サクソフォン奏者、アンリ=ルネ・ポラン Henri-René Pollin氏というと、何よりもまずダニエル・デファイエ四重奏団のアルトサクソフォン奏者としての顔が有名だろう。デファイエ四重奏団でのポラン氏の演奏というと、他のプレイヤーに比べてバランス的にはやや抑制されているものの、耳にずっと残る音色、上質のワインを味わうかのようなヴィブラート、さらに驚異的なフレージング能力といったところが印象深い。
また、フランスのルーアン音楽院のサクソフォン科教授となり、指導者としても手腕を発揮した。門下生も数多いが、たとえば日本人では、九州で活躍するサクソフォン奏者の荒木浩一氏が、ポラン氏の弟子にあたる。
そのポラン氏が参加した、ヴィラ=ロボス「神秘的六重奏曲」が収録されたLPというものが存在する。チュリビオ・サントスというギター奏者がメインのアルバムなのだが、このなかでパイヤール室内楽団の一員として、ポラン氏が演奏しているのだ。同曲の演奏については、私の手元に今までにロンデックスのEMI盤や、最近発売されたミーハ・ロギーナ氏&李早恵氏参加のメイヤー財団盤などがあったが、それ以外は…?というと、ちょっと思いつかない。しかし、まさかこんな大御所サックス吹きが参加した音盤があるとは!と、驚いてしまった。
H.Villa-Lobos - Concerto Para Violão & Pequena Orquestra
H.Villa-Lobos - Sextuor mystique
H.Villa-Lobos - Prelúdios
ヴィラ=ロボス作品集って感じですね。クレジットを確認してみると、指揮がフランソワ・パイヤールで、フルートがマクサンス・ラリュー、ハープがリリー・ラスキーヌ(ロンデックス盤と同じだ!)と、ずいぶん豪華なアンサンブルである。「神秘的六重奏曲」でのポラン氏は、やや神妙にフルートやオーボエとのアンサンブルを優先して吹いているものの、随所随所でアンサンブルの引き締めと色添えに一役買っており、さすがである。「コンチェルト」も、フランスの管楽アンサンブルという響きそのもので、実に心地よい。しかも、曲がとてもかっこいいのだ!冒頭部分のオスティナートからしてびびびっとしたものを感じるし、カデンツァの技巧や、そこからなだれ込むアレグロもにぎやか、というよりクールだなあ。
また、私はギターのことは良く分からないが、このサントス氏という奏者は、実にすばらしいギター奏者だと思った。テクニック、音色ともに、実にすばらしいと感じた。ギターの世界って、このくらいは普通なんだろうか(興味あるところだ)。誰か詳しい方がいたら、教えて下さい。
ああ、これ、LPレコード持ってます。
返信削除懐かしいですね。大学生のときなので、27年くらい前に買いました。私のはEratoの発売で、カップリングが微妙に違って、ヴィラ=ロボスの前奏曲のかわりに「アランフェス」が入ってます。
私にとっては、「神秘的六重奏曲」の、デフォルトです。
一度CDでも出たことがあるようですが、買い損ねました。
トゥリビオ・サントスといえば、ブラジル最高のギタリストと呼ばれる方だそうですよ。
ヴィラ=ロボスの協奏曲と「神秘的六重奏曲」は、のちに全員ブラジル人演奏者による顔ぶれで再録音もしています。
> Thunderさん
返信削除Erato発の盤もあるのですね。知らなかったです。私にとってはやはりEMIの三枚組に入っていたロンデックスの演奏がデフォルトだったので、ちょっと面白く聴きました。
トゥリビオ・サントス、情報ありがとうございます。そんなに凄い奏者なんですか。大変見事な音色、音楽性に驚きました。