作品が、妙に印象に残っている。ボザは、フルートとギターのための作品。第3楽章でちょっとテクニカルな印象になるのは、ボザっぽいなあ。

後半は、どれも特徴的なプログラムで印象深かった。バルトーク、ファリャの、サクソフォン×ギターという組み合わせはもちろん初めて聴いたのだが、他の様々な編成で聴くよりも、ずっと"それらしい"音がして、面白い。どちらの楽器も、そもそも持っている性格がプリミティブなのだ。民族音楽をベースにした曲を奏でたとき、面白くないはずがない。

ヌッチオ・ダンジェロは、イタリアのギタリストなのだそうだ。「序奏とアリア」はオリジナルはヴァイオリンとギター。この曲が本日中最もシリアスな響きがしていたが、とても面白くて、特に「序奏」の超ハイテンションのバトルには感銘を受けた。YouTube上で作曲者本人の演奏映像を見つけることができる。続くヴィラ=ロボスはアルトサクソフォンでの演奏。これもまた美しかったなあ。"アリア"は有名だが、"モディーニャ"も声楽作品である。

日曜の昼下がりに素敵な演奏の数々。贅沢な時間を過ごすことができた。今度は、また違った編成で聴いてみたいなー。

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